今年のCEATECはカーAVファンにも面白い!
日本最大、いやアジア最大級の規模を誇る映像・情報・通信の国際展示会「CEATEC JAPAN」が、10月2日より6日までの5日間にわたり幕張メッセで開催されている。
我ら一般ユーザーの見どころとしては、携帯電話やPCなどの情報ツールや、AV機器などエンターテイメント系にまつわる新製品の新発表やお披露目が中心となるだろう。もちろん僕も、ディスプレイやレコーダー、映像配信ネットワークなど、ホームシアター関連の新製品や次世代システムをチェックすべく会場に訪れたのであって、カーAV関連については全く期待していなかった。
なにせ例年のCEATECでは、カーAV関連はブースの片隅でおつきあい程度に展示されている程度。目新しい製品に出会うことはほとんどなかった(強いていえば部品メーカーのなかに興味深い展示品が多少あったくらい)。しかも今年は3週間後に東京モーターショーを控えている。もし目玉となる製品を初披露するならば、当然そちらを選ぶはず。
推測を重ねると、カーAV製品については昨年以上に期待できないと思われたCEATEC。しかし実際に幕が上がってみると、それはまったくの見当違いだということがわかった。なんと今年のCEATECは、クルマ好きにも見ごたえのある展示がいくつも用意されているのだ。
いっぱつ縦列駐車の夢がかなう日産の新技術
まず取り上げるべきが、日産自動車の出展だろう。CEATECに自動車メーカーが(昨年に続き2年連続で)出展すること自体が驚きだし、副社長の山下光彦氏がキーノートスピーチを行うなど、この出展にかなり力が入っている点も見逃せない。個人的には、2日はスカイラインクーペの発表会も行われていたため、フリーのライターとしてどちらに顔を出すべきかという、いらぬ迷いもあった。結果として僕はCEATECを選んだのだが、その選択は決して間違いではなかったと納得できる素晴らしい内容だった。
なかでも、前後左右に4台の車載小型カメラを設置して車両周囲を真上から見た映像を作成、車庫入れなどを容易に行うことができるようにする「アラウンドビューモニター」は必見だ。屋外に用意された別会場を使って実際に縦列駐車のデモンストレーションを行い、縦列駐車が苦手な人も「いっぱつ駐車」の夢がかなう、素晴らしいテクノロジーをアピール。このデモを見られただけでも十分に来た甲斐はあったと思う内容だった。他にも安全面では、アクセルをオフにすることで、前車との距離をチェックし自動的に車間距離をコントロールしたり、両サイドの白線をカメラで認識し横ブレを是正するものなど、近々に採用予定のシステムを紹介。会場にはスカイラインクーペも展示され、東京モーターショーより一足先に新モデルにじっくり触れることもできる。クルマ好きにとっては要チェックのブースとなっていた。
カーAV的にもホームシアター的にも大注目のパイオニア
今年のCEATECの中で、カーAVファン、ホームシアターファンともに注目の的となっていたのがパイオニアのブース。つい先日、高い人気を誇るカーナビ「楽ナビ」シリーズがリニューアルされたばかりなので、さすがにしっかりした展示がされているだろうとブースを訪れてみると、10数台の操作可能な実機が置かれていたほか、新採用となった「スマートループ」技術がアピールされていた。こちらは、ユーザーの実際の走行に基づくリアルタイム渋滞情報をデータ通信によって共有し、より効率的な走行を実現するというもの。
こちらはすでに上位機種の「サイバーナビ」で展開しているシステムだが、この技術を20万円前後の普及モデルに採用することで、これまでに比べ数倍から10数倍の情報集積が見込めるため、より詳細なリアルタイム渋滞情報を実現することだろう。これによってユーザーに供給されるメリットは計り知れない。まさに新時代のカーナビといえるランドマーク的な新製品だ。
加えて立体映像を使った次世代カーナビのデモンストレーションも行われていた。こちらはタッチパネルとその上側にある3Dモニター、左右にあるモニターの計4つを使い、インタラクティブな操作を提案するもの。実際に僕もやってみたが、その操作感はまるで映画の「JM」のよう(古い!?)でかなり面白かった。
いっぽうのホームシアター系では、発表されたばかりの高級プラズマディスプレイ「KURO」シリーズが置かれ、意識的に暗くしたブース内で暗部階調の細やかさをアピール。また新登場の高級AVアンプ「SC-LX90」も用意され、スピーカーの群遅延を補正する「フルバンド・フェイズコントロール」や第3世代となった3次元自動音場補正システム「MCACC」などによって生み出される、これまでとはひと味もふた味も違うダイレクトサウンドを披露。
このように、今年のパイオニアブースは、カーAVファンにもホームシアターファンにも充実した内容となっているので、会場を訪れた際にはぜひこちらに立ち寄ることをおすすめしたい。
カロッツェリアの新高級スピーカーが発表前に聴ける!?
