2008年夏モデルは、CPUやメモリーなどの基本スペックがほとんどのモデルで一定レベルまで引き上げられているのが特徴。新モデルである以上、従来モデルより性能が向上するのは当たり前だが、今夏モデルのポイントは、「Windows Vistaをストレスなく使うために必要となるレベル」を突破したモデルが多いことだ。
前回のパソコン特集でも紹介したとおり、Windows Vista安定駆動のためには、インテルの「Core 2 Duo」に代表される「デュアルコアCPU」と、「容量2GBメモリー」の搭載が必須となるが、2008年夏モデルは、多くのモデルがこの条件を満たしているのだ。特に、A4ノートとデスクトップの高性能化が顕著で、13万円前後のスタンダードな売れ筋モデルは、ほぼすべてのモデルが「デュアルコアCPU&2GBメモリー」というスペックを備えるようになっている。
CPUやメモリー容量など基本的な性能の向上にともない、製品の選び方も変わりつつある。従来は、「この価格なら性能が低いのは仕方ない」と考えていた低価格帯の製品でも、今なら、性能や機能を吟味し、こだわって機種を選ぶことが可能になった。以下、製品タイプ別に、2008年夏モデルの特徴と選び方を解説しよう。
パソコン市場で最大の売れ筋であるA4ノートパソコン。大きくは、豊富なAV機能を搭載した高性能AVモデルと、ビジネス用途を中心に幅広く使えるスタンダードモデルとに分けられるが、2008年夏モデルでは、特に、15.4型ワイド液晶を搭載したスタンダードモデルの売れ筋機種に注目してほしい。
具体的には、本特集でレビューする東芝「dynabook TX」や、NEC「Lavie L アドバンストタイプ」、富士通「FMV-BIBLO NF」、ソニー「VAIO Type N」など、シリーズの中上位モデルがこれに該当する。ほとんどのモデルがデュアルコアCPU「Core 2 Duo T8100(2.1GHz駆動)」を採用するなど、スペック面では大きな差がないこともあり、価格面で激しい競争が繰り広げられている。価格.com掲載のショップであれば、10万円前後でも十分なスペックのものを購入可能と、抜群のコストパフォーマンスだ。デザインや操作性、機能性をじっくり比較して、お気に入りのものを選んでほしい。
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| 左がNEC「LaVie L アドバンストタイプ LL750/MG」、右がソニー「VAIO type N VGN-NR72B」。いずれも、Core 2 Duo T8100(2.1GHz駆動)と2GBメモリーを採用しながらも、10万円程度での購入が可能 | |
B5サイズのノートパソコンに求められるのは、何といっても携帯性の高さだ。基本性能よりも携帯性を重視して選ぶという方も多いことだろう。ただ、2008年夏モデルでは、「メモリーの2GB化」が進んだため、20万円前後の予算でも、「デュアルコアCPU&2GBメモリー」を採用したA4ノートと同等の性能のモデルを購入できるようになった。
12.1型液晶採用モデルでは、富士通「FMV-BIBLO LOOX R/A50」「FMV-BIBLO LOOX R/A70」、東芝「dynabook SS RX1/T7EG」、ソニー「VAIO type T VGN-TZ73B」「VAIO type G VGN-G2KBNA」などが狙い目だ。いずれも、デュアルコアCPUと2GBメモリーを採用している。13型前後の液晶を採用するセミモバイル機では、東芝「dynabook CX」シリーズのコストパフォーマンスに注目してほしい。
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| 左が、東芝「dynabook SS RX1/T7EG」で、右が、富士通「FMV-BIBLO LOOX R/A70」。dynabook SS RX1/T7EGは、CPUに、Core 2 Duo U7600(1.2GHz駆動)を採用。FMV-BIBLO LOOX R/A70は、超低電圧タイプのCore 2 Duo SL7100(1.2GHz駆動)を採用する | |
また、携帯できるパソコンという意味では、「UMPC(Ultra-Mobile PC)」という新しいカテゴリのモバイル製品が登場したことにも注目してほしい。UMPCについては、本ページでもくわしく解説しているので、ご一読いただきたい。
