121点オールクロス像面位相差AF搭載
AF/AE追従最高18コマ/秒の高速連写で一瞬を逃さない

「動体撮影ならデジタル一眼レフ」と考える人は、きっと多いことだろう。しかし、2016年12月に発売されるオリンパスの「OM-D E-M1 Mark II」は、そんな既成概念を覆す1台となっている。同シリーズのフラッグシップモデル「OM-D E-M1」の後継機種として、「AF性能」と、「高速連写性能」が飛躍的な進化を遂げ、撮影領域が広がっている。その注目ポイントをひとつずつ見ていこう。

2016年12月発売の「OM-D E-M1 Mark II」。ボディは「OLYMPUS OM-D」シリーズならではの高級感あるデザインを継承しながら、よりホールド性の高い大型グリップを装備した。本体サイズは134.1(幅)×90.9(高さ)×68.9(奥行)mm、重量は約574g(CIPA準拠、充電池およびメモリーカード含む)。フィルムカメラのようなボディデザインも魅力的だ
デジタル一眼レフカメラの上位機種にも匹敵する倍率1.48倍(35mm判換算で0.74倍)の高精細電子ビューファインダー(EVF)を採用。液晶モニターは約104万画素でタッチ操作対応の3.0型2軸稼動式(バリアングル)となっている
上面にはクラシカルなデザインのモードダイヤルや、リアダイヤル、フロントダイヤル、シャッターボタンなどを装備する。各種ダイヤルにはしっかりとした操作感があり、回すとカチカチと心地よい音がする
メニュー画面の設定や撮影時の設定、AFポイントの移動などは、背面にある十字キーで操作する。「OK」ボタンを囲む十字キーは親指によくなじむ感触で、スピーディーな操作が可能だ

まずは、「OM-D E-M1 Mark II」の最大の進化ポイントである、AF性能と高速連写機能の高さから確認していこう。AFシステムは、像面位相差AFとコントラストAFをカメラが最適に選択する「DUAL FAST AF」を前モデルから踏襲しているが、そのAF速度が飛躍的に速くなっている。また、新たに開発された121点オールクロス像面位相差AFセンサーを搭載したことで、被写体の捕捉性能が大幅に向上。特に動体への追従性が格段に高まった。さらに、像面位相差AFとコントラストAFを併用できるので、大口径の単焦点レンズを開放にしたときなど、被写界深度が浅くシビアなピント合わせが求められるシーンでも、素早く高精度なAFが可能になっている。

121点オールクロス像面位相差センサーの測距イメージ。AF測距点のカバーエリアが拡大。121の測距点すべてをクロスさせることができ、動きの速い被写体でも確実に追従できるようになった

では、実際に撮影した場合に、どれほどAF性能の進化を実感できるだろうか。今回は、タテ・ヨコ方向へ動く被写体と、前から向かってくる被写体について、どれだけ的確に追従できるのかをチェックすべく、被写体に鳥と電車を選択。作例を用いてその実力をチェックしていこう。

超望遠レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を装着し、AF方式をコンティニュアスAF(C-AF)に設定して撮影。空を飛び回るトンビは動きが予測しづらいが、電子ビューファインダーの中で被写体をとらえると、瞬時にAFが反応し、ピントを合わせ続けてくれた。装着したレンズの焦点距離は35mm判換算で600mm相当の超望遠域となるが、レンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正を組み合わせた「5軸シンクロ手ぶれ補正」により、超望遠域でも手持ちでブレずに撮影できた 1/800秒、F5、ISO200、AUTO、+0.7EV、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を装着したまま、AF方式をコンティニュアスAF(C-AF)に設定して撮影。奥から手前に近づいてくる電車でも、AFが的確に追従し、ピントを合わせ続けてくれた。実際に撮影してみて、ストレスのないAF性能を備えていることが確認できた 1/400秒、F4、ISO250、AUTO、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

次に、動体撮影に欠かせない高速連写性能をチェック。高速連写は、コンティニュアスAFならAF/AE追従で、RAW画像でも最高18コマ/秒の撮影が可能だ(電子シャッター時)。さらにシングルAF(S-AF)では、なんとRAW画像で60コマ/秒の超高速連写を実現(電子シャッター時)している。高速連写時は、一度ピントが合うと、そのままスムーズに被写体を追従してくれる。再生画面で確認してみても、すべてのコマにピントがきており、ここでもAF性能の高さを実感した。電子ビューファインダーで見る被写体の動きはなめらかで、ブラックアウト時間が大幅に短縮されているため、ファインダー撮影も違和感なく行えた。高速連写性能と電子ビューファインダーの視認性のいずれも、デジタル一眼レフカメラの上級機を凌駕するレベルにあり、とても使いやすい。

