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価格.comレポート

タイの大洪水の影響で急激な価格高騰を見せるHDD市場。パソコン、デジタルカメラ、プリンターなどの人気商品の年末商戦に影響も!?

タイの大洪水の影響で急激な価格高騰を見せるHDD市場。パソコン、デジタルカメラ、プリンターなどの人気商品の年末商戦に影響も!?

タイの洪水が生産拠点を直撃! 3.5インチHDDの価格が急上昇中



現在東南アジアのタイで起こっている大洪水によって、さまざまな日本企業の現地工場が影響を受けていることは連日の報道で明らかになっているところだ。しかし、影響を受けているのは日本企業だけではない。タイには諸外国の様々な企業が進出しており、特に東南アジアにおける機械系の一大生産拠点となっているため、世界中の企業が今回の洪水によって少なからぬ影響を受けている。
実は、今回のタイの洪水は、日本のパソコン業界や家電業界にも深刻な問題を投げかけている。まだ問題が顕在化した例は少ないが、すでに製品の供給不足による「値上がり」が顕著になっている製品ジャンルも出てきている。その端的な例が、PCパーツとして知られる「HDD」(ハードディスク)だ。
HDDは、パソコンの記録装置として使われる以外に、ブルーレイレコーダーや録画テレビといったデジタル録画機器などにも使われており、今や家電製品にとってもなくてはならない重要なパーツとなっている。そのHDDの生産が、今回の洪水によってストップしており、深刻な製品の供給不足に陥りつつあるのだ。
図1は、価格.comの「3.5インチHDD」カテゴリにおける、人気5製品の最安価格の推移を示したもの。これを見ると、10月17日くらいを境にして、どの製品も価格上昇に転じているのがわかる。

図1 「3.5インチHDD」カテゴリにおける人気上位5製品の最安価格推移
図1 「3.5インチHDD」カテゴリにおける人気上位5製品の最安価格推移

図2の平均価格の推移を見ても、ほぼ同様の動きとなっており、3.5インチHDDの価格がここ10日間くらいで一気に上昇したことが見て取れる。製品別に見ても、価格.comのランキングで一番人気のWestern Digital社製「WD20EARX」(2TB)の最安価格は10月18日時点では5,240円だったものが上昇し、3日後の10月21日には6,280円まで上がっている。実に1,000円ほどの値上がりで、一気に20%ほども上昇したことになる(図3)。
また、二番人気のHGST社製「0S03224」(2TB)の最安価格も10月19日時点では6,259円だったものが上昇し、6日後の10月25日には7,480円まで上がっている(図4)。こちらも上がり幅は約20%とかなり大きい。こうした値上がり傾向は、3.5インチHDD全般で、メーカーを問わず見られる。

図2 「3.5インチHDD」カテゴリにおける人気上位5製品の平均価格推移
図2 「3.5インチHDD」カテゴリにおける人気上位5製品の平均価格推移

図3 価格.comランキング1位「WD20EARX」の最安価格推移
図3 価格.comランキング1位「WD20EARX」の最安価格推移

図4 価格.comランキング2位「0S03224」の最安価格推移
図4 価格.comランキング2位「0S03224」の最安価格推移

大きな影響を受けたのは3.5インチHDDが中心。ほかのストレージへの影響は軽微



今回の3.5インチHDDの価格が上昇するきっかけとなったのは、業界最大手であるWestern Digital社の生産拠点がタイにあったことが大きい。同社は、米国時間の10月17日にタイの生産工場が浸水したのを明らかにしており、しばらくの間タイでの操業を見合わせる旨を発表している。ちなみに、同社は、タイとマレーシアで5400万台のHDDを出荷(4月〜6月)しているが、うち60%はタイでの生産ということで、世界中のHDD供給に大きな影響を与えている。日本で流通している3.5インチHDDについても、中国産のほか、タイ産のものも多く、タイの工場が浸水で操業停止になることで少なからぬ影響が出るものと思われる。

Western Digital社以外のメーカーについては、組み立て工場への影響を発表していないが、HDDの基幹パーツであるモーターなどの部材を作る工場も、今回の洪水で被害にあっているという情報もあり、何らかの影響は出ているものと思われる。こうした世界的なHDDの供給不足を受け、流通在庫がなくなってしまったわけではないが、小売店側が販売価格の調整を行った結果、今回の値上がりとなった模様だ。

今後のHDD供給状況についてはまだ不明だが、被害が深刻だった場合、年内にも供給不足になるのは否めない。現在の日本市場におけるHDDの流通在庫は、12月初旬まで持つかどうかというところらしく、それまでに今回被害を受けた工場が生産を再開しないと、年末商戦に差し掛かった12月に深刻な品不足ということにもなりかねない。秋葉原のショップなどでは、こうした動きを見越して、すでにHDDのまとめ買いを行う人なども出てきており、ショップによっては11月中にも品切れを起こす可能性が出てきている。今後もHDDの値上がりはしばらく続くだろう。

なお、3.5インチ以外のHDD、たとえばノートPC用の2.5インチHDDについても、モデルによっては同じように値上がりを始めているものもあるが、こちらは全メーカーというわけではなく、Western Digital社の製品が中心だ(図5)。また、外付けHDDに関しては、組み込み機器ということもあって、顕著な値上がりは出ていないが、一部モデルでは若干値上がりが始まっている(図6)。また、最近HDDに代わって、パソコン用の記憶装置として人気の出ている「SSD」については、そもそも製造メーカーが異なっていたり、モーターなどの駆動部品を使わないため、こちらも値上がりの動きは見られない(図7)。同様に、HDDを内蔵するパソコン本体にも今のところ値上がりなどの影響は見られないが、今後の供給次第では年末商戦に向けた製造がストップする恐れもあり、予断を許さない状況だ。

図5  2.5HDDにおける人気上位5製品の最安価格推移
図5  2.5HDDにおける人気上位5製品の最安価格推移

図6 外付けHDDにおける人気上位5製品の最安価格推移
図6 外付けHDDにおける人気上位5製品の最安価格推移

図7 SSDにおける人気上位5製品の最安価格推移
図7 SSDにおける人気上位5製品の最安価格推移

デジタルカメラ・プリンターなどの製造にも影響。一部発売延期の発表も



このように、現在パソコンをはじめとするさまざまな機器に使われている3.5インチHDDの供給不足が深刻化している。まだ先のことはわからないが、タイの洪水被害が深刻なものになると、この年末にもさまざまなところで影響が出てくることが予想される。パソコンやブルーレイレコーダーなどHDDを搭載する製品については、品薄になることもあるかもしれない。

また、デジタルカメラやプリンターなどの製品にも影響が出始めている。先日ソニーのミラーレス一眼「NEX-7」や、デジタル一眼レフカメラ「α65」が発売を延期すると発表した。このほか、ニコンのデジタルカメラも、現在、価格.com上で徐々に販売価格が上がりつつあり、早くも製品の供給不足が価格に影響を与え始めている。年末に盛り上がるプリンターの製造にも大きな影響が出てきているようで、今はまだ流通在庫も潤沢だにあるが、肝心の年末商戦の時期に品切れを起こす可能性も出てきている。

今年2011年は、3月の東日本大震災の影響でパソコンやデジタルカメラなどの製品の生産が大きな影響を受けたばかりだが、今度は遠く離れたタイの地の洪水が、ふたたび深刻な生産への影響を与えてきている。12月の年末商戦の時期に、多くの製品が品切れというような状況にならなければいいのだが、そうなる可能性もないわけではない。もしこうしたジャンルで購入予定の製品があるのであれば、年末をあまり待たずに11月中に購入検討することをおすすめしたい。

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