PART1 間違いだらけのUPS選び〜UPS基礎知識〜

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予期せぬ停電に備えてしっかりした準備を 無停電電源装置「UPS」の正しい選び方

PART1 間違いだらけのUPS選び〜UPS基礎知識〜

最近急激に注目度が上がっているUPSだが、正しい使い方は意外に知られていない。ここではまず、「そもそもUPSとは何のためのものなのか?」といったUPSの基礎知識から、UPS製品選びのポイントまでを、できるだけやさしく解説する。

そもそもUPSとは何をするためのもの?

UPS接続図

UPSは、商用電源(ACコンセント)とパソコンなどのデジタル製品の間に接続して使用する製品。内部にバッテリーを搭載しており、万が一の停電の際などには瞬時に非常用電源に切り替わる。あくまで非常用であるが、安全にデータを待避させたり、システムのシャットダウンを行う間、安定的に機器を稼働させることができる

UPSの基本的な役割は、突然の停電時などにパソコンやサーバーなどの機器を安全にシャットダウンできるようにするための「非常用電源バックアップ」だ。通常は、電源(コンセント)とパソコンとの間に接続し、万が一電源が切断された場合には、内蔵のバッテリーで機器を一定時間稼働させるための電源を供給。安全にパソコンをシャットダウンし、HDD内部のデータを保護するのが目的となる。そのため、基本的にはパソコン上で動作する自動シャットダウンの管理ソフトとセットで使用することになる。

UPSの仕組みと種類の特徴を教えて?

常時商用方式
常時商用方式図

主にコンシューマー向けUPSで用いられる、もっとも手軽で一般的な方式。AC電源(商用電源)が正常に流れている間は、非常用電源は充電のみを行い、回路自体は使われない。停電などの非常時のみ、バッテリーから電源が供給され、DC/ACコンバーターを通じて、パソコンなどの機器にAC電源を供給する

常時インバーター方式
常時インバーター方式図

サーバールームなどのビジネス用途で用いられる高度な方式。商用電源が正常に流れている間も、UPS内部のインバーターを使用して電源を供給するため、停電などの際にも切り替え時に起こる一瞬の電圧変動などがなく、安定して稼働を続けられる。ただし、正常時の電源ロスは大きめ

ラインインタラクティブ方式
ラインインタラクティブ方式図

「常時商用方式」と「常時インバーター方式」の中間的な方式。基本的な構造は常時商用方式に似ているが、インバーターは常時使用するため、停電時などに電圧変動がおこりにくいのがメリット。製品のサイズや価格的にも、両者の中間に位置する

UPSには大きく分けて「常時商用方式」と「常時インバーター方式」の2種類と、その中間ともいえる「ラインインタラクティブ方式」の3種類がある。いずれも、製品内部にバッテリーとインバーター(バッテリーの直流電源から交流電源を作り出す装置)を搭載しており、非常時にはこちらからの出力に切り換えることで、機器への通電を継続させる。

「常時商用方式」とは、常時、商用電源(AC電源)に接続されている状態で利用するもので、一般的にはコンシューマー向けの小型製品がこれに当たる。「常時商用方式」の場合、通電が行われている間は、内部バッテリー及びインバーターは使わず、電圧低下や過電圧などが起こった際にのみ、電源回路を内部バッテリーおよびインバーターに切り換える。このため、通常時の電源ロスは少ないが、電源の切り替え時には、電圧変動が瞬間的に起こってしまう。

いっぽうの「常時インバーター方式」は、通常の通電時にも、内部バッテリーへの充電と、インバーター駆動を利用する方式。交流電源をいったん直流に変換し、ふたたび交流へと変換しているため、常時商用電源方式に比べ電源ロスは大きいが、停電時にも電源変動がなくそのまま電源を利用できるというメリットがある。どちらかと言えば大型の製品が多く、企業の社内ネットワークやデータセンターなど、大規模のシステムで利用される場合が多い。

なお、この2者の中間的な存在である「ラインインタラクティブ方式」だが、構造自体は「常時商用方式」に似ているが、通常時にもインバーターを使用するため、停電時の電源変動が非常に短い。「ラインインタラクティブ方式」を採用する機器のサイズは他の2方式のほぼ中間で、SOHOなどのサーバー用途などに使われることが多い。

停電など緊急時の電源代わりに使える?

「Smart-UPS 750」の正面パネル

APCの「Smart-UPS 750」の正面パネル。右側に光っている緑色のLEDがバッテリー残量で、その左のオレンジのLEDがバッテリー駆動中であることを示している。製品によってバッテリー容量は異なるが、基本的なUPSの用途はあくまでも緊急用。それほど長時間の稼働はできないので、一般的な非常用電源としては使えないと考えたほうがいい

UPSは、基本的に短時間の電源供給しか行えないので、いわゆる大容量バッテリーや発電機の代わりには使えない。あくまでも、OSのシャットダウンを安全に行う程度の時間(一般的には、数分から数十分)の電源しか供給できないと考えたほうがいい。ただし、オプションの増設バッテリーを接続して長時間給電できる製品もあるので、停電時にもパソコンやサーバーを一定時間稼働させたい場合は、そうしたUPS製品を選んだほうがよい。なお、基本的にUPSはバッテリー稼動時にアラーム音が鳴るので、長時間の電源確保のために使用する際は、アラーム音を消す方法を知っておきたい。

家電製品にも使える?

