勝手に注目! ケンウッド「I-K70V」レビュー


クルマ関連

iPod/iPhoneをクルマの中で手軽に聞きたい人に最適なカーオーディオ
ケンウッド「I-K70V」

2009年9月7日掲載

ケンウッドの「I-K70V」は、アップルの「iPod」や「iPhone」とデジタル接続できるという点が特徴の1DIN CDレシーバーである。のみならず、一般のポータブルオーディオプレーヤーや、USBメモリーともUSB経由でデジタル接続可能だ。つまり、iPodをはじめとするデジタルオーディオプレーヤーと非常に相性のいいカーオーディオ製品なのである。

iPodとの連携機能を持ったカーオーディオは今でこそ珍しくなかったが、ケンウッドはiPodコントロール機能を持つカーナビを世界で初めて開発するなど、iPodとの連携機能を積極的に進めてきたメーカーのひとつである。なお、ケンウッドとしてiPodとのデジタル接続に対応した初の製品は「U535」という製品で2008年2月に発売されている。しかし、ケンウッドではそれ以前から、一般のデジタルオーディオプレーヤーや、USBメモリーなどのデバイスと直接接続して音楽を楽しめるレシーバー製品を多く開発しており、言ってみれば、こうしたデジタルオーディオ機器との接続に関しては、ケンウッドの得意分野といえる。

「I-K70V」とiPhone 3G 「iPod」はもちろん、人気の「iPhone 3G」もケーブル1本で接続可能。デジタル伝送でいい音を聞けるのはもちろん、iPodライクなメニューでiPodを操作できるのも「I-K70V」の特徴だ

「I-K70V」は、前モデル「I-K7」と同様、iPodとのデジタル接続に対応している。もちろん人気の「iPhone 3G」とも接続可能だ(iPhone 3GSは現在対応確認中)。接続ケーブルも付属するので、本体を購入してクルマに取り付ければ、それだけでiPodやiPhoneを接続して楽しめる。この手軽さはうれしいところだ。しかも、価格が安い。価格.comの最新価格(2009年8月末日現在)では、なんと2万円ちょっとの最安価格がついている。iPod/iPhoneだけでなく、一般のデジタルオーディオプレーヤーも接続でき、さらにCDまで聞けて、接続ケーブル込みで2万円ちょっとというのは、どう考えても安い。iPodやiPhoneで聞いている音楽をマイカーでも同じように楽しみたいと考えている人にとっては、非常に手軽に始められる最適な製品といえるだろう。

「I-K70V」取り付け図 「I-K70V」をマツダの新車「アクセラ」に取り付けてみた。1DINなので、どんなクルマでもスッキリと収まるのがいい。ディスプレイのデフォルトカラーはさまざまな色に変わる10色のバリアブルカラーだが、この色は自由にカスタマイズが可能。さらに、なんとダイヤルの色も別々に設定できるという芸の細かさだ。本体左右には大きめのダイヤルが配置されるが、このダイヤルがレトロモダンな雰囲気を沿えるデザイン上のモチーフになっているのも大きなポイントだ
「I-K70V」イルミネーション 「I-K70V」のイルミネーションを、今回設置したマツダ「アクセラ」のコンソールパネルの色に合わせてアンバーに変えてみた。しかも、このカラー設定は、なんとRGB指定で1000色まで対応するので、どんなクルマにも、このようにマッチさせることができるのだ

「iPhone 3G」と接続して、操作性をチェック!

今回は「I-K70V」をマツダの新「アクセラ」に取り付けて、実際にクルマに試乗しながらのオーディオ試聴を行った。なお、オーディオプレーヤーとしては人気の「iPhone 3G」を使用している。

「I-K70V」とiPhoneとの接続はまさにケーブル1本。「I-K70V」の背面からは、ライン入力とは別に、USBケーブルが伸びているが、今回はこのケーブルをすぐ下の収納ポケットから表に出せるようにした。iPod/iPhoneを接続する場合には、このコネクターの先に付属の専用ケーブルをつなぐことになる。このセッティングにしておけば、iPhoneを接続しないときはポケット内にケーブルを収納でき、接続する際はポケットの中にiPhoneを置いておける。まさに一挙両得のセッティングだ。

「I-K70V」とiPhone 3G 「I-K70V」のメニュー選択は、本体右側のダイヤルで行う。iPodやiPhoneを接続した際には、クリックホイールと同様にこの右ダイヤルを回転させることでメニューを選択し、押し込み(クリック)で決定となる。なお、左側のダイヤルは主にボリューム操作を担当する

