連載記事

小寺信良のGadget 2 Go!

第11回
「ちょっとしたプレーヤー」のニーズを満たすSanDisk Sansa Clip
2008年2月20日掲載

Napster対応プレーヤーを探す

音楽配信サービスにもいろいろあるが、筆者はもっぱらiTunes StoreよりもNapsterのお世話になっている。もはやメジャーどころは一通り聴いてしまった洋楽好きには、品揃えのレアさ加減がちょうどいいのである。

長いこと音楽ファンをやっていると、手持ちのCDだけでとっくに1000枚を超えている。そうなると知っている曲というのは、ゆうに1万曲を超えていることになる。LPまで含めれば、1.5倍ぐらいに膨れあがる。

これだけになると、「このアルバム持ってるんだっけ?」というのも、30秒ぐらいの視聴ではわからない。その点Napsterはサブスクリプションサービスなので、定額でダウンロードし放題、試聴もフルコーラス聴けるというのは、代え難い魅力だ。

さて、そんなNapsterも、ポータブルプレーヤーに持ち出すとなると、対応プレーヤーが必要になる。しかし日本で売っている対応プレーヤーは、若干大げさ過ぎる。だからいつも米国に行ったときに仕入れている。

今年1月のCES 2008で、SanDiskがプレス向けにノベルティとして配っていたのが、Sansa Clipという超小型MP3プレーヤーだ。貰ったのは1GBのモデルだが、さすが米国ブランドだけあって、Napsterにもきちんと対応している。

SanDisk Sansa Clip
SanDisk Sansa Clip

SanDiskの Sansaシリーズは日本でも売られているが、このSansa Clipは日本未発売である。だがファームウェアには、日本語表示もちゃんと入っていた。現地で売る、売らないに関わらず、言語設定はワールドワイド仕様になっているようだ。

今更ながらMP3プレーヤー進出?

SanDiskのSansaを使ったのは、これが初めてではない。実はCES 2007でも、c200シリーズをノベルティとして配布していたのである。当時はまだ日本で発売していなかったと思うが、外部メモリとしてMicroSDカードスロットがあり、内蔵メモリ以外にも拡張できる点が面白かった。ただ、いかにも中国製といったルックスが今ひとつだった。

Sansa Clipもたぶん中国製なのだろうが、デザイン的にはまずまず納得いく。名前どおり背面にクリップが付いており、服の縁にでもちょっと挟んでおける軽さだ。同じような製品にはAppleのiPod shuffleがあるが、これは画面が何もないので、再生する曲を選ぶことができない。筆者のように、聴くとなったらアルバム単位でしか聴かない人間にとって、これは不便なのである。

Sansa Clipの画面は、おそらく液晶ではなく有機ELであろう。バックライトがなく真っ黒の中から文字だけが浮かび上がるのは、なかなか素敵だ。音質的には、中の下といったぐらいか。EQで補正しないと、そのままではやや辛いレベルだ。

背面のクリップで服に挟める 背面のクリップで服に挟める

USBコネクタは、普通のMini USB端子である。c200は特殊コネクタだったので、ただ充電するにもいちいち専用ケーブルが必要だったのが、とても面倒だった。中身のファームウェアはc200からあまり変わっていないが、ハードウェア的には少しずつ使いやすくなってきている。

ただ製品の製造には、バラツキも多いようだ。筆者の個体は、3回に1回ぐらいは、音楽を再生しようとするとハングアップする。電源を入れ直せばいいのだが、日本製では考えられない品質だ。まあおおむね海外ローカルの電気製品というのは、こういうレベルである。

USBは普通のMini USB端子 USBは普通のMini USB端子

メモリーメーカーであるSanDiskが、音楽プレーヤー事業に乗り出す意味を深読みしてみると面白い。例えばSDカードを始めとするリムーバブルストレージは、1年で半値になってしまう。自分たちが値下げしなくても、周りがどんどん下がるので、価格を下げざるを得ない。それではいつまでもカツカツの商売である。

だが同じメモリをMP3プレーヤーというパッケージにしてしまえば、価格下落に追従しなくても済む。今どきMP3プレーヤーぐらいなら、中国・台湾あたりにいけば、いくらでも気の利いたものを作るベンチャーはある。製造コストも、大した価格ではないだろう。

米国のマーケットは割と地元贔屓なところがあって、日本ではほとんど目立たない在米メーカーのプレーヤーも、量販店にちゃんとコーナーを取って置かれている。SanDiskやCreative、RCAあたりが廉価製品として並んでいるのでは、こういうものが得意な日韓のメーカーからすれば、高級路線に移行せざるを得ない理由も見えてくるというものだ。

ライター/小寺信良
ライター/小寺信良
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITといったメディアを独自の視点で分析するコラムで人気を博す。主な連載は、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」ITmedia +D LifeStyleなど。