連載記事

野村ケンジの「カー&AV道楽」

第18回 「MapFan Navii」は「D4」のキラーソフトとなるか!?
2009年2月13日掲載


実は「D4」オーナーなのです

これまで特にアピールはしていなかったが、僕は「WILLCOM D4」ユーザーのひとりである。

同日発売だった「iPhone」はいまだに所有していないが、それは僕があまのじゃくだからではなく、単に契約していたキャリアと、携帯電話端末の使い方の問題。基本的にメールチェック(+時々電話)用としていままでW-ZERO3を使っていたので、その延長で面倒なく利用できそうな「D4」は便利に見えたし、Vista搭載の新世代モバイルの可能性を知りたかったのも事実。あわよくばノートパソコン1台を省略できるかも、という淡い期待も持っていた。

しかしその考えが大甘に甘かったのはすぐに実感したし、皆さんもすでにご承知のことだろう。詳細については別の機会に譲ろうと思うが、なによりもWindows Vistaを搭載するにはスペックが低すぎること、そしてVistaそのものが原因となっている(と思われる)不安定さが、パソコンとしてだけでなく、ネットツールとしてもかなり使い勝手を悪くしてしまっているのは確か。実際、いまや外出時のメール&Webと子供のゲーム機、さらにあるソフトを使ったもうひとつの活用方法しか我が家では役に立っていない。とても13万円するパソコンの使い道でないのは確かだ。このあたりはWILLCOMの今後の対応を大いに期待したいところだ。

「D4」専用“カーナビ”ソフト「MapFan Navii」が登場

というように、「D4」の使い勝手に関して大変不満を持っている僕が、いまだに手放さず所有しているのは、あるソフトが登場したことによる。それが何を隠そう、インクリメントPが昨年11月末に発売した「MapFan Navii」(マップファンナビィ)なのである。

「MapFan Navii」は、「D4」をPNDとして活用できるようにする「D4」専用のカーナビソフト。パッケージにはアイ・オー・データ機器製のGPSモジュール「UMGPS」が同梱されるセット(24,800円)と、ソフトウェア単体(13,800円)の2タイプが用意されている。GPSユニットをすでに所有していた僕はソフトウェアを単体で手に入れたのだが、これがかなり便利なのだ。

D4」には標準で「NaviTime」がプリインストールされているし、それ以外にも市販のパソコン用ナビソフトはいくつもある。さらなる出費をしてナビソフトを購入する必要はない、と思う人は少なからずいることだろう。しかし「MapFan Navii」は、それらと次元を異にする、ちゃんとカーナビとして“使える”ソフトなのだ。

D4プラスMapFan Navii PNDとしては少々大きいかもしれないが、その便利さで大いに活躍している我が家の「D4」プラス「MapFan Navii」

ポイントはズバリ、まともな「カーナビ」であること。なんとも程度の低い話に聞こえるかもしれないが、それほどまでにパソコン用ナビソフトのレベルは低い。実際いくつかのソフトを使ってみた経験があるが、それらはクルマでの移動に最適化されていないため、車載用としてはかなり使いづらいのだ。そのような現状のなか、やっとカーナビソフトメーカー開発のナビソフトが登場したのである。しかも「D4」専用ソフトと聞けば、オーナーとしては早速試したくなるのが人情だろう。

PNDとしてはトップレベルの実力

では具体的にどのようなところが「使える」のか。取り上げるべきアピールポイントはいくつもあるが、なかでも「操作性」と「地図の見やすさ」、「ルート検索」の3つに関しては、既存のパソコン用ナビソフトとは次元の異なるレベルを誇っている。

まずは操作性について語ろう。「D4」はタッチパネルを搭載しており、「MapFan Navii」はこれを利用したカーナビ然とした直感的なメニュー操作が行える。しかもその反応がかなり良好なのだ。PNDとは異なり、CPUが“パソコンとして使えるくらい”速いため、操作に対する反応が速く、パパパッ!とスムーズな操作が行える(ただしバックグラウンドで別のソフトが動作していないのが前提)。このストレスのない操作スピードは、PNDにライバルなし、カーナビ相手でも十分健闘できるレベル。またタッチパネルの反応もよく、誤入力や二度押しはほとんど発生しない。

ナビメニュー ナビメニューはカーナビ然としたもの。これまでカーナビやPNDを使ったことのある人はもちろん、初心者でも比較的扱いやすい

いっぽう、メニュー体系もいい意味でカーナビ然としており、とてもわかりやすい。たとえばルートを検索する場合、左下の「MapFan」アイコンからメニューを開き、「周辺を探す」「住所で探す」「電話番号で探す」「名称で探す」などの中から検索方法を選択。名称や電話番号などを入力して、目的地を選び出すという手順を踏むのだが、これらの操作系はわかりやすく整理されていて、スムーズに操作が行えるようになっている。小1時間いじり回せば、取扱説明書を読まなくても十分使いこなせるはずだ。

画面の見やすさも、特筆すべきポイント。モニターサイズは5インチと、PNDとしてはやや大きい程度だが、他のPND製品に比べて、車内での視認性が圧倒的によいのだ。これは地図色や表示方法の工夫もさることながら、モニターまわりの質の高さも貢献している様子。解像度が高いうえに発色がしっかりしているので、ダッシュボードセンターなど、ドライバーから比較的遠い場所に設置しても十分に表示内容を把握することができる。

モニター画面 モニター本来の見やすさに加えて配色のセンスも良いため、地図画面はとても見やすい。情報の表示/配置も手慣れた感がありなかなか良好

カーナビとしての実力は?

