No.53 2008年8月8日更新

2008夏 自作パソコン特集

パーツ選びの前に知っておきたい最新トレンド

PCパーツを賢く選ぶために、今流行の製品トレンドをしっかりおさえておきましょう。CPU、ビデオカード、マザーボードなどの最新情報をくわしく解説します。自作派注目の省電力CPU「Atom」もご紹介。

CPU デュアルコアCPUが普及し、時代はクアッドコアCPUに

CPU市場で、今もっともホットな話題は、デュアルコアCPUに代わって、いよいよクアッドコアCPUが主流になりつつあることだ。

そもそも、クアッドコアCPUへの流れが本格化したのは、2007年にインテルが大幅な価格改定を行ったことが大きい。特に、価格改定で3万円台から購入可能となったコストパフォーマンスモデル「Core 2 Quad Q6600」が爆発的な人気を集め市場を牽引した。現在も引き続き、Core 2 Quadシリーズは市場で高い人気を集めている。

Core 2 Quadの製品ラインアップを見ると、2008年3月に、45nmプロセスルール採用の「Core 2 Quad Q9000」シリーズが登場したことが大きなトピックだ。ただ、それ以降、インテルは大きな動きを見せておらず、今は現行モデルの価格が下がってきている段階である。

※2008年8月10日のCore 2 Quad価格改定により、Q9550が40%値下げとなった。さらに、新モデルとして、3.0GHz駆動のトップモデル「Q9650」と、中位モデル「Q9400」が追加された

Core 2 Quadシリーズ製品一覧
モデル 周波数 FSB L2C L3C TDP プロセス 最安価格
Core 2 Quad Q9650 3.0GHz 1333MHz 12MB 95W 45nm
Core 2 Quad Q9550 2.83GHz 1333MHz 12MB 95W 45nm
Core 2 Quad Q9450 2.66GHz 1333MHz 12MB 95W 45nm
Core 2 Quad Q9400 2.66GHz 1333MHz 6MB 95W 45nm
Core 2 Quad Q9300 2.5GHz 1333MHz 6MB 95W 45nm
Core 2 Quad Q6700 2.66GHz 1066MHz 8MB 95W 65nm
Core 2 Quad Q6600 2.4GHz 1066MHz 8MB 95W 65nm
Core 2 Quadの写真 クリックで拡大
Core 2 Quadは、45nmプロセスの「Q9000シリーズ」と、65nmプロセスの「Q6000」シリーズの2シリーズが用意されている。売れ筋は、Q9000シリーズで、どのモデルも高い人気となっている

インテルのライバルとなるAMDのクアッドコアCPUのトピックも紹介しよう。AMDは、「Phenom X4」というブランドで、クアッドコアCPUを展開している。もともとは、Phenomというブランド名であったが、2008年3月、新製品のリリースにあわせて、トリプルコアCPUを「Phenom X3」、デュアルコアCPUを「Phenom X4」という名称で統一した。

Phenom X4は、1つのダイに4つのコアを搭載する「ネイティブクアッドコア」が特徴で、構造上は、デュアルコアのダイを2基搭載するCore 2 Quadよりも高いパフォーマンスを発揮できる可能性を持っている。ただ、Phenomブランド時代の製品が構造上の欠陥を持っていたこともあり、Core 2 Quadほどの人気を得るにはいたっていない。現状でも、インテルに一歩水をあけられており、AMDが、今後どのように巻き返してくるのかに注目したい。

Phenom X4シリーズ製品一覧
製品名 周波数 FSB L2C L3C TDP プロセス 最安価格
Phenom X4 9950 BE 2.6GHz 4000MHz 2MB 2MB 140W 65nm
Phenom X4 9850 BE 2.5GHz 4000MHz 2MB 2MB 125W 65nm
Phenom X4 9750(95W) 2.4GHz 3600MHz 2MB 2MB 95W 65nm
Phenom X4 9750(125W) 2.4GHz 3600MHz 2MB 2MB 125W 65nm
Phenom X4 9550 2.2GHz 3600MHz 2MB 2MB 95W 65nm
Phenom X4 9350e 2.0GHz 3600MHz 2MB 2MB 65W 65nm
Phenom X4 9150e 1.8GHz 3600MHz 2MB 2MB 65W 65nm
Phenom X4 9100e 1.8GHz 3600MHz 2MB 2MB 65W 65nm
Phenom X4の写真 クリックで拡大
Phenom X4は、通常のモデルのほかに、クロック倍率の変更が可能な「Black Edition」と「低消費電力タイプ(モデルナンバーの末尾にeが付随するもの)」が用意されている

