ソニーのワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM3」徹底レビュー

価格.com「オーバーヘッドヘッドホン」カテゴリーの売れ筋/注目ランキングの双方で1位(2018年8月9日時点)に支持されているソニーのワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM2」。その性能をさらにブラッシュアップさせた注目の後継モデル「WH-1000XM3」が、2018年10月に発売された。本モデルは、新開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」を搭載し、従来よりも強力なノイズキャンセリング性能を実現するとともに、ヘッドホンとしての音質や装着性も向上している。ここでは、オーディオライター・山本敦氏によるレポートを交えながら、そんな「WH-1000XM3」の実力をチェックした。

ソニー「WH-1000XM3」

オーディオライター・山本敦氏

オーディオ・ビジュアル誌のWeb編集・記者職を経て、フリーランスのオーディオライターとして活動。ハイレゾやワイヤレス、音楽配信、スマホなどポータブルオーディオの最先端を取材するほか、製品レビューなども数多く手がける。海外の展示会取材やメーカー開発者インタビューなども多数行っている。

ノイキャン性能圧倒的なノイキャン性能!どんな場所でもクリアでいい音

ソニー「WH-1000XM3」

2018年10月に発売されたソニーの最新ワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM3」。カラーバリエーションにはブラックとプラチナシルバーの2色が用意される

「WH-1000XM3」の最大の特徴は、何と言っても圧倒的なノイズキャンセリング性能を実現したことだ。ソニーでは、従来からノイズキャンセリング技術の開発に力を入れており、1995年には、ソニーとして初のノイズキャンセリングヘッドホン「MDR-NC10」「MDR-NC20」を発売。また、業界最高クラス(※発売当時)のノイズキャンセリング性能を備えた「MDR-1000X」(2016年発売)や「WH-1000XM2」(2017年発売)などで、業界をリードしてきたとも言える。

そんなソニーの最新モデル「WH-1000XM3」では、従来の4倍の処理性能を実現した新開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」を搭載することで、ソニー史上最高かつ業界最高クラス(※1)のノイズキャンセリング性能を実現。自動車や電車が発する低域ノイズだけでなく、人の声などの中高域ノイズもより強力に除去できるようになった。

ソニー「WH-1000XM3」

「WH-1000XM3」に搭載された「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」は、前モデル「WH-1000XM2」に搭載されていたノイズキャンセリングプロセッサーと比べて4倍の処理性能を実現。これにより、従来から定評のあったノイズキャンセリング性能がさらに向上した

ソニー「WH-1000XM3」

ノイズキャンセリングを最適化する「パーソナルNCオプティマイザー」は従来モデルから引き続き搭載。ハウジング内部にさまざまな音域のテストトーンを流し、その反射などを解析することで、頭の形や眼鏡使用の有無など、使う人の個人差を検出してノイズキャンセリングの効果を自動的に調節する

ソニー「WH-1000XM3」

従来モデルと同様、ヘッドホンの外側と内側に配置した2つのマイクで騒音データを集音し、ノイズを打ち消す「デジタルデュアルノイズセンサーテクノロジー」も搭載

オーディオライター・山本敦氏がチェック「周囲の騒音が打ち消され、心地よく音楽に没頭できた」

ソニー「WH-1000XM3」

まずは、駅のホームや電車の中で「WH-1000XM3」のノイズキャンセリング性能をチェックしてもらった

それでは、オーディオライター・山本敦氏によるレポートを交えながら、「WH-1000XM3」のノイズキャンセリング性能をチェックしていこう。まずは、気になる騒音のひとつである電車の走行音をどれだけ打ち消せるかを確かめるため、駅のホームで音楽を試聴してもらった。

「WH-1000XM3」のノイズキャンセリング性能の高さには、素直に驚かされました。ノイズキャンセリング機能をオンにしたところ、走行する電車が発する低域ノイズが消えて、音楽がクリアに聴こえるようになったのです。また、ノイズキャンセリングの効き方も実に自然で、ノイズキャンセリング機能使用時に発生しやすいホワイトノイズも気になりません。周囲の騒音が打ち消された結果、心地よく音楽に没頭することができました。

