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【第99回】2005年1月31日(月)
録音するためのポータブルデバイスを研究する
このページは、アキバで今もっとも流行っているモノについて、毎週週変わりで テーマを決め、実売価格や売れ筋ランクなどの実地調査を行うレポートです。 毎週ホットな情報を集めてお贈りいたしますが、取り扱ってほしいテーマなどの ご要望がありましたら、こちらよりお送りください。 (毎週月曜日更新)

 今や巷では、「iPod」に代表される音楽プレーヤーが大人気。その主な用途は、家にある音楽CDなどをパソコンでデータ化し、データのままプレーヤーに転送して聴く、というものです。初めからデジタル音源であるCDからすべての過程をデジタルで録音するため、音の劣化が起こらず、末端の再生デバイスでも美しく再生できるのが特徴ですが、最近ではさらに、音楽を直接録音できる「ダイレクトエンコーディング」や、内蔵マイクから音声を録音できる「ボイスレコーディング」などの機能が付加された製品も多く出回っています。

 こうした録音機能を備えた製品が出てくるようになったのを受けて、これまで音楽や音声を録音するのに、カセットテープやICレコーダー、MDレコーダーなどを使ってきた人々も、こうしたデジタル音楽プレーヤーに注目し始めています。しかし、実際の用途によっては、それぞれの製品で一長一短があり、知らずに購入すると、後で後悔することにもなりかねません。そこで、今回の特集では、こうした録音デバイスに注目し、その長所と短所を解説します。

(※価格.com最安価格は、2005年1月31日現在のものです)


MuVo TX FM ■携帯音楽プレーヤー

 最近人気の携帯音楽プレーヤーの中には、「ボイスレコーディング」や「ダイレクトエンコーディング」といった録音機能を持ったものが多く出てきています。このうち、ダイレクトエンコーディングに関しては、ライン入力を通して他の音楽プレーヤーから出力された音楽をアナログ録音し、データ化するというものですので、直接デジタル化を行うパソコンからのデータ転送と比べると音質は劣りますがパソコンがないところでも録音できる手軽さという点では、便利な機能といえます。ただし、メディアにHDDを搭載しているプレーヤーの場合は、アナログ録音のため、録音時にジーというノイズが入る可能性があります。この点は、事前に「くちコミ掲示板」などで確認しておきましょう。

 一方のボイスレコーディング機能ですが、こちらに関していうと、まだまだオマケ的な機能でしかない、というところです。多くの製品では、ボイスレコーディングのサンプリング周波数は8kHz程度と低く、一般的なMP3フォーマットの最低レベル程度しかありません。加えて、ボイスレコーディング用の内蔵マイクはモノラルの場合がほとんどなので、指向性なども期待できません。ちょっとしたメモ程度なら十分ですが、重要な会議や音楽の練習の録音といった目的には向いていないといえるでしょう。

■主な製品
製品名 メーカー 容量 最高録音音質 最安価格 平均価格
H10 iriver 5GB HDD 44.1kHz/128kbps 30,815円 31,562円
Rio Carbon Rio 5GB HDD 8kHz 24,106円 25,179円
MuVo TX FM (512MB) クリエイティブメディア 512MB 8kHz/32kbps 11,550円 13,099円


ボイストレック DS20 ■ICレコーダー

 会議などの録音に便利な「ICレコーダー」は、内蔵メモリーに音声データを録音するという点では、いわゆるメモリー音楽プレーヤーとほぼ同様の構造を採用する製品です。ただし、こちらは、録音することに主眼が置かれていますので、録音機能と内蔵されるマイクの性能はまったく別物と考えてよいでしょう。最近では、音楽ファイルの再生に対応した製品も登場するなど、音楽プレーヤーとの違いは徐々に薄まりつつありますが、それでもなお、録音に関していえば、こちらのほうが遙かに性能は上といえるでしょう。

 「ICレコーダー」は別名「ボイスレコーダー」というだけあって、人間の声を明瞭に録音することに優れた製品です。そのため、たとえば、大きな会議室やホールなどで、機器の遠くにある人の声まで録音するために、高感度の高指向性マイクを搭載。さらに、雑音を取り除く「ノイズキャンセラー」と、人間の声の周波数帯を増幅させる機構によって、人間の声だけをクリアに引き立たせる設計になっているのです。サンプリング周波数も44.1kHzにまで対応し、CDプレーヤーよりも高音質な録音が行えるようになっています。

