IWC ヒストリー

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IWC History
IWCの成り立ちとアメリカとの関係

IWCは、「質実剛健」というイメージがあるブランドだ。ドイツ的とも言われるが、実はその成り立ちはアメリカの影響をかなり受けている。創業は1868年、アメリカ人のアリオスト・フロレンタイン・ジョーンズによる。彼はアメリカの高級時計メーカー、E・ハワードの技術者であったが、ハワード社を辞めてスイスの地にやってきた。ジョーンズはアメリカの工業技術とスイスの職人技をあわせた時計を作るという希望を持っていたが、フランス語圏では受け入れられず、やむなくドイツ語圏にあるシャフハウゼンにIWCの工場を建てた。IWCは、スイスの時計メーカーとしては例外的に、自社で時計師を養成する学校を持っている。これは、時計産業のまったくないドイツ語圏で創業したIWCならではの知恵である。

ともあれ、高い理想を掲げてスタートしたIWCだが、まもなく経営危機に陥った。経営者が変わること数度、1881年にラウシェンバッハ家が買収し、以降順調な発展を遂げる。その後にIWCは名設計者を輩出し、その名を高めていく。ヨハン・フォーゲル、ロジェール・ピュゾー、そしてアルバート・ペラトン。ペラトンは、ペラトン自動巻の設計者として日本でも有名な技術者だ。

ポルトギーゼ オートマティック クロノグラフ 3714-017
ポルトギーゼ
オートマティック
クロノグラフ
3714-017

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IWCの経営危機

しかしクオーツショック注1の後、IWCの経営は破綻する。これを救済したのがドイツのマンネスマンとVDOであった。
経営者として派遣されたギュンター・ブルムラインは、スポーツウォッチとして知られる「オーシャン2000」を開発させ、IWCの経営を立て直した。以降1985年には永久カレンダー付きの時計として知られる「ダ・ヴィンチ」を、1991年には永久カレンダーとミニッツリピーター、そしてクロノグラフを併せ持つ「グランドコンプリケーション」を開発した。

2000年には30数年ぶりの自社製ムーブメントによる「Cal.5000」を発表、そして今年は、これまた自社製ムーブメントを搭載する「インジュニア」を発表した(4月のSIHHフェアにて)。

注1.それまでの時計は、針が滑らかに動くスイープ式だったが、1969年にセイコーが、圧倒的に誤差が少ないステップ式のクオーツ時計を発売、市場を席巻した。これによりスイスなどの高級機械式腕時計ブランドは壊滅的な打撃を受けた。

ダヴィンチ3528-003
ダ・ヴィンチ
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群を抜くIWCのムーブメントとは?

IWCの魅力はデザインの質実剛健さに限らない。そのムーブメントの完成度にこそ、良さがあると言える。
スイス製の機械式時計は、基本的にETA社製のエボーシュ(半完成のムーブメント)を使っている。同じ機械で値段が違うのは、各メーカーによる手の入れ方が違うからだ。なかでもIWCの改良は群を抜いている。歯車だけでなく、テンプ
注2やゼンマイなど、かなりの部品を変えることで、より高精度で長寿命のムーブメントに仕立てている。

値段は高いのに、一切エボーシュに手を加えないメーカーが多い中、IWCの姿勢は立派としか言いようがない。値段は高いが、それなりのことをやっているわけだ。ちなみにETAの「2892」は、汎用自動巻エボーシュとしてオメガやカルティエ、IWCなどが採用している。自動巻の巻き上げ効率に疑問を持ったIWCの技術者は、ETAに改良を勧め、「2892」が「A2」に進化したというエピソードもある。時計メーカーは数多いが、ムーブメントメーカーに改良を勧めるほどの会社は数えるほどしかない。

注2.時計の心臓部。ひげぜんまいの等時性により一定周期で振動する金属の輪。テン輪ともいう。

厳しいIWCの基準と優れたメンテナンス体制

高精度時計の象徴は「C.O.S.Cクロノメーター」である。しかしIWCはあえてクロノメーター注3を取っていない。クロノメーターより厳しい自社基準があるため、基準は必要ないというのがIWCの見解である。クロノメーターを検定するフランス語圏まで時計を輸送する手間がかかるという事情もあるようだが、この一徹さは、IWCならではである。一つの例を挙げてみよう、ある時計雑誌が、パイロットウォッチを実際に機上で比較した。クロノメーターを含む各メーカーのパイロットウォッチが並ぶ中、一番よい成績を収めたのがIWCのパイロットウォッチ、「マーク15」であった。

IWCの一徹さを物語るエピソードはほかにもある。IWCの時計は、創業当初の懐中時計ですら修理可能だ。もちろん激しく壊れたものなどは難しいが、基本的にはIWC製の時計であれば、会社が存続する限りメンテナンスを受けられる。半世紀前の「オールドインター」を十分に実用に使うことができるのも、優れたメンテナンス体制のおかげである。

アクアタイマー 3548-001
アクアタイマー
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注3. スイスの公的機関、スイスクロノメーター検定協会(COSC)が定めた精度試験に合格したムーブメントに与えられる認定

抜群の耐磁性を備えたマーク15

そんなIWCでベストの一本を挙げるなら、「マーク15」になるだろう。40000A/mという超耐磁性を持つため、電子機器が身の周りに増えた現在でも、安心して使うことができる。最近、IWCの時計は極端なデカ厚化を進めているが、「マーク15」の直径38mmはまだ我慢できる。

特筆すべきはブレスレットの完成度で、フィット感はかなりよい。コマの取り外しも容易で、腕のサイズにぴったり合わせることができる。精度も高く、文字盤の視認性も他社製のパイロットウォッチがかすむほどだ。決して目立つ時計ではないが、噛めば噛むほど味が出るようなIWCの良さを感じるには、最良の一本に違いない。

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マークXV 3253-001
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