連載記事

小寺信良のGadget 2 Go!

第8回
今度はテレビの置き場所を開放、HD対応ロケフリ「LF-W1HD」
2007年11月21日掲載

テレビは紐付き?

テレビの置き場所というのは、一見自由なようでそうでもない。なぜならば、アンテナ線のコネクタが出ている部屋に設置する以外にないからだ。では同じ部屋だったらどこでもいいかというと、これもまたそうでもない。アンテナ線が部屋を半周するような位置には、現実にはなかなか置き辛いわけである。

そう考えると、テレビの伝送もワイヤレスにならないか、というところに行き着いていく。そこを解決するのが、12月から発売されるロケフリの新モデル、「ロケフリ Home HD」こと「LF-W1HD」である。

12月1日発売、HDに対応した新ロケフリ「LF-W1HD」 12月1日発売、HDに対応した新ロケフリ「LF-W1HD」

一般的にはロケフリがハイビジョン対応になったという見方をされるこの製品であるが、基本的な立ち位置がこれまでのロケフリとは違っている。それはハイビジョン、あるいはデジタルであるがゆえの制約という事情もあるのだが、そこを上手くスルッと抜けて、使い方が全然別のものになっているという印象である。

何しろ、設置がものすごく簡単になっている。これまでのロケフリは、まず家庭内LANありきからスタートしているわけだが、今回のロケフリは送信機・受信機のペアが決め打ちで固定されており、その通信も独立した無線LANを自前で装備している。

送受信が決め打ちであるから、無線LANも面倒なWEPキー設定などなにもない。最初から設定済みなのである。映像と音声の結線だけは自分でやらなきゃいけないが、あとは電源を入れるだけで繋がる。ITを使うが、ITの設定自体が全然ないんである。

また無線LANも、電波干渉に強い11aと、障害物に強い11gを、状況に応じて使い分ける。送信機側にはアンテナが6本、全方位に向いているので、向きを調整する必要もない。試作機をお借りして筆者宅で1階から2階へ伝送テストしてみたが、全く普通に使えている。これなら多くの人が使えるだろう。

ノーマルサイズのリモコンが付属し、他社製品との連携もばっちり ノーマルサイズのリモコンが付属し、他社製品との連携もばっちり

テレビとの新しい関係が生まれる

アンテナ線に縛られないと、テレビはどう変わるのか。それがわかるのが、このロケフリ Home HDの面白いところである。送信機側には、レコーダを接続しておく。これがロケフリのチューナー代わりだ。もちろん録画コンテンツも見ることができる。HDMI端子がないのは残念だが、それはデジタルソースをそのままワイヤレス化することが許可されていないからだという。

一方受信機側にはHDMI端子がある。テレビ側への接続は簡単だ。さらにHDCP対応のPCモニタがあれば、変換ケーブルを使ってDVI入力することもできる。デスクトップPCのモニタも、テレビにスイッチできるというわけだ。

リモコンを受信機側で操作すると、送信機側に接続したAVマウスから赤外線が発射、これでデッキをコントロールするわけである。映像が1秒ほどディレイするので、操作の結果が帰ってくるのが1秒後になる。そこの操作感だけは、慣れが必要だ。

映像はD端子のアナログ入力をA/D変換したのち、MPEG-4 AVCに圧縮して伝送しているわけだが、画質的にはほとんど問題を感じない。リアルタイムのテレビ放送も録画番組も、別の部屋で、あるいは同じ部屋の都合の良い場所にテレビを置いて、見ることができるわけだ。

もう一つのお得なのは、スカパー!やCATVを見るときである。通常これらの放送を見るためには、STBがある場所に限られる。大抵はメインのテレビのところに設置して、その場所でしか見られないというのが現実だ。

だがロケフリ Home HDを繋いでおけば、別の部屋でも都合の良い時間にこれらを楽しむことができる。送信機は、映像と音声をスルーできるように作られているので、既存のテレビへの結線の間に挟み込むことも可能だ。STBの出力数が限られている場合も、上手く設置できるようになっている。

今回のロケフリ Home HDは、これまでのロケフリのように、家の外から見られたり、PSPで見たりといった機能はない。だがこれまで家庭内であっても、「そこまでケーブルを引いてらんない」という現実的な問題があったわけだ。これを解決することで、テレビと生活の新しい関係が見えてくる。

ライター/小寺信良
ライター/小寺信良
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITといったメディアを独自の視点で分析するコラムで人気を博す。主な連載は、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」ITmedia +D LifeStyleなど。