投資信託を活用したポートフォリオの作り方とは?

ホーム > 投資・資産運用 > 投資信託比較 > 投資信託を活用したポートフォリオの作り方とは?
これから始める方に、投資信託入門ガイド

投資信託を活用したポートフォリオの作り方とは?

更新日 : 2017年2月22日

初心者でも手軽に資産運用できるとして人気の投資信託。お金を増やすための金融商品だからこそ、つい値動きのよさで選んでしまいがちです。
しかし、一番大切なのは「どのようなタイプの投資信託に、どのぐらい投資するか」という「ポートフォリオ」の考え方です。長期間にわたり安定した運用成果が得られるよう、ここでは、正しいポートフォリオの作り方についてアドバイスします。

ポートフォリオって何だろう?

投資信託の世界でのポートフォリオとは、目標とするリターンや許容できる値動きの大きさなどを踏まえ、株式ファンドや債券ファンドなど、複数の投資信託を組み合わせて運用することを指します。

たとえば「5年先の定年退職後の生活資金にしよう」と考えた場合、どういう運用をすればよいでしょうか。すべて値動きが大きい株式ファンドで運用してしまうと、値動き次第では資産価値が大きく目減りし、生活が苦しくなるおそれがあります。

一方で、高いリスクを取って高いリターンを目指したい若い投資家が、投資資産のすべてを値動きの小さい国内債券ファンドで運用したとしても、期待する利益は得られません。こうしたポートフォリオは、適切とはいえません。

目標に合わせてさまざまな資産に投資し、ポートフォリオを作ることを「アセットアロケーション」といいます。リターンの9割は、最初に決めたアセットアロケーションが決定する、といわれるほどです。いかに自分に合った資産配分をし、適切なポートフォリオを作るかが重要です。

それでは、初心者はどんなポートフォリオを作ればよいのか、具体的に見ていきましょう。

初心者が参考にするポートフォリオとは?

初心者にすすめたいのは、130兆円もの年金資金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のポートフォリオを参考にすることです。2016年12月時点でのGPIFの基本ポートフォリオは、運用資産に占める各資産の割合が「国内株式25%」「国内債券35%」「外国株式25%」「外国債券15%」となっています。

GPIFは、長期にわたり安定して年金を給付し続けるため、目標とするリターンをできるだけ抑制されたリスクで達成できるよう、資産を配分しています。何に投資してよいかわからない、という初心者は、まずはGPIFの基本ポートフォリオにならって投資信託を購入してはいかがでしょうか。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオ

GPIFにならってポートフォリオを組むと、どのぐらいのリターンが得られるのでしょうか。1995〜2015年の株式と債券の値動きをもとに検証したところ、得られたリターンは年5.0%程度で、期待リターンからの変動幅を示すリスクは年9.2%との結果となりました。
このリスクとは、95%くらいの確率でおおよそ2倍の変動幅(年18.4%)に収まるというイメージです。

注)ポートフォリオのリターンは、国内株式は東証株価指数(配当込み)、外国株式はMSCIコクサイ(円換算、ヘッジなし、配当込み)、国内債券はNOMURAボンド・パフォーマンス・インデックス総合、外国債券はシティグループ世界国債インデックス(日本を除く、円換算、ヘッジなし)で過去20年の値動きをもとに計算

この20年における各資産のリスクは国内株式が17.9%、外国株式が19.3%、国内債券が2.4%、外国債券が10.6%となりました。GPIFは運用資産の半分をリスクが高い株式に投資しつつ、国内債券を多く組み込むことでリスクを抑え、安定して運用できるようポートフォリオを組んでいる、といえます。

「運用資産が1年で10%も下落する可能性があるのはこわいな」「もっとリスクを大きく取ってリターンを増やしたいな」など、今の年齢や運用する資産の規模、目的などによって、最適なポートフォリオはそれぞれ違ってきます。

GPIFよりもリスクを抑えて運用したいときは、株式の比率を下げ、債券の比率を引き上げるとよいでしょう。
たとえば、株式の比率を50%から30%に下げて、「国内株式15%」「外国株式15%」「国内債券49%」「外国債券21%」というポートフォリオを作る場合を考えてみましょう。
同様に、過去20年のデータで計算すると、リターンが年4.4%に低下したものの、リスクも年6.4%まで下がり、より安定した運用が期待できます。

一方で、積極的にリスクを取って運用したい場合は、株式の比率を引き上げましょう。
株式の比率を50%から70%に引き上げて、「国内株式35%」「外国株式35%」「国内債券21%」「外国債券9%」というポートフォリオで運用したとすれば、年12.1%のリスクがある代わりに、年5.6%という高いリターンが実現できたことになります。

リスクに応じたポートフォリオ例

このほか、米国では「100-今の年齢=株式に配分する上限(%)」という考え方が、簡単なポートフォリオの考え方として広く伝わっています。今の年齢が30歳であれば、70%ほどは株式で運用してもよい、ということです。

