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満を持して登場した「EOS 5D Mark II」は、従来機種「EOS 5D」の特徴である“高画質”を継承・発展させた話題のフルサイズモデル。EOS 5Dからの進化点を中心に、その魅力をお伝えします。(※本レビューは、ベータ機を試用したため、製品版では仕様が異なる可能性があります)
キヤノン「EOS 5D」は、約3年というデジタルカメラとしては異例のロングランを記録した、35mmフルサイズセンサー採用のハイアマチュア向けモデル。その待望の後継機「EOS 5D Mark II」が、2008年11月29日についに登場した。EOS 5Dが人気を集めた理由は、20万円台で購入できる価格設定にあったが、EOS 5D Mark IIも同様に、発売時点ですでに20万円台で購入できるという高コストパフォーマンスを実現。ボディデザイン、撮像素子、連写性能、液晶モニターなどあらゆる点を刷新した、この冬1番の注目作に仕上がっている。
撮像素子には、新構造の2110万画素CMOSセンサーを採用。これは、フラッグシップモデル「EOS-1Ds Mark III」と同じ解像度となる。また、新画像処理エンジン「DIGIC 4」を採用し、高感度撮影時でも圧倒的な画質を実現。最大感度はISO25600を達成している。92万画素表示の3.0型液晶モニターを装備した点も見逃せないポイントだ。さらに、連写性能が3.9枚/秒に向上したほか、ダスト対策機能「セルフクリーニングセンサーユニット」もきっちりと装備。加えて、おまけ的な機能というにはあまりに高性能なフルHD動画撮影機能まで備えている。
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| 撮像素子 | 2110万画素CMOS | ライブビュー | 可能 |
|---|---|---|---|
| オートフォーカス | 9点(+6点アシスト) | ダスト対策 | ○ |
| 連写性能 | 3.9枚/秒 | 動画撮影 | ○(1920×1080、H.264) |
| ファインダー | 視野率約98%(倍率0.71倍) | バッテリー寿命 | 約850枚(CIPA規格準拠) |
| ISO感度 | ISO100〜6400 (ISO50、12800、25600に拡張可能) |
サイズ(WxHxD) | 152×113.5×75mm |
| 液晶モニター | 3.0型(約92万画素) | 重量(本体のみ) | 約810g |
| 記録メディア | CFカード | 発売日 | 2008年11月29日 |
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注目の動画撮影機能は、ライブビュー撮影で行う。1920×1080ドットのフルHD解像度、MOV(H.264)形式で記録される。今回は、ベータ機を試用したため、動画サンプルを掲載することはできないが、ボケ味を生かした今までにない映像を楽しむことができた点はお伝えしておきたい |
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性能・機能だけでなく、デザイン性が進化しているのもEOS 5D Mark IIの見逃せないポイント。流線型を生かしたデザインであることは従来と変わりないが、無駄な部分を削り落としたシャープな印象のボディとなっている。また、マットな質感の塗装を採用しているのもポイントで、フラッグシップモデル「EOS-1Ds Mark III」に似た落ち着いたイメージで高級感がある。
重量が変わらないこともあり、ホールドした感じはEOS 5D Mark IIと大きな違いはないが、グリップ部のラバーの質感が向上しており、滑りにくくなっている印象。さすがに、フラッグシップモデルであるEOS-1Ds Mark IIIほどの良質なホールド感ではないが、EOS 50Dと同じように、しっかりとホールドすることができるグリップとなっている。
また、EOS 5Dと比べて、シャッター音はかなり改善された。EOS 5Dはバタついた感じで、お世辞にも心地よい音ではなかったが、EOS 5D Mark IIでは、かなり切れがよくなった印象。ミラーショックは大きめだが、フィーリング自体は悪くない。
F2.8対応センサーを水平方向に、F5.6対応センサーを水平・垂直に配置した中央測距点を含む9点(+アシスト6点)AFシステムを採用。AF速度・精度ともにハイレベルで、非常にレスポンスよく撮影が行えた。ただ、AFシステムの仕様自体は、EOS 5Dと同じ内容となっている。光源の種類の違いによるピントのズレを自動補正する機能を搭載するなど、アルゴリズムは進化しているため、AF速度・精度が向上しているのは事実だろうが、試用した限りでは、大きな進化は感じなかった。また、ライバル機となるニコン「D700」の51点AFシステムと比べると、利便性で差があるのは事実だ。
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9点(+アシスト6点)測距のAFシステムを採用。ファインダーは、視野率約98%を確保しており、ニコン「D700」の約95%よりもワンランク上の仕様となっている。かなりクリアなファインダーに進化しており、ピントの山がつかみやすかった |
ボディ上部のメイン電子ダイヤルと、背面のサブ電子ダイヤル/マルチコントローラーを使う基本的な操作性に変わりはないが、ボタンレイアウトやメニュー操作・画面など、あらゆる面で大幅な変更が施されている。
