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話題の「100ドルPC」日本上陸! 5万円以下で買えるXP搭載ウルトラモバイル
ASUSTek「Eee PC 4G-X」

2008年2月15日掲載

驚くべきコストパフォーマンス! XPがちゃんと動いて5万円以下!

「Eee PC」は、今話題の「100ドルPC」の流れを受け継ぐ製品として、今年1月25日より国内販売が始まった注目製品である。100ドルPCというのは、もともと発展途上国での教育目的として、安価で購入できるパソコンを普及させるという理念のもとに開発されてきたノートPCだが、今のところその理念を満たすようなPCは日の目を見ていない。しかし、この理念を受け継いだ台湾のASUSTekが、なんと199ドルという低価格を実現したウルトラモバイルPCを開発し、世界中で注目を集めている。それがこの「Eee PC」なのだ。

まずは、そのスペックをご紹介しよう

Eee PC 4G-X
CPUインテルCeleronM/900MHz
メモリ512MB
記憶デバイス4GBフラッシュメモリ
液晶7インチワイド液晶
解像度800×480/800×600(仮想デスクトップ使用)
ネットワーク100Base-TX/10Base-T、無線LAN(IEEE802.11b/g)
バッテリ駆動時間約3.2時間
搭載デバイスCMOS Webカメラ(30万画素)
ポートUSB2.0×3、SDメモリーカードスロット、外部ディスプレイ端子
付属物4GB SDHCカード、USB光学マウス、専用ケース
OSWindows XP Home Edition
サイズ225(幅)×164(奥行)×22(高さ)mm (最厚部37mm)
重量約920g

Eee PCボディ Eee PCのボディ。7インチワイド液晶を備えたやや横長のスタイルで、キーボードとタッチパッドをしっかりと備える。

Eee PC同梱物 Eee PCとその同梱物。本体のほかに、ACアダプタ、光学式USBマウス、4GBのSDHCカード、専用ケースが付属する

これだけ見ただけでも、Eee PCが一般的なモバイルノートとさほど違いがないことがおわかりいただけるかと思う。199ドルという価格を考えたら、まさに驚異的ですらある。本来は、OSにLinuxを用いることでOSライセンスを無料にし199ドルという価格を実現しているわけだが、日本仕様の「4G-X」については、OSにWindows XP Home Editionをインストールしている。Linuxが苦手という方にも問題なく使える仕様になっているのだ。これだけのスペックを持ちながら、国内での販売価格は5万円を切る49,800円! スペックと値段だけを考えたら、まさに「黒船来航」ともいうべき、ものすごいコストパフォーマンスである。実際、1月25日の発売初日でほとんどのEee PCが売り切れたようで、日本での注目度もかなり高いことがうかがえる。

ちなみに「Eee PC」のネーミングとなっている3つの「E」とは、「Easy to learn, Easy to work, Easy to play」のことで、日本版の「Eee PC」のパッケージにも「学ぶ、働く、遊ぶ どれもかんたん、おてがるに。」と大きく書かれている。このあたりにも、いかに低コストでノートPCを普及させ、特に教育分野で使ってもらおうという「100ドルPC」の理念がうかがえる。「理念はすばらしいが本当にできるのか?」という世間の冷ややかな意見を跳ね返し、このような製品を実現したASUSTekの技術力と理念にまずは敬服した次第だ。

しかしながら、日本での「Eee PC」人気は、こうした理念とは若干かけ離れている。コストが上がってもWindows XPを標準搭載してきたところにも現れているが、日本での「Eee PC」の捉われ方は、「5万円で買えるウルトラモバイルPC」というイメージが強い。実際「Eee PC」の発売を心待ちにして購入したユーザーのほとんどは、パソコンにかなり詳しいヘビーユーザーで、手軽に持ち歩ける小型ノートがほしい、という需要を持った人たちばかりであろう。かくいう私もその1人であって、発売当日に秋葉原の街に赴き、売り切れ寸前の1台をなんとかゲットしたのである。すでに購入から3週間近くがたったわけだが、その間、いつもこの「Eee PC」を持ち歩き、使用している。その実体験に基づくレポートをお届けしたい。