いっぽうで、ノイズキャンセリング性能が高まるほど、外音が聞こえづらくなるので、安全面に不安を感じる人もいるだろう。しかし、「WH-1000XM3」なら、「アンビエントサウンドモード」と呼ばれる外音取り込み機能を搭載しているので、必要な周囲の音や人の声だけを聞き取ることも可能だ。

「アンビエントサウンドモード」は、ハウジングに搭載したマイクで周囲の必要な音だけを取り込む機能です。本体のNC/AMBIENTボタンでも「アンビエントサウンドモード」に変更できますが、さらにスマートフォン専用アプリ「Sony|Headphones Connect」を用いると、「ノーマル」と「ボイス」の2つのモードを切り換えることが可能。「ノーマル」では音楽を楽しみながら、周囲の音を自然に取り込むことができ、もうひとつの「ボイス」は、周囲の騒音を抑えつつ、人の声だけをピックアップしてくれるもので、電車の車内アナウンスなども聞くことができます。電車の中で「ボイス」を試してみましたが、電車の走行ノイズは打ち消しつつ、車内アナウンスの音声は聞き取ることができました。

ソニー「WH-1000XM3」

続いて、カフェで「WH-1000XM3」のノイズキャンセリング性能をチェックしてもらった

次に足を運んだのは、都内のカフェ。ビジネスマンで大いににぎわう環境は、「WH-1000XM3」の実力を試せる絶好のチャンスだ。ここでは、山本氏に、人の声などの中高域ノイズをどれだけ打ち消せるかを重点的に確かめてもらった。

「WH-1000XM3」は、シリーズの従来モデル「MDR-1000X」や「WH-1000XM2」と比べて、人の声や雑踏のざわめきなど、中高域ノイズのキャンセリング性能にさらに磨きがかかっています。実際、しゃべり声などのノイズが打ち消されることで、快適な静けさが得られ、さほど大きくない音量でも周囲を気にすることなく作業に没頭したり、好きな音楽を楽しんだりすることができました。

音質ワイヤレスでもハイレゾ相当※2の高音質サウンドが楽しめる

※2 ハイレゾコンテンツをLDACコーデックで最大転送速度990kbpsで伝送する場合。また、DSEE HX ON時にCDやMP3などの圧縮音源をSBC/AACのコーデックでBluetooth再生する際、最大96kHz/24bitまで拡張(LDAC/Qualcomm(R)aptX(TM)audio/Qualcomm(R)aptX(TM)HD audioによるBluetooth接続時や有線接続時は無効)。

「WH-1000XM3」では、ワイヤレスヘッドホンとしての純粋な音質も高められている。その高音質のカギを握るのも、新搭載された「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」だ。従来は外付けだったDACとパワーアンプを同プロセッサーに内蔵したことで、S/N比が向上するとともに、音の歪みが低減され、より原音に忠実なサウンドが楽しめるようになった。

また、「WH-1000XM3」は、従来モデルと同様、ソニー独自の高音質コーデック「LDAC」に対応。本コーデックに対応したスマートフォンやオーディオプレーヤーとの接続であれば、最高96kHz/24bitのサンプリング周波数/ビット数を維持したまま音声信号を伝送できる。つまり、Bluetooth経由でもハイレゾ相当の高音質で音楽を再生できるのだ。

ソニー「WH-1000XM3」

ソニーが開発した高音質コーデック「LDAC」は、対応したスマートフォンなどとの接続であれば、最高96kHz/24bitの音楽データを伝送できる。なお、「LDAC」ほど高音質ではないものの、広く普及している高音質コーデック「aptX」や「AAC」にも対応する

