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カメラ関連

20万円で購入できる魅惑のフルサイズデジタル一眼レフ
キヤノン「EOS 5D」“最遅”レビュー

2008年7月10日掲載

デジカメ通の方からは、「今さらEOS 5Dをレビュー?」という声が聞こえてきそうですが、やります! キヤノン「EOS 5D」は、35mmフルサイズのCMOSセンサー(35.8×23.9mm)を搭載した、いわゆる「フルサイズデジタル一眼レフカメラ」。2005年9月の発売から約3年にわたって異例のロングランを記録している製品です。すでに後継機の登場も噂されているこのモデルを、2008年2月に衝動的に購入してしまいました。5か月ほど使用してみて、あらためて、素晴らしいカメラであることを実感しています。

待てども待てども発売されないEOS 5D後継機

デジタル一眼レフ通の方であればご存知の方も多いと思うが、キヤノンのEOSシリーズは、エントリー向けの「EOS Kiss Digital」シリーズや、プロフェッショナル向けの「EOS-1D」シリーズなど、どのシリーズも、約1年半という開発サイクルで新製品がリリースされている。そのため、ここで取り上げるハイアマチュア向けのフルサイズモデル「EOS 5D」も、この開発サイクルに当てはめて、当初は、2007年1〜3月くらいに後継機が発売されると考えられていた。

だが、これがなかなか発売されないのである。待てども待てども後継機が出ず、リリースの噂が流れては消え、流れては消え…、気が付けば、EOS 5Dは、2008年7月10日現在、まだEOSシリーズの現行機種としてラインアップされている。その間に、本体価格は、価格.com最安価格で約20万円にまで下落した。発売当初の約40万円という価格と比較すると、おおよそ半額で購入できるようになったのである。

EOS 5D 1210万画素のフルサイズセンサーを搭載する「EOS 5D」。ボディサイズは、152(幅)×113(高さ)×75(奥行)mmで、重量810g

なぜ、3年にもわたって後継機がリリースされなかったかというと、ライバル機が不在であったことが大きい。そもそも、ハイアマチュア向けのフルサイズ機は、2008年7月25日発売予定のニコン「D700」が登場するまで、市場にはEOS 5Dしかなかった。いい意味で、わが道をひた走ってきたカメラといえよう。

EF24-105mm F4L IS USMを装着したEOS 5D EF24-105mm F4L IS USMを装着したEOS 5D 手ぶれ補正機能付きの標準ズームレンズ「EF24-105mm F4L IS USM」を装着したEOS 5D。製品ラインアップとして、この標準ズームレンズとEOS 5Dをセットにしたレンズキットも用意される。価格は、約30万円
EOS 5Dの背面 ボディ背面に、EOS伝統の「サブ電子ダイヤル」やマルチコントローラーなどを装備。タブ方式でないメニュー画面など、最新モデルと比べると操作しにくい面もあるが、EOSシリーズの操作性に慣れている方であれば、問題なく使いこなすことができるはずだ
2.5型液晶モニター 2.5型液晶モニター 23万画素表示の2.5型液晶モニターを採用。最新モデルの高精細な液晶と比較すると、お世辞にも視認性が高いとはいえない

筆者は、2006年末くらいに、フルサイズデジタル一眼レフを手に入れようと考え始めた。当然、EOS 5Dの購入を検討したが、1年半の開発サイクルを考慮すると、「現行機種を購入しないほうがよい」と判断し、後継機の登場を待った。だが、後継機は一向にリリースされず、結局、約1年間悩みに悩んで、DOMKEのカメラバッグと2GB CFカードがプレゼントされるキャンペーン中の2008年2月にEOS 5Dを購入してしまった。「もう少し待てば…」という意見もあろうが、この選択を後悔していない。約5か月使用した現在、後継機を待たなかった選択がよかったか悪かったかと問われれば、「よかった」と即答できる。その理由は、2つある。

理由1:50mm単焦点レンズをそのままの画角とボケ味で使える喜び

EOS 5Dは、35mmフルサイズの撮像素子を採用しているため、レンズの焦点距離の画角のまま、35mmフィルムカメラとほぼ同じボケ味を楽しめるのが最大の特徴だ。35mmよりもひと回り小さいAPS-Cサイズの撮像素子を採用するデジタル一眼レフでは、焦点距離がレンズ表記の1.5〜1.6倍相当になり、レンズ本来の画角・ボケ味を楽しむことができない。APS-C機は、レンズ表記より焦点距離が伸びるため、望遠側で使用するには便利だが、ボケ味という点では35mmフルサイズ機に軍配があがる。

