使い勝手もデザインも、走りも安全性も妥協しない コンパクトカー ダイハツ 新「ブーン」徹底チェック!

ダイハツが軽自動車作りで培ってきた技術やノウハウが詰まったコンパクトカー、ダイハツ「ブーン」。そんな「ブーン」に、2018年10月、マイナーチェンジが施された。今回のマイナーチェンジでは、基準車の「ブーン」と、スタイリッシュなルックスの「ブーン シルク」の内外装が刷新されたほか、OEM提供しているトヨタ「パッソ」にはない“ダイハツオリジナル”グレードとして、丸みのある専用エクステリアデザインを採用した「ブーン スタイル」を新設定。3モデルすべてにダイハツの衝突回避支援システム「スマートアシストV」が採用され(一部グレードを除く)、より安全・安心なクルマに仕上がっている。ここでは、そんな「ブーン」の進化ポイントをはじめ、その魅力を改めてチェックしてみよう。

新型登場バランスにすぐれたコンパクトカー「ブーン」がマイナーチェンジ

日常の足として使いやすいスマートなコンパクトカー。ダイハツ「ブーン」のキャラクターをひと言で表せば、こうなるだろうか。「ブーン」は、長年、軽自動車市場で「大きく使える小さなクルマ」を作り続けてきたダイハツが、その知見を最大限に生かして生み出したコンパクトカーだ。

これまでは、基準車となる「ブーン」と、内外装の質感をアップさせた「ブーン シルク」の2モデル展開だったが、2018年10月のマイナーチェンジで、丸みのある専用エクステリアデザインを採用した「ブーン スタイル」が新たにラインアップに加わった。元々、コンパクトカーは世代や性別を問わず受け入れられる間口の広さが魅力だが、3モデル展開となったことで、より多くの人が「最適な1台」を選べるようになったのだ。

基準車の「ブーン」とスタイリッシュなルックスの「ブーン シルク」。そこに愛くるしい専用デザインを採用した「ブーン スタイル」が加わり、個性の異なる3モデル展開となった

免許を取得して初めてクルマを買う人や、単身者、子離れ世代の夫婦、シニア層など、コンパクトカーを求める人はさまざまだ。それだけに、スタイリングはもちろん、運転のしやすさや乗り心地、経済性や安全性など、求められる要素も多岐にわたる。つまり、コンパクトカーの善し悪しは、これらの要素がバランスよく盛り込まれているかどうかで決まると言える。

そんなことを念頭に置いて「ブーン」の運転席ドアを開いてみたが、開口部が広く非常に乗り込みやすい印象。SUVのように車高が高すぎることもなく、スポーツセダンのように低すぎることもなく、スッとシートに着座することができた。あたり前のことかも知れないが、スカートを履いた女性や、シニア層には重要なことだ。運転しやすいコンパクトボディにもかかわらず足元や頭上に十分な空間が確保されているだけでなく、横幅にもかなりゆとりがある。このあたりは軽自動車との大きな違いと言えるだろう。

また、フロントシートにはベンチシートが採用されており、運転席・助手席間の移動がラクに行えるのも使い勝手が考慮されたポイント。狭い駐車スペースにクルマを停めて、助手席側から降りなければならないときでも、これならラクだ。また、大人5人が無理なく乗車できるのも、いざという時にはありがたい。シートの質感や、後席の座り心地もよいので、友人などを乗せるときなどは、ちょっと自慢げな気分にひたれる。

ダイハツ 新「ブーン」

床面が低く、ドアの開口部が広いため、身長175cmのスタッフでも、身をかがめる姿勢をとらなくてもスッと乗り込めた。コンパクトなボディながら、窮屈感はない

ダイハツ 新「ブーン」

前席にはアームレスト付きのベンチシートを採用。足元のスペースにはゆとりがあり、運転席・助手席ともサイドサポートがしっかりしており、バックシートの高さも十分で座り心地は申し分ない

ダイハツ 新「ブーン」

後席にスタッフ3人が乗車してみた。最近のクルマは外観を重視するため、ルーフ後方の傾斜がキツく、後席に座ると天井に頭がぶつかってしまうものもあるが、「ブーン」の後席の頭上にはかなりのゆとりがある。足元にも余裕があるうえ、ガラスエリアが広くとってあるので開放感も十分だ

