不動の二強“キヤノン、ニコン”の牙城を攻める「マイクロフォーサーズ」 〜デジタル一眼の画質競争はすでに頭打ち?サイズを含めた手軽さに魅力〜
2009年10月8日
終わりつつある「キヤノン、ニコン」の2強時代
価格.comの「デジタル一眼レフカメラ」カテゴリは、数ある価格.comの製品カテゴリの中でも五本の指に入る人気カテゴリだ。一時に比べその勢いは衰えたとはいえ、そのアクセス数もまだ伸び続けており、月間のPVは700万を超える勢いだ(図1)。
【図1 価格.comデジタル一眼レフカメラカテゴリPV数推移】
デジタル一眼(レフ)カメラを発売している国内メーカーはそれほど数が多くないが、その中でもとりわけ人気があるのが、キヤノンとニコンの二大メーカーだ。この二大メーカーは、一眼レフカメラがデジタル化する以前からカメラ市場では「二強」といわれており、この二社が先導する形でカメラ市場が牽引されてきたと言っても過言ではないほどの影響力を持っている。実際、価格.com上のデジタル一眼カメラのメーカー別シェアを見ても、キヤノンとニコンの二社が、他社を大きく引き離す人気を見せてきた。
しかし、その様子が、今年2009年春ごろを境に少し変わり始めている。図2を見ると、4月以降、ペンタックスとオリンパスの二社の製品が大きくPVを伸ばしており、さらに続いて8月からは、これまでカメラメーカーとしてはあまり認識されてこなかったパナソニックの製品PVが急上昇している。これに対して、キヤノンとニコンの二社の製品PVは一時的にかなり落ち込み、7月の時点では、3位のオリンパスにあと20万PVというところまでその差を縮められた。9月に入ってからは再び盛り返してはいるが、キヤノン、ニコンの二社と、その他のメーカーの差はこれまでにないほど縮まっており、カメラ二強時代はにわかに終わりを告げようとしているかのような様相を見せている。
個性が光るマイクロフォーサーズ機。話題に乏しいメインストリーム機
キヤノンとニコンの二強メーカーが今期今ひとつ精彩を欠いている理由は、二社がこれまでシリーズ化して販売してきた、メインストリームの新製品に斬新さが見られないことだろう。実際、キヤノンであれば「EOS 50D」、ニコンであれば「D700」といった主力製品に最近人気がない。キヤノンに関して言えば、それでもこの8月に発表された「EOS 7D」が話題となっており、エントリーモデルの「EOS Kiss」シリーズの最新モデル「X3」も根強い人気を持っているが、発売から1年を経た「EOS 50D」の人気は下落の一方だ。
しかし、もっと深刻なのは、ライバルのニコンであろう。昨年発売した主力機種「D700」および「D90」は、発売当初は非常に高い人気を誇っていたが、今年2009年に入ってからは大きく失速。さらに今年登場したエントリーモデル「D3000」や「D5000」、さらにその上のクラスであるメインストリーム機「D300S」も、今ひとつ話題性に乏しく、ライバルであるキヤノンにも大きく水を空けられる結果となっている。
こうしたメインストリームカメラの人気凋落は、ソニーについても同様だ。キヤノン、ニコン、ソニーといった、比較的オーソドックスなタイプのカメラを生産しているメーカーについては、今年2009年は例年以上に厳しい戦いを迫られているという感じである。
これに対して、最近やたらと元気があるのが、それ以外のメーカー、特に「オリンパス」と「パナソニック」の「マイクロフォーサーズ」を採用したグループだ。
オリンパスは、今年5月に発表したマイクロフォーサーズ機「PEN E-P1」が大人気。マイクロフォーサーズのメリットである小型ボディもさることながら、フィルムカメラ時代の名機「PEN」を彷彿とさせるような、すばらしいデザインと機能性などによって、オールドカメラファンまでをも虜にしてしまったモデルである。また、マイクロフォーサーズ採用機では、すでに昨年からじわじわとその存在感を示しつつあったパナソニックも「LUMIX DMC-G1」に続く「LUMIX DMC-GH1」、さらには「LUMIX DMC-GF1」といった相次ぐ新モデルの投入によって、今年2009年は大いに人気を集めている。特にこの9月に発売されたばかりの新機種「LUMIX DMC-GF1」は、人気モデル「PEN E-P1」にも迫る勢いで注目を集めている。
さらに、これらマイクロフォーサーズグループではないものの、独自路線で注目を集めているのが、ペンタックスだ。ペンタックスは、HOYAとの合併後、主力モデルとなるデジタル一眼レフカメラを発売してこなかったが、ついに今年2009年5月に、やや長かった沈黙を破って、主力モデルとなる「K-7」を発表した。従来からのペンタックスファンの注目もあるが、久々に登場した新モデルの評価がかなり高く、ちょうど他メーカーでの主力モデルの投入がほとんどなかったこともあって、「K-7」は一躍話題に。8月以降はやや落ち着いてきてはいるものの、多彩なカラーバリエーションを持つ一風変わったエントリーモデルとなる「K-x」を9月に発表するなど、話題性は非常に豊富だ。
画質面での向上はそろそろ頭打ちになってきた、デジタル一眼レフカメラ市場
以上のように見てくると、これまで、画質向上や画素向上などを中心に常に新しい技術で話題を呼んできたデジタル一眼レフカメラも、そろそろこうした方向性での技術革新には限界が見えてきたと言えるだろう。映像素子の画素数はすでに1000万〜2000万というクラスに達し、機械式の手ぶれ補正やダストリダクションももはや当たり前。連写や動画撮影機能、自由なアングルで撮影できるライブビュー液晶など、さまざまな付加価値も登場したが、そうした流れもすでに一服してしまった感のある2009年は、メインストリーム機にとっては、やや新しいトピックに欠ける年となってしまった。
これに対して、ボディのコンパクトさを一番の武器に、一眼カメラの新たな楽しみ方を提案するマイクロフォーサーズ機は、かなりの人気を集めている。今後このスタイルが主流になっていくということはないと思うが、少なくともこの勢いで行けば、来年くらいには二強メーカーであるキヤノン、ニコンに匹敵する「マイクロフォーサーズ」という第三の勢力となることも予想される。この流れを受けて、二強メーカーであるキヤノンやニコンがどのような手を打ってくるのか。早くも2010年の一眼デジタルカメラ市場に期待がかかる。
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