EOS 5D APS-C機 同じズームレンズを使用して、EOS 5Dで50mm、APS-C機で35mm判換算50mm相当(約31mm)の焦点距離で、ほぼ同じ撮影距離で撮影してみた(左がEOS 5Dで、右がAPS-C機)。絞り値は、いずれもF2.8。EOS 5Dの方が背景の照明がボケているのがわかるはずだ

筆者は、50mm標準レンズとフィルム一眼レフを長年使ってきたこともあり、APS-C機でも換算50mm相当の単焦点レンズ(焦点距離35mm)を好んで選択しているが、EOS 5Dと50mm単焦点レンズで撮影した写真を見て、あらためて、明るい50mm標準レンズをそのままのスペックで使える喜びを感じた。APS-C機では絶対に得られない画角・ボケ味で、これだけでも「購入してよかった」と強く感じている。50mm標準レンズを50mm標準レンズとして使うことができるのは、フィルムカメラ時代からの一眼レフ好きの方にとって、これ以上ない喜びなのではないだろうか。

EOS 5D APS-C機 同じ50mm単焦点レンズを使って、EOS 5DとAPS-C機とで、できる限り構図をそろえて撮影してみた(左がEOS 5Dで、右がAPS-C機)。いずれも、絞り開放F1.8で撮影。APS-C機の場合は、35mm判換算80mm相当の画角で撮影しているイメージと考えてほしい
EF50mm F1.8 IIを装着EOS 5D EF50mm F1.8 IIを装着EOS 5D 約9,000円という低価格で購入できる50mm単焦点レンズ「EF50mm F1.8 II」を装着したEOS 5D。EOSシリーズのフルサイズ機を購入した際は、ぜひ、手に入れてほしいレンズだ

理由2:低感度から高感度まですぐれた画質

もうひとつの理由は、“画質”だ。「画質がすばらしい」という評判はクチコミ掲示板などでイヤというほど目にしてきたが、実際に使ってみて、若干、輪郭の太さは感じるものの、得られる画質に対する満足度が、今まで使ってきたデジカメの中でもっとも高いと感じた。結論から言うと、EOS 5Dは、3年前に発売されたデジカメではあるが、低感度から高感度まで、十分な解像感で質感豊かな写真を撮影できる。この「低感度から高感度まで」という点が、このカメラの肝だ。

正直なところ、最新のデジタル一眼レフカメラの中には、パッと見の美しさを求めるがゆえに、“塗り絵”のような質感を失った写真に仕上がってしまうものや、高感度時の画質はすぐれているが、低感度時の画質がそれほどではないものなど、トータルで画質に満足できないモデルがあると感じている。だが、EOS 5Dは、ISO100〜1600の常用感度で納得の解像感と質感を得ることが可能。2008年7月現在、本体価格20万円以下のモデルの中では、画質のトータルバランスはナンバーワンだといってもいい。

ピクチャースタイルに対応 EOS 5Dは、キヤノン独自の画質調整・設定機能「ピクチャースタイル」に対応している。RAWで撮影しておけば、撮影後、好みのスタイルに簡単に変更することが可能だ

また、写真の質感については、EOS 5Dの色傾向が大きく寄与しているように思う。EOS 5Dは、色の乗り方が、最新のデジタル一眼レフと比べるとかなり薄く感じる。このあたりは好みの問題であるが、落ち着いた色味で、筆者は、写真らしい写真が撮れると評価している。破綻が少ないので、RAW現像が非常にやりやすいのも高ポイントだ。

ただ、ダイナミックレンジの広さについては、最新機と比べると差があると感じる。流行のダイナミックレンジ拡張機能を搭載していないこともあって、特にハイライト部は、白飛びしやすい傾向にある。コントラストが強い撮影シーンの場合は、ハイライト側もしくはシャドー側のどちらに露出をあわせるか判断して撮影したほうがいいだろう。

作例

※作例はすべて、オートホワイトバランス、ピクチャースタイル「スタンダード」で撮影したものになります。JPEG撮影でレタッチは行っていません。また、拡大写真は、写真共有サイト「photohito」にリンクしております

