
「最新PNDは、どこまで進化しているのだろうか」「車載型カーナビの代わりとして機能するのだろうか」。この気になるポイントを検証すべく、今、もっとも人気のPNDである、三洋電機「Mini GORILLA NV-SB360DT」(以下、NV-SB360DT)、ソニー「nav-u NV-U2」(以下、NV-U2)、パイオニア「エアーナビ AVIC-T10」(以下、AVIC-T10)を徹底レビューした。都心から郊外まで、さまざまなシチュエーションでカーナビ本来の機能を中心にチェックを行ったので、そのテスト結果を、項目ごとに整理してレポートしていく。

価格.comマガジンのコラム「カー&AV道楽」でおなじみの野村ケンジ氏が自身のクルマを運転してテスト。カーナビ初心者の価格.comマガジン編集部員も同乗し、“詳しい人”と“初心者”の両者の視点からチェックを行った。

今回のロードテストでは、3台ともにダッシュボード上に設置して、「大黒ふ頭(神奈川県横浜市鶴見区)」から「逗子マリーナ(神奈川県逗子市小坪)」、「逗子マリーナ」から「新宿」というルートを検索。ルート案内の的確さに加えて、高速道路やトンネル、山道、ビル群での自車位置精度をチェックした。なお各製品が別のルートを提示した場合は、経験上もっとも的確だと思えるルートをチョイスしている。
ポータブルナビを得意とする同社がPNDに本格参入を果たしたモデル。4.5インチワイドモニターを採用するコンパクトサイズながら、約4,000万件の電話番号検索や約3,400万件の住所地番検索、約2,700ポイントの3Dリアル交差点案内など豊富な情報量を誇る。ワンセグチューナーを内蔵し、お気に入りの番組を録画可能。運転中の加減速やアイドリング時間などをGPS信号から計算する「エコドライブ情報III」機能も搭載。
昨年秋に登場したソニーの第2世代PND。先代に対して本体を薄型化、設置性を大幅に向上させている。ジャイロや加速度センサーを搭載して衛星電波が取得できない場所でも正確な自車位置を表示したり、別売ユニットでVICS渋滞情報を取得するなど、PNDの弱点をことごとく解消。ルート案内も、探索条件選択やオートリルートなど、本格的な内容を用意している。メモリースティックDUOに保存されたMP3/MPEG4ビデオファイルも再生可能。
パイオニアの新世代ポータブルナビ。5.8型ワイドモニターはWVGA対応で、地図もワンセグ画面も高精細に表示。また9月1日から始まる通信システムによって、同社が推し進めるプローブ型情報システム「スマートループ」にも対応し、リアルタイム渋滞情報を取得して、最適なルート検索が可能となっている。また別売の電源ケーブルには車速用コードも付属しており、車載型カーナビと同様の自車位置精度を持たせることが可能となっている。
3モデルともに液晶の質はそれほど変わらない印象だが、画面の見やすさに関しては、NV-SB360DTが大健闘。真夏の強い日差しのなか他社の画面が見づらくなりがちであるのに対し、NV-SB360DTだけがくっきりと映し出され、斜めからの視認性もかなり高い。バックライトの輝度に関しては、NV-SB360DTが一歩優れていたもよう。
いっぽう地図画面の配色に関しては、AVIC-T10、NV-SB360DTともにブルー基調ですっきりとした印象。ソニーNV-U2はクリーム色が基調だったが、こちらも上品なイメージがあって悪くない。ただしNV-U2は走行中細街路が非表示になるため、わかりやすいが情報の少なさに不安を持つ人もいるだろう。このあたりは好みの分かれるところだ。
操作性に関しても、NV-SB360DTが大きなアドバンテージを持っていた。PNDはCPU処理速度の都合上、もっさりした動きの製品が多いのだが、NV-SB360DTに関してはまったくの別物。操作に対して反応が素早く、名前入力や住所検索など、タッチパネルを数多く押す場合もまったくストレスがない。しかもメニュー内容がとてもわかりやすく、高速/一般道優先の選択や近隣の駐車場を探したい場合も聞かれてくる内容に答えるだけでよい。こういった手軽さはうれしい限りだ。