このようなセッティングで実際にiPhoneとケーブルを接続してみたが、接続してから数秒通信を行った後に、自動的にiPod/iPhone再生メニューが表示された。いちいち入力ソースを選ばなくても、iPodやiPhoneをつなげば自動的に再生モードになるのはうれしい配慮である。この後は「I-K70V」側でiPodの操作を進めていくことになるが、「I-K70V」でおもしろいのは、メニューの仕様がiPodやiPhoneのメニューと同じであること。さすがにiPodやiPhoneのようなクリックホイールはできないが、その代わり「I-K70V」の右ダイヤルがこれに相当する。ダイヤルを左右に回すことで、iPod/iPhoneのようなホイール回転と同じ動作が行え、メニューの決定もダイヤルを奥に押し込む(クリックする)だけと、iPod/iPhoneとまったく同様なのだ。逆にメニューを戻る際には、ダイヤルを上側に倒せばいい。iPod/iPhoneを使い慣れた人であれば、すぐに操作になじむだろう。もちろんiPodやiPhoneを通常使用しているようなスタイルで手元で操作、直接コントロールができる「iPodコントロールハンドモード」も用意されているので安心だ(iPod with VideoとiPod nano(第1世代)は非対応)。

「I-K70V」USBケーブル 「I-K70V」の背面から伸びるUSBケーブルを、その下の収納ポケットから出すというセッティング。USBメモリーやUSB対応のデジタルオーディオプレーヤーなら、ここにそのまま接続できる。なお、iPodを接続する場合は、このコネクターに付属のiPod用ケーブルをつなぐ形となる

「I-K70V」でもう一つ特筆すべきなのは、ディスプレイのメニュー表示だ。イルミネーションの色が自由自在に変えられることはすでに述べた通りだが、このサイズのディスプレイで日本語での5行表示に対応しているのは珍しい。文字が小さくて見づらいという意見もあるかもしれないが、5行表示では一画面に表示できる情報が多いため、たとえば、曲選択の際には、現在選択している曲以外に前後の4曲を動画面で表示でき、曲が選択しやすい。画面サイズの大きな「iPhone 3G」では一度に8曲程度の曲情報を表示できるが、そこまではいかないまでも前後5曲の表示ができるのは非常にありがたい。実際に使用してみてみても、内部に収録されたアルバムや曲が選びやすく、iPodライクなダイヤル操作ともあいまって、非常に使いやすい(しかも何となく楽しい)と感じた。

○iPod/iPhone接続時の操作メニュー
iPod/iPhone接続時の操作メニュー1 「I-K70V」にiPod/iPhoneを接続。数秒の通信の後にiPod/iPhoneの操作メニューが起動する
iPod/iPhone接続時の操作メニュー2 メニュー体系はiPod/iPhoneとまったく同様。アーティスト別、アルバム別、ジャンル別などさまざまな方法で曲を絞り込める

iPod/iPhone接続時の操作メニュー3 アルバムの中に入っている曲一覧。5行表示のおかげで前後の曲の流れがわかりやすく、お目当ての曲を見つけやすい
iPod/iPhone接続時の操作メニュー4 曲を選択すれば再生が開始される。一画面に表示できる情報が多く、全角16文字までの曲名をフルで表示できるのもうれしい点だ

なお、大容量のiPodやiPhoneには数千曲の曲データを入れて持ち歩いているというユーザーも多いことだろう。こうした場合、ダイヤルの送りだけで中に入っている曲を探すのは大変だが、こうしたケースに備え、「I-K70V」では、大量の曲データを素早く移動するための「スキップサーチ機能」が搭載されている。この機能は、10曲ごとのような単位で曲をスキップして検索できる一種の早送り機能。これを使うことで、大量の曲やアルバムからすばやく目的の曲やアルバムを探し出すことができる。また、アルファベットのイニシャルで探せる「アルファベットサーチ機能」も搭載しているので、もしかしたら、本家のiPodやiPhoneよりも素早い検索が行えるかもしれない。

ミドルクラスなのに本格的なDSPを搭載。音質的にも十分なポテンシャル

マニュアル調整モード 取り付けた車の種類やスピーカーの位置・種類を指定するだけで最適な音場補正をする「SMS」(サウンド・マネージメント・システム)に加えマニュアル調整ができる「DTA」(デジタルタイムアライメント)も装備している。ポジションコントロールと併用することで2cm単位で各スピーカーの距離が設定可能だ。これを設定するだけで車内で聞こえてくるサウンドの質が大きく異なってくる
サウンド・マネージメント・システム 聴くジャンルに合わせた7つのプリセットカーブが選べる「dBイコライザー」に加え、5バンドグラフィックイコライザーで自分の好きなカーブを設定できるマニュアル調整モードも装備。設定次第ではかなり細かな調整まで行える

以上見てきたように、「I-K70V」の最大の特徴はiPod/iPhoneとの連係機能だが、一般のCDレシーバー製品としてもすぐれた性能を持っている。その1つが、本格的な「新型DSP」(デジタル・シグナル・プロセッサー)の搭載だ。

