今、新たにパソコンを組み立てようと思っている方、あるいは新しくCPUを買おうと思っている方がいたら、ちょっと待ったほうがいいかもしれません。実はこの5月〜6月にかけて、パソコン用のCPUが大きく様変わりをしようとしているのです。今回のCPUのモデルチェンジは、単純なコアの変更というよりも、もっと大きな変化を伴うもので、久々のメジャーモデルチェンジといえるほどのものになります。そのため、今新たにパソコンを組んでしまうと、1か月後くらいにはすでに旧式のシステムになってしまう可能性が高いのです。そうならないように、今月にも登場すると見られている次世代CPUについて、少し勉強しておきましょう。
・2つのプロセッサを1つのCPUに詰め込んだ「デュアルコア」の登場
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| デュアルコア・ダイイメージ(intel) |
まず最近よく耳にする「デュアルコア」について少し説明しておきましょう。「デュアルコア」(Dual Core)とは、読んで字のごとく2つのコアを持つプロセッサという意味で、簡単に言えば、1つのCPUの中に、2つのプロセッサが組み込まれているようなものを言います。これまでと同じサイズの「ダイ」(CPUの基盤が乗っているプレートのこと)上に、サイズを半分程度に縮小させた2つのプロセッサが詰め込まれているわけで、ユーザー側としては1つのCPUを使っているのと同じ感覚でありながらも、実際には2つの独立したプロセッサが動作するという、非常に興味深い製品となっています。
2つのCPUを差し込んで動作させる「デュアルプロセッサ」という方法は、すでにサーバ向けのシステムなどで実用化されていますが、1つのCPUで2つのコアを動作させるデュアルコアでは、マザーボードなどのシステムはこれまでと同じシングルプロセッサで済むため、システム投資を少なく抑えられます。また、CPU自体も、同じCPUを2つ購入するよりもはるかに安く済むので、経済的といえるでしょう。
似たような動作を行う技術として、インテルの「Hyper-Threadingテクノロジ(HTテクノロジ)」がありますが、こちらは1つのCPUを見かけ上2つのプロセッサに分けて独立した動作を行わせる技術のことで、デュアルコアではありません。シングルプロセッサの能力を2分させているため、当然ながらフルで動作させたときよりも処理スピードは遅くなります。
・64ビット対応CPU「Athlon 64」は、さらにデュアルコアの「Athlon 64 X2」へと進化
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| Athlon 64 X2 |
さて、今話題の「デュアルコア」ですが、先手を打つ形で登場したのは、今回もAMDの製品でした。64ビット対応の「Opteron/Athlon 64」の発表以来、CPU界をリードする形のAMDですが、サーバ向けプロセッサ「Opteron」のデュアルコア版である「デュアルコア Opteron」が4月下旬に出荷開始されており、コンシューマ向けCPU「Athlon 64」をデュアルコア化した「Athlon 64 X2」も、この6月にも出荷される予定となっています。
AMDの「Opteron/Athlon 64」は、その開発段階からすでにデュアルコア化が念頭にあったということで、いよいよそれが現実のものになったわけです。「Opteron/Athlon 64」は、プロセッサ内部にメモリを制御するメモリコントローラなどを搭載し、FSBに左右されない独自のバス「HyperTransport」などを搭載するのが特徴ですが、デュアルコアとなって2つのプロセッサが1つのダイ上に搭載されたことで、こうしたオンチップによる設計思想の重要性が注目される形になりました。
2つのプロセッサを1つのダイ上に搭載するデュアルコアCPUでは、2つのコア間のやり取りをどこかで行わなくてはなりませんが、「Opteron」「Athlon 64」では、初めから独自の高速バス「システムリクエストインターフェイス」を搭載しているため、コアが2つになっても、チップセットやFSBの性能に左右されることなく、高速な処理を発揮できるのです。
また、デュアルコア化によって心配される発熱の問題もクリアされており、従来とほぼ同じ程度の発熱で動作するというのも大きな点です。消費電力もシングルコアと同じ95Wに抑えられており、BIOSの書き換えだけでこれまでの環境で動作する、という点をAMD側は強くアピールしています。
