
「TOTOでは、トイレのある場所を“空間”として考え、「快適な空間作り」をポリシーとしています。日本はその住宅事情からトイレ空間があまり広くないため、大きなタンクは望まれない場合が多いのです。1993年に発売した業界初のタンクレストイレの需要はより高まっていますが、水圧などの問題で断念せざるを得ない方もいました。「ネオレスト AHタイプ」は、そういった問題を解決すべく開発された商品なのです」
トイレ空間開発部 衛陶技術部 トイレ空間研究グループ
林 良祐さん
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「ハイブリッド便器」は今までの便器とは何が違うのだろう。
いままでの便器のおもな洗浄システムは、「タンク式」と「タンクレス」に分けられるが、それぞれメリット・デメリットがある。「タンク式」では、タンクに貯めた水で洗浄するため水圧に左右されないというメリットがあるが、大きなタンクを置くスペースが必要となる。いっぽう、最近人気の「タンクレス(水道直圧式)」では、タンクが必要ないのでトイレ空間が広々とするというメリットがあるものの、水道の圧力を直接利用するのである程度の水圧がないと洗浄が不十分になるという問題があり"最低流動水圧"が必要。そのため、マンションの高層階などでは設置できない。また、ある程度の水圧があっても、水道の使用状況などにより「昼間はいいけど夜は弱い」ということが問題となることがあったという。
今回紹介する「ネオレスト AHシリーズ」は、両者のデメリットを解決すべく開発された「ハイブリッド」便器で、水圧に左右されないタンク式と水道直圧式の両方の洗浄システムを併せ持つ。タンク容量は3L。便器の中にすっぽりおさまっており、タンクの存在は外見からは感じることができない構造になっている。ちなみに、一般的なタンク式トイレで使用する便器洗浄水量は約13L、最新の節水式タイプでは6L程度である。
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| 上の2枚の写真は、同じトイレ空間である。タンクレス式に変更するだけで、空間にゆとりが生まれるのがわかる。ウォシュレットの操作パネルは本体にはなく、リモコンが壁面に設置されている (写真右のネオレストは、ハイブリッドモデルではないが、大幅なサイズの違いはない) |
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次に、「ハイブリッド式」便器の洗浄の仕組みについて紹介しよう。 タンク式と水道直圧式両方のシステムをもつ、といっても、単純にこれまでのシステムをそのままコンパクトにして合わせたという話ではない。「ネオレスト」では、3Lという少ないタンク水量でもパワフルな洗浄ができるよう新開発のポンプを採用。これにより、効率のよい洗浄が可能になっているのである。
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ネオレスト AHタイプの洗浄システム |
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ここ数年、洋式便器では一気に節水化が進んでおり、例えば、INAXの「eco6」シリーズでは洗浄水量6L、また、人気商品の松下「アラウーノ」は“ターントラップ洗浄方式”により5.7Lを実現している。そして今回の「ネオレスト AH」シリーズでは、本体サイズをほぼ変更せず、本体内にタンクと加圧ポンプを内蔵することにより、5.5Lを実現。現段階では、業界最小の洗浄水量となっている。また、排水時間(汚物排出のための洗浄)はこれまでの約4秒から約3秒に短縮されている。
なお、洗浄時に気が付いたこととして特筆しておきたいのは、洗浄音の穏やかさだ。タンクレストイレを使用したことのある方はお分かりかと思うが、タンクレストイレは洗浄時に「ゴーッ」というやや耳障りな特有の音がある。本製品ではそれが改善され、柔らかな水音になっていた。
便器のコンパクト化・節水化に伴って、当然、ウォシュレットで使用できる水量も少なくなくなっている。そこで着目されたのが、ノズル内部の吐水穴径だ。吐水穴径を小さくすることで流量を高めて、少ない水量でも洗浄感が得られるようになっているという。さらに、吐水される水が“水の玉”になる「ワンダーウェーブ」という方式が採用されている。
ワンダーウェーブは、水の玉を連射する方式で、1秒間に70回以上もの“水玉吐水”を強弱をつけて行う。この方式により、水量を従来モデルの1/2に抑えることができている。