「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を装着してAF方式をコンティニュアスAF(C-AF)に設定して撮影。一度、AFポイントを被写体に合わせると、スムーズに被写体にピントを合わせ続けてくれた。EVFはブラックアウトのストレスがなく、視認性は光学ファインダーにも劣らない印象だ。連写時のファインダー像もばっちりと視認でき、動く被写体をしっかりと追えた 1/800秒、F5、ISO200、AUTO、+0.7EV、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を装着すれば、かなり離れた場所からでも、画面いっぱいにトンビを写すことができた。ボディが小型・軽量のため、超望遠レンズを装着しても手持ちでフットワークよく撮影できるのは魅力的。デジタル一眼レフカメラで同じ焦点距離のレンズを装着した場合、このように軽快に撮影することは難しい
倍率1.48倍の電子ビューファインダーは、最高フレームレート120fps、最短表示タイムラグ5msecの高速表示を実現。被写体の動きにほとんど遅延がなく、なめらかに見えるので、一瞬のシャッターチャンスを逃しにくい

レンズとの組み合わせで最大6.5段の手ブレ補正
小型・軽量&防塵・防滴で機動力抜群!

ボディ内5軸手ブレ補正機構を搭載した「OM-D E-M1 Mark II」は、レンズ内手ブレ補正機構搭載のレンズを組み合わせることで「5軸シンクロ手ブレ補正」が利用できる。新発売の高倍率標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」との組み合わせでは、なんと最大6.5段分もの手ブレ補正効果を発揮する。そのため、夜景なども手持ちでブレを抑えた撮影が可能だ。また、超望遠レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」装着時も最大6段分の手ブレ補正効果が得られるので、三脚を使わなくても機動的に撮影が行える。「M.ZUIKO」レンズとの組み合わせでシステム全体の軽量化が図れるのも大きな魅力だ。

「OM-D E-M1 Mark II」はあらゆる種類の手ブレを補正してくれる最新のボディ内5軸手ブレ補正を搭載。アルゴリズムの進化により補正精度がさらに向上している。また、グリップを大型化したことでホールド感が高まっており、より手ブレしにくくなった

「5軸シンクロ手ブレ補正」の効果を検証するため、手持ちで夜景を撮影してみた。本来、夜景撮影時は光量が少ないのでシャッター速度が遅くなり、三脚が欠かせないが、高倍率標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」を装着すれば、シャッター速度換算で最大6.5段分の手ブレ補正効果が得られるので、夜景でも三脚なしで手ブレの少ない写真を残せるようになっている。

高倍率標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」を装着すれば、シャッター速度換算で最大6.5段分の手ブレ補正効果が得られる。作例はフェンスに両肘をついた姿勢で撮影。シャッター速度が1/2秒、焦点距離は62mm(35mm判換算)だったが、再生画面で確認しても、ブレていないことに驚いた。手ブレ補正を有効に活用すれば、三脚を持ち歩かなくても、手持ちでさまざまなシーンの撮影が可能になる 62mm(35mm判換算)、1/2秒、F4、ISO1000、電球、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

さらに、ボディ構造やインターフェイス、バッテリーなどの進化点も見逃せない。ボディは防塵・防滴・-10℃耐低温設計をさらに追求。アウトドアをはじめとする過酷な撮影シーンでも、安心して撮影することができる。また、インターフェイスには、プロカメラマンからの要望も多かったダブルスロットを採用。2枚のSDメモリーカードを同時に使用することで、撮影時のバックアップやカードごとの振り分け記録ができる。さらに、新開発のリチウムイオン電池「BLH-1」を採用したことで、バッテリー容量が約37%増加。新型のリチウムイオン充電器「BCH-1」により、充電時間は従来比で約50%短縮されている。

各部にシーリングが施された防塵・防滴・耐低温(-10℃)設計により、雨天や降雪時など天候を問わずに撮影ができるようになった。どのような環境でも安心して撮影できるという信頼性も、フラッグシップモデルに求められる大きな条件のひとつである
「OM-D E-M1 Mark II」はダブルスロットを新たに採用し、2枚のSDメモリーカードを装着可能。スロットは上下配列になっており、カードも取り出しやすい
新開発のリチウムイオン充電池「BLH-1」は大容量化され、撮影可能枚数が増えた。また、新型の充電器「BCH-1」により、充電時間が従来比50%短縮され、液晶モニター上にバッテリーの残量が表示されるようにもなっている

高速画像処理エンジン「TruePic VIII」による高画質
動画専用の手ブレ補正で4K動画の手持ち撮影も安心!