もっとも大きく改良されたのは、メニュー画面だ。EOS 50Dなど最新モデルと同様、設定ジャンル別にタブで切り替えて表示するようになった。EOS 5Dでは、タブ表示がなく、サブ電子ダイヤルで、延々と目的の項目までスクロールしなければならなかったため、大幅に操作性が向上したといえる。
また、新たに、ピクチャースタイルを呼び出す専用ボタンや、AFスタートボタンが用意されるなど、ボタンレイアウトも使い勝手がよくなった。細かい部分では、感度やホワイトバランスなどの撮影設定ボタンも、ボタンごとの割り当てが変更されている。
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メニュー画面の操作方法は、EOS 50Dなどの最新モデルと同様、マルチコントローラーでタブの遷移、サブ電子ダイヤルでタブ内の項目移動となる。EOS 50Dとはボタンレイアウトが異なっており、液晶モニター左側にメニューボタンなどが配置されている |
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約92万画素の3.0型液晶モニターを採用したのも見逃せない。EOS 5Dの約23万画素2.5型タイプと比べると、圧倒的に高精細なモニターとなっている。同タイプのモニターを搭載する他製品と同様、コントラストが強すぎるのが難点だが、室外での視認性は十分だ |
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EOS 5D Mark IIのライブビュー機能の内容は、EOS 50Dと同様。「クイックモード」(位相差検出AF)、「ライブモード」(コントラスト検出AF)、「ライブ(顔認識)モード」の3種類のAF方式を採用している。当然、プレビュー表示やメニュー表示を行ってもライブビュー撮影がしっかりと継続する。また、ライブビュー撮影中でも、感度やホワイトバランス、AF方式や測距点の変更が可能。露出補正の効果などを確認できる「露出シミュレーション」や、ミラーアップしたまま撮影できる「静音モード」も利用できる。
明るさ・コントラストの自動補正機能「オートライティングオプティマイザ」、カメラ本体で周辺光量を自動補正する「レンズ周辺光量・自動補正」、白とび軽減機能「高輝度側・階調優先」を搭載する。なかでも、フルサイズ機であることを考慮すると、レンズ周辺光量・自動補正機能を積極的に活用したいところ。なお、高輝度側・階調優先機能利用時は、EOS 50Dと同様、感度がISO200からのスタートとなる。
また、フィルムを選ぶように写真の仕上がりが選べるEOSシリーズ共通の「ピクチャースタイル」は、「スタンダード」「風景」「ポートレート」など計6種類が用意されている。シャープネス、コントラスト、色の濃さなどをスタイル別に設定できるほか、オリジナル設定のスタイルを作成・登録することも可能だ。
| 機能名 | 特徴 |
|---|---|
| オートライティングオプティマイザ | 逆光時や低コントラスト時に明るく自動補正する |
| レンズ周辺光量・自動補正 | レンズごとに周辺光量を自動補正する |
| 高輝度側・階調優先 | ハイライト側のレンジを補正し、白とびを防ぐ |
| ピクチャースタイル | スタンダード、ポートレートなどを用意。カスタム設定が可能 |
以下のサンプルは、蛍光灯下で撮影したもので、使用レンズは「EF24-105mm F4L IS USM」。絞り優先モードで絞りF8に固定し、感度を変更して撮影を行った。その他の設定は、焦点距離50mm、評価測光、オートホワイトバランス、露出補正+1/3で、ピクチャースタイル「スタンダード」、オートライティングオプティマイザ「標準」、周辺光量調整「しない」、高輝度側・階調優先「しない」とした。また、ノイズ低減機能オンのサンプルは、高感度撮影時のノイズ低減「標準」で撮影したものとなる。
※画像をクリックすると元画像が別ウィンドウで開きます
| 感度 | ノイズ低減機能オン | ノイズ低減機能オフ |
|---|---|---|
| ISO100 | ![]() |
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| ISO200 | ![]() |
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| ISO400 | ![]() |
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| ISO800 | ![]() |
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| ISO1600 | ![]() |
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| ISO3200 | ![]() |
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| ISO6400 | ![]() |
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| ISO12800 | ![]() |
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| ISO25600 | ![]() |
