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【第106回】2005年4月11日(月)
今アキバでもっとも"熱い?"CPU
Pentium Mの全貌を探る
このページは、アキバで今もっとも流行っているモノについて、毎週週変わりで テーマを決め、実売価格や売れ筋ランクなどの実地調査を行うレポートです。 毎週ホットな情報を集めてお贈りいたしますが、取り扱ってほしいテーマなどの ご要望がありましたら、こちらよりお送りください。 (毎週月曜日更新)


 今アキバでもっぱら注目を集めている話題といえば、静音PCの自作、それもノートPC用の低電力CPU「Pentium M」を使った静音PCの話題ではないでしょうか。Pentium Mを使ったPC自作に関しては、すでに昨年の夏頃から一部のマニアを中心にブレイクしていましたが、このたび、ASUSTeKから、Pentium MをPentium4用のSocket478マザーで動作させることのできる変換ゲタ「CT-479」が登場したのをきっかけに、この流れが加速しそうな勢いなのです。そこで今回は、この今もっとも"熱い"(もちろん温度的には"熱くない"のだが)CPU「Pentium M」について、再度その全貌をおさらいしておきましょう。


・バッテリ駆動用に低電圧でも動作するよう設計された「Pentium M」

Pentium M
 「Pentium M」は、もともとノートPC用に開発されたCPUです。100Vの家庭用電源を常時採れるデスクトップPCと違って、モバイル向けCPUは、低電圧のバッテリでも動作できることを前提に設計されます。単純に言うと、CPUは高性能になればなるほど多くの電力を必要とするため、デスクトップ用のCPUに比べてモバイル用のCPUには制約が多く、その性能もデスクトップ用CPUに比べると、かなり見劣りするというのが、これまでの定説でした。

 そもそもCPUというパーツは、パソコン全体の中から見ると非常に小さな存在ですが、パソコンの頭脳だけあって、その働きはほかのパーツよりも遙かに過酷です。動作させるために必要な電力も見かけ以上に大きく、しかも小さな容積に対してかなり大きな電圧負荷をかけるため、その発熱も大きくなります。しかしながら、あまりに熱くなってしまうと、CPU自体が熱暴走を起こしてしまうため、CPUの温度が一定の値以上に上がらないよう、常に冷却する必要があるのです。

 ケース内に余裕のあるデスクトップPCであれば、さまざまなクーラーやファンを使ってケース内の空間に排熱を行うことも可能ですが、ケース内の空間に制限のあるノートPCでは、そうもいきません。そのため、モバイル用のCPUはどうしても低電圧=低性能にならざるを得ないというジレンマがありました。

 こうしたモバイル向けCPUとしては、インテル「モバイルPentium 4」「モバイルCeleron」などがありましたが、いずれの場合も、デスクトップ用の「Pentium 4」「Celeron」に比べ動作クロックが低く、低電圧の場合には動作クロックを落として動作する「SpeedStep」という技術が用いられるなど、デスクトップ用CPUをグレードダウンして作られたCPUという位置づけでしかありませんでした。

 しかし、Pentium Mは、こうしたモバイル向けCPUと一線を画したプロセッサとして登場しました。初めからノートPCなどの低電圧環境で使用することを前提に設計された製品であり、決してデスクトップ用CPUのグレードダウン版ではなく、独自の設計思想に基づいたモバイル向けのCPUとして開発されたのです。そのため、低電圧環境においてフルパワーが発揮できる設計となっており、これまでのモバイル向けCPUよりも格段の性能を実現しました。電圧によって動作クロックをコントロールする「SpeedStep」も、より細かい制御が可能となり、バッテリ使用時の極端なパフォーマンス低下を防ぐ一方で、低電圧使用によるバッテリ持続時間の長期化も実現したのです。Pentium Mは、ノートPCユーザーにとっては待ちに待った高性能CPUだったのです。


・低電圧動作なのにPentium 4に匹敵するほどの高パフォーマンス

 このように、モバイル用途の低電圧環境で十分なパフォーマンスを発揮できるよう設計されたPentium Mですが、モバイル用途ではなく、家庭用電源を使用した場合のパフォーマンスに関しても実に優れた性能を発揮するということが徐々にわかってきました。場合によっては、Pentium 4と肩を並べられるほどの性能を発揮できることもあるようです。

