勝手に注目! ホンダのエイプ(Ape)100 レビュー


クルマ関連

バイクを操る面白さはそのままの「原付スポーツバイク」
ホンダの「エイプ100」

2007年7月9日掲載

「エイプ(Ape)」は、「スーパーカブ」や「モンキー」など、ホンダの御家芸ともいえる4スト・ミニファミリーの1つ。取り回しのよさやバイクらしいスタイル、また、うまく扱えばリッター45キロはいけるという燃費のよさなどから、2002年の登場以来人気の車種となっている原付二種のオートバイだ。近年では、レース出場用車両のベース車両としても人気が高い「スポーツバイク」である。

現在、エイプには、排気量50ccの「エイプ50」と100ccの「エイプ100」の2モデルがあるが、今回“勝手に注目”するのは、「エイプ100」。30キロ速度制限や、二段階右折の呪縛は“ちょっと勘弁”ということで、私は100ccのほうを選んだ。さらに、特別塗装の“デラックス”タイプをチョイスした。

ホンダ「エイプ・デラックス100」 小さいながらもこれぞ“単車”といった面持ち。ゴツめのブロックタイヤが「冒険に行こう」と誘う。ハンドルは腕を前方に出せば自然につかめるアップライトポジション

私は、このエイプ100のほかに大型のバイクを1台所有している。ハーレーダビッドソンの「XLH883/スポーツスター」というモデルで、通称「パパサン(排気量の“883”から)」と呼ばれる現行ハーレーのラインアップではいちばん小ぶりの車種だ。これであちこちツーリングを楽しんだが、非力(?)な私は、やはりUターンや取り回しで苦労することも多い。取り回し中、きつめに傾きはじめたパパサンをリカバリーするのはほぼ不可能。いわゆる“立ちゴケ”でウインカーを割り、涙したこともあった。“でかいバイク”は、ロングツーリングではとにかく楽チンで楽しい。とはいえ、渋滞や信号の多い街中を走る場合、非力な女性には車体だけでなくクラッチの重さも結構キツい。ハーレーのクラッチは特別重いのである。

気軽に乗れるバイクがほしい! でも、スクーターでは物足りない……

街中での取り回しが億劫になったわけではないのだが、「もう少し気軽に乗れるバイクはないものか」と探し始めた。スクーターをすすめられて乗ってはみたものの、「クラッチない」「ニーグリップできない」というのがどうもしっくりこない。もうちょっと“バイクに乗っている”という感覚が欲しかった。そんな中、目にとまったのが、リターン式5速ミッションと空冷4ストロークOHC単気筒99ccエンジンを搭載する原付二種バイクのエイプ100だった。

エイプ100エンジン エアクリーナー エンジンは競技車両のXR100RのものをベースにしたOHCシングル99CCだ。エアクリーナーケースのサイドカバーは工具なしで簡単にはずせるので、エレメント交換が楽に行える

「ミッション搭載」であることは、このバイクを選んだ理由としてもちろん大きいが、もしかしたら、いちばんの理由はこの“バイクらしい容姿”といってもいいかもしれない。さらに、黒いボディに金のピンストライプ、金ホイール、そして金のホンダウィングロゴという限定色が、さらに30代の心の琴線に触れたのだ。往年のF1マシーン「JPSロータス」のようで“70年代のノスタルジー”が感じられ、何とも言えずかっこよかった。

JPSロゴ 金のHONNDAロゴ 30〜40代なら、この黒地に金文字の「JPS」ロゴ(右)で「ロータスF1」を連想する人も多いはず。黒光りするタンクに浮き上がるHONDAロゴとゴールドのピンストライプが、マリオ・アンドレッティ気分にさせてくれる!?

軽くて取り回し抜群。適度なトルク感が「乗って楽しい」バイク!