 こうしたやや特殊な処理を行う関係で、ICレコーダーでは、人間の声はクリアに録音することができますが、逆にいうと、録音した音はやや不自然になっています。そのため、音楽の録音などをICレコーダーで行うと、やや不自然な音色に聞こえてしまいます。人間の声を録音する分には、小さくて使い勝手もよい便利な製品ですが、それ以外の音を録音する際には注意が必要です。

■主な製品
製品名 メーカー 容量 最高録音音質 最安価格 平均価格
ICR-S300RM 三洋電機 256MB 44.1kHz/128kbps 26,459円 28,155円
ボイストレック DM-30 オリンパス 256MB 44.1kHz 22,799円 25,742円


SJ-MR240 ■MDレコーダー

 MOと同じ光磁気式記録メディアに録音するMDレコーダーは、メモリーやHDDを使用する最近の音楽プレーヤーと比べると、旧式のメディアというイメージがあります。MDは駆動方式にモーターを使用するなど、録音デバイスとしての欠点もありますが、今のところもっともポピュラーなポータブル録音デバイスといえるでしょう。基本的に音楽を録音する目的で開発されたものだけに、今でも音楽を録音するといった用途では、もっとも適しているデバイスといえます。ICレコーダーのように、人間の声に特化した増幅処理を行わないため、自然なそのままの音を録音するのに向いているのです。

 MDへの録音方式は、ソニーの開発したATRAC/ATRAC3方式で、ビットレートは292kbps(ステレオ時)。モノラルでは146kbpsで、CD以上の高音質を実現しています。通常は1枚のディスクで74分(80分メディアもあり)の録音時間ですが、長時間録音モードの「LP2」では倍の148分(160分)、「LP4」では4倍の296分(320分)の録音が行えます。さらに、新開発の「Hi-MD」というメディアを使えば、最大45時間(ATRAC3plus/48kbps)の記録が可能となります。

 規格としてはやや古いMDですが、音楽や自然な音を録音するという目的においては、まだ今のところは、もっとも便利なデバイスといえそうです。ただし、メディアを別途買わなくてはならない点と、モーターによる駆動方式がポータブルデバイスとしてやや不向きであり、耐久性の面で不安がある点がデメリットといえます。

■主な製品
製品名 メーカー 最高録音音質 最安価格 平均価格
SJ-MR240 松下電器産業 44.1kHz/292kbps 22,000円 25,416円
MZ-N920 ソニー 44.1kHz/292kbps 24,000円 28,177円


■その他

 音楽などを中心に録音するための機器としては、MDのほかにも「DAT」(Digital Audio Tape)があります。音声を圧縮しないリニアPCM録音が可能で、最大48KHzのサンプリング周波数での録音が可能と、現在の録音デバイスではもっとも高音質な録音が行える製品です。記録メディアはカセットテープなどと同じ磁気テープですが、頭出しが行えるよう、頭にデータを記録できるようになっています。ただし、機器の価格が高かったのと、MDのほうが手軽なため、一般的にはあまり普及しませんでした。

 この「DAT」に置き換わる存在として、現在開発が進められているのが、サンプリング録音対応のメモリレコーダー製品です。プロ向けの機器を除いて、まだほとんど市販化されてはいませんが、一部でDAT並みの高音質を実現したメモリレコーダーが発売され、一部のユーザーの間で人気を博しています。ただし、まだこれらの製品は高価であり、開発の余地もまだあることから、今の段階ではなかなかおすすめしづらい面もあります。


■まとめ

 以上見てきたように、手軽に録音できるポータブルデバイスは、それぞれ一長一短があり、なかなか決め手にかけるのが現状です。将来的には、メモリプレーヤーのボイス録音機能がもっと高精度になり、これまでMDレコーダーやDATが築いてきた地位に取って代わると考えられますが、まだ今のところはそこまでの発展はしていないというのが現状です。

 会議などの音声を録音する用途であれば、今のところ「ICレコーダー」に分がありますが、これも徐々にメモリープレーヤー製品との境界線が低くなっていることもあり、徐々にこれらの製品と融合していくかもしれません。

 いずれの製品もそれぞれに一長一短があり、オールラウンドに便利な製品というのはないので、今買うのであれば、自分の使用用途に向いた製品を購入するしかありません。しかし1〜2年後には、メモリープレーヤー(レコーダー)製品が一般的な録音デバイスとして定着していくことが予想されます。


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