

昨年2007年は、任天堂の「Wii」と「ニンテンドーDS」が一人勝ちの様相を見せた家庭用ゲーム機市場だが、その強さは今回の調査でも明らかになった。任天堂の上記2製品は、コントローラーに独自のリモコンやタッチペンを用いることで操作を簡便化し、身体を使って遊べるゲームや、ゲーム以外の学習系ソフトを充実させるなど、これまでの製品にはなかった新たなゲーム機のあり方を提示した。その結果、これまでゲームをあまりプレイしなかった女性層やシニア層にまでブームが広がり、すでに飽和状態と言われていたゲームプレイ人口の底辺を広げることに成功した。ユーザーの満足度でも、リモコンの機能をフルに使って楽しめる「Wiiスポーツ」や、手軽にフィットネスが行える「Wii Fit」、携帯ゲーム機のニンテンドーDS向けでは、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」「漢字検定」など、これまでのゲームソフトとは一線を画したタイトルに人気が集まっていることがうかがえる。
その一方、ゲーム機自体の満足度という点では、任天堂の2製品は意外と評価が低く、従来のゲーム愛好家たちにとっては、機能的にやや物足りない部分があることもうかがえる結果となった。特にグラフィック機能に関しては、ライバル機と比較して性能差があることから、満足度は相対的に低い結果となっている。
こうした状況の中、2007年、ライバルのWiiにかなり差をつけられたソニーの「PS3」だが、昨年末に行われた低価格モデルの投入や、同機が得意とする高精細グラフィックを駆使したゲームタイトルの充実などによって、徐々に人気が高まってきている。実際、次に購入したいゲーム機という設問では、WiiとPS3がほぼ同率で人気を集めており、期待するゲームタイトルとしては「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」のような人気RPGシリーズが軒並み高い人気を得ていることを考えると、2008年は、こうしたメガヒットタイトルの投入によって、PS3の大幅な躍進が期待される。逆に、2007年好調だったWiiには、現状でこうした「やり込み系」のRPGタイトルが少ないことが若干の不安材料となっており、人気RPGタイトルの投入が早期に望まれる。
また、マイクロソフトの「Xbox 360」に関しては、国内での販売数はWiiやPS3にははるかに及ばないが、ゲーム機としてのおもしろさでは、ライバル機を超える満足度を得ている。同機の得意とする、ネットワークを生かした対戦ゲームや、ボイスチャットを使った協力プレイなどに一定の評価があり、マイナーながらもコアなゲームファン層をつかみつつあるといえるだろう。
ゲーム機所有率は任天堂の1人勝ち!
さまざまなメディアなどで報じられている通り、「次世代ゲーム機」と呼ばれる製品の中では、任天堂の「Wii」がトップの所有率。ほぼ同率で携帯型ゲーム機の「ニンテンドーDS」が次点に入り、「任天堂の1人勝ち」という結果がここでも明らかになった形だ。同じ次世代ゲーム機として話題を呼んだ「PS3」は、ここでも苦戦しており、その所有割合はWiiの半分にも満たない結果となっている。
【図1.各ゲーム機所有率】※1年以内に購入した人の所有率
最も遊んでいるゲーム機はDS。続いてWii(ウィー)
この半年間を例にとって、もっとも遊んでいるゲーム機では、携帯型ゲーム機の「ニンテンドーDS」が過半数を占めるダントツのトップとなった。所有シェアでは、任天堂の「Wii」がトップだったが、携帯して場所を選ばずどこでも遊べる「ニンテンドーDS」のほうが、プレイ時間としては長いという結果だろう。また、「ニンテンドーDS」は、ゲーム以外にも、長期に渡ってプレイできる学習ソフトや、「脳トレ」などの飽きの来ないソフトもあり、総じてプレイ時間が長くなっているものと思われる。いわゆる「やり込み度」が高いソフトが多いのが特徴といえるだろう。
【図2.この半年間で最も遊んでいるゲーム機をお選び下さい】
最も遊んでいるゲームソフト
Wii(ウィー)は体感ゲーム PS3は続編ゲーム DSは学習ゲーム