施設検索やルート案内など、カーナビとしての実力はどうだろう。

施設情報に関しては、並みのレベルといったイメージ。データ量的にはPND並みで、専用機に対して大きなアドバンテージは感じない。ただし情報の“質”に関してはかなり上々。たとえば「鉄道博物館」や「アンパンマンこどもミュージアム」など、比較的新しい施設情報もしっかり網羅されているし、施設によってはきちんと駐車用の入り口近辺に誘導してくれるので、クルマでの移動の際にはかなり重宝する。こういった心遣いは、これまでのソフトにはいっさいなかった点だ。

ルート案内に関しては、幹線道路中心のルートを表示する傾向のため、据置型カーナビを使っている人は少々不満に思うかもしれない。逆に初心者には無難なルートといえる。

プロダクトキー登録画面 WEBからMapFan会員になり、ソフトに添付されているプロダクトキーを入力することでソフトが使えるようになる。さらに月額388円の通信オプションを支払うことで、オンデマンドVICSによる渋滞表示やガソリン価格/駐車場空き情報などが利用可能に。通信費は定額コースに入っていれば増えることはない。PNDとして頻繁に利用したい人にはありがたいかぎり

なによりもデータ通信を利用したオンデマンドVICSによる渋滞表示と、そのデータを利用した回避ルートの案内がありがたい。PNDでこういった機能を持つのはソニーやパイオニアなど一部の機種のみ。ほとんどのPNDは渋滞情報を活用するどころか、表示すらできないので、この点だけでも大きなアドバンテージといえる。

さらにユニークなのが、「Times」など駐車場の空き情報や、近隣のガソリンスタンドの価格を知ることができる点。これが意外に便利で、よく知らない場所に行った時など、とても重宝するのだ。


「D4」専用ソフトとして大きな存在

このように、「D4」プラス「MapFan Navii」は、PNDとして十分以上に活用できる、かなり便利な存在。「D4」の特徴を上手に生かすことのできた貴重な存在といえるだろう。このソフトを一度でも使ってみれば、僕が「D4」をいまだに手放さないでいる理由を充分に理解してもらえるはずだ。

もちろん不満点もある。たとえばルート走行中、交差点を曲がったあとに自車位置を見失うことが多々ある。これは「MapFan Navii」のシステムがGPSだけを頼りに自車位置と方向を察知しているためで、3Dジャイロや加速度センサーを搭載した据置型カーナビやPNDに対して、自車位置精度ではどうしても見劣りしてしまう。

またGPSモジュールは、スリープ状態から復帰するとうまく認識されないことがあるため、再起動を余儀なくされる場合もある。しかも「D4」の再起動には3分以上(僕の個体の場合は5分近くかかる)を必要とするため、ただひたすら待っているのはとても億劫だ。

さらに別売で用意されているダッシュボード固定ステーがいかにも軟弱なうえ、標準バッテリーしか対応していないことや、通信がつなぎっぱなしに近い状態になるため、大容量バッテリーでも1時間強しか電源が持たないなど、そのほかにも不満は多々ある。しかしそれらの多くは自分で工夫したり、もしくは今後のアップグレード(もちろん「D4」や「Vista」の話)に期待することで、その多くが解決できるはず。現在は完璧とまでは言えない「D4」プラス「MapFan Navii」だが、「D4」オーナーにとっては魅力ある組み合わせであることは断言しよう。

MapFan Navii for WILLCOM D4 カーナビ・パック ソフトの提供は、GPSモジュールが付属する「MapFan Navii for WILLCOM D4 カーナビ・パック」と、ソフトのみとなる「MapFan Navii for WILLCOM D4」の2バリエーションが用意されている
IOデータ製GPSモジュール「UMGPS」 GPSモジュールは、これまでも「D4」純正オプションとして用意されていたアイ・オー・データ機器製。USBフレキシブル変換コネクタ(USB2-C2)も付属するが、車載時には別途USBケーブルを購入して、ベストポジションに置くほうがよさそうだ

ライター/野村ケンジ
ライター/野村ケンジ
カーオーディオ専門誌「AUTO SOUND」、4駆自動車雑誌「4X4MAGAZINE」などでカーAV系を中心に活躍するフリーライター。常に数台のクルマを所有せずにはいられないクルマ狂であり、同時にラジオすら付いていなかった1970年式のフィアット・チンクエチェントに本格カーオーディオを取り付けてしまった音楽狂でもある。