
プロジェクター国内シェア15年連続No.1※のエプソンの「オフィリオ」シリーズ。そのスタンダードモデルという位置づけで、2009年に発売された10万円を切る低価格モデルのうち、今回はWXGAのワイド画面に対応した最上位モデル「EB-W8」をレビューします。 (※'95〜'09年度 プロジェクター国内販売台数 富士キメラ総研調べ)
エプソン・オフィリオプロジェクターのスタンダードモデルは、10万円を切る低価格で話題を呼んでいるデータプロジェクターのシリーズだ。全部で4機種がラインアップしているが、そのうち最上位に当たる機種がここで紹介する「EB-W8」である。その最大の特長は、最近のパソコンでは常識となってきているワイド画面に対応したWXGA(1280×800ドット)の解像度に対応している点。Windows Vistaの登場以降、パソコンはワイド画面が当たり前となってきており、企業などで導入されるパソコンもワイド液晶が一般的になりつつあるが、データプロジェクターの多くはいまだに「4:3」のアスペクト比を採用しており、WXGA対応の製品はまだ少数派なのが実情だ。そんな中、時代にマッチしたWXGAの解像度を採用し、しかも実売価格で9万円を切るほどの低価格を実現した「EB-W8」に注目が集まるのも自然な流れだろう。ちなみに、2010年8月現在、WXGA(1280×800ドット)の解像度に対応した10万円以下のプロジェクターでは、「EB-W8」が価格.comの売れ筋/注目ランキングでともに1位となっている。
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「EB-W8」は、オフィリオプロジェクターのスタンダードモデル「EB-8」シリーズ共通のボディを採用。全面ホワイトのボディは複雑なラウンドフォルムによる高いデザイン性を実現している。レンズはスライド式のカバーによって保護されており、持ち運びなどにも適している |
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最近のノートパソコンはほとんどがワイド液晶になっており、解像度も1280×800ドット以上のものが増えている。WXGA(1280×800ドット)対応のプロジェクターであれば、こうしたワイド液晶画面の映像をそのまま映し出せる |
「EB-W8」の解像度についてもう少し詳しく見てみよう。「EB-W8」が採用しているWXGAとは1280×800ドットという解像度であるが、この解像度はワイド液晶を搭載する標準的なノートパソコン(液晶サイズが13〜15型程度)の標準的な解像度と一致する。つまり、Windows Vista以降に広まったワイド液晶搭載のノートパソコンの多くが、「EB-W8」ではそのままの解像度で出力できるということになる。これは非常に大きなメリットだ。
実はワイドの解像度に対応するデータプロジェクターの中には、1280×800ドットではなく、1280×720ドットという解像度のものも多い。特に海外メーカー製の製品で多いが、この解像度はWXGAに近いもののアスペクト比が16:9(液晶テレビなどと同じ)になっているため、アスペクト比16:10のWXGAに比べると縦方向の解像度が若干少ない。もちろん1280×720ドットという解像度のノートパソコンもあるが、素の場合16:10のアスペクト比を持つパソコンで使った場合、フルに解像度を生かせずかなり中途半端な解像度になってしまう。その点、1280×800ドットのWXGA対応であれば画面調整もいらず、1280×720ドットの場合でもそのまま投影できるので便利だ。プロジェクターの世界では大は小を兼ねるのである。
では、「EB-W8」の画質をチェックしてみよう。「EB-W8」をはじめ、エプソンのプロジェクターはすべて「3LCD方式」という方式を採用している。その第一の特長は「輝度が高い(変わらない)」ことだ。「3LCD」というのは、その名の通り液晶を3枚使用する方式であるが、光の三原色である「R/G/B」の光源それぞれに液晶パネルが用意され、R/G/Bの各光線ごとに階調化された光を最終的に合成して色を作る。この方式のメリットは、R/G/B各色それぞれ独立した光源となるため、最終的に作り出される色の精度が高いことと、カラーパレットを使って色を作るほかの方式に比べて、光源から出た明るさがほとんど落ちないことだ。つまり、「明るく、色鮮やかな画質」を得やすいのが、3LCD方式の特長といえるだろう。
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3LCD方式のメリットの1つは色再現性にすぐれていることだ。2500ルーメンの輝度と合わせて、高い色再現性を持つ「EB-W8」なら、デジカメでの撮影写真やDVDやブルーレイなどの映像の投影でも、十分に鮮やかな色を引き出すことができる |