とにかくその小ささに脱帽! 割り切って使う分には最高におトクなインターネット端末

「Eee PC」は値段の安さもさることながら、そのコンパクトさも大きな魅力だ。日本人は、非常に小さいガジェットが好きな国民で、これまでも「ウルトラポータブル」「ウルトラモバイル」をうたったパソコンが数多く発売されてきた。時代をさかのぼれば、IBMの「PC110」や、東芝の「Libretto」にはじまり、カシオの「CASIOPEIA」、富士通の「LOOX」、ソニーの「VAIO U」など、話題になった製品は多い。この手の超小型PCについては日本が最先端であり、この牙城を崩せる存在は出ないだろうと思っていたフシはある。

大きさ比較 一般的なノートPC(13型ワイド液晶)との大きさ比較。とにかく一回りも二回りも小さい。

ところが、そのメイドインジャパン神話が、この「Eee PC」でにわかに怪しくなってきた。それも、日本国内ではほぼPCパーツメーカーとしてしか認識されていない、台湾の「ASUSTek」の製品によってである(注:ASUSTekは、ノートPCでは世界9位のメーカーである:2006年時点)。Eee PCのサイズは、いわゆるB5ノートよりもさらに小さく、サイズ的には「VAIO U」などといい勝負。重さも約0.92kgと、1kgを切る軽さだ。しかも、通常こうしたコンパクトさを売りにしたパソコンは、性能の割に価格が高いのが常識だが、「Eee PC」は値段も5万円以下。もちろん「Eee PC」と、メイドインジャパンの小型PCの性能は違うので、一概に比較はできないが、Windows XPが普通に動作するモバイルPCとしては、この価格差はまさに「黒船来襲」ではないだろうか。

もちろん、安いにはそれなりのワケがある。まず、「Eee PC」には記憶デバイスとしてHDDが搭載されていない。その代わりにフラッシュメモリを使用している。フラッシュメモリを記憶デバイスとして使う例としては、最近話題の「SSD」(Solid State Drive)があるが、この「Eee PC 4G-X」に採用されているのは、わずか4GBのフラッシュメモリである。この中に、OS本体もインストールするため、実際に使用できる記録領域はわずかに800MB程度だ。つまり、大量のソフトのインストールなどはほぼ望めない形なのである。

右側面 右側面。手前側(左側)から、SDメモリーカードスロット、USB2.0ポート×2つ、RGB出力端子が見える。小さくても外部出力端子を省かなかったのはさすが

また、拡張性に関しても、ノートPCには必須ともいえる「PCカードスロット」が装備されていない。SDメモリーカードスロットは備えているので外部メモリは使えるが、ノートPC用に発売されているさまざまな拡張機器は使うことができないのだ。また、液晶が7インチワイドという扁平サイズであり、解像度も標準で800×480ドットしかないので、最近の高解像度を必要とするアプリケーションは動かない可能性もある。こうした各種のデメリットがあるため、「Eee PC」は普通のパソコンとしての用途には向かない。

左側面 左側面。手前側(右側)から、ヘッドホン/マイク端子、USB2.0ポート×1、ネットワーク端子が見える(その横はモデム端子の跡で塞がれている)。左側にもUSB端子があるのは便利だ

7.2Mbpsイーモバイル端末との組み合わせがベストソリューション

では、「Eee PC」の最大のメリットとは何か? それはまさしく「持ち歩けるサイズ」の「Windows XPマシン」であることだ。言い換えれば「インターネット端末」と言ってもいい。常にカバンの中に入れて持ち歩いても苦にならず、いつでもどこでもインターネットにつながるという利便性を持ったウルトラモバイルノートとして割り切って使うのであれば、「Eee PC」は、最高のコストパフォーマンスを実現した製品となるだろう。実際、これだけ小さなボディに、ネットワーク端子とIEEE802.11b/g対応の無線LAN機能を備えており、インターネット端末としては申し分ないスペックを備えている。CPUに採用されているのは、インテルのCeleron M/900MHzであるが、余計なデバイスがないのと、データ転送速度の早いフラッシュメモリを記憶媒体として採用していることもあって、動作は非常に軽快である。実際、インターネットに接続して、YouTubeなどの動画コンテンツを再生してみたが、何の問題もなく映像を再生できた(解像度の問題で、画面の上下が一部切れてしまうという問題はあるにしてもだ)。このあたりは、Windows Mobileベースの携帯端末などよりも大きなアドバンテージといえるだろう。

