追求したのは“音質”オーディオテクニカが放つ完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」速攻レビュー

オーディオプレーヤーやスマートフォンと接続するケーブルも、イヤホンの左右ユニットをつなぐケーブルもない、抜群の手軽さを実現した「完全ワイヤレスイヤホン」が今、イヤホン市場を席巻している。この市場に、日本のヘッドホンメーカーの雄であるオーディオテクニカがついに参入。ここでは、市場参入モデルとなった「ATH-CKR7TW」の音響テクノロジーを解説するとともに、その音質や装着感、使い勝手をいち早くレビューする。

製品コンセプトついに登場! オーディオテクニカ初の完全ワイヤレスイヤホン

イヤホン端子を廃止した「iPhone 7」が火付け役となり、ここ数年で急速に普及が進んだBluetooth接続のワイヤレスイヤホン。その魅力は、ケーブルをオーディオプレーヤーやスマートフォンと接続しなくて済む手軽さや取り回しのよさにあるが、こうした長所を最大限にまで高めたのが、左右のユニットをつなぐケーブルをも取り除いた左右独立型のワイヤレスイヤホン、いわゆる「完全ワイヤレスイヤホン」だ。

完全ワイヤレスイヤホンは、これまでにないほど身軽で、快適なリスニングスタイルを実現してくれるため、価格.comの「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーにおける注目ランキングでは、上位10位以内に5モデルが、20位以内に9モデルがランクインするほどの人気ぶり(2018年10月1日時点)。家電量販店も完全ワイヤレスイヤホン専用の販売スペースや相談カウンターを設けるなど、イヤホン市場において今非常にホットなジャンルとなっている。

とはいえ、データを圧縮して転送するBluetoothをワイヤレス接続に利用するため、音質面での制約が大きく、製品によって音質にばらつきがあるのも事実。そこで注目したいのが、オーディオテクニカから発売された完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」である。使い勝手や接続性ばかりが語られることの多い完全ワイヤレスイヤホンにおいて、本機は「音質」を追求。オーディオテクニカが誇る音響テクノロジーとノウハウを惜しみなく投入することで、「とことん音にこだわった」製品に仕上がっているというのだ。

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

2018年11月に発売されたオーディオテクニカ初の完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」。「原音再生」を掲げる「Sound Reality Series」のひとつとして登場したところに、音質を追求した本機のキャラクターが如実に現れている

音響技術ワンランク上の音質へ。専用DAC&ヘッドホンアンプを採用

メーカーみずから「音質に自信がある」と語るだけあって、「ATH-CKR7TW」の音響テクノロジーにはとにかく見どころが多い。まず注目したいのが、ドライバーだ。現在市場に並ぶ多くの完全ワイヤレスイヤホンがφ6mm程度のドライバーを採用する中、「ATH-CKR7TW」は、φ11mmという大型のダイナミックドライバーを採用している。ドライバーはサイズが大きければ大きいほど音がいいという単純なものではないが、大きい分だけ空気を大きく動かすことができ、迫力と厚みのあるサウンドを奏でることができる。

また、このドライバーのポイントはサイズだけでなく、振動板に、ダイヤモンドと黒鉛のほぼ中間の硬さを持つDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングを採用した点にもある。このコーティングによって剛性を高め、高域特性を向上させたうえに、真鍮スタビライザーを搭載することで、振動板の運動を最適制御。また、ユニットの土台となるヨークには、不純物の少ない純鉄を採用して磁気を効率的に振動板に伝達することで、クリアでキレのあるサウンドを実現しているという。

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

搭載するドライバーは、完全ワイヤレスイヤホンとしては大型のφ11mm。再生周波数帯域は5〜45,000Hzとなる。音導管の開口部に見えるのは、ステンレス製アコースティックレジスターで、自然な音場感を生み出すことに寄与している

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

DLCコーティングを施した振動板や、振動板の動きを最適化する真鍮スタビライザー、効率よく磁気を伝える純鉄ヨークなど、本機が搭載するドライバーには、オーディオテクニカが誇る音響テクノロジーが数多く盛り込まれている

また、アナログ部の音響エリアと、デジタル部の電気エリアを分割することで、音響エリアへの電気的な影響を低減させる「デュアルレイヤー・テクノロジー」を採用している点にも注目したい。ハウジング内の限られたスペースにBluetooth用のチップやバッテリーを搭載する完全ワイヤレスイヤホンは原理上、ドライバーが電気的な影響を受けやすく、このことが音質低下を招きやすいが、「ATH-CKR7TW」はハウジング内のエリアを物理的に2つに分割することで、その影響を最小限に抑えているわけだ。もちろん、電気エリアを密閉すればするほどBluetoothの電波が不安定になりやすいはずだが、そこは百戦錬磨のオーディオテクニカ。積み重ねたノウハウと卓越した技術によって、安定したワイヤレス接続を可能にしているという。