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その3LCD方式のメリットは、「EB-W8」の絵を一瞬見ただけですぐに感じ取ることができる。何しろ、投影される画面が非常に明るいのだ。カタログスペックでの輝度は2500ルーメンとなっているが、見た目の印象はそれ以上という感じがする。今一般的に販売されているデータプロジェクターの輝度は「2000〜2500ルーメン」が標準なので、2500ルーメンはそれだけでも最上級クラスの明るさだが、光透過性が高く色再現性にすぐれる3LCD方式では、ランプから発せられる光を効率よく投影できるため、カラーでも2500ルーメンの明るさを得られる。カラーフィルターを通過させることで輝度が落ちやすい他方式のプロジェクターに比べてより明るく見えるのは、こうした理由によるのである。
また、光が明るいだけに色彩も豊かで発色もよい。データプロジェクターの中には、ビジネス資料をクッキリ見せるためにことさら「黒」をハッキリと出すようなカラーセッティングを行っているようなものも見受けられるが、こうした製品の場合、黒に重点を置いているため、全体のカラーも暗く重くなりがち。しかし、エプソンの「EB-W8」に関して言えば、そういった印象はまったくなく、カラー映像もかなり高い色再現性で投影できている。ビジネスで使うプレゼンテーション資料などはもとより、カラフルな写真や動画などを投影する際にも、十分「使える」画質であるといえる。
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オフィスの会議室などでは室内を完全に暗くできないことが多いが、「EB-W8」の明るさなら、これくらい灯りが入っている部屋でも十分に投影可能。白っぽい壁にでもこのようにしっかりと映し出せるので、スクリーンがない部屋でも手軽に使うことができる |
輝度が高いことのメリットの1つとして「明るい部屋でも投影できる」ことがある。輝度、あるいはコントラストが低いプロジェクターでは、部屋を暗くしないと投影される情報を十分に読み取ることができないが、2500ルーメンの輝度を持ち、その光をほぼロスなく投影できる「EB-W8」では、部屋を真っ暗にしなくても映像をしっかりと投影できる。もちろん部屋を暗くしたほうが効果的だが、オフィスの会議室など、必ずしも真っ暗にできる環境でなくても十分にその内容が読み取れる程度に明るく映像を投影できるのだ。これは「EB-W8」をはじめとするオフィリオプロジェクターの美点の1つである。
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ホワイトボードに「ホワイトボード」モードで投影してみた。一般的なスクリーンよりも表面が反射しやすいホワイトボードでは、写真のようにかなりクッキリと明るく投影される。スクリーンがなくても、これなら十分スクリーン代わりとして使用できる |
さらに、「EB-W8」は、スクリーン以外のものに投影することも想定されている。たとえば、会議室などによくあるホワイトボードに投影するカラーモードも用意されており、スクリーンよりも光沢感が強く反射しやすいホワイトボードに最適なように、画質を調整して投影してくれる。推奨される使い方ではないが、オフィスの白っぽい壁にも投影可能だ。この場合、少しビビッドな発色となる「ダイナミック」などの画質モードを使うと、いい感じで投影できる。このほか「黒板」という画質モードもあり、学校などの現場でも重宝しそうだ。このように、3LCDならではの明るさを使って、スクリーンのない場所でも映像を投影できるのも「EB-W8」の長所といえる。
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「EB-W8」に搭載されるカラーモードは全部で7種類。投影する映像の種類や、投影される壁面の種類によって、画質を手軽に最適化できる。特に「ホワイトボード」や「黒板」といったモードが搭載されているのがうれしいところ |
「EB-W8」をはじめとするオフィリオプロジェクターには、実際の使用で便利だと感じる細かい配慮が多くなされている。たとえば、電源オン/オフが早いこともその1つだ。プロジェクターは光源にランプを用いているが、このランプが十分に明るくなるまでにはウォームアップタイムとして通常十数秒程度の時間がかかる。しかし、「EB-W8」の場合、このウォームアップタイムはわずか数秒。この待ち時間の短さは、プロジェクターを使ったことのある人なら、非常にありがたいと感じるメリットだ。