エイプ100のシート高は、約71.5cm。身長160cmの私には、ほぼジャストサイズといっていいほど足着きがよい。「バイクは片足がある程度着けば問題ない」という人もいるが、非力な女性やテクニックに自信がない人にとって、“足着き”はバイク選びの重要なファクターであるとこれまでの経験から痛感している(笑)。

身長160センチの足着き 身長180センチの足着き 身長160センチ(左)と身長180センチ(右)の場合 ダイヤモンドフレームにフロントはストロークの長い正立テレスコピック式、リアにはプロリンクを採用しており、“街乗り”としての運動性や乗り心地は、このクラスとしては合格点を与えるてあまりある

エイプはバッテリーレスのため、当然「セルスターター」などというものはない。エンジンをかけるにはキックスタートとなるが、始動性もよいので女性でも楽にこなすことができる。過去に乗っていた「SR400(ヤマハ)」のように、時として汗だくになり必死でキックするというような状況にはなったことはない。エンジン寒冷時などは“キック一発”ではスタートできない場合もあるが、苦になるほどではないだろう。大振りなメガホンタイプのマフラーからの排気音は静かな部類だが、100ccシングルなりの歯切れのよさは感じられる。

やや硬めのシートに跨ると、ヘッドライトの上部にビルドインされたスピードメーターがハンドル越しに目に入る。メーターは小振りで、運転姿勢をとった顔の位置からやや距離があり、視認性がよいとは言いがたい。また、夜間ではさらに見にくくなってしまう。

始動はキック式 始動はキック式。軽いキックで始動できる。マフラーのヒートガードワイヤーがかなりせり出しているので、足の大きな男性などはキックの際にかかとで蹴り曲げてしまわないよう注意
エンジン音を聞く(MP3/177KB/約11秒)

ライディングポジションから見たインジケーター インジケーター ライディングポジションからの目の位置で撮影(左)。ヘッドライトと一体型のインジケーター。メーターが小さく走行中の視認性はやや低い。ヘッドライト上部のランプは、左がニュートラルランプ、右がハイビームインジケーターとなっている。ホーンスイッチは左の黄色ボタン。バッテリーレスなので小電力で作動する電子ホーンを採用しており、音は特徴的
ホーン音を聞く(MP3/14.8KB/約2秒)

当たり前だが、大排気量でトルクのあるパパサンに比べると、発進時など多少クラッチミートに気を使うところはある。しかし、100ccだけあって走ってしまえば十分交通の流れに乗って走行可能だ。登り坂やコーナーでは適切なギアを選んできびきびと走ったり、ブレーキにエンジンブレーキを併用して速度調節をしたり、“バイクを操る”という楽しさを十分に味わうことができる。
乗り初め当初気になったのが、 小回りなコーナーリング時にやや“クルん”とハンドルが切れ込む感覚と、直進時の挙動にやや落ち着きがないことだ。これは、短めのホイールベースに、前後“120/80-12”と小径にしては太いタイヤを装着していることが起因していると思われる。とはいえ、いずれも、慣れてしまえば問題のない範囲のものといっていいだろう。

力不足の「ドラムブレーキ」はエンジンブレーキを併用して

回せば制限速度+アルファで走れるエイプ100だが、足回りにおいて少々心もとない点が多い。限界近くまで速度を上げるとサスが音をあげてくるし、まず何よりブレーキがやや力不足でとても飛ばす気にはならない。前後ワイヤー式のドラムブレーキは、いかに100ccとは言えやはり効きが弱い。とっさの危険回避の場面等を考えると、兄弟車である「XR100モタード」が装備する前後ディスクブレーキが欲しいところではある。
とはいえ、ガンガン飛ばすより50〜60km/h程度でエンジンブレーキを併用しつつトコトコ走るほうが快適であるし、また、その方がこのバイクのキャラクターにも合っていると私は思っている。

前輪 ドラム式ブレーキ 後輪 ドラム式ブレーキ 前後ともドラムブレーキを採用している点は、やや不満を感じる。やはり、ディスクブレーキが望ましいところ

人気車種の宿命!? 「エイプ」は盗難が多いので要注意!

