団体信用生命保険(団信)の特約は付けるべき?

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2017年6月16日掲載

基礎知識

団体信用生命保険(団信)の特約は付けるべき?

住宅ローンを借りる際に、多くの人が加入する団体信用生命保険。この団信の保障内容が多様化し、どう選んでよいかわからない人も少なくないようです。ここでは団信の種類を整理するとともに、選択する際の判断材料などについてもお伝えします。

団体信用生命保険とは?

住宅ローンは20年、30年と長期で借りることが多く、長い期間にわたり返済していかなくてはなりません。一生懸命働いて、せっせと返している間に債務者(住宅ローンを借りた人)に万一のことが起きてしまったらどうなるでしょう。

住宅ローンという大きな借金が残されれば、家族は大きな負担を抱えることになります。残された家族に住宅ローンを払い続けられる経済力がなければ、苦労して手に入れたマイホームを売却して借金を返し、大切な家を失うことになりかねません。

こうしたリスクを回避するために加入するのが、団体信用生命保険(以下、団信)です。
団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンを借りた人が返済中に死亡したり、高度障害状態になったりした場合に、住宅ローンの残額分が保険金として金融機関に支払われ完済してくれる、住宅ローン専用の生命保険です(高度障害状態とは、両眼の視力が全くなくなって回復の見込みがなかったり、常に介護が必要な状態になったりして、日常生活が極めて困難になる障害のことです)。

団信は住宅金融支援機構の「フラット35」など一部の例外商品では任意加入となっているものの、ほとんどの金融機関では、団信加入が住宅ローンを借りる条件になっています。そのため、持病などがあって団信に入れない場合は、利用できる住宅ローンが限られることがあります。

住宅ローンを借りる際に団信への加入が求められる理由としては、金融機関側のリスク回避の側面もあります。貸し出した相手に万一のことが起きたときでも貸したお金を回収するためです。そのため、団信の保険金の受取人は金融機関となっていて、金融機関に直接支払われた保険金で住宅ローンの残額が清算されます。

団体信用生命保険の仕組み図

また、団信加入が住宅ローンを借りる条件になっている金融機関では、団信の保険料は金利に含まれ、別途保険料の負担はありません。「フラット35」など団信加入が任意になっている住宅ローンについては、加入する場合は保険料が必要です(「フラット35」では団信特約料といいます)。

「団信」と「特約付き団信」はどう違うの?

先ほど説明した団信は、いわば標準タイプで、住宅ローンを借りた人が死亡したり、高度障害状態になったりしたときに、保険金でローンの残額が完済されるタイプでした。しかし最近は、団信に特約が付いたタイプも登場したことで、保障が多様化してきています。

大きく分類すると次のようなものがあります。

  • がん保障 特約付き団信

    がんと確定診断された場合、保険金がおりてローン残高が完済されます。過去にがんになったことがある人は加入できません。保障が始まるまでの免責期間は90日あり、上皮内新生物や悪性黒色腫以外の皮膚がんは対象になりません。

    「確定診断」とは、精密検査で細胞などを細かく調べ、最終的に医師が「間違いなくがんです」と確定させることです。

  • 3大疾病保障 特約付き団信

    3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)で働けなくなった場合に一定期間の返済が補填されたり、一定以上所定の状態が続くと保険金で住宅ローン残高が清算されたりするものがあります。3大疾病のうち、がんについては診断確定されるとローン残高が完済されます。

    「所定の状態」とは小難しい表現ですが、たとえば急性心筋梗塞の場合は「軽い家事などはできるが、それ以上の活動に制限がある状態」、脳卒中は「言語障害、麻痺など神経学的な後遺症がある状態」などと説明されています。

  • 8大疾病保障 特約付き団信

    3大疾病と5つの疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)で働けなくなると、一定期間は毎月の住宅ローン返済額が保険金で補填され、さらに1年以上など一定期間を超えて就業不能状態が続くと、ローン残高が全額返済されるものが多いようです。病気の種類によって、ローンが全額返済されるタイミングが異なる商品もあります。慢性膵炎を除いた7疾病の商品もあります。

標準タイプの団信は「フラット35」など任意で付けるタイプを除いて無料でしたが、特約付き団信の場合は、有料のものが中心です。保険料のかかり方は3つのパターンに分かれます。

保険料のかかり方
金利上乗せタイプ 特約を付けるコストとして、住宅ローン金利に0.1〜0.4%程度上乗せ。最近はこのタイプが多い(保障内容によっても異なる)。
保険料支払いタイプ 住宅ローンの返済とは別に保険料を支払う。金利上乗せ型とは異なり、中途解約が可能。住宅ローン残高が減った段階で解約することもできる。
無料タイプ 銀行側が費用を負担。

実際の団信の例を見てみよう

では、実際の団信の例を見ておきましょう。下の表に代表的なものを取り上げました。

プラン 上乗せ金利 保障内容
死亡・高度
障害
余命6ヶ月 ガン 3大疾病
(ガン除く)
5大疾病 その他
じぶん銀行
一般団信
- - - - -
じぶん銀行
がん50%保障団信
-
診断されたら
- - -
りそな銀行
3大疾病保障特約
0.25% -
診断されたら

