昨年の本格的な日本上陸以来、ヒットを続けているPND。「持ち運びできる小型の簡易型ナビ」が、ここまで人気を集めているのにはいくつもの理由があるが、最大のポイントはやはり「価格の安さ」だろう。
たとえば、「価格.com注目ランキング」で上位を占める人気PNDの実売価格帯は5万〜7万円代(2008年8月18日現在)。一般的な車載カーナビを購入しようとした場合、本体に15万円程度、バックカメラなどのオブションや取付費用を合わせるとおよそ20万円前後の予算が必要となる。リアルタイム渋滞情報を取得できるパイオニア「サイバーナビ」などのハイテク最新モデルを購入しようと思ったら、30万円でも足りないくらい。それだけのコストに見合う便利さとオーディオ系の付加機能は持ち合わせているのだが、絶対的な金額として「高い」と考える人は決して少なくなかったはずだ。
そのような人たちにとって、PNDはまさに待ちに待っていた製品。5万〜7万円程度という、車載型の1/4程度の金額で、カーナビの便利さを享受できるのだ。確かに機能はシンプルだが、車載型のようなAV機能は必要ない、という人にはかえって好都合。測位がGPSからの信号だけなので現在位置に若干の狂いが生じてしまう場合もあるが、価格を思えば十分納得できる範囲のものである。
もうひとつ、車載型カーナビにはない大きな魅力がPNDにはある。それは、手軽に車外へ持ち出せることだ。PNDは車速などの車両情報を取得しておらず、スピーカーやマイクを独自に搭載しているのでAV系とも接続する必要がなく、さらにバッテリーを内蔵していることから、車外でも大いに活用できるのだ。クルマから降りたあと目的地までの道すがらや、サイクリングにも使用できるのはとても便利。こういったフットワークのよさも、PNDを選ぶ大きなポイントとなっている部分だ。
この2点だけでもPNDが魅力ある製品だということは、十分わかってもらえただろう。けれども最新型のPNDには、さらに便利な機能が付加されている。そのひとつの方向性が、「PNDの車載型カーナビ化」だ。「PNDだってカーナビでしょ?」と思う人がいるかもしれないが、実はこの2つ、機能はクロスオーバーしていてもコンセプトのまったく異なる製品なのだ。 そもそもPNDのスタートは、ポータブルタイプのGPSレシーバーに地図を載せた製品。 一番重要なのは「いま自分がどこにいるか」であって、目的地の検索やルート案内は、「カーナビのように使えたら便利だな」と後で付加された機能。「スムーズに最短時間で目的地まで誘導する」ことを使命とし、「カーナビだけで楽しい旅行ができる」ことを目指した車載型カーナビとは、案内の方法も情報の質も異なるのだ。したがって、既存のPNDを「安価なカーナビ」と思って購入すると、ひどい目に会う場合がある。
とはいえ、最新モデル、特に車載型カーナビをラインアップするメーカーから登場したPNDは、ルート案内や施設情報など、車載型と遜色のないスペックを持たされているものがある。高度/加速度センサーを搭載して自車位置の精度を上げているものや、ソニー「nav-u」のように渋滞情報を取得して回避ルートを提示するモデルが登場したのだ。こういった製品は一部に限定されているが、両者のボーダーラインが曖昧になりつつあるのは確かだ。
AV機能に関しても、最新PNDはかなりの充実度を誇る。もともとPDA(パーソナル・データ・アシスタンツ)をベースとしている機種が多いだけに、音楽再生やハンズフリーフォン機能などを搭載する機種はあったが、近頃のトレンドは“ワンセグ”。今年に入ってからはワンセグチューナーを内蔵するモデルが多数登場し、いまや必須条件となりつつある。
このように、最新のPNDは、それまでのシンプルなイメージから、多機能かつ個性的な製品ラインアップとなりつつあるのだ。
またPNDとよく似た製品で、ポータブルナビと呼ばれるものがある。こちらはPNDが登場する以前から日本国内で販売されており、三洋電機の「ゴリラ」がその代表例。5〜7型などの大型モニターを採用し、車速などの車両情報も取得するため機能的には据置型とほぼ変わらない。ゆえに、ダッシュボードに固定するステーや専用の配線などが必要となるが、本体は簡単に取り外せるため、クルマを2台持つ人や手間なく自分で取り付けたいという人にはとても好評だった。
こちらもPNDの登場以来、製品が急激に様変わりしている。バッテリーを内蔵して車外に持ち運べるようにしたり、サイズをコンパクトにしたりなど、PNDと区別するのが無意味な状態となっている。選択肢としては、PND、ポータプルナビと分けて考えず、同じものとして候補に入れるのが得策だろう。今回の記事でも、この両者は区別なく紹介させていただいている。

PART1の最後として、後悔しないための上手なPNDの選び方を伝授しよう。
個性的な製品がそろい、なかには据置型カーナビに近い機能を有するモデルまで存在する最新PND。この豊富なラインアップは選ぶ側としてはうれしい限りだが、便利機能ばかりに目を奪われ、PNDの本質を見あやまらないようにするのが重要だ。PNDの個性を納得したうえで以下の3つのポイントに注意し、目的にピッタリあったモデルを選んで欲しい。
GPSによる測位しか行わないPNDにとって、“現在位置の測定”は最も厳しいポイントだが、同時にその基本的な実力を推し量るバロメーターにもなる。購入前に実機に手に触れる機会はなかなかないかもしれないが、そういったときはこの記事のロードテストやユーザーの使用感など、さまざまな情報を参考にして検討してほしい。
次に重要なのが、どこまでのガイドを求めるかと言うことだ。
据置型カーナビに近い施設情報やルート案内を求めたいのであれば、カーナビメーカー製、特にポータブルナビをチョイスすればほぼ間違いはない。そうすれば据置型カーナビと大差ない詳細な情報を活用でき、目的地までもスムーズに移動できる。そこまでの情報はいらない、住所がきちんと検索できれば大丈夫という人は、住所がきちんと“号”まで検索できることを確認して、あとは使い勝手のよいものを選べばよい。
最後に、「渋滞情報」が必要か否かだ。必須と考える人は、機種が極端に限られてくるし、人によっては据置型カーナビの方が使い勝手がよかったりする。候補をPNDだけに限定せず、幅広い製品のなかからチョイスするのが得策だ。
ひとつ、個人的な意見をつけ加えると、AV機能に関してはあまり追求しないほうが得策だ。ワンセグくらいはあったほうが便利かもしれないが、音楽再生やビデオ再生など、AV機能を中心に選択を進めるとどうしても機種が限られてしまうし、音質も映像サイズも決してよくはないから、せっかく購入したのにAV機能はあまり使わなかった、なんてことも大いにあり得る。“ナビや使い勝手優先で選んだらワンセグチューナーが内蔵されていた”くらいの気持ちで選んだほうが使い勝手のよい製品が選び出せるだろう。










