日本ビクターが2011年2月に発売した「GS-TD1」は、2眼タイプの3D対応ビデオカメラだ。レンズからセンサーまでの光学系を2系統搭載するため、一般的なビデオカメラに比べて大型であるものの、実際に触ってみると「意外に普通に使えるビデオカメラ」という印象である。コンシューマー向けモデルでは初の2眼3Dムービーということで、使用前はさぞかし使い勝手が違うのだろうと思っていた。だが、撮ってみると今までのビデオカメラとほぼ同じ撮影スタイルで使えてしまった。
もちろん今までのムービーと異なる部分もある。まず、2眼レンズが左右に2つ並んでいるので、手にするとやや大型に感じてしまう(※)。お母さんが子どもを撮るために使うには、ちょっと大きすぎるかもしれない。レンズが2つあることで、前方が重く、ホールドするとバランスがとりにくいのも難点だ。液晶は裸眼3D表示にするとやや暗くなってしまう。ズーム倍率が5倍と比較的低い(2Dビデオカメラは10倍以上が一般的)ことも挙げられる。
(※)本機は大型ではあるが、ソニーの3D対応ビデオカメラ「HDR-TD10」に比べると縦方向がスリムで、比較的ホールドしやすい。
細かい部分で気になる箇所はあるものの、液晶を開くと電源オンになる操作スタイルは同社の2Dムービーと同じで、操作ボタンやGUI(操作インターフェース)もほぼ同じ。フルオートのほかマニュアル操作も可能で、総じて見ると今までの2Dムービーと比べて大きな違和感がない。ビデオカメラに慣れた人なら、難なく使いこなせるだろう。
ちょっと拍子抜けしてしまったのだが、実はこの“普通に使える”というのが大きなポイントなのである。
「GS-TD1の開発に際して、ムービーが2Dから3Dになったら、いままでできていたことができなくなってしまうのでは意味がないと考えました。3D撮影を実現しつつ、今までのビデオカメラと同じスタイルで使えるムービーを目指しました」(日本ビクターの開発担当者)
家電がデジタル化してかえって不便になった、という例は残念ながら少なくない。そうした意味で、ビクター開発陣のポリシーはとても正当だと思う。
![Everio GS-TD1-B [ブラック]](https://img1.kakaku.k-img.com/images/productimage/l/K0000217622.jpg)