所定の状態が60日以上継続または手術
-  
りそな銀行
特定状態保障特約
(団信革命)
0.3% -
診断されたら

所定の状態が60日以上継続または手術
-
  • 病気・ケガによる所定の16の状態で、全額保障
  • 所定の要介護状態に該当で、全額保障
イオン銀行
8疾病保障特約
0.3%
診断されたら

所定の状態が60日以上継続

就業不能状態が1年以上継続
  • ガン先進医療特約として1,000万円
  • 上皮内ガン、皮膚ガン保障特約として30万円
住信SBIネット銀行
全疾病保障特約
-
就業不能状態が1年以上継続

就業不能状態が1年以上継続

就業不能状態が1年以上継続
  • 病気・ケガによる就業不能状態が返済日まで継続で月々の返済額保障
  • ○:ローン残高全額保障
  • △:ローン残高半額保障
  • - :保障なし
  • じぶん銀行

    じぶん銀行では、一般団信や「がん50%保障団信」などがあり、保険料が無料で加入できます。

    じぶん銀行の団信は、死亡・高度障害状態のほか、病気などで余命6か月と医師に診断されたときにも保険金が支払われ、住宅ローンの残債がなくなります(リビングニーズ特約)。「がん50%保障団信」は、がんと確定診断されると住宅ローンの借り入れ残高の半分が保険で支払われ、負担が半減するという商品です。

  • りそな銀行

    りそな銀行には、一般的な3大疾病特約のほかに、「団信革命」というユニークな特約付きの団信があります。死亡、高度障害、3大疾病だけでなく病気・ケガによる所定の16の状態、所定の要介護状態になっても住宅ローンの残高がなくなる、幅広い状況に対応した団信になっています。

    病気・ケガによる16の状態とは、たとえば、病気などでぼうこうをすべて摘出して人工ぼうこうになったとき、心臓や心臓にある弁がうまく働かなくなって心臓ペースメーカーや人工弁が必要になったとき、両耳の聴力が永久になくなったときなどが挙げられます。

    このほか、スポーツ中の事故や交通事故など突発的な事故が原因で片腕、片足が完全にマヒしてしまったり、片手の5本の指がなくなってしまったりした場合なども、保障の対象となります。こうした身体障害状態の場合、たとえ仕事を続けられるとしても、住宅ローンは完済されます。

    所定の要介護状態は、具体的には病気やケガが原因で要介護2以上に認定されるか、所定の要介護状態になった場合です。生命保険文化センターによると、要介護2とは「軽度の介護を必要とする状態」で、歩いたり立ち上がったりするのに支えが必要だったり、食事や排泄に介助が必要な場合があったりするなどの状態を指します。

    こうしたさまざまな状況に対応している「団信革命」は、通常の金利に0.3%上乗せすることで、加入できます。りそな銀行の場合、3大疾病特約付きの団信は通常金利にプラス0.25%なので、0.05%分多く支払うだけでカバー対象を大きく広げられます。

  • イオン銀行

    イオン銀行の「8疾病保障特約付き団信」は、死亡・高度障害時や余命6か月と診断されたときに住宅ローンが完済されるほか、がんと確定診断されたときや、脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上続くと完済されます。

    また5大疾病(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)では、働けない状態が1年以上続くと完済されます。がん保障が充実しており、がん先進医療特約1,000万円、通常保障の対象にならない上皮内がんや皮膚がん(悪性黒色腫以外)になったときは、30万円が支払われます。保険料は0.3%の上乗せ金利型です。

  • 住信SBIネット銀行

    住信SBIネット銀行の「全疾病保障特約付き団信」の場合は、金利を上乗せずに特約を付けられる商品です。全疾病とは、8大疾病と8大疾病以外の病気やケガの2種類のことを指しています。

    保障内容は、病気・ケガにより、就業不能状態が返済日まで続くと返済額分が保険金で支払われます。さらに、就業不能状態が1年以上続いた場合、住宅ローンの残額が保険金で完済されます。ただし、8大疾病以外の病気・ケガについては入院での就業不能状態となった場合に限られます。

たくさん就業不能状態という単語が並んでいますが、就業不能状態とは、入院や医師の指示による自宅療養などで、働けない場合のことを指します。住宅ローンの商品説明ページなどでは「被保険者本人の経験・能力に応じたいかなる業務にもまったく従事できない状態」と書かれています。

団信の特約はどう選べばいい?