とはいえほかの2機種の操作性もけっして悪くはなかった。メニューもうまく整理されており、操作に戸惑うことはまずない。こういったPNDらしからぬ操作性の良さは、各社とも車載型カーナビで培ったノウハウによる恩恵だろう。どれを選んでも、不満をもつことはないはずだ。
AVIC-T10はソニーと同様の「あ行・か行式」。5.8型ワイドというモニターサイズを考えるとフルキーでもよかったような気はする。キーが大きいためもちろん入力は確実だった |
数多くのPNDをテストしてきた経験上、最新スポットの情報に弱いことを知っていたのだが、ここはあえて、ほとんどのPNDにはまだ情報が載っていない“鉄道博物館”と“アンパンマンこどもミュージアム”(ともに昨年オープン)を入力。我ながら意地悪なテストだなぁと思っていたのだが、なんとNV-SB360DT、AVIC-T10の両者で情報がヒットした。なんとも素晴らしい。こういった新施設の情報は地図メーカーなどから来る情報に含まれていないことが多く、PNDメーカーが手入力で情報を入れなければならないことがあるのだが、こういった細やかさに関しては、車載型カーナビメーカーの面目躍如と言ったところか。PNDとはいえけっして手を抜かない両者のがんばりには敬意を表したい。
テスト中にもうひとつ、ユニークな事象が起こった。新宿へのルート案内に「とちょう」というキーワードで検索をかけてみたのだが、こういった曖昧な入力によって各社の特徴が現れた。3社ともにあいまい検索には対応しているので「東京都庁」は表示されたのだが、ソニーは都庁とその展望台が表示されたのみ、NV-SB360DTは「東京都庁」以外にも「都庁」と名のつく店舗などの情報を合計27件表示、そしてAVIC-T10は、あいまい検索が逆効果となってしまい、「インターネット調律センター」「塚本長三郎」など200件あまりのリストからスクロールして選び出す手間が必要となってしまった。しかしながら、きちんと「東京都庁」が表示された点は、3製品ともほめるべきだろう。今どきのPNDはここまで高機能なのだ。
川崎から逗子へのルート案内は、3社ともにほぼ同様。首都高横羽線から大黒線を経由して湾岸線に入り、横浜横須賀道路の朝比奈インターで降りて鎌倉方面への山道を進むというルートが案内された。
対して逗子マリーナから新宿という検索に対しては、三者三様の答えとなった。横浜横須賀道路→横浜新道→第三京浜用賀出口から国道246号線というところまでは一緒だが、その先はAVIC-T10とNV-U2が一般道、NV-SB360DTが池尻から再び高速に乗るルートを表示。用賀出口→246号線は渋滞多発地域のため、渋滞情報を取得できないPNDのいうままに走行すると大変な目に会ってしまう。このあたりは自分を信じて、積極的にルート変更することが必要だ。
ちなみにNV-U2は渋滞回避のリルートを何度となく行ってくれた。その結果に関しては、車載型カーナビに比べてまずまずといったところだが、PNDとしては大きな魅力。この渋滞回避機能だけでもNV-U2を購入する価値がある。いっぽうAVIC-T10もさらに高度なリアルタイム渋滞情報(他のユーザーが走行した情報が加味された詳細なデータ)を取得できる機種だが、残念ながら今回のテスト機では通信が不可能であるためその実力をチェックすることができなかった。こちらはサービスがスタートする9月以降を楽しみにしたい。
以上のように、3者ともルート案内に関してはまずまずの成績だった。
高速道路の分岐点案内、一般道の交差点案内ともに、わかりやすい簡易図やイラストが表示されるNV-SB360DTとNV-U2に関して、進行方向を間違えてしまうことはほとんどなかった。なかでもソニーは、表示や音声アナウンスのタイミングが絶妙。これだったらPND初心者であっても安心して案内に従うことができるだろう。いっぽうのAVIC-T10は、本来表示されるはずの案内がされないことが多々あった。こちらは最終サンプルゆえのバグである可能性が高いため、この項目に関してはノーエントリーとした。
AVIC-T10の交差点案内。自車位置がPNDとは思えない正確さをほこるため、まず、曲がる場所を間違えることはないだろう |
