また元々商社であったため、ROLEXは宣伝がたくみだった。メルセデス・グライツが泳いでドーバー海峡を泳いで横断した際、ROLEXは彼女と彼女が使ったオイスターの写真を並べて、「防水時計ROLEX」を大きくアピールした。1936年には、イギリス王室から時計を受注。その時計をプリンスと命名した。もう一つ大きな特徴がある。デザイン性だ。現在の「デイトジャスト」も、その基本的な意匠は1945年から変わっていない。ある世界的な時計デザイナーは、ROLEXをこう評した「同じように見えて、少しずつデザインを変えているのが素晴らしいんだ」。
今では宣伝のうまさやデザインばかり強調されるが、ROLEXの偉大さは、やはり時計を良くしようと努力し続けた点にある。時計屋さんでときどき「この時計はクロノメーターだから精度がいいですよ」と聞く。その「COSCクロノメーター」という公的な規格を、今ある形に手直しさせたのがROLEXである。正確な時計を作っても、精度を測る基準がなければ理解されない。ROLEXは、厳しい公的基準を整備させることが、スイスの時計にとってプラスになると考えたのだ。以降、ROLEXだけでなく、正確なスイス製の時計は世界の市場を制する。