このDSPを使って行える機能は実に多いので、ここで全部は紹介できないが、なかでも便利なのは、乗っているクルマの車種・サイズと、スピーカーの場所・サイズなどに合わせて、最適な音場空間を作り出せる「SMS」(サウンド・マネージメント・システム)と、車内の各スピーカーの出力に合わせて、個別に微妙なディレイをかけることで、臨場感を高めてくれる「DTA」(デジタル・タイム・アラインメント)だろう。こうした細かいサウンド設定が行えるあたりは、いかにもサウンドにこだわるケンウッドらしい仕掛けだ。

また、聴く音楽に合わせて音質を変化させられるイコライザー機能ももちろん搭載している。プリセットされる7つのカーブパターンのほか、5バンドグラフィックイコライザーを操作して自分好みに細かく調整可能な「PROモード」も搭載しており、マニア層のニーズにも応えられる仕様となっている。なかでもユニークだと感じたのは「iPod EQ」という機能。これは、iPodやiPhoneに搭載されるイコライザー機能と同等のエフェクトを与えるもので、いつも聴いているiPodやiPhoneと同様のサウンドエフェクトを車内でも簡単に再現できる。

また、MP3、WMA、AACなどの圧縮データで失われがちな高域や中域の音場を補正してくれる「New Supreme」もおもしろい。実際に、この機能をオンにしておいたところ、ノーマルの状態よりもサウンドにグンと奥行きが出た。MP3などの圧縮データは、高品位なカーオーディオで聞くと、意外に多く音情報が失われてしまっているので、こうした補正機能は非常にありがたい。もし、圧縮音源をカーオーディオで利用していて、今ひとつ迫力がないなあと思っているのであれば、「I-K70V」を試してみる価値はありそうだ。

なお、「I-K70V」のクチコミ掲示板では「低音が弱い」という意見が書き込まれているが、その点も検証してみた。確かに「I-K70V」のサウンドメイキングはどちらかといえばナチュラルなイメージであり、ゴリゴリ押し出すタイプのサウンドではない。低音から高音までフラットな音を出すというのが筆者の個人的な感想だ。もしもっと低音の迫力を増したいと考えるのであれば、2段階用意されている「バスブースト」などの低音ブーストを選択すれば、かなり低音も響くようになる(実はこのバスブーストはただのバスブーストではない。DSPを使用して左右のオーディオ信号より重低音成分をを取り出してミックス。モノラル信号として再度左右のオーディオ信号に合成することで、左右両方のアンプ・スピーカーを有効利用して、よりパワフルなバスブーストを可能とするというひと味違うものらしい)。

「I-K70V」CDプレーヤー部 「I-K70V」はiPodやiPhoneなどのデジタル機器も接続できるが、従来通り音楽CDも再生できる。ふだんiPodやiPhoneを使っていても、外出先で購入したCDなどを再生したいシーンもあることを考えると、CD再生機能はやはり捨てがたい

このほか、高速道路などロードノイズでサウンドがかき消されてしまうような状況に役立つ「HIGHWAY-SOUND(コンプレッサー)」という機能をオンにすると、かき消されやすい小さな音も強調されるようになるので、より明確に迫力を増すことができる。コンプレッサーはDSPを搭載していないと実現できない機能であり、このクラスの製品の中では唯一DSPを搭載している「I-K70V」だけが実現している機能だ。

以上のように、「I-K70V」は、純粋にサウンド面だけを取っても、かなりの性能を持った製品である。もちろん上を見れば切りがないのだろうが、実売2万円ちょっとで購入できるCDレシーバーとしては必要十分以上の機能といえる。このすぐれた基本設計に加えて、iPodやiPhoneをデジタル接続して「いい音」で再生できるというメリットを考えれば、「I-K70V」が非常に超すとパフォーマンスの高い、魅力的な製品であることは明らか。純正のカーオーディオに不満のある人はぜひ購入を検討してみるとよいだろう。

ケンウッド「I-K70V」の製品スペック
再生可能ソース CD、FM/AM、USB(MP3、WMA、AAC)、iPod/iPhone 3G
最大出力 50W×4
定格出力 30W×4
電源電圧 14.4V(11〜16V)
外形寸法 178(幅)×50(高さ)×163mm(奥行)
重量 1.4kg
付属物 iPodインターフェースケーブル(1.5m)、リモコン、PC用アプリケーションソフトCD-ROM
価格.comマガジン編集部/シェフKAMADA
価格.comマガジン編集部/シェフKAMADA
パソコンやら家電製品やらに関してめっぽう詳しいが、実は大のクルマ好きでもある。自称「イタリア人」で、愛車ももちろんラテン系一筋。音楽も大好物で、ロックからクラシックまでなんでも聞く。好きなのはラテンジャズ、タンゴ、フラメンコなどやっぱりラテン系。