【第104回】2005年3月22日(火)
ウワサの「リアプロ」って実際どうなの? |
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(毎週月曜日更新)
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なぜ今「リアプロ」なのか?
| | ソニー QUALIA 006 KDS-70Q006 |
近ごろ「リアプロ」という言葉をアキバ界隈でもよく聞くようになりました。もちろん「リアプロ」とは「リア・プロジェクション・テレビ」のことで、その名からも分かるように、「後ろ(リア)から投影する(プロジェクション)テレビ」のことです。簡単にいえば、液晶プロジェクタをテレビの内部に設置したような作りをしており、管面で色を作り出すプラズマや液晶、CRT(ブラウン管)などとは根本的に仕組みが異なります。他のテレビとは異なり、リアプロには管面というものがなく、前面にある「スクリーン」に後ろから映像を照射するという、原理的には単純な仕組みを採用しています。スクリーンに投射するだけなので、画面を大型化するのも比較的簡単で、コストをかけずに大型化できるというメリットがあります。大型化すればするほど価格も跳ね上がっていくプラズマや液晶と違って、リアプロでは画面を大型化してもさほど価格が上がらないのです。
リアプロ自体は、実は以前から存在していました。アメリカでは、家庭用の大型テレビとして、プラズマなどよりも大きなシェアを持っています。ただ、ボディが巨大なため、日本国内ではさすがに家庭向けにはほとんど浸透しませんでした。というより、国内ではメーカーが家庭向けの製品としてあまり販売していなかったというのが実情です。それが突然、家庭向け大型テレビのダークホースとして脚光を浴びるようになったのは、昨年エプソンから発売された「LIVING STATION」がきっかけだったのです。
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薄型リアプロの口火を切ったエプソン「LIVING STATION」
| | エプソン LIVING STATION |
昨年エプソンから発表され、一躍話題をさらったリア・プロジェクション・テレビ「LIVING STATION」は、これまでのリアプロの概念を覆すのに十分な性能を持った製品でした。これまでリアプロが家庭向きでないといわれていたその大きな理由は、その大きさでしたが、この問題を「LIVING STATION」は解決したのです。47V型の製品で、20型のブラウン管テレビとほぼ同等の奥行き37.7cmを実現。重量も27型のブラウン管テレビとほぼ同等の48kgを実現しました。さすがに「薄型テレビ」として人気のプラズマ、液晶と比べてしまうと、大きく重たい感じもありますが、それでも以前と比べれば、約半分ほどの奥行きのコンパクトさと軽量さを実現したことになります。この小型・軽量化のインパクトは非常に大きかったのです。
37.7cmという奥行きは、ビデオデッキやDVDプレーヤーなどを収められる一般的なテレビスタンドのサイズに当たります。つまり、プラズマテレビや液晶テレビを購入した場合でも、こうしたテレビ台と組み合わせれば、設置面積自体はほぼ変わらないということになります。「LIVING STATION」は、リアプロといえば「大きい」という概念を覆したのです。
また画質面でも、「LIVING STATION」は、これまでのリアプロテレビとはまったく異なる精細さを実現したことで話題となりました。投影方式を採用するリアプロは、管面自体が発光するプラズマや、至近距離からのバックライトによってクッキリと映像を映し出す液晶に比べ、画面の彩度やシャープさの点で、どうしても劣る面があったのですが、「LIVING STATION」ではこの点がかなり改善され、プラズマ、液晶と同等とまではいかなくても、同列で勝負できるくらいのレベルにまで引き上げられました。
大きさや画質の面でプラズマ、液晶と同列で比較できるほどになり、価格は、プラズマや液晶よりもはるかに安いリアプロ。しかも大画面になればなるほど、価格面での優位性が際だってくるのです。「LIVING STATION」の登場によって、リアプロはいよいよ家庭で使用するのに十分なレベルになってきたといえるでしょう。
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巻き返しに燃える老舗、ソニー、三菱、三洋
| | 三菱電機 62-DL5 |
エプソンの「LIVING STATION」はこのように大きな話題を呼びました。しかし、販売はそれほど好調ではなかったようです。なぜでしょうか? それは、その販売方式によるところが大きかったといえるでしょう。「LIVING STATION」は、一般の家電量販店などでは販売せず、エプソンの直販サイト「エプソンダイレクト」を通じて、インターネット直販という形で販売する方式を採用しました。一般のショップ店頭に置くにはやはりまだ大きすぎたのかもしれませんし、大型の製品ゆえに在庫量をコントロールしたいという狙いもあったのかもしれません。
