決算書の簡単な見方、株式投資で重要な決算短信を解説

  1. ホーム > 
  2. 投資・資産運用 > 
  3. 証券会社(ネット証券) > 
  4. 株式銘柄の選び方 > 
  5. 決算書の簡単な見方、株式投資で重要な決算短信を解説

2017年2月27日掲載

株式銘柄の選び方

決算書の簡単な見方、株式投資で重要な決算短信を解説

業績がよい企業の株を探したい場合に、経営成績が詰まった資料である決算書を読み込むことは重要です。決算書の見方がわかるようになると、その企業の実態がわかるほか、他社との比較もできます。
株価が安いにもかかわらず業績がよく、価値が高い資産を抱えている企業は、いわゆる“お宝銘柄”になります。こうした銘柄は決算書からどのように探すのでしょうか。
企業の財務分析にくわしい、ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太さんが決算書、特に決算短信の見方について解説します。

ファイナンシャル・プランナー 伊藤亮太(いとう・りょうた)

証券会社などを経て、独立系ファイナンシャル・プランナー(CFP)として資産運用などの相談、講演、執筆を行う。大手メディアでの活動も多数。年金・保険分野にも明るい。東洋大学経営学部非常勤講師

ファイナンシャル・プランナー 伊藤亮太氏

決算書とは?

上場企業が公表する決算書には、大きく分けて「有価証券報告書(ゆうかしょうけんほうこくしょ)」と「決算短信(けっさんたんしん)」があります。

有価証券報告書は1年間の経営成績や保有資産など、こまかな情報が記載されたものです。会計士の監査を受けた正式な決算書になります。

決算短信とは、決算書の速報版になります。速報版とはいえ、貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)や損益計算書(そんえきけいさんしょ)といった、お金の使い方や流れが一覧できる資料が記載されており、四半期に一度開示しなければならないことになっています。

決算書の速報版!決算短信の見方

株式投資においては、決算短信が重要な資料となります。企業の業況をいち早く確認できる資料であり、内容によって株価が大きく変動するためです。以下では、決算短信にどのようなことが記載されているのか、解説していきます。

ある企業の決算短信

平成28年3月期の連結業績(平成27年4月1日〜平成28年3月31日)
連結経営成績
  売上高 営業利益 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益
  百万円 百万円 百万円 百万円
28年3月期 300,000 5.3 156,000 24.8 151,000 23.8 60,400 23.8
27年3月期 285,000 △18.5 125,000 △20.3 122,000 △19.6 48,800 △21.6
  • (%)表示は対前期増減率

決算短信の1ページ目には、その企業の業績を把握するうえで最も重要な売上高、営業利益、当期純利益といった項目が記載されています。

売上高とは、その企業が製品や商品、サービスを販売して得たお金です。一般的に、売上高が増加することは、その企業の規模が拡大していることを意味します。
売上高が増加しなければ、利益も大きくは増えません。売上高が毎年きちんと増えているかどうか、まずはチェックしてみましょう。

営業利益とは、本業で稼いだ利益になります。この数字が増加していれば、本業でしっかり利益が出ていることがわかります。

当期純利益とは、一般的に、法人税を支払った後で最終的に企業の手元に残る利益を示します。純利益と呼ばれることもあります。配当金の原資にもなるため、営業利益と同様、毎年着実に増加していることが望ましいといえます。

業績を確認するうえで重要なのは、単にその年だけでなく、前年の同じ時期と比べてよかったかどうかをチェックする必要があります。

四半期ごとの業績であれば、決算短信の1ページで公表する「通期予想」と比較して進ちょく度合いを確認してみましょう。通期予想を達成できそうな場合は問題ありません。進ちょくが遅れている場合には、何か問題がないかどうか確認する必要があります。

ある企業の4〜9月期決算の内容と通期予想

平成28年3月期第2四半期の連結業績(平成27年4月1日〜平成27年9月30日)
連結経営成績(累計)
  売上高 営業利益 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益
  百万円 百万円 百万円 百万円
28年3月期第2四半期 160,000 8.1 77,450 7.1 74,500 4.6 35,200 37.5
27年3月期第2四半期 148,000 △12.5 72,300 △10.3 71,200 △10.6 25,600 △23.8
  • (%)表示は対前期増減率
平成28年3月期の連結業績予想(平成27年4月1日〜平成28年3月31日)
  売上高 営業利益 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 1株当たり当期純利益
  百万円 百万円 百万円 百万円 円 銭
通期 295,000 4.5 150,000 21.3 142,000 20.9 58,000 19.5 190.46
  • (%)表示は対前期増減率

上記の例を見てみましょう。この企業の第2四半期(4〜9月、半年)の経営成績は、前年の同じ時期を上回っています。通期の予想に対する進ちょくも、売上高は2950億円の予想に対して現時点で1600億円と、50%を上回っています。6か月で通年の計画の半分を超えているので、おおむね順調な業績といえるでしょう。

通期予想に関しては、インターネット関連企業など変化が激しく、予想が難しい業種では公表しないケースもあります。この場合には、前の四半期と比べて売上高や営業利益が上り調子かどうか確認してみましょう。