なお、クアッドコアCPUが主流になってきているとはいっても、まだまだデュアルコアCPUも健在である。インテルの45nmプロセスで製造された「Core 2 Duo E8000」「同 E7000」シリーズや、省電力性にすぐれるAMDの低電圧版「Athlon X2」シリーズなどが、今なお、高い人気を集めている。その理由として、クアッドコアCPUは、マルチスレッド処理に対応したアプリケーションでないと本来のパワーを発揮できないことが大きい。アプリケーション側の対応が追いついていない状況なのだ。ゲームマシンとしてパソコンを組む場合は、クロック周波数の高いデュアルコアCPUを選んだほうが良好なパフォーマンスを得られるということもある。つまり、使用用途によっては、必ずしもクアッドコアCPUを選ぶ必要はないということを覚えておいてほしい。

ビデオカード 高性能なミドルレンジモデルが続々と登場

ビデオカード市場は、現在、GPU(グラフィックチップ)メーカーであるNVIDIAとAMD(ATI)の間で激しい競争が繰り広げられている。特に、2〜5万円程度の価格のミドルレンジクラスは群雄割拠で、両メーカーのGPUを搭載した数多くの製品が登場している。

なかでも注目してほしいのは、AMDが2008年6月にリリースしたGPU「Radeon HD 4850」だ。ミドルレンジクラスながらも、ハイエンド向けの上位GPU「Radeon HD 4870」と同じく、55nmプロセスルールを採用し、DirectX 10.1をサポートするほか、800基のストリーミングプロセッサを装備するという豪華なスペックを実現。コアクロック625MHz、メモリークロック1986MHzでGDDR3メモリーをサポートする。リファレンスモデルは2万5000円程度の価格で、性能に対するコストパフォーマンスがかなり高くなっている。ミドルレンジクラスの最注目GPUだ。

SAPPHIRE「RADEON HD 4850」の写真 クリックで拡大
Radeon HD 4850搭載のリファレンスモデルとして人気を集めるSAPPHIRE「RADEON HD 4850」。512MB GDDR3を装備。出力インターフェイスはDVI2系統

一方のNVIDIAは、ハイエンドからミドルレンジクラスのGPUとして「GeForce GTX 260」を新製品としてリリースしている。ハイエンドクラスのGPU「GeForce GTX 280」と同じく、65nmプロセスルールを採用し、DirectX 10に対応。コアクロック576MHz、メモリークロック1998MHz、メモリーバス幅448ビットで896MBまでのGDDR3メモリーをサポートする。リファレンスモデルの価格は、4万円程度。さらに、ミドルレンジクラスでは、8月に、「GeForce 9800 GTX」の強化版となるコストパフォーマンスモデル「GeForce 9800 GTX+」と、9000シリーズの最下位モデル「GeForce 9800 GT」が新たに登場した。

GIGABYTE「GV-N26-896H-B」の写真 クリックで拡大
GeForce GTX 260を搭載するGIGABYTE「GV-N26-896H-B」。GDDR3 896MBメモリーを装備。出力インターフェイスはDVI×2

ビデオカード選びで気をつけてほしいのは、「どういった用途でパソコンを使うか?」ということである。フル解像度表示でのゲームの画質に妥協したくないなど、バリバリのゲームマシンとして活用するつもりがないのであれば、正直なところ、ミドルレンジクラスの旧製品でも、オンラインゲームや動画再生などをまったく問題ないレベルで処理してくれる。

旧製品で注目したいのは、今、リプレースが行われているNVIDIAのミドルレンジ製品。「GeForce 8800 GT」「GeForce 9600 GT」がお買い得な価格となっている。特に、GeForce 8800 GTは、コアクロック(600MHz)、メモリークロック(900MHz)、ストリーミングプロセッサ数(112基)、メモリーバス幅(256ビット)など、後継となる「GeForce 9800 GT」とスペック部で共通する部分が多い。なお、価格.com最安価格(2008年8月7日現在)では、GeForce 8800 GTが1万2000円程度、GeForce 9800 GT が1万7000円程度で購入できる。

ビデオカード価格帯別ラインアップ
ブランド 8〜5万円 5〜3万円 3〜2万円 2〜1万円 1万円前後 1万円未満
GeForce GTX 280
9800 GX2
GTX 260 9800 GTX+
(9800 GTX)
9800 GT
8800 GT
9600 GT
9500 GT
8600 GT
8500 GT
8400 GS
Radeon HD 4870 X2 HD 4870 HD 4850
HD 3870
HD 3850 HD 3650 HD 3450

マザーボード グラフィック内蔵の「Intel G45」「AMD 790GX」がリリースに

マザーボードの最新トピックは、インテルとAMDの双方から、グラフィック機能を内蔵した新型チップセットが登場したことだ。

インテルは、DirectX 10対応の新型グラフィックチップ「Intel GMA X4500HD」を搭載する「Intel G45」を新たにリリース。H.264/MPEG-2/VC-1対応のハードウェアデコーダーを内蔵するのが大きな特徴だ。動画の画質向上機能「Clear Video Technology」なども備える。従来の「Intel G35」チップセットと比べてグラフィック処理性能が向上しており、インテルCPUユーザー注目の製品である。