さらに、従来モデルでも定評のあった、ソニーのアップスケーリング技術「DSEE HX」にも対応している。これは、音楽圧縮時やマスタリング時に欠損した高域を補間しつつ、サンプリング周波数とビット数をハイレゾ相当の情報量までアップスケーリングしてくれる技術。使用しているスマートフォンやオーディオプレーヤーが「LDAC」に対応していない場合でも、ハイレゾ相当の音質にアップスケーリングして楽しめるのがうれしい。

ソニー「WH-1000XM3」

CD音源やMP3ファイルなど、ハイレゾでない音源をハイレゾ相当まで高音質化してくれるのが、ソニーのアップスケーリング技術「DSEE HX」だ。再生帯域が広がるだけでなく、音の質感もアップするため、より高品質なサウンドが楽しめる

オーディオライター・山本敦氏がチェック「歌い手との距離が近くなったような、高い臨場感が得られた」

ソニー「WH-1000XM3」

ワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM3」と、ソニーのスマートフォン「Xperia XZ1」を、「LDAC」で接続。その音質を、山本氏にチェックしてもらった

ここからは、山本氏によるサウンドチェックを交えながら、「WH-1000XM3」の音質に迫っていこう。今回は、マイケル・ジャクソンのアルバム「Off The Wall」から「Rock With You」、東京スカパラダイスオーケストラのアルバム「Paradise Has No Border」から「Believer」の2つのハイレゾ音源を試聴してもらった。

マイケル・ジャクソンの「Rock With You」は冒頭からハイレゾ音源ならではの解像感のあるビートが炸裂して、一気に気持ちが高まりました。また、Bluetooth再生では、高域の再現性が落ちてしまいがちですが、「WH-1000XM3」は高音質コーデック「LDAC」の効果によって、高域もクリアで伸びやかに響かせてくれます。従来モデルと比べても、さらに歌い手との距離が近くなったような、高い臨場感が得られました。

いっぽう、スカパラの「Believer」では、異なる楽器の音色がていねいに描き分けられていました。バンドサウンドのスピード感がよく再現されているのはもちろん、ベースなどの低域も力強く響かせてくれます。また、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」の効果か、音量を上げても音の歪みはまったく気になりませんでした。もちろん、周囲の騒音を打ち消す圧倒的なノイズキャンセリング性能も、「WH-1000XM3」の高音質を支えている要因のひとつだと思います。

装着性装着性も大幅アップ!長時間の音楽リスニングも快適

ここからは、「WH-1000XM3」の装着性をチェックしていこう。本モデルは、従来モデルからさらなる軽量化(275g→255g)を図るとともに、イヤーパッドの素材や構造を一新。低反撥ウレタン素材を採用し、耳への接地面積を20%増加させることで、圧力を分散させ、長時間のリスニングでも快適な装着性を実現した。

ソニー「WH-1000XM3」

従来モデルよりも約20g軽くなった、約255gの軽量ボディを実現。長時間の装着でも、頭や首への負担が少なくなった

ソニー「WH-1000XM3」

イヤーパッドには適度な反発力がある低反撥ウレタン素材を採用。また、イヤーカップ内の空間を従来よりも広くすることで、装着時の快適性を高めている

ソニー「WH-1000XM3」 ソニー「WH-1000XM3」

「WH-1000XM3」(写真左)は、前モデル「WH-1000XM2」(写真右)と比べてヘッドバンドのカーブが少しゆるやかになっている。これにより、装着時に頭とヘッドバンドの間の隙間ができづらくなっているという

オーディオライター・山本敦氏がチェック「多くの人が、装着した瞬間にその快適さを実感できるはず」

ソニー「WH-1000XM3」

「WH-1000XM3」を装着したところ、想像以上に軽く、イヤーパッドが耳にピッタリとフィットしました。ソニーでは、イヤーパッドだけでも100パターン近くのデモを作り、実際に試しながら、どれが頭部への負担が少ないかをていねいに検証していったとのこと。この結果、長時間のリスニングにも耐えられる快適な装着性を実現したわけです。おそらく、多くの人が、装着した瞬間にその快適さを実感できるはずです。