実際使用してみたところ、1/2の水量というのが信じられないような圧力が感じられた。流し洗いというより、“叩き洗い”という感覚だった。
また、洗浄時にお湯を沸かして吐水する「瞬間式」を採用している為、連続使用した際に「お湯が急に冷たくなった!」ということも起こらない。
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そのほかのウォシュレット機能も、さすがTOTOと思わせる充実ぶりだ。リモコンを見ればわかるとおり、便器・便座はもはや家電の領域なのである。
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| リモコンの操作パネルは、フタを閉めた状態、開けた状態での2段構成になっている。フタを閉めた状態では、「おしり洗浄」「ビデ洗浄」など主だったウォシュレットのメニューが並ぶ。パネルを開けると、「オート洗浄」設定や「ノズル位置」調整などの細かな設定項目が並ぶ | |
「トイレは汚れるもの。だから掃除が必要。」 このしごく当たり前のことからTOTOが思いついたのが「汚れないトイレなら掃除をしなくていい」ということ。そこで開発されたのが“汚れがつきにくく落ちやすい素材”である「セフィオンテクト」である。
セフィオンテクトは、陶器表面の凹凸が100万分の1oというナノレベルの新素材で、表面が非常にすべらかなため、汚れが付きにくく、また、汚れが付着しても落としやすいという特性を持つ。
また、新機能の「水面下げる」機能も、防汚に役立つ。リモコンパネルにある「水面下げる」ボタンを押すと、まず、少量の水が便器ボウル面を湿らせ汚れを付きにくくする。次に、便器内の水面が下がる。これにより、大便時の水のはね返りを低減することができるというわけだ。
そのほか、便器のフチ裏がない「ふちなし形状」や、フタ部分に切り替えなどがなく、サッと一気に拭き掃除ができる「フルカバー」形状など、掃除の手間を軽減してくれる機能は引き続き搭載されている。
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手入れしにくかった便器の“フチ”をなくした「フチなし」形状はそのまま採用。ふち裏に手を回しこむことなく掃除することができる |
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陶器表面の凹凸が100万分の1oというナノレベルの新素材「セフィオンテクト」。写真左の便器では、左側が従来便器で、右側がセフィオンテクトになっている。表面の光沢感に違いがあるのがわかるだろう。写真右は、セフィオンテクトの坊汚効果を実演したもの。鉛筆で強くなぞっても、セフィオンテクト側にははあまり筆跡が残らない |
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トイレに入ればフタが開き、用が済めば自動で流し、そして、ふたが閉まる。場合によっては明かりもつけてくれ、ニオイも消してくれる……。極限まで来た感のあるトイレ機能。正直なところ「そこまでしなくても」と思う部分もなくはない。しかし、林さん(TOTO)の「ユーザーの小さな意見をすべて反映したい」という言葉通り、ネオレスト AHタイプもそういった要望の結晶なのだ。「ハイブリッド洗浄」の便器も“人気のタンクレストイレを水圧問題のためにあきらめなければならなかった人”の意見から生まれたものである。価格は少々高めだが、トイレ空間は確実に広くなるし、節水効果も高い本製品。長い目でみればお買い得な製品なのかもしれない。
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| 型名 | ネオレストAX | 給水方式 | 水道直結式/タンク貯水ポンプ加圧併用 |
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| 洗浄方式 | サイホンゼット式トルネード洗浄 | 消費電力 | 1381W(AH3/AH2)、1286W(AH1) |
| 便器洗浄水量 | 大5.5L、小4.5L、男子小40.L | 本体サイズ | 111(幅)×111(高さ)×111(奥行)mm |
| ウォシュレット機能 | おしり洗浄/ビデ洗浄/マッサージ洗浄など全6種(水勢調整:5段階) | ||


















