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開発者に聞く「*ist DS2」に込めたこだわりとは?
小さなボディにカメラとしての数々のこだわりを詰め込んだ「*ist D」シリーズ。このシリーズを開発するに当たり中心的な存在としてこれまで携わってきたのが、ペンタックス株式会社マーケティング部 製品企画室の前川泰之さんだ。今回は、新たに発売された「*ist DS2」をはじめ、「*ist D」シリーズ全般に込めたカメラとしてのこだわりなどについてお聞きした。 ペンタックス株式会社 
イメージングシステム事業本部 
マーケティング部 製品企画室 
前川泰之さん 
前川泰之さん photo

 「*ist DS2」を開発する際に、どういったところに注力されてきたかをお聞かせ下さい。
前川:使いやすさにはとくに気をつかいました。最初に出した「*ist D」は、カメラのグリップがやや浅かったのですが、これを「*ist DS」を開発するに当たり、より持ちやすくしました。グリップの内部にはバッテリが収納されているのですが、バッテリの配置を変更することでより握りやすい形状に工夫しています。
ボタン類も操作性を向上させています。「*ist D」のときはボタン類はやや押しにくいという声があったため、ボタンを押したときのクリック感を向上させています。
左が*ist Dで右が*ist DS。バッテリの配置が変更されたことで、グリップが深くなり、握りやすく変更されている
左が*ist Dで右が*ist DS。バッテリの配置が変更されたことで、グリップが深くなり、握りやすく変更されている
フラットだったボタンも、面積を大きくし、容量を増やすことで押しやすくなりました。さらに細かいところですが、グリップする際にストラップの取り付け部が指に触れてしまうことがありました。そこでストラップの取り付け部の角を取るとともに位置も下げて指に当たらないようにしているんです。また、メニューの配色に関しても、色弱の人でも見やすいように配慮しています。
 液晶モニタもずいぶん大きくなりましたね
前川:液晶モニタは、エントリーモデルの「*ist DL」から21万画素の2.5型液晶になりました。これを「*ist DS2」でも踏襲しています。大きさだけでなく、解像度も他機種よりもワンランク上の21万画素なので、画像の再生が12倍まで破綻なく拡大できます。他社の製品はせいぜい数倍程度ですからかなりの違いがありますよね。また、前モデル「*ist DS」では、動くものにピントを合わせ続けるコンティニアスAFが、ピクチャーモードの動体モード時にしか作動しませんでしたが、「*ist DS2」では、ユーザーが任意に変更できるようになっています。 メニューは文字が大きくコントラスト高い配色にすることで見やすくなっている。
メニューは文字が大きくコントラスト高い配色にすることで見やすくなっている。
 よく「*ist DS」シリーズについては「味のある写真が撮影できる」、「撮影していてとても楽しい」といった意見を耳にしますが、「絵作り」や「味付け」といった部分で特に気を遣っている部分があれば教えて下さい。
前川:ペンタックスでは、本来の色に近いナチュラルな絵作りを目指しています。一方一般的には、やや派手めな発色の写真が好まれています。そういうお客様にとってナチュラルな絵作りは、見た目にパッとしない写真に見えてしまうことがあります。そこで、本来ペンタックスが目指すナチュラルな画質と、一般的な方にも好まれるような画質との2種類の画質を作りました。シャープで色彩豊かな「鮮やか」と、本来の色に近い「ナチュラル」が切り替えられますので、好みによって使い分けていただければと思います。
 「*ist DS」シリーズといえば、このクラス唯一のペンタプリズムファインダーですが、このファインダーを搭載するに至った経緯はどんなものなのでしょう。
前川:ファインダーは一眼レフカメラの命ですから、ペンタックスではファインダーを重要視しています。
また、ペンタックスのユーザーの中には昔のレンズを使われている方も多数おられます。マニュアルフォーカスのレンズもまだまだたくさんの方が使われていますので、マニュアルフォーカス時でもピント合わせしやすいファインダーを開発する必要があったのです。そこでフィルムカメラの頃より作り慣れたプリズムファインダーを採用したのです。コストはかかってしまいますが、とても見やすいファインダーができました。
ペンタプリズムファインダー
ピントの山が見やすい
ペンタプリズムファインダー
エントリーモデルの「*ist DL」では軽量化を図るためにミラー式を採用していますが、こちらも見やすさは追求しています。
 開発にもお金がかかってしまっては価格にも影響してしまうのでは?
前川:そこはカメラメーカーの強みです。過去に築き上げたさまざまなノウハウがありますのである程度は費用を抑えつつ、高性能なものを作れます。あとは企業努力です。
 「*ist DS」の掲示板を見ていると、ペンタックスならではの超薄型レンズ「DA40mmF2.8 Limited」(通称「パンケーキレンズ」)や、昔のM42マウントレンズが使えるアダプタなど、レンズ面での話題が熱を帯びているように思えます。こうした反響は想定していましたか?
前川:ペンタックスのユーザーには昔のレンズを使っている方が多いので、その点は想定して開発しています。「*ist D」では露出面で旧型レンズがやや使いにくいとの意見があったため、「*ist DS」からは使いやすいようソフトウェアを改良しました。
 大人気のパンケーキレンズはいかがですか? これほどの反響は想定していましたか?
前川:ある程度は想定していましたが、ここまでとは思っていませんでした。開発時は、とにかく薄いレンズを作ろうと思っていました。以前にはマニュアルフォーカスで同様のレンズを販売していたことがあり、そのレンズが中古で人気になっているのです。そこでレンズ開発者にオートフォーカスで作るとどれくらいの厚さでできるか聞いてみたところ、15ミリでできるといわれました。これならいけると思って開発したのです。実はこのような変わったレンズは、弊社でもなかなか製品化は難しいのです。その面白さは実物を見るまでは分かりにくい……。 パンケーキレンズ
大人気の超薄型レンズ「DA 40mm F2.8 Limited」。通称「パンケーキ」
そこで企画書でGOサインをもらう前に試作機を作って提案し、発売までこぎつけることができたんです。
 このような使っていて楽しいレンズをほかにも出される予定はありませんか?
前川:薄型Limitedレンズを2本予定しています。現時点では詳細はお話できませんが……。
 初代「*ist D」の後継モデルがでるのでは?というウワサもありますが、実際はどうなんでしょうか?
前川:これは現状のラインアップのより上位のモデルということですよね。このクラスの製品は必要ですので、検討は進めています。

 今回の取材を通して、ペンタックスのカメラ作りに対する真摯な取り組み姿勢が見えてきた。最近、目新しい技術やデザインで話題を先行させるメーカーが多いなか、スペック数値では表記できないような細かな改良や工夫にまで真剣に取り組むメーカーは多くない。ペンタックスのカメラの特徴でもあるコンパクトさも、話題性というよりは「常に持ち歩いてほしい」、「自分で持って重いのだからユーザーも重いと感じるはず」というシンプルな発想からきている。「製品作りに関してはユーザーフレンドリーでありたい」という前川さんの言葉に、製品が出るたびに着実により使いやすく便利になっていくペンタックスの「モノ作り」の本質を見た気がした。
(インタビュー/市原達也)

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