自車位置の正確さに関しては、AVIC-T10とNV-U2がかなりの正確さを確保している。すぐ横に道が併走していても間違うことがなく、交差点通過後も正しい道を示していた。時々ルートを外れることもあったが、復帰が早いため不安に思うことはまずない。ただし高速道路下の一般道を走っている時は、3機種ともに高速道路に乗ってしまうことが多々あった。しかしこれは車載型カーナビでも時々起こる現象。PNDでは致し方のないことだろう。
NV-SB360DTの自車位置精度は、一般的なPNDと大差ないレベルにとどまっていたが、GPS電波の届かない、本来だと動かなくなってしまうトンネル内などでの追従においては、まるで車速を取得しているかのような素晴らしい動きを見せていた。この正確さがあればたとえトンネル出口すぐの分岐でも迷うことはないだろう。他の2つも各種センサーを搭載しているためトンネル内をスムーズに走行、正確さではNV-SB360DTに一歩及ばないという不思議な現象が起こったものの(NV-U2、AVIC-T10ともにジャイロ/加速度センサーを搭載しているためもっとも正確に追従するはずなのだが)、PNDのテストとは思えない、素晴らしい結果となった。
PART1で、PND選びの際に「AV機能にあまりこだわらないほうがいい」と書かせていただいたが、とはいえ、“今どきのPND”は、AV機能などの付加価値も重要視されることが多いのも事実。今回ピックアップした3モデルも、ナビ本来の機能以外にもさまざまなマルチメディア機能が搭載されているのでチェックしておこう。
もっとも大きい5.8型ワイドモニターを搭載するAVIC-T10は、AV機能も充実。ワンセグチューナー、メモリーカードによる音楽ファイル再生(WMA/MP3/AAC)、JPEG画像閲覧などに加えて、Bluetoothアダプターも内蔵。携帯電話のハンズフリーフォンとして活用することもできる。また音声出力端子も用意しており、カーオーディオに接続するのも簡単。ポータブルナビの範疇を超えた充実度を誇っている。
いっぽうのNV-SB360DTもAV機能に関してはそれに劣ることのない実力派だ。ワンセグ放送が予約録画できるうえに、音楽再生(MP3/WMA)やJPEG画像閲覧が可能。FMトランスミッターを内蔵しており、カーオーディオやラジカセで、ワンセグ放送やMP3/WMAの音声を手軽に楽しむことができるようになっている。
実売4〜5万円という3モデルの中で一番安価なNV-U2は、ワンセグチューナーこそ装備していないものの、メモリースティックDUOを利用しての音楽(MP3)/ビデオ(MP4)再生が可能となっている。しかも一時停止や早送り/頭出しが、画面をタッチ/上下左右にスライドするするだけでできるという操作性の良さは、さすがソニーといったところだ。
今回取り上げた3機種は、いずれも車載型カーナビメーカーがそのノウハウを生かして作り上げた新製品だけあって、その内容には十分以上の手応えを感じた。さすがは人気モデル。これまでのPNDのイメージをくつがえす優秀機ばかりだ。こういった製品であれば、ナビとの違いを明確に把握していない人が購入しても、機能や精度に大きな不満を抱くことはまずない。単純に、好みや使い方によって選んでくれてかまわないだろう。最新PNDは、それほどまでに手応えのある製品であることを、実感できたテストだった。
あえて、今回テストした3製品に“うってつけのユーザー”を示すならば、以下のようにジャッジしたい。製品選びで悩んだ際にはぜひ参考にしていただければと思う。
- ●Mini GORILLA NV-SB360DT(三洋電機)
- PND/カーナビ初心者。名前や電話番号、住所検索など様々な検索方法を活用したい人。車外に積極的に持ち出したい人(ワンセグ視聴時で約4時間)。
- ●エアーナビ AVIC-T10AVIC-T10(パイオニア)
- リアルタイム渋滞情報が欲しい+最新の施設情報が欲しい人。カーナビ経験者で、かつモニターは大きい方がいいと思う人。
- ●nav-u NV-U2(ソニー)
- 「渋滞回避」が必要な都会派。自車位置の正確さにこだわりたい人。