しかし、パイオニアブース最大の注目は、別の場所にあった。カロッツェリアX試聴室整理券を受け取り、ブース2階にある別室をのぞくと、そこにはパイオニアの最高級スピーカー「RSシリーズ」を4ウェイに見立てた巨大なスピーカーボックスと、それをマルチアンプで駆動する4台のカロッツェリアXパワーアンプが置かれていた。席に座り試聴が始まるまで何気なくスピーカーを眺めていると、なぜか違和感を感じる。目の前のものは見まごうことなき「RSスピーカー」だが、どこかが違うのだ。
それは音が出たときに、はっきりと分かった。聴き慣れた「RSスピーカー」の音と全く違う。いや基本的な部分、リアルでスピーディーなサウンドであることは共通だが、音の解像度や再現性が格段に向上していたのだ。そのおかげで、いままで聴こえなかった弱音までもが耳に届くようになり、とてつもないリアルな音場空間を体感することができた。
試聴後スピーカーに近づいてみると、どのユニットもコーン紙やエッジ、センターキャップの形状、素材の質感やコーティングなどが微妙に異なっている。近くにカロッツェリアXシリーズの開発責任者がいたので尋ねてみたところ、いま聴いたものは、なんと年末にも登場するとウワサされている新RSスピーカーの最終サンプルだという。まだ誰も聴いていない最高級スピーカーの音に、こんなところで出会えるとは! あくまでもサンプルなので、今回の音ですべてを判断するわけにはいかないが、この音を発表前に誰よりも早く体験できるというだけでも、CEATECを訪れる価値がありそうだ。
PNDやカーナビの近未来も垣間見える
パイオニアのブースがあまりに充実していたため、他社が霞んでしまった感はあるが、このほかにもカーAVに関する展示がところどころにあった。特に多かったのが、カーナビやPND(ポータブル・ナビゲーション)に関する製品だ。
パナソニックのブースでは、先日発表したばかりのカーナビ「ストラーダ」の実機を置いていたほか、全方位車載カメラのシステムを提案。日産ブースのものとは内容が異なるものの、こちらも注目すべきプランと感じた。
マイタックジャパンのブースでは、PDA+GPSと、カメラ付きの2タイプの新型PNDを参考出品。なかでもPNDタイプは「MIO P350」とは異なりシックなボディカラーなので、男性にも抵抗なく使えそうだ。地図も格段に精細感が増しているので、実際の使い勝手もよさそうだ。こちらは発売未定となっていたが、ぜひともその登場を望みたい。
RWC(アール・ダブリュー・シー)のブースでも、新型のPNDが2タイプ展示されていた。そのうち「RM-A4000」は、3.5インチ液晶採用のバイク向け防滴モデル。陰を作って画面を見やすくする風防や、グローブをしたままでも操作できそうなジョグダイヤルなど、ユーザビリティに関しては熟考が行われた様子がうかがえ、使い勝手はかなりよさそう。発売は11月を予定しているという。
それとこれは直接的なカーAV製品ではないのだが、とてもユニークだったので紹介させてもらおう。
インクリメントPのブースでは、インターネットを使い交差点の道路状況をチェックできるシステムを紹介していた。こちらは四谷見附や飯田橋、江戸橋など都内30か所に置いたカメラの動画映像を、携帯電話などの端末で見られるというもの。サービス開始は2007年度中を目指している。どうもリアルタイムの映像ではないようだが、比較的現在に近い実際の映像を確認できることは、ルート選択の判断には大いに役立つはず。ぜひともカーナビにも搭載してほしい機能だ。
このように、カーAVファンという視点からだけ見ても、今年のCEATECは例年にないくらい充実している。もちろん通信機器やAV関連製品はさらに見どころ満載なので、カーAVファンもそうでない人も、ぜひ会場を訪れてほしい。今後のカーライフを含めたIT生活の参考になるはずだ。
カーオーディオ専門誌「AUTO SOUND」、4駆自動車雑誌「4X4MAGAZINE」などでカーAV系を中心に活躍するフリーライター。常に数台のクルマを所有せずにはいられないクルマ狂であり、同時にラジオすら付いていなかった1970年式のフィアット・チンクエチェントに本格カーオーディオを取り付けてしまった音楽狂でもある。