ダイハツ 新「ブーン」

シートの質感も高い。試乗した「ブーン シルク」にはオプションのレザー調×ファブリックシートが装備されており、高級感とおしゃれさが同居した雰囲気が演出されていた

「ブーン」の走りをレビュー

「ブーン」の走りの印象をひと言で表すならば、「スムーズ」となる。市街地では信号待ちからのストップ&ゴーを繰り返すことになるが、信号が青になったからといってアクセルを強く踏み込む必要はない。ブレーキから足を離し、アクセルペダルを少し踏み込むだけで、スーッと加速していく。周りのクルマの流れに置かれることなく、肩の力を抜いて走っていけるのだ。60km/hあたりまでの加速は実になめらかで、「がんばってます」といった甲高いエンジン音を感じることもない。

また、道幅の狭い生活道路に入ると、コンパクトなボディサイズの恩恵をすぐに感じられる。運転席からは前方の見切りがよく、車幅をつかみやすいため、タイトな右左折でもあわてることなく、リラックスして走行できた。

さらに、日常生活の足として使われる機会の多いコンパクトカーの場合、燃費も大いに気になるところだが、「ブーン」は、ガソリン仕様の普通乗用車ではトップレベルとなるJC08モード燃費28.0km/L(2WD)という低燃費性能を実現している。今回のレビューでは一般道約100km、高速道路約200kmの合計約300kmを走行。レビュー後の給油量は13.0Lだったので、満タン法での実燃費は約23.0km/Lという結果だった。燃費を気にするユーザーでも、これなら十分に納得できるはずだ。

ダイハツ 新「ブーン」

運転席からは、前方視界だけでなく、左右・後方の視界も非常に良好。周囲を確認するために身を乗り出す必要もなく、リラックスした姿勢で運転できた

ダイハツ 新「ブーン」

市街地での走りは、あらゆるシーンにおいてスムーズ。信号待ちからの加速でもパワー不足を感じることはなく、しっかりと流れに乗って走っていける。コンパクトなボディのため、初めて走る道幅の狭い生活道路でもスイスイと運転でき、気分は軽快そのもの

ダイハツ 新「ブーン」

搭載されるエンジンは1.0リッターのガソリンエンジンで、車重910kg(2WD車)の「ブーン」にとっては十分なパワーを備えている。高速道路への合流でも、力んでアクセルを踏まずにスムーズに入っていけた。週末は遠出したい人も満足できるだろう

スマアシV搭載安全・安心を支える心強い装備が満載

今回のマイナーチェンジにより、「ブーン」には、ダイハツの衝突回避支援システム「スマートアシストV」(以下、スマアシV)が新たに搭載された(一部グレードを除く)。これは、(1)「衝突警報機能(対車両・対歩行者)/衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)」、(2)「車線逸脱警報機能」、(3)「誤発進抑制制御機能(前方・後方)」、(4)「先行車発進お知らせ機能」、(5)「オートハイビーム」の5つの機能により、安全運転をサポートしてくれるシステムだ。

こうした安全機能はいざという時の「転ばぬ先の杖」のような存在であり、実感が乏しいという人もいるだろう。しかし、自分の運転を振り返ってみると、実は「いざという時」は意外と身近にあるのがわかる。たとえば、運転中のスマートフォンの使用は厳禁だが、メールやメッセージの着信音がしたら気になってしまうこともあるだろう。ほんの一瞬、集中力が途切れたところで赤信号に気づかなかったら……。「衝突警報機能」や「衝突回避支援ブレーキ機能」は、そんな万が一のシーンへの備えになるはずだ。

また、最近はシニアドライバーを中心に「アクセルとブレーキの踏み間違い」が原因の事故も増えている。事故には至らなくても、ペダルを踏み間違えそうになり、ヒヤッとした経験がある人もいるだろう。「誤発進抑制制御機能」があれば、そうした場合の備えになる。家族を乗せる、子どもの送り迎えに使う。「ブーン」をそういったシーンで利用することも多いはずで、進化した「スマアシV」の搭載は間違いなく朗報だと言えるだろう。

ダイハツ 新「ブーン」

フロントウインドウ上部に備えられたステレオカメラと、車体前後部のセンサーを使って安全運転をサポートする「スマアシV」。先行車や歩行者、障害物などをとらえて、注意喚起や、緊急ブレーキ作動などを行う、「いざという時」の頼もしい味方だ

パノラマモニターもあると便利

今回のレビューに参加した複数のスタッフが声を揃えて「使えるね」と語っていたのが、オプション装備の「パノラマモニター」。これは車両の前後左右に搭載されたカメラ映像を合成し、運転席から死角になりやすい助手席側の映像や、真上から俯瞰したような映像をカーナビ画面に表示してくれる機能だ。