また、イヤーカップ内の空間が広く取られているのも好印象です。私自身そうですが、耳が大きいと、ヘッドホンを装着したときに耳が圧迫されているように感じることがあります。その点、「WH-1000XM3」は、装着時の耳の周りの空間に余裕があるため、非常に快適。着けていることを忘れる感覚で、音楽を楽しめました。

使い勝手約10分間の充電で約5時間使える※3クイック充電など、実用的な機能も満載

※3 1.5AのACアダプター使用時。

最後は、「WH-1000XM3」に搭載された機能面をチェックしていこう。まず注目したいのが、約10分間の充電で約5時間(※3)の再生が可能な急速充電機能「クイック充電」に対応したことだ。出勤前などにバッテリー切れに気付いた場合でも、通勤時に音楽を聴くには十分な充電を短時間で行えるので安心。また、左ハウジングの下部には高性能な通話用マイクが搭載されており、スマートフォンで音楽を聴いている最中に電話がかかってきても、すぐにハンズフリー通話に移行できるのも便利だ。

さらに、スマートフォン用の操作アプリ「Sony | Headphones Connect」を使えば、音質を自分好みに調節できるほか、使用している人の行動に応じて、自動的にノイズキャンセリング機能のモードを切り換えることもできる。このほか、「WH-1000XM3」では、アプリ上で設定することにより、Bluetooth接続が切れた場合でも、ノイズキャンセリング機能を使用できるようになった。音楽を聴いていないときでも、周囲の騒音をシャットアウトして作業に集中できるので、ぜひ試してみてほしい。

ソニー「WH-1000XM3」

「WH-1000XM3」は、最大約30時間の連続再生が可能(※ノイズキャンセリング機能使用時)で、約3時間(※3)でのフル充電に対応する。充電用のUSB Type-Cポートは、右ハウジング下部に装備されており、約10分間の充電で約5時間(※3)の再生が可能な「クイック充電」に対応する

ソニー「WH-1000XM3」 ソニー「WH-1000XM3」

ソニーの操作アプリ「Sony | Headphones Connect」には、音響効果を設定する「サラウンド」モードや、5バンドのイコライザーを調節する「イコライザー」モードなどが用意されており、音質を自分好みに調節できる

ソニー「WH-1000XM3」 ソニー「WH-1000XM3」 ソニー「WH-1000XM3」

「アダプティブサウンドコントロール」も便利な機能のひとつ。ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーを使って、止まっている/歩いている/走っている/乗り物に乗っているの4パターンの行動を感知。ユーザーの行動に合わせて、ノイズキャンセリング機能のモードを自動で切り換えてくれる

ソニー「WH-1000XM3」

「Sony | Headphones Connect」では、Bluetooth接続が切れた際の動作も設定可能。電源の切り忘れを防止したい場合は、「時間経過でオフにする」を選択後、オフにするまでの時間を設定すればOK。「オフにしない」を選択すれば、ノイズキャンセリング機能だけを維持できる

まとめ全方位で高い完成度を備えたワイヤレスヘッドホンの大本命

以上、オーディオライター・山本敦氏のレポートを交えながら、ソニーの最新ワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM3」の実力を検証してきた。進化したノイズキャンセリング性能や音質、装着性などを体感した山本氏は、「従来モデルの完成度も極めて高かったが、最新モデルはあらゆる点でそれを上回る仕上がりになっていた」と太鼓判を押していた。このコメントからもうかがい知れる通り、本モデルは、価格.com最安価格42,751円(2018年9月18日)という価格に見合う性能や品質を備えた製品と言える。今後、ワイヤレスヘッドホンの大本命モデルとなっていきそうな、ソニー渾身の最新モデル「WH-1000XM3」の魅力をぜひ多くの人に体感してもらいたい。