この半年間でもっとも多く遊んでいるゲームを各機種ごとに聞いた。
まず、シェアトップの任天堂「Wii」では、Wii本体と同時に発売された「Wiiスポーツ」の割合が多い。Wiiの特徴となっているリモコンをフルに活用し、テニスやボーリングなどのスポーツを身体を使って楽しめるゲームだが、家族で楽しんだり、友達と楽しんだりすることで、長く楽しめる「息抜きゲーム」としての評価は高い。このほか、Wiiでは、この年末に発売されたエクササイズソフト「Wii Fit」のプレイ率も高く、同ソフトの注目度の高さがうかがえる。
次に、高画質グラフィックが売りの「PS3」だが、まださほどソフトの本数が多くないこともあって、メガヒット的なタイトルはあまり見られない。比較的多かったのは、PS2でも発売されていた「みんなのゴルフ」や「グランツーリスモ」「三國無双」といった作品の続編ゲーム。おもしろいのは、ネットワークでの協力プレイが楽しめる「WARHAWK」。こちらに関しては、価格.comの掲示板を通じて知り合ったユーザー同士がお互いに協力してゲームをプレイしているという意見が寄せられていた。マイクロソフトの「Xbox 360」も、ネットワークプレイが行えるゲームの人気が高かった。
いっぽう携帯型ゲーム機に目を移すと、「ニンテンドーDS」では、やはり「脳トレ」こと「脳を鍛える大人のDSトレーニング」や「漢字検定」「えいご漬け」といった、ゲーム以外の学習系ソフトが目立つ。ゲームとしては、「マリオパーティー」「スーパーマリオブラザーズ」「マリオカート」など、これまでも任天堂ゲーム機でヒット作となっていたマリオ系のゲームが強い人気のようだ。
ソニーの「PSP」に関しては、「モンスターハンターポータブル」や「みんなのゴルフ」など、PS2からの移植ものに加え、「ファイナルファンタジー」などのRPGも人気が高い。
【図3.この半年間で最も遊んでいるゲームソフトは何ですか?】
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遊ばなくなった理由
ほとんどのゲーム機で「やりたいゲームソフトの種類が少ない」
この半年で遊ばなくなったゲーム機とその理由について聞いた。
もっとも多かったのは、ソニーの携帯ゲーム機「PSP」で過半数を超えている。PSPに関しては、他のゲーム機に比べて登場が比較的古いこともあり、ある程度仕方ない面もあるが、同じ携帯ゲーム機の「ニンテンドーDS」に取って代わられたという面が大きいだろう。次いで、マイクロソフトの「Xbox 360」と「ニンテンドーDS」が続く。この2機種もすでに発売から2年が経過しており、「他に遊びたいゲーム機ができた」という理由が比較的高いことから、「Wii」や「PS3」への乗り換えも多くなっていることがうかがえる。
また、ゲーム機で遊ばなくなった理由としては、ほとんどのゲーム機が「やりたいゲームソフトの種類が少ない」がトップになっているが、「ニンテンドーDS」だけは「遊ぶ時間がなくなった」という回答がもっとも多くなっているのが印象的。「ニンテンドーDS」のユーザーは、ほかのゲーム機とはだいぶユーザーのタイプが異なり、これまでゲームをあまりプレイしていなかった人が多いことが、遊ぶ時間の少なさを理由にゲームをプレイしなくなった原因になっているといえそうだ。
【図4.この半年間で遊ばなくなったゲーム機をお選び下さい】
【図5.遊ばなくなった理由をお選び下さい】
ゲーム機購入の決め手「やりたいゲームが販売される」と「話題になっているため」
各ゲーム機における購入の決め手を聞いた。
全体的に見ると、圧倒的に多いのが「やりたいゲームが販売されるため」と「話題になっていたため」の2つ。いずれも、何か目新しいゲームタイトルが発売されることが決め手となっているようだ。
ゲーム機別に見ると、話題性のほうが先行しているのが任天堂の「Wii」。これまでになかったタイプの操作システムや、「Wiiスポーツ」、「Wii Fit」などの話題性の高いタイトルが多かったことが、人気につながっていることがうかがえる。