先日発売が開始された64ビット版の「Windows XP Professional x64 Edition」によって、本格的な64ビット駆動が可能になったばかりの「Opteron/Athlon 64」ですが、デュアルコア化という大きな話題も重なって、今俄然注目を集めているプロセッサといえるでしょう。デュアルコア化と64ビット化との相乗効果で、特にサーバ用途など大量のデータを一度に処理するような場面では、非常にパワフルな力を発揮することが予想されています。
・一歩出遅れた感のインテル「Pentium EE」「Pentium D」
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| Pentium Extreme Edition |
これに対し、今回もAMDに一歩出遅れた感があるのがインテルです。デュアルコア化された「Pentium Extreme Edition」の発表自体は、AMDの「デュアルコア Opteron」ならびに「Athlon 64 X2」の発表よりも3日ほど先になりましたが、発売時期自体は未定で、おそらく6月頃になるだろうという見通しです。AMDの豊富なラインアップとは対照的に、「Pentium Extreme Edition 840」1製品のみの限定的な発表でもあり、なんとかAMDに先んじようという姿勢は見え隠れしますが、出遅れ感は否めません。
実は、インテルでは、「Pentium Extreme Edition」のほかに、次世代CPUとして「Pentium D」(コードネーム:Smithfield)と呼ばれているデュアルコアのプロセッサを開発しており、どちらかといえばこちらのほうが本命のプロセッサになると考えられていますが、正式発表はまだ行われておらず、「Pentium Extreme Edition」だけが半ばフライング的に発表されたという感があります。
性能的にも未知数な点が多く、デュアルコアではあるものの、AMDの「Opteron/Athlon 64」とは異なり、データのやり取りをFSBベースに行うため、どうしてもボトルネックが生じてしまいます。また、消費電力も130Wとなっており、発熱面、電力面でも不安が残ります。当然ながら、対応するチップセットも限られてしまい、今のところ、同時に発表された「インテル955X」のみが対応チップセットとなっているだけです。
このように、同じ「デュアルコア」でも、AMDとインテルでは、設計思想がかなり異なっているので注意しましょう。今後発表されるであろう「Pentium D」では、こうしたいくつかの問題が多少は解決されるでしょうが、これまでの「Pentium 4」の特徴でもあった「Hyper-Threading」が搭載されないなど、いくつかの疑問点も残ります。まだインテル製プロセッサのデュアルコア化に関しては、いまだよくわからない点が多いのです。
・新たにパソコンを組むなら6月以降が吉
このように、次世代CPUとして登場してきている「デュアルコアCPU」ですが、6月に予定されている「Athlon 64 X2」の発売がまず大きな話題となりそうです。すでに述べたように、「Athlon 64 X2」は、これまでのマザーボードや電源、メモリなどの資産をそのまま生かしつつ、BIOSアップデート程度で装着できるとあって、これまでの「Athlon 64」ユーザーにとっては期待の製品となっています。AMD自体の生産力の限界もあり、発売当初は品薄になることが予想されますので、ほしい方はしっかりと情報をキャッチするように心がけましょう。
逆にインテルの「Pentium Extreme Edition」「Pentium D」に関しては、まだ不明な点が多く、6月というタイミングで発売されるのは難しいかもしれません。発売されたとしても、マザーボードなどを新調しなくてはならず、結構な出費となることも予想されます。いずれにしても、ライバルの「Athlon 64 X2」が発売される6月上旬くらいに何らかの動きがあるでしょう。
こうしたわけで、これから新たにパソコンを組むのであれば、6月以降が吉ということになります。デュアルコアCPUや64ビットOSで最新テクノロジを実感したいという方にとってはもちろんのこと、こうした新製品の投入によって、これまでのシングルコア製品の値下がりも期待でき、安くCPUを購入したいという方にもグッドニュースとなりそうです。なお、デュアルコアCPUが発売された後も、シングルコアCPUがなくなってしまうというわけではありませんので、ご安心ください。
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