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電力自由化の海外事例(イギリス)〜電力自由化で電気代が高くなる?〜

電力自由化

電気代値下がりが期待される電力自由化が、実は値上がりの可能性も?

いち早く電力事業の分割民営化を行い、発送電分離を実施したイギリス。電力事業に市場の競争原理を導入し電力自由化しようという動きが世界的に顕著となったのは、イギリスの影響が大きいといわれています。しかし、各家庭の電気代は、電力自由化以降はむしろ値上がりしています。電力自由化の先駆けとなったイギリスで何が起こったのかを検証してみましょう。

電力自由化の経緯と目的

もともとイギリスでは国営の中央電力公社が発送電を独占的に行っていました。しかし、1979年にサッチャー政権が誕生すると、市場原理を導入し国営企業の民営化を推進していきます。中でも電力自由化は、“英国病”といわれていた当時の不況から脱する経済政策の柱としても期待されていました。

1990年に中央電力公社は、3つの発電会社と1社の送電会社に分割民営化、12の地区にあった配電局も地域配電会社に民営化され、さらに50社程度の新規参入会社がありました。小売市場の自由化は大口需要家から徐々に進み、1999年には小口需要家(家庭)向けにも電力自由化が導入されています。

導入当初は、発電した電力を強制的にプール市場(卸売市場)に集め、それを販売していくという「強制プール制」が採用されましたが、大手企業が市場操作を容易に行えるなど公正な市場とはいえず、価格も下がりませんでした。そのため「強制プール制」は廃止され、2002年より競争的・効率的な取引ができるNETAという新電力取引制度に移行、2005年にはさらにBETTAという制度へと発展していきます。

また、発電事業者の顔ぶれも電力自由化を開始した当初とは大きく様変わりし、現在はイギリス以外にドイツやフランス、スペインの会社を加えた6社が95%程度のシェアを持ち、しのぎを削っています。

先例から日本が学ぶべき教訓

イギリスでは、1990年の電力自由化開始以来採用されてきた「強制プール制」がうまく機能せず、電気料金は高止まり傾向でした。ただし、逆にそのことが企業の新規参入を促し競争条件の整備につながったということもあり、新電力取引制度のNETA の導入が発表された1998年から2002年までに電気の卸売価格は40%下落し、電力自由化による成果とされています。

しかし、2004年頃からは卸売価格の上昇とともに小売価格も上昇傾向にあり、2004年と比較すると現在の電気料金は約2倍になっています。電気料金の内訳は国によって大きく異なり、イギリスの場合は発電に関わるコストの比率がおよそ3分の2程度と高くなっています。

そのため、発電に関わる燃料費の変動の影響を大きく受けます。価格上昇の理由としては、燃料として使われる比率の高い天然ガスの高騰があげられますが、他にも、利益を追求するあまりインフラなど大型の新規投資が遅れて供給能力が低下したり、二酸化炭素削減目標達成や再生可能エネルギー導入による発電コストなどのいわゆる「環境コスト」の増加も見逃せません。

こうした状況を受けて、電力自由化について様々な議論がありますが、イギリスでは、改革を進めなければさらに価格は上がってしまうという危機感があり、新たな電力市場改革を進めようとしています。日本においても、こうしたイギリスの教訓を活かし、しっかりした制度設計に基づく電力自由化を行っていくことが求められています。

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