特徴的なのは、マイクロソフトの「Xbox 360」で、購入の決め手の2位に「オンラインゲームができるため」という回答があがってきている。日本国内では話題性が少ないXbox 360だが、オンラインプレイ対応のゲームが多いことでは知られており海外でも人気が高い。この機能に注目して購入を決めたユーザーが多いようだ。
【図6-1.ゲーム機を購入した決め手をお選び下さい】
【図6-2.各ゲーム機における購入の決め手】
プレイステーション3 | ||
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1位 | やりたいゲームソフトが販売されるため | 49.8% |
2位 | 話題になっていたため | 27.6% |
3位 | ゲーム機本体の値段が下がったため | 19.9% |
4位 | 無料体験版のゲームがあるため | 19.5% |
5位 | オンラインゲームが出来るため | 17.6% |
Wii(ウィー) | ||
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1位 | 話題になっていたため | 61.8% |
2位 | やりたいゲームソフトが販売されるため | 47.2% |
3位 | ゲーム機本体の値段が下がったため | 21% |
4位 | 動画サイトでアップされていた動画が面白かったため | 1.9% |
5位 | オンラインゲームが出来るため | 1.9% |
Xbox360 | ||
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1位 | やりたいゲームソフトが販売されるため | 79.5% |
2位 | オンラインゲームが出来るため | 26.9% |
3位 | ゲーム機本体の値段が下がったため | 23.1% |
4位 | 動画サイトでアップされていた動画が面白かったため | 12.8% |
4位 | 無料体験版のゲームがあるため | 12.8% |
DS | ||
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1位 | やりたいゲームソフトが販売されるため | 54.3% |
2位 | 話題になっていたため | 48.5% |
3位 | ゲーム機本体の値段が下がったため | 3.9% |
4位 | ゲームソフトの値段が下がったため | 2.1% |
5位 | オンラインゲームが出来るため | 1.2% |
PSP | ||
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1位 | やりたいゲームソフトが販売されるため | 49.3% |
2位 | 話題になっていたため | 30.9% |
3位 | ゲーム機本体の値段が下がったため | 9.9% |
4位 | オンラインゲームが出来るため | 5.7% |
5位 | ゲームソフトの値段が下がったため | 5.3% |
携帯ゲーム機は概ね満足、据え置きゲーム機はXboxが善戦!
各ゲーム機ごとに、さまざまな項目別の満足度を聞いた。
まず、据え置きゲーム機では、「PS3」と「Xbox 360」がほぼ同じ傾向を示しており、グラフィック性能とネットワーク機能での満足度が高い。PS3のほうが、グラフィック性能の満足度がやや高く、Xbox 360のほうがネットワーク機能でやや秀でた形だ。
一方の「Wii」は、上記2機種とはやや異なる傾向を示している。上記2機種で満足度の高かった「グラフィック性能」に対する満足度が低く、その他の項目でも満足度は全般的に低い。ただし、「ゲームソフトのおもしろさ」という点では、PS3をわずかに上回っている。意外かもしれないが、ゲームソフトのおもしろさの満足度では、Xbox 360がほかの2機種を大きく上回った結果だ。
次に携帯ゲーム機を見てみると、こちらも「PSP」のほうが、「ニンテンドーDS」を全体的に満足度では上回っている。特に「グラフィック機能」では、ニンテンドーDSの満足度は低い。ただ、全般的に見ると、携帯ゲーム機の満足度はほとんどの項目で40%を上待っており、据え置きゲーム機よりは、どちらの製品も満足度は高いといえそうだ。