これまで特約付き団信の例を見てきましたが、これはあくまでも一例で、ほかにもたくさんあります。そもそも団信の特約は付けたほうがよいのでしょうか。

リスク面から考えれば、いまどき2人に1人が生涯の間にがんになる可能性がある時代です。住宅ローンという大きな負債を背負う際には、無視できないリスクといえるでしょう。また、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3大疾病にかかる率(罹患率)は40代から右肩上がりに急増していくことや、平均入院日数も脳血管疾患などでは89.5日(厚生労働省「平成26年度患者調査」)と長期になること、大きな病気をすると同じ仕事を続けられなくなったり、あるいは辞めざるを得なかったりするケースがあることも、よく考えておく必要があります。

そのため、住宅ローンを借りる際に、3大疾病や8大疾病などが保障される特約が付いた団信に加入するのは、合理的なことといえます。

しかし、特約付き団信を利用するには原則、保険料がかかります。

たとえば3,000万円を返済期間30年、全期間固定1.7%(ボーナス払いなし、元利均等返済)で借りるとき、特約付き団信が0.3%の金利上乗せだった場合、保険料分は30年で約160万円に達します(繰り上げ返済を行わなかった場合)。月額に換算すると4,444円。リスクのコストとして納得できるかどうか、しっかり検討しましょう。

下記プランで契約した場合
借り入れ額 3,000万円
返済期間 30年
金利 全期間固定1.7%
(0.3%上乗せ)

※ ボーナス払いなし、元利均等返済の場合

保険料の総支払額
30年間 160万円
1ヶ月 4,444万円

※ 繰上返済しなかった場合

このほか、表にはありませんが、何かしらの持病がある人は、そもそも団信に入れないケースもあります。その場合は、「フラット35」に団信なしで加入するか、あるいは一部の金融機関が扱っている「ワイド団信(引受条件緩和型団信)」と呼ばれる団信を利用するかです。

「ワイド団信」を利用する場合も、通常は0.3%の金利上乗せになります。「フラット35」に団信なしで加入するのも、何かあったときにはリスクですので、生命保険の「引受基準緩和型保険」などでカバーする必要があります。

審査と健康状態の解説は「住宅ローン審査と健康状態の関係」を参照

申込み前に気をつけたいポイント

「特約付き団信」を付けて住宅ローンを借りる際には、いくつかの注意点を頭に置く必要があります。

  • 特約付き団信は、途中からつけることはできない

    迷って決められないからといっても、「あとで追加すればよい」などと、後回しにはできません。後悔しないよう、しっかり検討して選択する必要があります。

  • 金利上乗せタイプは、途中で特約だけ外せない

    特約を外してコストを抑えたい、今の特約がさほど重要ではないと感じるようになったとしても、残念ながら継続するしかありません。1つの方法としては、特約のない団信の付いた住宅ローンに借り換えする方法がありますが、借り換えコストもかかります。やはり最初に慎重に検討することが大切といえます。

  • 特約付き団信の中には、契約年齢に上限が設定されていることがある

    多くは50歳までなどとなっていますが、商品によっては46歳未満と46歳以上で保障内容が変わるケースもあります。

  • プラン名称が同じでも、保障内容は金融機関によって異なる

    前述のように、「がん保障特約付き団信」「3大疾病保障特約付き団信」「8大疾病保障特約付き団信」と名称が同じでも、その保障内容が金融機関によって異なる場合があります。加入する際には、保険金が支払われる条件をしっかり確認しましょう。

住宅購入後は保険の見直しを忘れずに!

住宅ローンを組んで団信に加入した場合、それまで加入していた保障を見直す必要があります。なぜなら、万一、亡くなったり、高度障害状態になったりしたときには、残債が保険金で支払われて遺族に自宅が残されます。賃貸に住んでいる場合と比べると、住居費の心配がなくなるため、必要な保障額に住居費分を含めていた場合には、死亡保障を減らすことが可能です。それによって保険料を下げられる場合もあります。

まれに、3,000万円の住宅ローンを組んで団信に加入したからと、元々入っていた3,000万円の死亡保障をすべて解約しようとする人もいますが、それは大きな勘違いです。生活費や教育費などをまかなうための保険は残す必要があります。加えて、たとえ住宅ローンがなくなっても、固定資産税や管理費・修繕積立金、建物のメンテナンス費用はその後も必要になります。住宅購入後は、必要保障額から試算し直しましょう。

また、特約付き団信で就業不能時の保障が付いている場合は大丈夫ですが、もしも病気やケガで働けずに収入が途絶える期間ができてしまっては困ります。その場合でも、生活に支障が出ないように(会社員であれば最長1年半は目安として給与の6割強の傷病手当金が出ます)、生活費3〜6か月分の生活予備費を用意しておくほか、医療保障がどうなっているか(医療保険やがん保険、就業不能保険など)の点検もしましょう。

「住宅購入」は保険を見直すべき、大きなライフイベントです。住宅ローンを無事に借りられ、新居への引っ越しが終わったら、忘れずに保険の見直しをしたいものです。

豊田眞弓氏
FPラウンジ代表。ファイナンシャルプランナー、家計力アップトレーナー。
経営誌や経済誌のライターを経て、1994年より独立系FPとして活動。現在は、個人相談業務を行うほか、講演などでも活躍。新聞や雑誌、サイトなどに多数のマネーコラムを寄稿、雑誌などでは記事の監修やアドバイスなども行う。ライフワークとして子どもや大人の金銭・金融教育にも携わる。

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