駐車が苦手な人は、車両後部を映し出すバックモニターがあると、モニターだけを見て運転してしまうため、左右のクルマとの位置関係がつかめず、何度も切り返すことになりがち。その点「パノラマモニター」があれば、真上から俯瞰したような映像が確認できるため、左右のクルマとの間隔、白線に対してクルマがどんな位置にあるかをひと目で把握できる。目視と「パノラマモニター」の映像を確認しながらハンドルを操作すれば、スペースの中央にピタッと駐車できるはず。さらに、真上からだけでなく、走行しながら車両左右の映像を表示することも可能で、狭い道でのすれ違いでも安心して運転できる。運転に自信のないドライバーこそ、ぜひ活用したい装備だ。

真上から俯瞰したような映像で自車を映し出す「パノラマモニター」を活用すれば、バックでの駐車もスムーズ

住宅街の細街路などでは、道路脇の電信柱や、対向車とのすれ違いにストレスを感じてしまうもの。「パノラマモニター」で、左右にどれだけの余裕があるのかが確認できれば、そんなときでもスイスイ進める

ダイハツ 新「ブーン」

「ブーン」には、衝撃吸収性能の向上や強固なキャビンを実現した衝突安全ボディ「TAF」や、前方から強い衝撃を受けた際、障害を軽減する「デュアルSRSエアバッグ」が全車標準装備されている。その結果、JNCAPの新・安全性能総合評価において、最高ランクの「ファイブスター賞」を獲得。家族や大切な人を守るという意味でも、安全性は購入の重要なチェックポイントだ

3モデルの特徴「ブーン」の内外装や使い勝手をチェック

最後に、「ブーン」の内外装や使い勝手をチェックしていこう。基準車となる「ブーン」の場合、丸みのある親しみやすいデザインをキープしながら、マイナーチェンジによってフロントマスクに若干の変更が加えられている。フロントグリルの上部をシルバー塗装とすることで、上質感がプラスされているのだ。試乗車のボディカラーは「ダークエメラルドマイカ」。落ち着いた色調のボディだと、新たに加えられたシルバー塗装がよく映える。

「ブーン」のボディサイズは3,650(全長)×1,665(全幅)×1,525(全高)mm。フロントグリル上部の水平ラインをシルバー塗装とすることで引き締まった印象に。リヤは質感の高いメタリックブラック塗装のクォーターパネルを新採用した

いっぽう、「ブーン シルク」には、外周をシルバー塗装した大型のフロントグリルを採用。前後バンパー左右に採用されたL字型ベゼルによって、より存在感が感じられるエクステリアデザインへと進化した。また、ややレトロ感のある丸目の「Bi-Angle LED ヘッドランプ」や、シルバー塗装されたドアアウターハンドル、メタリックブラック塗装のリヤクォーターパネルなど、主張するところと、控えめながら品のよさを感じさせる意匠のバランスがとれている印象だ。

試乗車のボディカラーは「ブーン シルク」専用のツートーンカラーで、ルーフが「ブラックマイカメタリック」、ボディが「ブリリアントカッパークリスタルマイカ」のコーディネイト。ボディが暖色系のかわいらしい雰囲気のカラーでありながら、ルーフをブラックにすることで大人っぽい落ち着いた雰囲気を漂わせている。都会的な街並みに映えるカラーリングと言えるだろう。なお、ツートーンは7色、モノトーンは11色の合計18色のカラーバリエーションが用意されており、色で選ぶ楽しみを味わえるのも「ブーン シルク」の魅力である。

「ブーン シルク」は外周をシルバー塗装で囲う大型フロントグリルや、バンパー左右のL字型ベゼルを採用し、スタイリッシュかつ安定感のあるスタイリングとなっている

ダイハツ 新「ブーン」

豊富なカラーバリエーションが「ブーン シルク」の魅力のひとつ。モノトーン11色、ツートーン7色、合計18色もの選択肢が用意されている

基準車の「ブーン」も、「ブーン シルク」も、ドアを開けると外観から想像した以上の広々とした空間に驚くが、それは視覚的に広さを感じさせるシンプルなインテリアデザインによるところが大きい。それでいて各パーツに採用された素材の質感は高く、水平基調のダッシュボーやシフトノブ横に集約されたエアコンの操作ボタンなど、品のよさと使い勝手を両立させた提案が随所に見られる。なお、「ブーン シルク」は、エアコン吹き出し口やシートにカッパー色のアクセントが加えられており、エクステリアだけでなくインテリアでも個性の違いが明確になっている。