【図7.各ゲーム機にどの程度満足されていますか?】※満足している人の割合
据え置きゲーム機
携帯ゲーム機
好きなゲームジャンル
PS3:レース Wii(ウィー)スポーツ Xbox:アクション 携帯ゲーム機:ロールプレイング
好きなゲームのジャンルを機種別に聞いた。
まず据え置きゲーム機では、「アクション」「ロールプレイング」「シミュレーション」の3ジャンルは、軒並み人気が高い。特徴的なのは、「Wii」で「スポーツ」の人気がかなり高いこと。これはヒット作となった「Wiiスポーツ」の効果であろう。また「PS3」では、「レース」の人気が比較的高い。こちらは、昨年末に発売された「グランツーリスモ5」などの後押しがあるものと思われる。
次に携帯ゲーム機だが、「PSP」、「ニンテンドーDS」とも「ロールプレイング」の人気は一番高いが、そのほかのジャンルは見事に傾向がわかれている。PSPのほうは、一般的な据え置きゲーム機の代替機という印象が強く、やはり「アクション」「シミュレーション」が人気が高い。
一方、ニンテンドーDSでは、「パズル」や「テーブル」といったジャンルの人気が高く、一般的なゲーム機とはだいぶ人気の傾向が異なる。ニンテンドーDSでは、外出先などの空いた時間で軽く遊べるゲームに人気があり、発売されているソフトのラインアップでも、「脳トレ」「漢字検定」など、パズル系のタイトルが多いことが理由になっていると思われる。
【図8.好きなゲームのジャンルをお選び下さい】
据え置きゲーム機
携帯ゲーム機
今後欲しいゲーム機
Wii(ウィー)とPS3がほぼ同率トップ
最後に、今欲しいゲーム機では、「Wii」と「PS3」がほぼ同率のトップとなった。PS3は、発売1年経過時の今では、Wiiに大きく差をつけられているものの、昨年末に発売された廉価モデルの影響や、ソフトの充実に伴って、徐々に人気を上げてきている。「おもしろそうなソフトが出るまで様子見」というユーザーも含めると、今後もっとも成長しそうな勢いが感じられる。
一方、昨年絶好調だったWiiだが、「Wii Fit」などの注目タイトルが登場したことで、まだまだ高い人気を保ち続けている。一部では、「コントローラーの奇抜さばかりが目を引いて、本当にやりこめるゲームが少ない」と揶揄されることも多いWiiだが、家族層を中心に新たなユーザー層を獲得しているのは間違いなく、今後もしばらくその人気は続きそうだ。
また、携帯ゲーム機では「ニンテンドーDS」が絶好調だが、昨年1年である程度普及が進んだこともあって、これから欲しい製品としては、8.4%とさほど高くない数字となった。
【図9.今後欲しいゲーム機をお選び下さい】
- ◎アンケート期間:
- 2007年12月25日〜2008年1月7日
- ◎アンケート回答者数:
- 3,422人
- ◎男女比率:
- 男84.6%:女15.4%
- 【価格.comリサーチ】No.001 次世代ゲーム機対決! (2006年12月掲載)
- 【ゲーム】新着ゲームレビュー
- 【価格.comマガジン】年末年始はゲーム三昧!! (2007年12月掲載)
- 【特集】新型PS3・40GBモデルを徹底解剖! (2007年11月掲載)
- 【特集】東京ゲームショウ2007 新作ゲーム特集 (2007年10月掲載)
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【価格.comリサーチ】No.001 次世代ゲーム機対決!
Wii発売から2週間後、最速で次世代ゲーム対決の状況をリサーチしました。
(2006年12月掲載)【ゲーム】新着ゲームレビュー
新着ゲームレビューなどゲーム情報が満載!【価格.comマガジン】年末年始はゲーム三昧!!
今、あなたが買うべきハード&ソフトはこれだ!?
(2007年12月掲載)【特集】新型PS3・40GBモデルを徹底解剖!
(2007年11月掲載)【特集】東京ゲームショウ2007 新作ゲーム特集
(2007年10月掲載)