また、Hi-FiグレードのAKM社製32bitDAC&ヘッドホンアンプ「AK4375」の搭載も特筆すべきポイントだろう。一般的な完全ワイヤレスイヤホンではBluetoothのチップ内に備えられた汎用的なDACやヘッドホンアンプを使用するのが普通だが、「ATH-CKR7TW」は低歪でS/N比にすぐれたDACとヘッドホンアンプを採用しているのだ。専用チップを搭載すれば、バッテリーの持ちが短くなるはずだし、筐体サイズも大きくなってしまうはず。それでも「AK4375」の搭載にこだわったのは、イヤホンの本分である「音質」に妥協を許さないオーディオテクニカの“英断”と言うべきではないだろうか。

なお、「ATH-CKR7TW」が対応するBluetoothのバージョンは5.0。プロファイルはA2DP/AVRCP/HFP/HSP。コーデックは一般的なSBCに加え、高音質コーデックであるAACやapt-Xにも対応する。

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

ハウジング内を「音響エリア」と「電気エリア」に分割することで、電気的な影響を抑え、高い解像度を実現する「デュアルレイヤー・テクノロジー」を採用。Hi-Fiグレードのサウンドを実現するべく、「電気エリア」に32bitDAC&ヘッドホンアンプ「AK4375」を搭載したのもポイントだ

「ATH-CKR7TW」の音質をチェック!

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

音質へのこだわりは充実のスペックからも十分に伝わってきたが、そこはやはり論より証拠。apt-X対応プレーヤーを使って早速試聴してみた

最初にチョイスしたのは、クラシックの交響曲。音源を圧縮して転送する完全ワイヤレスイヤホンにとって、音数が多い交響曲は苦手ジャンルのひとつと言えるが、AKM社製32bit DAC&ヘッドホンアンプ「AK4375」の恩恵だろうか、音の分離感がよく、ステージが大きく広がり、定位感も申し分ない。解像感やS/N比の高さも十分合格点に達しており、“Hi-Fiサウンド”らしい静寂感も感じられた。続いてポップスのライブ音源を試聴してみたが、観客の歓声まで生々しく再現され、まるでライブ会場にいるかのような臨場感だった。女性ボーカルの声も通りよく響き、伸びのあるビブラートを楽しむことができた。

また、印象的だったのがロックだ。φ11mmという大型のダイナミックドライバーを使用しているためか、音に厚みがあり、鳴りっぷりがいい。それでいて反応がよく、キレのあるビートが印象的に感じられたのは、DLCコーティングや真鍮スタビライザーの効果だろう。ジャズに関しても、バスドラムやウッドベースが気持ちよく鳴るが、特に圧巻だったのがアルトサックスの音。目の前の空間にパッと音が現れ、スーッと消えていく。音の立ち上がりがよく、クリアだからこそ成せるサウンドだ。「原音再生」を目指したという「ATH-CKR7TW」だけあって、どんなジャンルでもバランスよく聴かせてくれた。

装着感「3Dループサポート」で安定した装着感を実現

確かに音質は大事だが、手軽さがウリの完全ワイヤレスイヤホン市場で勝負を挑む以上、スタイリッシュなデザインや、ストレスのない装着感、そして使い勝手のよさは欠くことのできない必須要件と言える。その点「ATH-CKR7TW」は、マットな仕上げのシンプルデザインで、カジュアルからフォーマルまで合わせるファッションを選ばない。もちろんシンプルなだけではなく、ハウジングの外周にはメタリックリングがあしらわれ、ワンポイントでモダンな雰囲気を醸しているのが好印象だ。

マット仕上げの落ち着いたボディは完全ワイヤレスイヤホンとしては大きめだが、タテに耳に収まるので装着時の見た目はスッキリ。なお、本体の重さは左右ともに約9gと、見た目に対して軽量で、装着感は軽快だった

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

カラーバリエーションは「ブラック」と「グレー」の2色展開。どちらも、カジュアルからフォーマルまで、さまざまなファッションに合わせやすいシックな印象のボディだ

4サイズ(XS/S/M/L)のイヤーチップに加え、本体に装着して耳へのフィット感を高める「3Dループサポート」を同梱。耳にしっかりと装着できるように配慮されている