ダイハツ 新「ブーン」

操作ボタンやスイッチ類を極力少なくし、使いやすくシンプルにまとめた「ブーン」のインパネ周り。ダッシュボード表面をシボ加工とすることで質感を高めている

「ブーン シルク」のインパネ周りは、エアコンの吹き出し口、オーディオパネルの外周に、ボディカラーに合わせたカッパー色の加飾が施されており、ポップで明るいイメージだ

また、普段使いで活躍する機会の多いコンパクトカーだからこそ、細かなところまでチェックしておきたいのが使い勝手。子どもの飲み物やおやつ、財布やショッピングバッグなど、車内にはいろいろな物を持ち込む状況が考えられるため、「小さいからこれだけ」ではなく、「小さいけどこんなに」と思えるような収納力が求められる。

そうした視点で「ブーン」を見ると、小物入れを始めとした気の利いた収納スペースが車内の至るところに用意されている。これは、「大きく使える小さなクルマ」を作り続けてきたダイハツならではの得意技とも言える部分だろう。

引き出し式のカップホルダーなどの定番装備はもちろん、手帳や本などを置いておけるインパネアッパーボックスをはじめ、手さげバッグやショッピングバッグがかけられるショッピングフック、靴などを収納できる助手席シートアンダートレイなど、車内のあちこちに小物が収納しやすい工夫がなされている

リヤシートは6:4の分割可倒式で、長尺物の積載にも対応。ラゲッジスペースはコンパクトカーとして必要十分な容量が確保されている

“大人かわいい”
特別な1台「ブーン スタイル」

今回のマイナーチェンジで新たに設定された「ブーン スタイル」は、OEM供給しているトヨタ「パッソ」にはない“ダイハツオリジナルグレード”となる。大きな特徴は、内外装ともに丸みを強調したキュートなデザインにある。全体を通してやわらかく、フェミニンな印象で統一しているので、女性にウケがよさそうだ。

今回レビューしたモデルのボディカラーは、そんな女性にピッタリの「ホワイト×ジューシーピンクメタリック」で、これは「ブーン スタイル」のみの専用ツートーンカラー。いかにも愛くるしい印象だが、乗車の際に必ず手がふれるドアアウターハンドルにはシルバー塗装が施されるほか、ドアミラーにはホワイト加飾が採用されるなど、ワンポイントのアクセントが取り入れられており、遊び心が感じられる。また、ドアを開けるとインパネ周りのシルバー&マゼンダの加飾が目に飛び込んでくる。見ているだけでウキウキ、ワクワクしてくる「ブーン スタイル」。街中でも注目を浴びること間違いなし、である。

フロントグリル上部やフォグランプのベゼルにはホワイト加飾を採用した「ブーン スタイル」専用デザイン。試乗車はルーフもホワイトのツートーンカラーで、エクステリアのあちこちから遊び心が感じられる

インテリアはマゼンタの装飾が取り入れられたおしゃれな雰囲気。専用のシート表皮は、インパネのカラーリングと合わせ、ホワイトを基調にグレージュとマゼンタをアクセントカラーに取り入れた3色のスエード調となっている。ポップで明るいのはもちろん、質感も十分だ

まとめデキのよさが実感できるバランスのよいコンパクトカー

免許を取得して初めてクルマを買う人や、単身者、子離れ世代の夫婦、シニア層など、さまざまな人から選ばれるコンパクトカーは、「我慢しない」「ストレスを感じない」バランスのよさが重要だ。そういった視点で今回「ブーン」のレビューを行ったが、基準車の「ブーン」をはじめ、「ブーン シルク」も「ブーン スタイル」も、いずれも優等生的なバランスのよさを感じることができた。ただし、優等生と言っても「マジメでつまらない」わけではない。3モデルそれぞれに個性があり、おしゃれさがあり、遊び心がある。それでいて、運転のしやすさや乗り心地、経済性や安全性などはしっかりと確保されているのだ。また、最廉価グレード「ブーン X 2WD」なら、車両本体価格は1,177,200円(税込)からという購入しやすい価格も「ブーン」の特徴のひとつ。コストパフォーマンスにすぐれた、デキのいいコンパクトカーを探しているなら、「ブーン」を検討しない手はないと強く感じた。