GIGABYTE「GA-EG45M-DS2H Rev.1.0」の写真 クリックで拡大
Intel G45チップセット搭載製品として、PCパーツショップに初めてお目見えしたのがGIGABYTE「GA-EG45M-DS2H Rev.1.0」。MicroATXマザーボードで、独自の省電力化機能「Dynamic Energy Saver Advanced」を装備する。拡張スロットは、PCI Express x4(x16形状)×1、PCI Express x1×1、PCI×2

対するAMDは、人気のグラフィック内蔵チップセット「AMD 780G」の上位機種となる「AMD 790GX」を2008年8月6日に発表した。グラフィック機能が「Radeon HD 3200」から「Radeon HD 3300」に向上しており、コアクロックが500MHzから700MHzにアップ。さらに、PCI Express 2.0 x16スロットを、「PCI Express x8×2」に分けることもでき、内蔵グラフィックとビデオカードを組み合わせて処理性能を向上する「Hybrid Graphics」だけでなく、内蔵グラフィックに2枚のビデオカードをプラスして稼動させる「CrossFire X」にも対応するようになった。

JETWAY「HA-07」の写真 クリックで拡大
2008年8月下旬に発売予定となっているAMD 790GXチップセット搭載のATXマザーボードJETWAY「HA-07」。DDR2 128MBのLFB(ビデオメモリー)を装備。拡張スロットはPCI Express x16×2、PCI Express x1×2、PCI×2

なお、Intel G45チップセットとAMD 790GXチップセットは、発表されたばかりのため、搭載マザーボード製品はまだ潤沢に出回っていない。注意してほしい。

メモリー&HDD 価格下落でメモリー容量4GB、HDD容量1TBが標準に

メモリー、HDDともに共通しているのは、容量に対する価格が下落していること。容量単価が下落するトレンドは今に始まったことではないが、容量4GBのメモリー(DDR2 PC2-6400/2GB×2枚)が9000円程度、容量1TBのHDD(3.5インチ/SATA300/7200rpm)が1万5000円程度と、かなりお値打ちな価格になっている。今、パソコンを新たに構築するのであれば、「4GBメモリー&1TB HDD」を基準にしてもらいたい。

記録メディアでは、SSD(Solid State Drive)が本格的に市場に登場したのも大きなトピックだ。磁気ディスクではなくフラッシュメモリーを採用しており、HDDと比べて、消費電力が低く、耐久性にもすぐれ、今後、HDDに代わる記録メディアとなることは間違いない。ただ、現段階では、安価なモデルでも、32GBで2万円台、64GBで4万円台と、かなり高額な製品となっている。

また、メモリーについては、DDR3規格のメモリー製品がかなり増えてきている。対応するマザーボードも多くなっており、今後、本格的な普及が見込まれる。だが、DDR2メモリーと比べると、倍以上の価格となっており、コストパフォーマンスの面で大きな差があるのも事実。今の時点ではまだDDR2メモリーを選ぶ方がベターといえる。

超低消費電力CPU「Atom」搭載のマザーボードが新登場!

今、自作パソコン市場でもっとも話題となっているのが、インテルのモバイル端末・バリューPC向けの新型CPU「Atom」だ。ASUS「Eee PC 901-X」や、MSI「Wind Netbook U100」などのUMPC製品においてAtom搭載モデルが続々と登場しているが、「小型化」「低消費電力」「低価格」を実現した革新的な設計に、自作ユーザーから熱い視線を集めている。

Atomは、CPU単体としてではなく、マザーボードに組み込まれる形で提供されているが、ダイサイズ25mm2というコンパクトなCPUであるため、MicroATXよりもコンパクトなMini-ITX/Mini-DTX仕様のマザーボードに搭載できる。さらに、TDP 1W未満〜4Wという驚異的な低消費電力を実現しており、Atom搭載マザーボードを使えば、「コンパクトで低消費電力のパソコン」を手軽に構築できるのだ。さすがに、Core 2 Duo並みのパフォーマンスは発揮しないが、消費電力を考慮すれば、十二分に納得できる性能だ。

現在、マザーボードにオンボードされるAtomプロセッサは、「Atom 230(クロック周波数1.60GHz)」というモデルとなっている。近いうちに、デュアルコア版のAtomが登場する予定となっており、今度、さらなる盛り上がりを見せるのは間違いない。

以下、Atom搭載マザーボードの最新製品を紹介しておこう。なお、本特集の「製品紹介Part1」に掲載したコラムで、Atomパソコンの構成例を紹介するので、ぜひ、チェックしてみてほしい。

Atomマザーボード製品一覧
メーカー 製品名 特徴 最安価格
インテル D945GCLF 純正モデル(Mini-ITX)
GIGABYTE GA-GC230D オーバークロック対応(Mini-ITX)
MSI Wind Board ファンレス&メモリー2スロット(MicroATX)
ECS 945GCT-D PCI Express x1搭載(Mini-DTX)

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