作例 作例
EF50mm F1.8 II、絞り優先AE、1/80秒、F4.0、-1.7EV、WB:オート、ISO1600 EF50mm F1.8 II、絞り優先AE、1/1250秒、F1.8、-0.7EV、WB:オート、ISO400
作例 作例
EF17-40mm F4L USM、絞り優先AE、1/13秒、F4.0、+0.7EV、WB:オート、ISO100 EF24-105mm F4L IS USM、絞り優先AE、1/60秒、F4.0、0.0EV、WB:オート、ISO640
作例 作例
EF17-40mm F4L USM、絞り優先AE、1/13秒、F4.0、+0.7EV、WB:オート、ISO100 EF24-105mm F4L IS USM、絞り優先AE、1/40秒、F4.0、-0.7EV、WB:オート、ISO1600
作例 作例
EF50mm F1.8 II、絞り優先AE、1/200秒、F2.8、+1.3EV、WB:オート、ISO1250 EF50mm F1.8 II、絞り優先AE、1/30秒、F1.8、+1.0EV、WB:オート、ISO100
作例 作例
EF85mm F1.8 USM、絞り優先AE、1/400秒、F4.0、+0.7EV、WB:オート、ISO100 EF24-105mm F4L IS USM、絞り優先AE、1/60秒、F5.6、+0.3EV、WB:オート、ISO100

今、EOS 5Dは買い時か? 今後のフルサイズ機のリリース動向を考慮すると…

筆者自身は購入して非常に満足しているのだが、「今、EOS 5Dを購入すべきかどうか?」と問われれば、返答に困ってしまう。正直なところ、今、EOS 5Dを買うのは、かなり勇気のいる決断だ。というのも、これから年末にかけて、キヤノン、ニコン、ソニーから、ハイアマチュア向けのフルサイズデジタル一眼レフが続々と登場すると考えられるからだ。

まず、先陣を切って、ニコンが、ハイアマチュア向けモデル「D700」を7月25日に発売する。2007年11月に発売され、高い評価を得ているフラッグシップモデル「D3」と同じ撮像素子を搭載し、防塵・防滴ボディを採用するなど機能面も充実。約30万円で購入できる低価格が魅力の1台だ。D3よりひと回りボディが小さく仕上がっていることもあり、爆発的な人気を集めそうだ。

D700 D700 7月25日発売予定のニコンの新型フルサイズ機「D700」。人気のD3から多くの性能・機能を継承しており、スペック上は、“リトルD3”と形容できるほどの上々の仕上がりだ

また、ソニーは、同社初のフルサイズモデルを年内に発売する予定。2000万画素オーバーの撮像素子を採用しながらも、かなり安価な価格で登場すると噂されており、デジタル一眼レフ市場を動かす可能性を秘める製品である。

当然、キヤノンも、ライバルメーカーに対抗すべく、EOS 5Dの後継機をリリースするのは間違いない。現在、海外サイトで「EOS 5D Mark II」という、明らかに後継機と思われるカメラのガイド本の予約が開始されており、近々、キヤノンから正式な発表があると見て間違いないだろう(7月中に発表されるとのも噂もある)。「1600万画素CMOSで、5コマ/秒の連写性能」など、EOS 5Dを大きく上回るスペックが噂されているほか、他メーカーの動向を見ると、コストパフォーマンスにもすぐれる製品になりそうだ。断言はできないが、2008年の秋以降に発売されるものと考えていいだろう。

つまり、少なくともあと半年待てば、フルサイズ機の選択肢がかなり広がる状況となるのだ。年末には、デジタルカメラ市場でフルサイズデジタル一眼レフが大きな話題となることは間違いない。

先に述べたように、EOS 5Dは、3年前発売のモデルとしてはかなりよく仕上がっている。ただ、液晶モニターの視認性があまり高くないほか、ノイズ低減機能やダイナミックレンジ拡張機能がないなど、古いデジカメなりのデメリットはある。約20万円という価格は、かなりお買い得だとは思うが、今は“我慢の時”ではないだろうか。ひとまず、後継機の正式な情報がリリースされるのを待って、価格やスペック、画質などをじっくりとチェックしてから、EOS 5D、後継機、他メーカー機のいずれを選ぶかを判断しても損はないはずだ。

製品スペック
撮像素子 35.8×23.9mmCMOS ファインダー 視野率約96%/倍率約0.71倍
有効画素数 1280万画素 バッテリー寿命 約800枚
連写性能 最高約3コマ/秒 サイズ 152(幅)×113(高さ)×75(奥行)mm
オートフォーカス 9点+アシスト6点AF 重量 810g(本体のみ)
価格.comマガジン編集部/mkr
価格.comマガジン編集部/mkr
今一番気になっているレンズは、シグマの「50mm F1.4 EX DG HSM (キヤノン用)」です。本音は、L単の50mmがほしいのですが、完全に予算オーバーなもので。。。