エイプを所有するにあたって、絶対に気をつけるべき点がある。それは、「盗難被害にあいやすい」ということだ。人気車種ということだけでなく、エイプは超ベーシックバイクだけにカスタマイズ車としても人気が高い。しかも、エイプ50と100では多くのパーツを共有できるため、残念なことに“パーツ窃盗市場”でも人気が高いようなのだ。現に、私の知人はエイプ50を買って1週間後に盗難にあった。勤務先の敷地内にある駐輪場にハンドルロックのみで停めておいたところ、帰る時には跡形もなく姿を消していたという。もう一人の知人は、買い物中、2時間ほど目を離した間に盗難にあった。こちらもハンドルロックのみだったという。
手軽な街乗りバイクとしては少々面倒だが、エイプは、サブロック必須の車種と考えたほうがよい。また、自宅で保管する際は、鍵用の穴が空いているタイプの車体カバーをかけたり、警報音機能があるタイプのものなどで二重ロックしておくべきであろう。

ディシュ式ホイール ホイールはディシュ式で、U字ロックなどが通せるのは穴が開いているのはフロントのみ。穴の形状が細長いため、使用できる盗難防止ロックの形状が限定される

エイプは、セルスターターもなければ、昨今流行のスクーターのような「大型トランク搭載で積載抜群」というわけでもない。正直なところ、単に街乗りとして考えるならスクーターのほうが便利かもしれない。しかし、エイプの魅力はそういうところにはない。原付バイクの手軽さはそのままに、クラッチをつなぐ感覚や適度なトルク感、SOHCシングルエンジンが頑張って回っている鼓動感など、基本的な“バイクに乗る楽しみ”を味わえるという点にあるのだ。さらに、“ゆったり”ではないものの、十分タンデム走行に耐えてくれるのも大きな魅力。タンデムで走行しているとなぜか”エイプ頑張れー”と言ってあげたくなるし、私は実際声をかける。正に可愛い相棒というところだろうか。根強い人気の理由のひとつにはこんな身近さを感じさせてくれるところかもしれない。
また、超ベーシックバイクなだけにカスタマイズの自由度が高いことも“バイクらしい”魅力。専用パーツも多く発売されているし、エイプカスタマイズのための専門書もある。私自身も、このエイプ100を“カフェレーサー”仕様にカスタマイズする予定だ。ビキニカウルを装備し、ハンドルはセパハンで……、などと考えるだけでもワクワクする。

ふと、エイプのエンジンを見ていて思ったのだが、“エイプ”の名の由来はもしや「立っているシリンダー=直立エンジン=直立猿人=エイプ」ということか? モンキーは「横型エンジン=立ってないエンジン=立っていない猿人=モンキー」ってことなのだろうか。もしかしたら、すごい発見をした……のかもしれない(笑)。

ホンダ「エイプ(Ape)100」の製品スペック
全長(m) 1.715 全幅(m)/全高(m) 0.770/0.970
シート高(m) 0.715 乾燥重量(kg) 82
乗車定員 2人 燃料消費率(km/L) 53.2(60km/h定地走行テスト値)
エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒 最小回転半径(m) 2.0
総排気量(cm3) 99 最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) 7.0[0.71]/6,500
燃料タンク容量(L) 5.5 変速機形式 常時噛合式5段リターン
*価格情報は、2007年7月9日時点のものとなります
価格.comマガジン編集部/YZF-MIYU1
価格.comマガジン編集部/YZF-MIYU1
お気に入りライダーの不調が続きご機嫌斜めのこの頃でしたが、先日、久々にWIN! もてぎでも雄姿を拝ませて〜! motoGP世界選手権日本グランプリは、9月21〜23日開催。みんな、ツインリンクもてぎへ、GO!!!!!!!