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【第107回】2005年4月25日(月)
64ビットのちょっと難しいお話
このページは、アキバで今もっとも流行っているモノについて、毎週週変わりで テーマを決め、実売価格や売れ筋ランクなどの実地調査を行うレポートです。 毎週ホットな情報を集めてお贈りいたしますが、取り扱ってほしいテーマなどの ご要望がありましたら、こちらよりお送りください。 (毎週月曜日更新)

・ところで「64ビット」って何だ?

 ここのところ、アキバやPC業界で話題になっているテーマと言えば、「64ビット」ではないでしょうか。先週末には、マイクロソフトの64ビット対応OS「Windows XP Professional x64 Edition」が発売され、ついにコンシューマレベルでも、64ビット環境が手に入るようになりました。

 しかし「64ビット」ってそもそも何なのでしょう。何となく速くなるというイメージがあるくらいで、その実態をよく知らないという方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、ここで「64ビット」というものがどんなものなのかを、おさらいしておくことにします。

 「64ビット」などに使われている「ビット(bit)」というのは、コンピュータが処理を行う上での最小単位のことです。そもそもコンピュータは、情報を電気信号として受け取って処理するわけですが、デジタルの世界では電気信号を「オン」と「オフ」との2種類に分けて処理します。電気的に言えば「通電(オン)」「非通電(オフ)」の2種類の信号を扱いますが、コンピュータの世界では、オンを「1」、オフを「0」として数値化することで、信号を制御しています。この1と0の信号の単位を「bit(binary digit)」と呼んでいるのです。

 ちょっと話が難しくなってきましたが、「1ビット」というのは「1」あるいは「0」の2通りの数値しか認識できません。では、これが2ビットになるとどうなるのでしょうか。2ビットでは「00」「01」「10」「11」の4通りの組み合わせが考えられます。つまり一度に4つのデータを認識できるのです。同様に、3ビットでは8通り、4ビットでは16通りというように、ビット数が上がれば上がるほど扱えるデータの量は「2のn乗」で放物線を描くように増えていきます。このような1と0による数値の表し方を「2進数」といい、この2進数による数値こそが、コンピュータが情報としてやり取りできる情報ということになります。

ビット数記述例(2進数)データ量バイト換算
1ビット12-
2ビット014-
4ビット010116-
8ビット010101012561バイト
16ビット0101010101010101655362バイト
32ビット01010101010101010101010101010101約42億4バイト
64ビット01010101010101010101010101010101
01010101010101010101010101010101
約1844京8バイト


 もう1つ、コンピュータの世界には「バイト(byte)」という単位があります。1バイトは8ビットからなる単位ですが、上のように考えると、8ビットでは256種類の値を扱うことができます。256種類あればアルファベットの大文字、小文字、数字、記号などさまざまな文字を表せるので、この8ビット=1バイトというのが、コンピュータの世界ではデータを記録する際の最小単位として使われています。

 ちなみに、256という数字は16×16で、16の二乗に当たります。このため「16進法」という数値の表し方では、1バイトの数は「00」〜「FF」までの2桁で表すことができます。通常のプログラムは、この16進法で表記されますが、16ビット環境では「FF FF」のように2バイトの情報しか一度に扱えません。これが32ビットになると「FF FF FF FF」のように4バイトの情報を一度に扱えるようになり、さらに64ビットになると「FF FF FF FF FF FF FF FF」といった具合に8バイトの情報を一度に扱えるようになります。今コンピュータの世界で一般的に使用されているのは「32ビット」ですが、64ビットでは理論的にはその倍の処理を一度に行うことができるようになるというわけなのです。


・64ビットCPUとは?

Athlon 64
 64ビットというのがどんなものであるのかおおよそ理解できたところで、今度は「64ビットCPU」というものについて見てみることにしましょう。

 パソコンのCPUは、古くは「8ビット」から始まりました。最初のパソコンと呼ばれているアップルコンピュータの「APPLE II」や、日本で最初に普及したNECの「PC-8001」などは、みな8ビットのCPUを搭載していました。8ビットはつまり1バイトですので、これらのパソコンが一度に処理できるデータは1バイト、つまり1文字分ということになります。また扱える色の数は8バイト分の情報量である256色が限界でした。

 また、現在のWindowsパソコンの元祖となった「IBM PC」や、日本のパソコン界に長く君臨した「PC-9801」などは、16ビットのCPUを搭載していました。16ビットパソコンの時代は比較的長く、Windowsの前身ともいえる「MS-DOS」もこの16ビットで動作していましたし、その後に出た「Windows3.1」といったOSも、基本的には16ビットで動作していました。16ビットが一度に処理できるデータは最大で65,536で、この時期に作られたアプリケーションは数多く存在しますが、たとえば今でも「Excel」などのアプリケーションは、最大で65,536行までしか使用することができないといった制約があります。このあたりも16ビット時代の名残といえるかもしれません。