省スペース性にすぐれた液晶一体型が人気のデスクトップパソコン。特に、ソニー「VAIO Type L」、NEC「VALUESTAR N」など、液晶モニターとパソコン本体が一体化した薄型の「ボードPC」が人気を集めている。2008年夏モデルでは、富士通が新シリーズ「FMV-DESKPOWER F」でボードPC製品をリリースしており、ますます競争が激しくなりそうだ。
ただ、ボードPCは、省スペース性にはすぐれるものの、性能比の値段はやや高めで、デュアルコアCPUを搭載しないエントリー向けの機種も多い。そのため、動画編集などAV用途での利用なども考慮するなら、ややサイズは大きくなるがスタンダードな液晶一体型モデルや、セパレートモデルも視野に入れておきたい。セパレートモデルであれば、スリム型でもクアッドコアCPUを採用した高性能モデルなども用意されている。
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19型ワイド液晶が付属する富士通のセパレートモデル「FMV-DESKPOWER CE」シリーズの最上位機「CE/A909」。クアッドコアCPU「Core 2 Quad Q9300(2.5GHz駆動)」を採用しながらも、価格.com最安価格(2008年6月13日現在)で、約18万円という高コストパフォーマンスを実現している
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Windows Vistaのアップデートプログラム「SP1(Service Pack 1)」が2008年3月に登場したのも見逃せないトピックだ。SP1では、570以上の更新プログラムが追加されたほか、ソフトウェアや周辺機器との互換性の強化なども図られており、Windows Vistaの安定性・信頼性が大きく向上している。
基本的には、Vistaリリース後に適時配布されてきた更新プログラムをまとめたものになるが、実際にSP1が搭載されたパソコンを使ってみると、基本的な部分でパフォーマンスが改善されたのがわかる。特に、データのコピー・移動については、速度・安定性ともに大幅に向上しており、使い勝手がかなりよくなった印象だ。また、ソフトウェアの起動時間も改善されているように感じた。
機能面での改善は、新しいファイルシステム「exFAT(Extended FAT)」への対応や、デスクトップ検索機能の変更が可能になったことなどが挙げられる。なお、今年の夏モデルでは、Windows Vista搭載マシンのほぼすべてが、こちらのSP1を採用している。
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Windows Vista SP1は、NTFS 、FAT、FAT32という既存のフォーマットに加えて、新たに、exFATに対応。リムーバブルメディア用のフォーマットで、FAT32の1データ最大4GB、1ボリューム最大32GBという制限がなくなっており、32GB以上のストレージを1つのボリュームとして扱えるようになった
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| Windows Vistaには、Webブラウザを利用してパソコン内のあらゆるデータを高速に全文検索するデスクトップ検索機能が備わっているが、SP1では、標準のものに加えて、グーグルの「Googleデスクトップ」を指定することが可能となった | |
「ダビング10」とは、著作権保護されたデジタル放送の番組コンテンツをDVDレコーダーなどの録画機器に録画した場合に、その録画番組を他のメディアに「9回コピー・1回ムーブ」できる、新しい録画ルールのこと。従来の「コピーワンス」方式では、著作権保護された番組は、コピーに一切対応しておらず、利便性の面で大きな問題があったが、ダビング10の導入により、ある程度解消されることとなる。
しかし、である。6月から運用開始予定だったダビング10は、直前になって、補償金の問題から、放送局などの著作権側と機器メーカーとが対立し、「無期限延期」となってしまった。今後、どういったタイミングで運用が開始されるのか不透明な状況にある。本来であれば、夏モデルのパソコンで、ダビング10を利用できる予定だったのだが、非常に残念だ。消費者不在の議論で、「いい加減にしてほしい」と感じた方も多いのではないだろうか。