しかしながら、「Eee PC」をモバイル用途のインターネット端末として使うには1つ困ったことがある。それは、前述の「PCカードスロット」を持たないことだ。外出先などでインターネット接続する場合には、通常なんらかのデータ通信カードを用いる必要があるが、「データ通信カード」という名称が表す通り、こうした製品はたいていの場合、PCカードあるいはコンパクトフラッシュカードの規格に合わせて作られている。でも、「Eee PC」にはこのPCカードスロットあるいはコンパクトフラッシュカードスロットが装備されていない。これでは、ホットスポットのような公衆無線LANサービスを使わない限り、モバイル通信が行えないではないか。

インターネット画面1 800×480ドットの解像度でインターネットを見るとこんな感じ。最近のウェブサイトはさすがに横幅も収まらないことが多いが、表示できる情報量は決して少なくない

インターネット画面2 CPUパワーもそこそこあるため、YouTubeやYahoo!動画などのストリーミングコンテンツも十分堪能できる。若干上下が切れてしまうのは、ブラウザの表示でなんとかなる。ステレオスピーカー搭載なので、サウンドも結構いい感じだ

だが、世の中というのはうまい具合にできているものである。「Eee PC」の販売とほぼ時を同じくして、高速モバイルブロードバンドでおなじみのイーモバイルから、USB接続の新たな通信端末が発売になったのである。実はこれまでもイーモバイルには、USB接続の通信端末は存在していたが、その主なユーザーは、PCカードスロットを持たない「MacBook」のユーザーであった(と思う)。そのUSB通信端末が最近アップグレードし、しかも最大7.2Mbpsという高速通信に対応して新登場したのである! これはまさに渡りに舟! 鬼に金棒である! 実際、大手量販店の店頭などでは「Eee PC」とこのイーモバイル端末とをセットにした販売が行われているが、いつでもどこでも使えるモバイル端末として「Eee PC」を活用するのであれば、現在のところこれ以上優れたソリューションは存在しない。「Eee PC」の購入を考えているのであれば、検討する価値は十分にある組み合わせ内容といえるだろう。

Eee PCとイーモバイル端末の組み合わせ Eee PCとイーモバイル端末「D02HW」の組み合わせ。USBで接続でき、最大7.2Mbpsという高速モバイル通信が行える。最強のタッグである

実際に、私もこのイーモバイル端末「D02HW」を「Eee PC」と同時に購入して、「いつでもどこでもインターネット」を実践しているのだが、これが非常にいいのである。まず軽くて小さいため、基本的に片手で持てる。片手で持ってもう片方の手でマウス操作ができるため、立ったままでも操作できる(若干周囲の目は気になるが...)。それも携帯電話のような小さな画面ではなく、インターネットの画面もきちんとフルサイズで表示できるので、操作性もいい。しかも7.2Mbpsの高速通信だから、ダウンロード待ちとかいうことがほとんどない。内部の処理も結構早いので、画像の表示待ちとかもない。カフェや電車の中など、座って使えるシチュエーションはもちろんだが、立ったまま使えるというのは大きなポイントだ。一度大坂に出張に行った際には、不慣れな街の中でナビ代わりに使うことができたし、地下鉄や電車の路線図も検索でき、非常に重宝した。

ただ、1つだけ注意したいのは、バッテリーの持ちだ。カタログスペックでは約3.2時間の駆動となっているが、このようなモバイル端末をつないで使う場合、当然ながらUSB給電のためバッテリーの持ちが悪くなる。通信をしながらのモバイル用途では2時間も持たないので、電源はこまめに切る必要がある(スタンバイでも電気は食うので、シャットダウンしたほうがいい)。なお、Windowsの起動自体は、フラッシュメモリからの起動ということと、余計なアプリケーションがないため、非常に速いので、その点は心配いらないだろう。

意外にしっかりした作りに感心。キーボードも打ちやすい

このように、インターネット端末としてはかなりいい出来の「Eee PC」だが、もう1つ感心した点がある。それは、キーボードをはじめとした作りが意外にもしっかりしていることだ。日本人のほとんどが、台湾製のパソコンと聞いただけで「安かろう、悪かろう」というイメージを持つと思うが、この「Eee PC」を見る限り、そうした点はほとんど感じられない。逆に、昨今では、国産メーカーのモバイルノートのほうが頼りなく感じることのほうが多いくらいだ。

私は仕事柄原稿を書くことが多いため、パソコンを選ぶ際に、キーボードの打ちやすさを非常に重視する。単純にキーピッチが大きい・小さいの問題だけではなく、キーボード全体の剛性、作りつけのよさもポイントになる。ストロークの深さやタッチ、クリック感には個人の好みがあるし、タイピングミスを減らしてストレスなく文章を入力するためには、キーボードの微妙なレイアウトも問題になってくる。実際ヒマさえあればいろいろなモバイルPCのキーボードをチェックしているが、自分の手にしっくりくるキーボードを持った製品に巡り会うことは非常にまれだ。