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元々高感度撮影時の画質で定評のあったEOS 5Dだけに、後継機がどのくらいの高感度耐性を備えているか気になるところ。心配なのは、2110万画素という高解像度を実現したために、そのトレードオフとして、ノイズ量が増えてしまわないかということだ。ところが、EOS 5D Mark IIは、EOS 5Dを陵駕する驚きの高感度耐性を実現している。ノイズ低減機能を使えば、ISO6400がまったく問題なく常用となるレベルだ。驚きなのは高感度時でも解像感を損ねていないことで、ライバル機となるニコン「D700」と比べて、同等もしくはそれ以上の画質での高感度撮影が可能となっている。
なお、EOS 5D Mark IIのノイズ低減機能「高感度撮影時のノイズ低減」の仕様は、EOS50Dと同じで、「標準」「弱め」「強め」の3パターンから選択可能。低感度撮影時にも、シャドー部の色ノイズを減らす効果がある。「強め」設定時は、連続撮影枚数が少なくなるので注意して使用したほうがいいだろう。
※画像をクリックすると、元画像が別ウィンドウで開きます
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EF85mm F1.2L II USM、F4、分割測光、1/2000秒、ISO200、WBオート、EV0.0、絞り優先、ピクチャースタイル:スタンダード、高感度撮影時のノイズ低減:標準、オートライティングオプティマイザ:標準、周辺光量補正:する、高輝度側・階調優先:する、JPEG |
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EF50mm F1.8 II、部分測光、F4、1/80秒、ISO800、WBオート、EV-0.3、絞り優先、ピクチャースタイル:スタンダード、高感度撮影時のノイズ低減:標準、オートライティングオプティマイザ:標準、周辺光量補正:する、高輝度側・階調優先:する、JPEG |
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EF50mm F1.8 II、分割測光、F8、1/200秒、ISO200、WBオート、EV-0.7、絞り優先、ピクチャースタイル:スタンダード、高感度撮影時のノイズ低減:標準、オートライティングオプティマイザ:標準、周辺光量補正:する、高輝度側・階調優先:する、JPEG |
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EF50mm F1.8 II、部分測光、F2.8、1/125秒、ISO6400、WBオート、EV+0.7、絞り優先、ピクチャースタイル:スタンダード、高感度撮影時のノイズ低減:標準、オートライティングオプティマイザ:標準、周辺光量補正:する、高輝度側・階調優先:しない、JPEG |
※以下の画像は、クリックすると、元画像を幅もしくは高さ1024ドットに縮小した画像が、別ウィンドウで開きます
2110万画素の高解像度素子を採用したことで、今までは描写できなかったような細かい部分もきっちりと表現してくれる。やや輪郭が太くなったり、暗部がのっぺりとする場合もあるが、不自然さはなく、解像感は間違いなくクラス最高レベルだ。また、EOS 5Dと比べて、格段にレンジが広くなった印象で、ハイライト側もシャドー側も階調が残る印象。特にハイライト側は、高輝度側・階調優先機能の搭載もあり、かなり粘ってくれる。色味については、ピクチャースタイルの設定によって異なってくるが、スタンダード設定では、すっきりと明るい印象の上品な写真に仕上がるようだ。
問題は、使用するレンズだ。相性もあるのだろうが、2110万画素をフルに生かすためには、単焦点レンズや高性能「Lレンズ」など、描写力の高いレンズを選ぶ必要がある。中途半端なレンズでは、逆にアラが目立ってしまい、EOS 5D Mark IIの性能を発揮することができない。ただ、超高価なレンズでなくても良質な描写を得られる場合もあり、今回使用した限りでは、低価格なLズームレンズ「EF17-40mm F4L USM」や、格安の50mm単焦点レンズ「EF50mm F1.8 II」などは、EOS 5Dで使用するよりも良好な結果が得られた。
3年の時を経て誕生した「EOS 5D Mark II」は、さまざまな面が大きく進化した高画質マシンに仕上がった。2110万画素を生かした圧倒的な描写力は、フラッグシップモデルであるEOS-1Ds Mark IIIを陵駕するほどのレベルだ。製品リリース時には、高解像度すぎるゆえに、高感度撮影時を含めて画質面を心配する声も聞かれたが、杞憂に終わったといえる。2008年12月現在、もっとも高画質なデジタル一眼レフの1台として高く評価したい。20万円台という価格も魅力で、EOS 5D同様に、ロングセラー機として長く愛されるカメラになりそうだ。
これだけの高画質カメラである以上、その他の性能で求められるのは、どうしても“レスポンス”になってしまう。特に、ライバル機のニコン「D700」と比べると、連写性能やレリーズタイムラグなどで見劣りする。AFシステムもD700のほうが上だ。本格的な動体撮影には、むしろ、下位機種であるEOS 50Dのほうが向いているだろう。ただ、EOS 5D Mark IIは、やはり、“画質”に徹底的にこだわったカメラである。EOSシリーズの最高画質を20万円台で手に入れられることが最大のメリットであることを忘れないでほしい。
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