最後に、肝心の画質についても検証しよう。「OM-D E-M1 Mark II」は、有効画素数2037万画素Live MOSセンサーと、新開発の高速画像処理エンジン「TruePic VIII」を搭載。これらの組み合わせにより、階調豊かな写真が撮影でき、プロユースに応える高画質を実現している。面積がひと回り大きいAPS-Cサイズのイメージセンサーに匹敵する広いダイナミックレンジが、明暗差の激しいシーンでも滑らかに再現。イメージセンサー上にあるシールガラス両面に施された反射防止膜(ARコート)によって、フレアやゴーストも軽減されている。実際に夕暮れを撮影した写真を見てみると、空のグラデーションが滑らかに再現され、高画質化したことがはっきりとわかった。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II
Live MOSセンサー(左)は前モデル「OM-D E-M1」の有効1605万画素から同2037万画素に画素数がアップし、「OM-D E-M1」に比べ約3倍の転送スピードを実現。高速画像処理エンジン「True Pic VIII」(右)は、4CPUコア+4画像処理コアのダブルクアッドコアシステム構成により、「OM-D E-M1」に搭載されている「True Pic VII」に比べて約3.5倍の高速画像処理速度を実現している。これらの組み合わせにより、高速化と高画質化が両立されているのだ
夕暮れのシーンを撮影。複雑な空のグラデーションも肉眼で見た色と変わらないほど見事に再現された。イメージセンサーの画素数アップと新開発の画像処理エンジンにより、自然で高品位な描写と高い解像感が得られ、画質の面でもプロユースに応えるクオリティとなっている 48mm(35mm判換算)、1/40秒、F4、ISO200、日陰、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

ISO感度は、常用で上限がISO6400(ISO AUTO時)となり、下限はISO64相当まで減感できるようになった。晴天下のポートレート撮影やスタジオ撮影、明るいレンズの開放値での撮影時など、ISO感度をなるべく低くして撮影したい状況でも、便利に活用できる。

日中、被写体深度を深くしつつ、低速シャッターでブレを表現した。ISO感度を低く設定したい撮影シーンでISO64は重宝する 36mm(35mm判換算)、1/3秒、F22、ISO64、AUTO、電球、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

「OM-D E-M1 Mark II」は、高画質を生かした4K動画撮影も楽しめる。強力な5軸手ブレ補正に、動画専用の電子手ブレ補正を組み合わせることで、4K動画でも手ブレを抑えた撮影が可能。フルハイビジョンの4倍の解像感を持つ4K動画はブレの影響を受けやすく、動画専用の三脚などのアクセサリーを併用するのが一般的だったが、「OM-D E-M1 Mark II」なら手持ちでもブレの少ない映像が記録できる。また、液晶モニターはバリアングルとなっており、使い勝手がよい。

4K動画を再生してみると、画質のクオリティの高さに圧倒された。5軸手ブレ補正と電子手ブレ補正により、手持ちで高精細な動画撮影ができるので、撮影シーンが広がることだろう
液晶モニターを見やすい角度に調整し、手持ちで撮影。映画制作などの本格的な映像にも利用できるデジタルシネマ規格4K(4096×2160)に対応しており、ハイクオリティな動画撮影が可能だ

まと

今まで、動体撮影にはデジタル一眼レフというイメージが強かったのだが、「OM-D E-M1 Mark II」を使ってみて、これまでの考えが大きく覆された。動く被写体へのピントの追従性の高さや、ブラックアウトのない電子ファインダーの視認性のよさ、高速連写時のAF性能の的確さなど、デジタル一眼レフカメラの上級機を凌駕するほどのハイレベルな性能が確認できた。

さらに、ボディ内5軸手ブレ補正が、ミラーレス一眼カメラならではの小型・軽量さのメリットを際立たせてくれる。35mm判換算で600mmの焦点距離をカバーする超望遠レンズを装着しても、手持ちでさまざまな撮影シーンに対応できるのは便利だ。画質についても、有効画素数2037万画素Live MOSセンサーと、新開発の高速画像処理エンジン「TruePic VIII」の組み合わせが、ひと回り大きなイメージセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラなどと比べてもそん色ない高画質を実現していた。実際に手にしてみれば、本機がいかにミラーレス一眼カメラの既成概念を覆すような1台に仕上がっているかが、おわかりいただけることだろう。