しかし、ユーザーの側からすれば、実際に自分の目で見てみないと、さすがに40万円以上もする高価な製品を購入するわけにはいかないというのが本音だったでしょう。エプソンも、同社のショールーム「エプソンスクウェア」などでのデモ展示を通じて、これを補おうとしましたが、いかんせんこれでは数が少ない。結局「リアプロ」という言葉だけが一人歩きし、実際にはほとんどの人が実物を見ないままに、現在に至ったという感じです。この状況に対して、現在エプソンでは、「LIVING STATION」の全国デモツアーを積極的に行っており、リアプロの知名度アップに力を注いでいます。
この「LIVING STATION」の発表に、他のメーカーも手をこまねいてはいませんでした。それほど製品がないとはいえ、リアプロテレビの製造には、エプソンよりもずっと以前から取り組んできた老舗メーカーが、ここのところ相次いで戦略的な製品を発表し、本格的にリアプロ事業に乗り出そうとしているのです。
リアプロの国内市場でトップのソニーは、従来「グランドベガ」というリアプロ製品を出しており、リアプロファンの間では評価も高かったのですが、昨年、高品質ブランド「QUALIA」から、最大サイズとなる70V型のリアプロテレビ「KDS-70Q006」を発表。つい最近、秋葉原でもその展示が開始されました。大型・高品質だけに価格も164万円と高いのですが、画質面ではさすがはソニーという底力を見せつけている製品です。(関連記事:ソニー製70V型リアプロテレビ「QUALIA 006 KDS-70Q006」が石丸電気本店にて展示販売開始!)
また、リアプロでは老舗の三菱電機も、つい最近新たなリアプロ製品「62-DL5」を発表。薄型テレビでは完全に出遅れた同社ですが、ここへ来て得意のリアプロに意欲を燃やしています。画質もかなりシャープで彩度も高く、プラズマテレビと比べても遜色のない出来に仕上がっている注目の製品となっています。
このほか、液晶デバイスではエプソンと並ぶ大手メーカーの三洋電機や、日本ビクターなども、今年はこぞってリアプロ製品を投入する予定となっており、リアプロ市場はにわかに活気を帯びてきています。大手メーカーが本腰を入れたことで、家電量販店などでもリアプロが店頭に並ぶことも珍しくなくなるでしょう。実際に自分の目で見て確かめてもらえれば、画質面でもスペース面でもプラズマなどと比べてそれほど遜色なく、しかも価格はプラズマの2/3〜半分程度と、リアプロの優位性が分かってもらえると思います。今年の夏くらいには、リアプロはもっと身近な存在になっていることでしょう。
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リアプロ、そして大型テレビの今後
| | サムスン 薄型ブラウン管テレビ |
このように今年はリア・プロジェクション・テレビの普及元年となりそうな勢いですが、リアプロの普及には1つの条件があります。それは価格です。
今のところリアプロは、同サイズのプラズマテレビに比べ、2/3〜半額程度の価格で購入可能という価格上の優位性があります。このため、プラズマテレビを購入しようと考えていた人がリアプロに流れるという構図も今のところ有効といえます。しかし、相次ぐライバルの出現に低価格化が進んできているプラズマテレビの動き次第では、リアプロの価格優位性は徐々に失われてきます。
また、液晶テレビのほうでは大型化が進んできており、40インチを超える製品が安く出てくるようになると、リアプロにとっては大きな驚異となります。リアプロと液晶を並べて見比べると、やはり液晶のほうがキレイと感じる人は多いため、液晶テレビを遙かに下回る価格設定でないと受け入れられなくなる可能性が高いのです。
さらに今年の年末くらいには、リアプロの大きなライバルとなる「薄型ブラウン管テレビ」や「SED方式テレビ」などを採用した製品が登場すると言われています。「薄型ブラウン管」では、韓国のサムスンやLG電子が製品化を始めており、「SED」では東芝やキヤノンがそれぞれ開発を進めています。これらの製品がそこそこ安い価格で登場すると、リアプロの優位性は圧倒的に失われてしまうことになるでしょう。
そう考えると、リアプロは今年の秋くらいまでにどれだけ価格面で他のデバイスに対して優位に立つか、これが普及のカギを握ってくるといえそうです、今年の年末には、大型テレビ市場は、3つ巴どころか、5つ巴の大変なシェア争いが起こることが予想されますが、それまでにリアプロがどれだけの進化を遂げ、かつ安くなっているかを、今から期待したいところです。
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