連載記事

小寺信良のGadget 2 Go!

第15回
だんだん終わりつつあるデバイス「フィルムスキャナ」
2008年6月20日掲載

フィルムスキャンの専用機が欲しい

他誌の話で恐縮だが、以前から趣味でやっているフィルムカメラの修理が高じて、連載を持つようになった。元々無目的に写真を撮る趣味はないのだが、自分で修理したものがちゃんと動くかを確かめるという目的が加われば、結構撮るものである。

デジカメ全盛の昨今、フィルムという消耗品を使って写真を撮ることはランニングコスト的に合わないと思っている人も多いと思うが、逆に斜陽産業なだけにそれほど高いものでもない。フィルムもカメラ屋をマメに覗いていれば10本1,200円ぐらいで売ってるのに出くわすし、現像も1本500円ぐらいだ。高いのはプリントするからである。だからいつも筆者は、現像のみDPEに出して、自分でフィルムスキャンしている。

これまでは、キヤノンのMP950というプリンタ複合機を使っていた。これにはフィルムスキャン用のホルダが付いている。ただこれは複合機なだけに、家族全員で使う。よくコピーなどでも利用しているわけだが、スキャン台にいろんなものを乗せるので、ホコリや指紋は付くし、時には何か糊付けの跡がガラス面に残ったりして、スキャン前に毎回掃除をしなければならないのが面倒だった。

また困ったのは、35mmフィルム以外のものがスキャンできないことだ。例えばブローニー判などはそもそも付属のフィルムホルダには入らないし、ガラス面に直置きしても光源の幅が足りないので、全面をスキャンすることができない。以前からフィルム専用のスキャナが欲しいと思って下調べはしていたのだが、やはり斜陽な趣味であるのか、新製品もそれほど出ない。

ここらが潮時かと思い、価格コムで値段を調べて、購入することにした。

多彩なフィルムのスキャンが可能

購入したのは、EPSONの「PhotoPC Factory F-3200」である。何のことはない、フィルムスキャナで一番安いモデルだ。他にはNikonのものもあるが、さすがに11万とか28万とかまでは出せない。

F-3200は、発売が2004年と結構古い製品だが、後継モデルも出ず未だに現役で販売されている。ドライバなどはサイトから最新OSに対応したものがダウンロードできるので、今どきのマシンでも使用することができる。メーカーのドライバ以外にも、「VueScan」という汎用のスキャンドライバもある。メーカーサポートが終わっても、長く使うことができるだろう。

F-3200はさすがにフィルム専用スキャナだけあって、対応しているフィルムの種類が多い。中判のブローニー判はもちろん、いわゆる大判と言われる4×5判のフィルムホルダも付属している。また紙焼きの写真もスキャンできる。ただAPSフィルムのホルダがないのは、残念だ。

EPSONの「PhotoPC Factory F-3200」 購入したEPSONの「PhotoPC Factory F-3200」

充実したフィルムホルダ
充実したフィルムホルダ

ホルダは樹脂製だが、フィルム面にはガラスが填っていることもあるのか、厚みがあって結構重い。キヤノンのフィルムホルダはフィルム面は穴が空いているだけなので、フィルムがたわむことがあった。しかしこれならぴったりフィルムが張り付くので、歪みなくスキャンできるだろう。

ホルダにフィルムを装填したら、あとは前面のスロットにホルダを差し込むだけである。スキャンドライバにも、フィルムのサイズを選択する部分はなく、プレビューで全面スキャンしたあと、自動で切り分けてくれる。キヤノンのドライバはこの切り分け位置が微妙にずれるので、調整が面倒であった。

純正スキャンドライバ
純正スキャンドライバは自動で写真を切り分けてくれる

スキャンドライバのEPSON Scanは、キヤノンのMP950に買い換える前にEPSONの複合機を使っていたことがあったので、使い方はすぐに把握できた。つまりはフィルム専用機とは言っても、スキャン部分の機能は複合機のものと同じなのである。

スキャン時に色補正やガンマカーブなど細かい設定を行なえば、S/N良くスキャンできるはずだ。だがこのドライバのGUIで頑張るよりも、適度なところで取り込んで、Adobe LightRoomなどを使った方が、よほど柔軟な補正ができる。

スキャン中はフィルムが飛び出した状態になるので、スキャンしているうちにホコリが付かないか心配な面もあるが、日常的なクリーニングの手間が大幅に削減できたのはうれしい。もはやレア商品となりかかっているので、大事に使っていきたいと思う。

ライター/小寺信良
ライター/小寺信良
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITといったメディアを独自の視点で分析するコラムで人気を博す。主な連載は、AV Watch「小寺信良の週刊Electric Zooma!」ITmedia +D LifeStyleなど。