Xeon (Nocona)
 その後、32ビットで動作するCPU「Pentium」が発表され、OSも32ビット対応の「Windows95」が発売され、パソコンの世界では32ビットが標準の規格となっていきます。32ビットで扱うことのできる数値は、4,294,967,296で約42億。これにならって、最大メモリ容量は4.2Gバイト(42億バイト)となっています。少し前までは、これほど大容量のメモリ空間を使い切るとは思っていませんでした。

 そして、さらに64ビットに対応するCPUが開発されていきます。サーバ用途などでは、すでに「Itanium」などの64ビットCPUが存在していましたが、これは1基数十万円もするような高価なCPUですので、コンシューマレベルでは、とても手の出るものではありませんでした。ところが、AMDが2003年に発表した「Opteron」プロセッサは、64ビット対応のCPUでありながら、10万円程度で購入できる非常にコストパフォーマンスの高い製品として注目を集めたのです。しかも「Itanium」などと異なり、32ビットのOSやアプリケーションとの完全互換を実現したのも大きな点でした。

 この技術を応用しながら、コンシューマ向けに製造されたのが「Athlon 64」プロセッサです。この「Athlon 64」は、64ビット対応CPUでありながら数万円程度という低価格を実現。しかも、これまでの32ビット環境で完全に動作するという製品です。これまでのWindowsXPなどのOSを使いつつも、将来的に64ビット対応のOSが登場すれば、64ビットのCPUとして動作できるという非常に自由度の高いCPUとして注目を集めたのです。

 これらの64ビットCPUの特徴は、最大16E(エクサ)バイトという広大なメモリ空間を使用できる点にあります(1エクサバイト=100万テラバイト)。これだけの広大なメモリ空間は、現在考え得る限りではほぼ無限といえるでしょう。もちろんこれは理論上の数値であり、実際に使えるメモリ容量はOSなどのシステムに依存します。先週発売された「Windows XP Professional x64 Edition」では、128GBのRAMと16TBの仮想メモリをサポートしていますので、しばらくは上限を気にすることはなく使用できるでしょう。


・「Windows XP Professional x64 Edition」とは?

Windows XP Professional x64 Edition
 では、先週発売が始まった「Windows XP Professional x64 Edition」とはどんなものなのでしょうか。

 ひと言で言ってしまえば、AMDの「Opteron」や「Athlon 64」、またインテルの「EM64T」に対応した新型「Xeon」や「Pentium 4」といった、64ビット対応CPUを64ビットネイティブで動作させられるOSということです。CPUは64ビット対応でも、その64ビットを生かせるOSやアプリケーションがなければ、システム全体では64ビットとして機能しません。「Opteron」や「Athlon 64」といったCPUは、2003年に発売されてからすでに2年ほどが経ちますが、ここに来てようやくその真価が発揮できる環境が整ったといえるでしょう。

 もっとも大きな特徴は、前述の広大なメモリ空間が活用できる点です。また、これまでの32ビットアプリケーションを64ビット環境で完全互換のもと動作させることができるので、これまでの資産が無駄になるということはありません。以前に16ビットで動作するMS-DOSから、32ビットで動作するWindows95に移行した際には、かなりの数のアプリケーションが動作しなくなるといった問題が起こりましたが、今回の「Windows XP x64 Edition」では、こうした問題もほとんど起こらないと思われます。

 このように、「Windows XP Professional x64 Edition」は、Windows初の64ビット対応OSであり(Macintoshの世界では「MacOS X」が存在しますが)、64ビット対応OS、とくにAMDの「Opteron」や「Athlon 64」の真価を引き出すためのOSです。これでCPUとOSとが64ビット化されたわけで、あとはこのシステム上で動作するアプリケーションが64ビットのネイティブ対応になっていけば、64ビットの高速性をフルに実感できることになるはずです。

 このようにまだ始まったばかりの64ビット環境ですが、これまでの32ビット環境に比べると、さまざまな面で恩恵を被ることができるのは間違いありません。特に、大容量のデータを取り扱う動画編集やグラフィック処理などの分野においては、64ビットがサポートする広大なメモリ環境と高速なデータ処理量は大きなアドバンテージとなるはずです。今年のPC業界は64ビットを中心に加速していくことが予想されます。

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特集:AMD Athlon64でパソコンは進化する(前編)(2003年10月6日)
特集:AMD Athlon64でパソコンは進化する(後編)(2003年10月14日)
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