決算短信の深掘りをしよう!企業のすべてが詰まった財務諸表

決算短信には、売上高や利益だけでなく、売上高や利益の具体的な中身を示した「損益計算書」や保有している資産・負債を一覧にした「貸借対照表」も記載されています。
こうした資料は「財務諸表」といい、深く分析することができれば、リスクが高い銘柄を把握し、投資対象から外すことも可能になります。

貸借対照表は、バランスシート(B/S)ともいいます。企業が保有する資産、負債、事業活動の元手となる資本の状況がわかる資料です。一般的に、負債が少ない方が、財務は健全といえます。ただし、業種によって負債が多いケースもあります。

貸借対照表は、あくまで決算日での企業の資産・負債の状況を示したものにすぎません。手元資金が豊富など、財務が健全だったとしても、売上高や利益が毎年増加していなければ成長企業とはいえません。
財務内容が健全であれば株価上昇の一要因ではありますが、それだけでどんどん株価が上がっていくわけではないので、注意が必要です。

損益計算書は、1年間もしくは四半期ごとに売上高や利益のこまかい中身を記載した資料です。英語で「Profit and loss」といい、略してP/Lと呼ばれることもあります。
売上原価や販売費、一般管理費、借入金の利息支払い、受け取った配当金など、売上高や利益の具体的な内容を確認できます。
めったにないような利益や損失が発生した場合には、特別利益や特別損失といった形で数値が記載されます。

こうした数字がいったい何なのか把握することで、翌年度にどう影響するのかも想定できます。たとえば「土地の売却で得た一過性の利益が大きいため、来年度はその分がなくなり、業績が落ち込むはずだ」「円安によるもうけが大きい。いまはどんどん円高が進んでいるので、来年度は厳しいだろう」いった具合に判断できるわけです。

ただし、企業の中には、一見すると黒字でも、資金繰りが立ち行かずに倒産することがあります。お金の流れを確認し、事業などできちんとお金を回収できているかどうかを判断する資料がないと、会社全体をチェックしたことにはなりません。
そのための資料として重要なのが、キャッシュフロー計算書です。貸借対照表、損益計算書とともにキャッシュフロー計算書も確認するべきです。

キャッシュフロー計算書には、大きく3つのお金の流れが記載されています。「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」が記載されています。

営業活動によるキャッシュフローでは、本業でどの程度お金を稼いだかがわかります。通常プラスですが、中には営業すればするほどお金が出ていき、マイナスになっている企業もあります。

投資活動によるキャッシュフローでは、設備投資にどれぐらいお金を使ったかがわかります。投資を活発にしている企業は、たいていマイナスとなります。

財務活動によるキャッシュフローはどのぐらい資金調達し、借金を返済したかがわかります。プラスであれば資金調達をしてお金を増やしている、マイナスならば借金返済でお金が出ている、ということを示します。

こうしたキャッシュフローの流れもわかるようになれば、会社をいろいろな角度から分析でき、リスクを極力避けた投資ができるようになります。

各決算書類の長所・短所

決算書類 長所 短所
貸借対照表 資産、負債、事業活動の元手となる資本の状況がわかる 売上高や利益など収益はわからない
損益計算書 1年間や四半期ごとの収益状況がわかる 資産や負債など財務内容はわからない
キャッシュフロー計算書 各期でのお金の流れを把握できる  

決算短信を見るうえでの注意点

決算短信はあくまで速報版です。実際の確定した数値を把握したい方は、有価証券報告書や決算短信の1〜2か月後に公表される四半期報告書を参考にした方がよいでしょう。

決算短信は企業の経営成績をすべて数字で公表した資料になるため、読みにくいかもしれません。理解が難しい場合には、企業の投資家向けページ(IR)を確認すると、説明会資料などが掲載されている場合があります。
最近では、個人投資家向けに決算内容をわかりやすく説明する例も増えているため、気になる企業があれば、一度チェックしてみるとよいかもしれません。

まとめ

業績が好調な銘柄を探す場合には、決算短信や有価証券報告書といった決算資料を参考にしましょう。売上高や利益の進ちょく状況など決算書の見方がわかるようになると、業績が拡大しているのか、他社と比べて好調なのかなど企業の経営状態がつぶさに把握できます。決算内容が良好なうえ株価も安いとなれば、その銘柄が“お宝株”になる可能性も高まります。

ただし、決算書類にはたくさんの数字が並んでおり、正しい見方をしないと、投資判断を間違ってしまいます。貸借対照表では負債が少ないかどうか、損益計算書では好業績が一過性の利益でつくられていないか、キャッシュフロー計算書ではきちんと本業で収益を得て不要な支出がたくさんないかなどを、丹念にチェックしましょう。

こうした作業が面倒だったり、難しかったりする場合には、投資したい企業の投資家向けページなどを確認しましょう。中には個人投資家向けにグラフや表を使ってわかりやすく解説した資料もあるので、参考にしてください。

自分にあった証券会社を探しましょう!

株式投資を始めたいと思ったら証券会社の口座開設が必要です。これから証券口座を作ろうと考えている人、いまお使いの証券口座よりもお得な証券会社がないか考えている人は必見。ランキングや手数料比較から自分にあった証券口座を探してみましょう。

このページの先頭へ