社会人になって間もない20〜30歳代など若年層の場合、今後数十年にわたって安定した給与収入が見込めます。多少の値下がりがあったとしても、取り戻せる時間もあるため、生活に支障がない程度に、果敢にリスクを取ってもよいという考え方です。

値動きが大きい外国株式の割合を大きく引き上げ、ポートフォリオを「国内株式20%」「外国株式60%」「国内債券10%」「外国債券10%」とした場合、1年で15%ほどの大きな値動きになるリスクはありますが、8%近いリターンが達成できたという計算になります。

ただし、これは過去20年間の外国株式のパフォーマンスがよかったことも反映しているため、今後の日本企業の高い成長を見込んでいるのであれば、また違ったポートフォリオとなってきます。このように、GPIFの基本ポートフォリオなどを参考にしつつ、慣れてくれば、今後の見通しを反映させながらポートフォリオを構築していくとよいでしょう。

住宅ローンや子どもの学費などの支出が多い一方、退職後の生活設計も考えなければいけない40〜50歳代の場合は、よりリスクを抑えた運用を心掛けましょう。株式に偏った運用で万が一大きく値下がりしてしまうと、急な出費が必要なときに余裕資金が十分でなかったり、退職後の生活資金にゆとりがなくなったりしてしまうためです。

退職後の資産運用など、10年に満たないような運用期間を想定している場合には、さらにリスクを抑えたポートフォリオを組むことになります。債券中心の運用であれば、「国内株式5%」「外国株式5%」「国内債券60%」「外国債券30%」といったポートフォリオを作ることで、リスクは年5%未満まで抑えられた計算になります。

国内債券がマイナス金利となっていれば、最低金利が0.05%(年率、2016年12月現在)に設定されている個人向け国債や、為替ヘッジ付きの外国債券ファンドで代替することで、同じくポートフォリオを安定させることができるでしょう。

こうしたポートフォリオの作り方は、あくまで一例です。過去の値動きをもとに計算したため、将来のリターンを約束するものでもありません。状況によっては、債券の値動きが想定以上に大きくなることもあります。その時々の投資環境を踏まえつつ、自分に合ったポートフォリオを作りましょう。

主な資産クラスのファンドの一例(価格.com調べ)

資産クラス ファンド名
国内株式型
外国株式型
国内債券型
外国債券型

投資信託の運用は「長期投資」を前提に複利のメリットを存分に生かそう

投資信託は、中長期で資産を形成するための金融商品です。株やFX(外国為替証拠金取引)のように、短期間でお金を一気に増やすことを目指すものではありません。
投資信託を保有している間は、そのファンドの中で利益の出ている銘柄を売却しても課税は繰り延べられるのが一般的で、運用期間が長いほど、複利効果のメリットが出てきます。
複利効果とは運用で得た収益や配当金・利息などを再び投資に回すことで、その部分もまた収益を生み出すという効果です。

このように、投資信託は長期保有でより効果を発揮する特徴があるため、時間を味方にして、毎月コツコツと投資できれば、株やFXのように大きなリスクを取らなくても十分なリターンが見込めます。
「数%程度のリターンじゃもうからないな」と思わず、長期投資を前提に、投資信託を活用した運用をスタートさせてみてはいかがでしょうか。

長期投資なら分配金の大きさに注意しよう

投資信託の中には、運用成果の一部を決算期ごとに現金で受け取るタイプの商品もあります。株の配当金や債券の利子に似たイメージですが、投資信託では「分配金」といいます。中でも毎月分配金が受け取れる「毎月分配型」は、とても人気が高い商品です。

しかし、複利効果や税金の繰り延べといった観点では、長期にわたる資産形成をする比較的若年層の投資家にとっては、必ずしも適した商品ではありません。それでも人気が続いているのは、分配金が毎月の生活費の足しになるなどの理由で、年金生活者などシニア層のニーズに合致し、活用されているためと考えられています。

投資信託の分配金は、そもそも投資家の預かり資産から支払われるため、高いからよいというものではありません。
長期間にわたる資産形成をする投資家においては、分配方針も確認しながら、年1回決算型などの決算回数が少ない商品を選ぶとよいでしょう。

まとめ
  • 投資初心者は「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」など信頼のおけるポートフォリオを参考に
  • 20〜30歳代であれば株式多めの積極運用も。40〜50歳代なら債券中心の運用を心掛けよう
  • 「複利効果」が見込める投資信託は長期投資でメリットが大きい

[監修] ドイチェ・アセット・マネジメント 資産運用研究所ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が創立30周年の節目の年を迎えたことを機に、2015年10月1日に社内シンクタンクとして設置。「貯蓄から資産形成へ」の流れが本格化する中、投資家や販売会社(銀行や証券会社)に向けた公正かつ中立的な情報発信によって、資産運用市場の発展に資することをめざす活動に従事している。
編著 「外資系運用会社が明かす投資信託の舞台裏」(ダイヤモンド社)
資産運用の重要性や投資信託の仕組みなどを解説し、「工場見学」のスタイルで運用会社の仕事をくわしく紹介

このページの先頭へ