ただ、ダビング10の運用自体が開始されないということはなさそうなので、今、デジタルチューナー付きのパソコンを購入するなら、ひとまず、ダビング10に対応するのかどうかをしっかりとチェックしておきたい。対応機種であれば、ソフトウェアのアップデートでダビング10の利用が可能となる。
ちなみに、2008年夏モデルでは、「ダビング10」の状況待ちということもあって、既存モデルのマイナーバージョンアップはあるものの、テレビパソコンの新モデルはほとんど登場していない。バリバリの録画機としてパソコンを使いたいなら、状況がハッキリしてから新モデルを購入した方がよさそうだ。
今、パソコン市場で、もっともホットな話題は、新しいカテゴリのモバイル端末「UMPC(Ultra-Mobile PC)」が本格的に普及する兆しを見せていることだ。UMPCとは、B5ノート未満のコンパクトな筐体を採用し、携帯性にすぐれたミニノートで、ベーシックな基本性能を備えながら、10万円未満の低価格で購入できるのがポイントの製品だ。「安くてそこそこの性能のモバイル端末」という、今までにはないカテゴリのパソコンとなっているのだ。
UMPCが注目を集めるキッカケとなった製品が、ASUSの「EeePC」だ。7型ワイド液晶と4GB SSDを搭載しながらも、5万円を切る価格を実現し、1月の発売から継続して高い人気を呼んでいる。また、2008年夏モデルでは、HPのUMPC「HP Mini」に注目してほしい。WXGA (1280×768ドット)表示対応の8.9型ワイド液晶を搭載し、一般的なB5ノートのような感覚で使うことができる製品だ。本特集でも使い勝手をレビューしているので、ぜひチェックしてほしい。
また、この6月に、MID(Mobile Internet Devices)やUMPCなど、モバイル端末・デバイス向けに設計されたインテルの新型CPU「Atom」が登場したのも大きなトピック。「コンパクト」「低消費電力」「低価格」を実現したCPUで、パフォーマンスも十分。今後、モバイル端末・デバイスは、この新しいCPUを採用した製品が主流となることは間違いない。
ただ、現状では、UMPCに代表される超モバイル端末は、海外メーカーが積極的にリリースしている状況で、国内ではまだそれほどの製品ラインアップがなく、市場を動かすほどの大きなムーブメントにはなっていない。2008年度中には、EeePCの第2段製品など、海外で先に発売されたUMPC製品が続々と登場することが予想されており、一般ユーザーの方からも大きな注目を集めそうだ。これに対して、国内主要メーカーがどういったUMPC製品で対抗してくるのかにも注目が集まっている。
インテルのモバイル/ノートパソコン向けの新型プラットフォーム「Centrino 2(コードネーム:Montevina」)」が、いよいよリリース間近となってきた。Centrino 2とは、45nmプロセス製造の新型Core 2 Duo(コードネーム:Penryn)や、FSB1067MHzのチップセット(コードネーム:Cantiga)をサポートし、改良が施された統合グラフィック機能や、Wi-FiとWiMAXを統合した新型無線モジュール(WiMAXはオプション対応)などから構成されるモバイル・プラットフォームで、現状のCentrinoプラットフォームのパソコンと比べて、処理性能や駆動時間など、あらゆる面でパフォーマンスが向上することが期待されている。特に、これまで弱いといわれてきた統合グラフィック機能が、大幅に向上される見込みで、モバイルでも標準で強力なグラフィック描画が可能になる模様だ。
なお、Centrino 2は、6月末に正式発表され、同時に、Centrino 2対応の新CPUやチップセット、ノートパソコン製品のリリースが予定されていたが、グラフィック機能などに問題が発生したため、正式発表が延期されている。最新の情報によれば、どうやら7月中旬に正式なアナウンスが行われるようだ。これをうけて、Centrino 2対応の高性能ノートパソコンも、7月中旬以降に順次発売開始になると予想される。
現状では、「インテルのアナウンス待ち」のところもあって、どのメーカーがどういった製品を出してくるのかは不明だが、大きくパワーアップした新型ノートパソコンが登場することは間違いない。今、特にハイエンド系の高性能なノートパソコンを買おうとしているのであれば、Centrino 2の発表を待った方がよいだろう。
