 こうした事実が明らかになってくるにつれ、デスクトップ環境でPentium Mを使用したいというニーズが徐々に高まってきました。なぜなら、低電圧で動作するPentium Mを使用することで、これまで多くの自作PCユーザーの悩みのタネであった「発熱」および「騒音」の問題を解決できるからです。

 元々モバイル用途向けに低電圧で動作するよう設計されているPentium Mは、デスクトップ用のPentium 4に比べてはるかに省電力で動作できます。発熱量も抑えられており、通常は巨大なファンを積んだCPUクーラーを装着しなくてはならないところを、ファンレスのヒートシンクで抑えることも可能です。しかも、性能はそこそこ高速とくれば、「静音」を目指していた多くの自作PCユーザーの目に止まるのもごく自然な成り行きといえるでしょう。

AOpen「i915GMm-HFS」
 しかし、ここで1つ大きな問題がありました。というのも、ノートPC用に設計されていたPentium Mは、対応するマザーボードが市販されていなかったのです。そのため、当初は、ノート型のベアボーンキットなどに使われているマザーボードを使用するか、キューブPCなどに使われる「Mini-ITX」などの小型マザーを使用する以外に、Pentium Mで自作PCを製作する方法はありませんでした。これだと、使用できるパーツなどにも制限が出てくるほか、マザーボードの性能がデスクトップ向けの製品に比べて劣ってしまうので、今ひとつ十分なパフォーマンスを得ることができませんでした。しかも、これらの製品は数が少ないため、価格的にもかなり割高であったのです。つい最近になって、AOpenからmicroATX用のPentium M用マザー「i915GMm-HFS」が発売になりましたが、それでも3万円以上の価格となっています。

 ところが、この問題を大きくクリアするような製品が登場したのです。それが、ASUSTeKの変換アダプタ(通称「ゲタ」)「CT-479」なのです。

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・発想の転換!デスクトップ用マザーで「Pentium M」を動かすというユニークな製品

ASUSTeK「CT-479」
 ASUSTeKが発売した「CT-479」は、Pentium Mが採用する「Socket 479」のCPUを、Pentium 4などで採用されていた「Socket 478」に適合させるための変換アダプタです。パッと見た感じでは、ピンの数が1本違うだけなので、ピン配置を変えれば済みそうにも思えますが、先に述べたように、Pentium 4とPentium Mでは、そもそもの設計が異なり、動作電圧なども違うため、そう簡単に変換するわけにはいかないという問題があります。しかし、大手のマザーボードメーカーであるASUSTeKが研究を重ねた結果、Pentium Mを「Socket 478」搭載のマザーボードで動作させることに成功しました。これが、この「CT-479」なのです。

 ただし、この製品も、すべての「Socket 478」搭載マザーボードで動作するわけではなく、一部のASUS製品のみに動作は限られます。また、対象製品であっても、あらかじめBIOSのアップデートを行っておかないと動作しないという、実にハードルの高いものとなっています。Pentium Mをデスクトップ用のマザーボードで動作させるのは、そう簡単ではないのです。

 しかしながら、この製品によって、これまでPentium Mをデスクトップ用途で使用しようと思ってきたユーザーにとっては、大きな可能性が表れたことになります。デスクトップ用のマザーボードが使用できるということで、これまでのような使用パーツの制限もなくなり、FSBやメモリクロックなどの動作スピードもほぼ最先端のものが使用できます。しかも、マザーボード自体の価格が圧倒的に安く、アダプタ込みでもこれまでのPentium M用のマザーボードを購入するより安く済むことになります。この「CT-479」の登場によって、Pentium Mをデスクトップ用途に使用する選択が「普通のこと」になったと言っても過言ではないでしょう。

 それにしても、デスクトップ用マザーボードに、わざわざ性能の落ちるノート用CPUを搭載するための「ゲタ」が発売されるようになるとは、ほとんどの人が夢にも思わなかったのではないでしょうか。これまで「ゲタ」といえば、マザーボード側では対応していない高性能なCPUを搭載するために、電圧やクロックなどを上げるという用途が普通でしたが、今回の場合、逆に電圧やクロックを下げるということになるからです。まさに「発想の転換」ともいえるアイデアですが、それだけCPUが高性能化して、すでにこれ以上高性能なCPUをユーザーが求めなくなったことの表れといえるでしょう。

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