「3Dループサポート」を取り付けると、この部分が耳介に入り込んで本体を支えてくれるので、ズレたり、落ちたりしづらく、より安定した装着が行える。実際に装着してみると、密閉性が高く、音漏れも少ない印象だった

気になるバッテリー持続時間については、大型のリチウムイオンバッテリーを搭載することで、完全ワイヤレスイヤホンとしては長めの約6時間の連続再生を実現。付属の充電ケースを併用すれば、最長で約15時間の再生が可能だ。バッテリー持続時間の短さが弱点に指摘されることの多い完全ワイヤレスイヤホンだが、これなら安心感が高いだろう。

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

バッテリーを内蔵した充電ケースにイヤホンを収納すると、本体が充電される仕組み。なお、本体バッテリーの連続再生時間は約6時間、専用ケースのバッテリーは本体を1.5回分フル充電できる容量となるので、本体と充電ケースをフル充電の状態で持ち出せば、最長約15時間の使用が可能だ

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

充電ケースには3段階のLEDインジケーターが搭載されている。イヤホンが入ったままボタンを1回押すと充電ケースの残量が青色で、もう1回押すと本体の残量が白色で表示される。充電ケースと本体のバッテリー残量をそれぞれ確認できるのが便利だ

オーディオテクニカ「ATH-CKR7TW」

左右それぞれのハウジングに物理ボタンを配置。右ハウジング(写真左)の操作ボタンで再生や一時停止、曲送り/曲戻しなどが、左ハウジング(写真右)の操作ボタンで音量調節が行える。また、右ハウジングはマイクを搭載しており、スマートフォンでのハンズフリー通話も可能だ

スマートフォン専用アプリ「Connect」

オーディオテクニカのスマートフォン専用アプリ「Connect」(Android/iOS対応)に対応しており、楽曲の再生/停止や音量調節、Bluetoothコーデックの切り替えなどの操作がアプリ上でも行える。最後にBluetoothペアリングした場所を地図上に表示してくれる機能も搭載しているので、万が一紛失した時でも捜索の手がかりがつかめる

IPX5グレードの防水性能を備えた完全ワイヤレスイヤホン「ATH-SPORT7TW」

オーディオテクニカ「ATH-SPORT7TW」

同時に発売された、スポーツ向け完全ワイヤレスイヤホン「ATH-SPORT7TW」も紹介しておこう。本機は、水で洗えるIPX5※グレードの防水性能を備えるうえ、スポーツ中に汗をかき、濡れた手でも操作が行える「タッチコントロール機能」や、周囲の音を確認できる「ヒアスルー機能」を搭載したモデル。音楽とともにエクササイズを行いたいときなどの使用に適しているだろう。

また、スポーツ向けモデルとして装着性も高められており、フィンを耳介に引っかけることでフィット感を高める独自設計の「イヤフィン」(XS/S/M/L)を同梱。さらに、汗ガード機能付きのComplyイヤーピースが付属するのもうれしいところだ。なお、本機が搭載するドライバーは、小型ながら迫力のサウンドを実現するφ5.8mmダイナミックドライバー。本体バッテリーはフル充電で約3.5時間、充電ケースとの併用で最長約17.5時間の再生が可能。スポーツを行いながら音楽を楽しみたい人は、この「ATH-SPORT7TW」に注目してもらいたい。 ※JIS/IEC保護等級、IPX5相当。水道やシャワーなどで水洗いできます。完全防水ではありません。

まとめ音質にこだわりたい人向けの完全ワイヤレスイヤホン

オーディオテクニカ初の完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」は、大手ヘッドホンメーカーの製品としては後発での登場となるが、ここまで発売を見送ってきたのは「音質を重視したい」という、同社のこだわりがあったからである。トレンドにいち早く乗ることを優先し、「それなりの音」で製品を発売するのは簡単かもしれないが、オーディオテクニカが選んだのは、設定した音質の基準を満たすまでじっくりと時間をかけて開発することだった。

今回、そうして生まれた「ATH-CKR7TW」を使用してみたが、そのハイクオリティなサウンドを確認することができたし、デザイン性や装着感、使い勝手についても日本のヘッドホンメーカーの雄が作ったモデルらしい確かな仕上がりになっていると感じた。「完全ワイヤレスイヤホンは手軽だけど、音がいまいち」。そんな固定概念を覆す「ATH-CKR7TW」の登場によって、完全ワイヤレスイヤホン市場はさらに盛り上がりを見せるに違いない。