「正弦波」、「矩形波」の波形イメージ

上が「正弦波」、下が「矩形波」の波形イメージ。一般的な家電製品は正弦波による電源供給を前提にしているが、常時商用電源方式のUPSは、矩形波でしか出力できないことが多い。矩形波はデジタル機器の電源としては有効だが、正弦波を利用する家電製品では利用することはできない

UPSは、パソコンの電源用に設計されているので、一般的な家電製品の利用には向いていない。特にコンシューマー向けの「常時商用方式」のUPS製品は、ほとんどパソコンなどデジタル機器向けの「矩形波」でしか電源が出力されないため(一部正弦波出力のものもある)、力率改善された電源を使用した機器を接続すると故障することがある。また、大電力を使用する熱器具や、負荷が変化するモーター機器(扇風機など)では使うことができない。ただし、使い方として推奨されていないものの、ラジオや携帯電話の充電など少量の電力であれば緊急用にも使えなくはない。

UPSは停電時だけしか役に立たないの?

雷サージ図解

ほとんどのUPS製品には「雷サージ防止」という機能が搭載されている。これは、雷による高電圧の電気信号が、電話回線などを伝って家庭内の回線に入り込み、一瞬の過電圧(サージ)を引き起こすことで、パソコンやデジタル製品の内部が破損するのを防ぐものだ

UPSの基本的な役割は「非常用電源」だが、一般的に、通常の電源供給時でも、電源自体を安定化する機能を持ち合わせている。たとえば急激な電圧低下や過電圧が起こった場合にも、電圧を一定に保ち、接続されている機器へのダメージを少なくできる。パソコンなどの精密機器の場合、電圧低下や過電圧によって内部のパーツが故障することもあるが、UPSはこうしたリスクも同時に減らしてくれる。また、夏の時期に多く起こる、落雷などによる「サージ(過電圧)」から機器を守る機能が搭載された製品も多い。

発電機につないで使うことは可能?

コンシューマー向けの「常時商用方式」のUPSの場合、基本的には発電機をつないで使うことはできない。また、その他の方式の製品でも、発電機からの電力供給時にUPS自体を起動させる「コールドスタート」を行うことができないものがあるので注意が必要だ。

製品寿命はあるの?

内部バッテリー

UPS製品は、内部にバッテリーを搭載しているが、充電放電を繰り返すバッテリーには使用寿命があるため、一定期間を過ぎたら、バッテリーを交換するか製品自体を買い替える必要がある。ふだんそれほど使う機会がない製品だけに忘れてしまいがちだが、万が一に備えて、バッテリー寿命が減っていないか確認するようにしたい

UPSにはバッテリーが内蔵されており、そのバッテリーに寿命がある。常に充電・放電を繰り返しているため、ずっと使用しているとバッテリーが劣化してくる。このため、UPSを導入したのはいいが、いざというときにバッテリーが充電されておらず、きちんと作動しなかったというケースも。また、停電が何度も繰り返されるような場合は、バッテリーの寿命も短くなる。製品によっても異なるが、3〜5年など一定年数を超えたら、製品あるいは内蔵バッテリーを交換するのが基本だ。一度買ったら永遠に使えるものではない。

電源容量はどれくらいのものを選べばいいの?

デスクトップパソコン1台+液晶ディスプレイ+α程度のシステム

写真のような、デスクトップパソコン1台+液晶ディスプレイ+α程度のシステムであれば、電源容量は350Wくらいでたりるため、UPSの電源容量も500VA程度のものを選んでおけば問題ない。ちなみに、電源容量750VAの「APC Smart-UPS 750」を使った場合、このシステムを45分以上稼働させることができた

詳しくは次ページで解説するが、一般的なコンシューマーが使う、デスクトップパソコン1台+周辺機器程度であれば、電源容量500-750VA程度の「常時商用方式」のもので問題ない。かなりハイパワーのパソコンやサーバー向け、あるいは複数台のパソコンに接続するのであれば、1000VAを超えるような電源容量の大きな製品を選んだほうがいいだろう。このレベルになると、「ラインインタラクティブ方式」の製品も視野に入ってくる。また、停電時にもある程度の時間、パソコンやサーバーを稼働させておきたいのであれば、増設バッテリーに対応したタイプを選択したほうがいいだろう。

PART2では、APCのUPSラインアップをベースに、用途別に最適なAPS製品を紹介する。

すぐれた性能と安定性を誇るUPS 「APC Smart-UPS 750」(SUA750JB)の最新価格・クチコミをチェック!
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