連載記事 デジタル一眼レフ ポートレート撮影術

ポートレート写真館 フォトグラファー上原辰也の「A woman glitters more」

第16回 「バリエーション」のつけ方−同じ場所で変化をつけるには?−
2008年8月1日掲載


光の取り入れ方で雰囲気に変化をつける

Canon EOS-1D Mark III EF16-35mm F2.8L II USM
(撮影データ) 絞り優先AE F3.2 露出補正:+1 1/3 ISO感度:800 記録形式:RAW 現像時ホワイトバランス:色温度指定5000K Adobe Photoshop 5.0LE にて画像処理
「商品ディスプレイをメインに、美容室の雰囲気が伝わるようシャンプー台も入れてフレーミングしました。また、シャンプースペースのほうが若干暗めなので、そちらに露出をあわせることで商品ディスプレイの部分を明るくとばし、商品があまりはっきり写らないように狙いました」

本連載の「第4回」で美容室をテーマとして採りあげたように、私は以前から知人の美容師の方と作品創りを行っており、新規出店時や改装時の外観や内装の撮影のほか、内装を生かしたポートレートやホームページでのスタッフプロフィール用の撮影も行うことがある。このような場合、ほぼ限られた空間(店舗内)での撮影となるため、「どのようにバリエーションをつけるか」ということを考えながら撮影を行うようにしている。
店舗内でのポートレート撮影は、光をいかに生かすかが写真に変化をつけるためのポイントの1つになると思う。その手段として、オーナーの了解が得られる場合は、明るい時間帯と暗くなってからの両方を撮影し、光による違いや変化を確認するようにしている。1枚目と2枚目の写真は、夜に撮影したもの。昼間の撮影では、外光の影響で平面的になってしまうことと、商品ディスプレイなどの照明が生きてこないという理由からである。

Canon EOS-1D Mark III EF16-35mm F2.8L II USM
(撮影データ) 絞り優先AE F3.2 露出補正:+1 1/3 ISO感度:1600 記録形式:RAW 現像時ホワイトバランス:色温度指定5000K Adobe Photoshop 5.0LE にて画像処理
「蛍光灯が埋め込んである店舗の入り口の光を生かして撮影しました。また、美容室の雰囲気を出すために画面手前と奥の商品ディスプレイが適度に写り込むようにフレーミングしています」

カメラ位置やモデルのポーズを変えて撮る

こちらの美容室のホームページでは、リニューアルのたびに違った見せ方でスタッフを紹介している。
今回の見せ方は、スタッフの写真にカーソルをあてると、違う写真がポップアップ表示されるというもの。そこで、「2枚の写真が同じようなポートレートでは面白くない」と考え、オーナーと相談し、“普通に立っている写真”と、躍動感のある“ユーモラスな写真”の二種類で変化をつけることにした。
“ユーモラスな写真”を撮るのに便利なのが「広角レンズ」だ。広角レンズを上/下に向け人物を撮影すると頭や足が極端にすぼまって写るという特性を利用するのである。一般的に“顔が大きく足が短い写真”などというものは好まれないものだが、この撮り方の場合、ユーモラスにまとめることで、被写体の魅力を引き立ててくれることもある。また、カメラの位置や、モデルとの距離によって随分と印象が変わってくるので、バリエーションに富んだカットを得やすい。

anon EOS-1D Mark III EF16-35mm F2.8L II USM
(撮影データ) 絞り優先AE F3.2 露出補正:+1 ISO感度:800 記録形式:RAW 現像時ホワイトバランス:オート Adobe Photoshop 5.0LE にて画像処理
「広角レンズで、モデルの顔より若干低い位置から撮影したもの。人物だけ切り抜いて使用する写真のため、背景はあまり気にせずお店の一角をそのまま使用していますが、このような目的の場合、この写真のように、白やグレーの単色の壁紙の前で撮影するなど、後の作業(切り抜き)が行いやすいような背景を選んであげるとよいと思います」
Canon EOS-1D Mark III EF16-35mm F2.8L II USM
(撮影データ) 絞り優先AE F3.2 露出補正:+1 ISO感度:800 記録形式:RAW 現像時ホワイトバランス:オート Adobe Photoshop 5.0LE にて画像処理
「左の写真よりカメラの位置を高くし、かつ、モデルにのり出してもらうようにして撮影したもの。適度に頭が大きく写るよう、カメラの高さは、モデルの顔程度の位置にしています」

Canon EOS-1D Mark III EF16-35mm F2.8L II USM
(撮影データ)絞り優先AE F3.2 露出補正:+1 ISO感度:800 記録形式:RAW 現像時ホワイトバランス:オート Adobe Photoshop 5.0LE にて画像処理
「右上の写真と同様に、モデルにカメラ側へ倒れこむようにしてもらいました。躍動感の演出として、お気に入りの小物や食べ物などを小道具として取り入れるのも効果的ではないでしょうか」
撮影協力:美容室saku(外部サイト)

撮影機材について

撮影機材 EOS-1D Mark II 撮影には、ここ数年、おもに「EOS-1D Mark II」や「EOS-1D Mark III」と広角系のズームレンズEF16-35mm F2.8L USMEF16-35mm F2.8L II USMなどとの組み合わせを使用している。その理由としては、広角側で使用すると背景を大きく取り込むことができ、標準側で使用するとその場の雰囲気を残しつつ、ほどよく背景をぼかせるからだ。
フォトグラファー/上原辰也
フォトグラファー/上原辰也
千葉大学卒。大学病院、製薬会社に勤務し、その間人物及びモータースポーツ撮影で各写真誌コンテストに入選。主な入選暦は、日本カメラコンテスト カラースライド部門金賞、アサヒカメラコンテスト カラープリント部門1位等。現在、フリーフォトグラファーとして人物写真分野で活動中。
運営ブログは、「Tatsuya Uehara Photo Blog 」(外部サイト)。