キーボード Eee PCのキーボード。キーピッチこそ小さめだが、レイアウトにも無理がなく、ストロークもしっかりある。何より剛性が高く、キーボードを打った際にたわんだりしないのがいい

特にこうしたウルトラモバイル製品に関しては、そのサイズゆえに、どうしてもキーボードの作りが犠牲になってしまうことが多い。もちろんサイズ的にキーピッチが確保できないのもわかるし、ストロークが浅いのも理解できるのだが、実際にキーボードを触ってみてがっかりすることも多いのが現状だ。その点「Eee PC」も、キーボードにはあまり期待していなかったのだが、実際に触ってみると案外しっかりとしたタッチであるのに驚いた。モバイルPCにありがちなキーボード面のたわみもなく、剛性感もバッチリ。キーレイアウトも無理がなく、キーピッチは小さいながらも非常に打ちやすいキーボードであるのだ。正直、私が「Eee PC」を本気で購入しようと決めたのは、このキーボードの出来のよさによるものが大きい。

キーボード入力図 こう見ると窮屈そうにも見えるが、、意外とちゃんと打てる。レイアウトがいいためか、ミスタッチもほとんどない

液晶サイドに設けられたステレオスピーカーもなかなかのものだ。小型のモバイルPCの場合、スピーカーもモノラルであることが多いが、「Eee PC」はきちんとステレオ。しかも結構ちゃんと鳴る。インターネット上のさまざまなマルチメディアファイルやストリーミングファイルを再生してみたが、動画などもコマ落ちしないし、サウンドもちゃんとしているので、非常に使える。4GBという記録容量からいって、メディアプレーヤーにするのは無理があるが、インターネット上のメディア再生というように用途を割り切れば、なかなかすぐれた仕様ともいえる。

なお、「Eee PC」の「泣き所」ともいえる800×480ドットの7インチ液晶だが、コストのしわ寄せが一番来ている部分にしては、さほど質は悪くない。むしろ、そのデメリットを何とか解決しようとする姿勢が涙ぐましい。縦幅480ドットといえば昔のVGAサイズで、今どきそんな低解像度で収まるアプリはほとんどないが、その解像度のデメリットをなんとか解決しようと、800×600ドット(SVGA)の仮想デスクトップモードを搭載しているのである。このモードにした場合、デスクトップ自体がスクロールする形になるため、一部「見えない画面」が出てしまうのだが、慣れると意外に使いづらくない。いざという時(縦幅が足りずに動作できないアプリを使うような場合)のために、こうしたモードが用意されているのは、親切というものだろう。この点は、あえて好意的に捉えたい。

アプリ関連も、「これ1台で完結」という姿勢が如実に表れた形になっており、さすがに「Office」は入らないが、電子メールやワープロ、メッセンジャー機能に加え、簡単なフォトレタッチまで行える「Windows Live」がプリインストールされているので、メールや文書作成などはこれだけで行えるようになっている。Windows XPプリインストールなので、当然ながらMedia Playerやムービーメーカーなどのアプリも入っているし、Internet Explorerや、Outlook Expressも入っている。必要であれば、さほど容量を取らないアプリのインストールも可能だ。好みのエディタやフリーウェアを入れれば、自分好みのマシンにカスタマイズできる。このあたりが、LinuxマシンやWindows Mobileマシンと異なる大きなアドバンテージといえるだろう。

Windows Live 簡易版メーラー「Windows Live メール」。Eee PCのような端末にはこれくらいの軽量メーラーがちょうどいい

以上のように、「Eee PC」は、5万円を切る低価格のウルトラモバイルPCとしては、なかなかによくできた製品である。モバイル用途のインターネット端末として、また持ち出せる原稿作成マシンとして、割り切って使う分には、非常にユニークかつ魅力的な製品といえるだろう。

Eee PC 4G-Xの製品スペック
CPU インテルCeleronM/900MHz メモリ 512MB
記憶デバイス 4GBフラッシュメモリ 液晶 7インチワイド液晶(800×480)
バッテリ駆動時間 約3.2時間 OS Windows XP Home Edition
本体寸法(WxHxD) 225×164×22mm (最厚部37mm) 重量 約920g
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