また、投影を開始すると、自動的に画面の傾き補正(台形補正)を行ってくれるのもありがたい。デスクの上にプロジェクターを置いてスクリーンに投影すると、どうしても台形歪みが出てしまうが、その歪みを自動的に感知して補正してくれるので、ユーザー側はいちいち最初に映像を調整する必要がない。電源をオンにし、ホコリ除けにもなっているスライドカバーを開け、後は画面のサイズ合わせとピント合わせを本体上面のレンズレバーで行うだけだ。入力信号も自動的に検出して、投影できるので、特に意識する必要はない。とにかく非常に簡単にセットアップでき、時間を無駄にすることなく投影を開始できるのだ。
さらに「EB-W8」は投影中の排気にまで気を使っている。通常、プロジェクターの排気熱は横方面に排出されるが、「EB-W8」では前面の排気口から熱を逃がすようになっている。このため、プロジェクターのすぐ脇に座る人に排気熱による不快感をかけることがないのだ。こうした部分は、長年プロジェクターを販売し、長年トップシェアを維持してきたエプソンならではの細かい配慮と言えるだろう。
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操作パネルはシンプル。画面の拡大・縮小と、ピント合わせは、左上のレンズレバーだけで行える。中央のボタン類は主にメニュー操作に用いるが、よく使う映像切り替えなどは独立したボタンになっているので使いやすい。なお、これらの操作は付属のリモコンでも行える。さらに、操作パネル、リモコンともに日本語表記なので見やすく、使いやすい。 |
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最後に、シャットダウンからプロジェクターを撤収するまでの時間も、「EB-W8」なら短くて済む。「EB-W8」は使用後のクールダウンを不要とした「ダイレクトシャットダウン」機能を採用しており、投影が終わったら電源ボタンをオフにする必要すらなく、電源コードを抜いて片付けられるという画期的な仕組みを持っている。かなりの熱を発するプロジェクターは、投影後もしばらくはクールダウンしないと持ち運びできないものだが、「EB-W8」に関しては、投影終了後すぐに片付けてしまうことができるように設計されている。外出先でのプレゼンテーションなどでは非常に重宝する機能だろう。
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「EB-W8」のインターフェイス部。一般的なD-Sub端子(アナログRGB)や、ビデオ/Sビデオ入力に加え、HDMI端子(写真右)を搭載しているのがポイント。中央のUSBポートは、エプソン独自の「USBディスプレイ」機能を使ったり、USBメモリーに保存された画像ファイルを再生するのに使用する |
「EB-W8」の便利な点の1つとして、多彩な入力系統を備えていることを忘れてはならない。一般的なパソコンとの接続に用いるD-Sub端子(アナログRGB)や、映像機器との接続に用いるビデオ端子/Sビデオ端子はもちろん、昨今のデジタルAV機器には必須となっているHDMI端子も搭載しており、ブルーレイレコーダー/プレーヤーや、「PS3」などの最新ゲーム機の映像/音声をケーブル1本で接続できる。なお「EB-W8」には小型ながらスピーカーも搭載されているので、本体だけで音声出力も可能となっている。
このほか、エプソンならではのユニークな独自機能として「USBディスプレイ」という機能がある。これは、USBケーブル経由で、パソコンからプロジェクターに映像を送信するという機能だ。もちろん、一般的なパソコンには、USBからの映像出力機能はないので、ドライバーが必要になるが、これも最初にUSB経由でパソコンと接続した際に、自動的にインストールされるので何ら面倒なことはない。USBケーブルは一般的なディスプレイケーブルと比べると細いので持ち運びに便利だし、USBなら長いケーブルもあるので、プロジェクターとパソコンとの距離が離れている場合でも活用できる。外部映像出力を持っていないようなモバイルノートでも使えるなど、いろいろと重宝しそうな機能なのである。なお、USBポートにUSBメモリーを挿して、中に保存された写真データ(JPEG形式)をスライドショーとして表示できる機能も搭載されている。
以上のように、「EB-W8」は低価格のスタンダードモデルという位置づけでありながら、驚くほど多機能で扱いやすく、しかもWXGAという高解像度と2500ルーメンという必要十分以上の高輝度を持ったプロジェクターである。これだけの機能性と高性能を持ちながらも、9万円前後で購入できるというのは、オールラウンドなデータプロジェクターの購入を検討している人にとってはまさに朗報といえるだろう。プロジェクター国内シェア15年連続No.1※のエプソンが作る製品だけに、その品質もしっかりしており質感も非常に高い。ワイド画面で投影できる低価格プロジェクターとしては、間違いなく最有力候補となるべき製品と言っていいだろう。
※'95〜'09年度 プロジェクター国内販売台数 富士キメラ総研調べ
















