発売後一週間、新OS「Windows 7」のPC業界への影響は!?〜絶好調のパッケージ販売に対し、搭載PCはソニーだけに脚光が。一方でライバルAPPLEは?〜
2009年10月28日
パソコン販売に好影響を与えたWindows 7の発売。ただし、夏商戦の冷え込みを考えれば当然の結果?
前回に引き続き今回も、10月22日に発売が開始されたWindows 7についての最新トレンドをお届けする。前回はWindows 7発売直前の様子を伝えたが、今回はWindows 7発売を迎えた直後のパソコン市場の状況をレポートしたい。
図1・図2は、Windows 7の発売前後での、価格.comのパソコンカテゴリ(ノートパソコン、デスクトップパソコン)のPV数の推移を示したものである。参考までに、昨年2008年の同時期のPV推移も合わせて示した。これを見れば一目瞭然だが、Windows 7の発売によって、ノートパソコン、デスクトップパソコンの両カテゴリとも、急激にアクセス数を伸ばしており、Windows 7が、パソコン市場にとって大きなインパクトであったことは間違いない。
【図2 価格.comデスクトップパソコンカテゴリPV数推移】
特に昨年2008年の状況と比べると、今年2009年のこの時期の盛り上がりは相当なものだ。もっとも、価格.com全体のPV数は昨年に比べて20%以上上昇しており、その分を考えると、この時期、ノートパソコンで30万、デスクトップパソコンで8.5万程度のPVを稼ぎ出したとしても普通なのだが、10月26日時点で両カテゴリともその数字を大きく上回るPVを記録している。これは、ひとえにWindows 7効果と言っていいだろう。
しかし、このことを逆に考えると、この夏、ノートパソコン、デスクトップパソコンとも、昨年と同レベルのPVにとどまっていたということは、それだけパソコン市場が低迷していたということを物語っている。例年であれば、8月末〜9月頭くらいには「秋冬モデル」と言われる年末向け製品が、各パソコンメーカーから発表されるのだが、今年はWindows 7の発売を10月にひかえ、国内の各メーカーは秋冬モデルの発表を行わなかった。そのせいもあって、今年の夏はパソコンに対する注目があまり行われなかったのだ。Windows 7の発売を目前にしての「買い控え」もあり、今年の夏は例年以上に厳しい商戦を、各メーカーとも強いられたということがわかる。今のWindows 7の盛り上がりも、そのことを考えれば、ほぼ「差し引きゼロ」ということなのかもしれない。
Windows 7発売に合わせて斬新な新モデルを放ったのは、ソニー一社のみ
このWindows 7発売前後の時期における、各メーカーごとのノートパソコンのPV数推移を示したのが図3だ。これを見ると、Windows 7発表に合わせて注目を集めたのは、ほぼソニー一社であることがわかる。ソニーの「VAIO」は、次点の東芝「dynabook」と比べても、ダブルスコアに近い勢いでアクセスを集めており、一人勝ちの様相を呈している。
【図3 メーカー別Windows 7搭載ノートパソコンPV数推移】
これは、前回も紹介した、薄さ13.9mmという驚異的なスリムボディを実現した「VAIO X」の影響が大きい。「VAIO X」は、Windows 7搭載に合わせてソニーが用意した戦略的なモデルで、ほかの国内メーカーの製品が今ひとつ精彩を欠く中、そのスリムさと重量665gという軽さ、約10時間という長時間バッテリー駆動などで、多くのユーザーの注目を一心に集め、価格.comの注目ランキングでも、10月27日現在第1位と第3位に輝いている注目の製品だ。実は、この「VAIO X」をはじめ、注目ランキングのベスト10に入っているこの秋の新製品は、ネットブック系を除けばソニー「VAIO」のみ。ベスト20まで見ても、国内メーカー製品はVAIO以外一製品もランクインしていない状況だ。デスクトップパソコンカテゴリでも、一部の直販系PCを除けば、ソニーの「VAIO」しかベスト20にランクインしていない。
つまり、Windows 7の発売によって、ノートパソコン、デスクトップパソコンとも、非常に注目度が高くなっているものの、実際に注目を集めているのはソニー一社のみという状況なのだ。もちろん、実際の売れ行きはこの限りではないが、それにしても、ユーザーが待ちわびたWindows 7の登場に合わせて、ユーザーの注目を集める戦略的なモデルを投入してきたのが、ソニー一社のみだったというのは、いささか残念な状況と言わざるを得ない。各メーカーとも長引く不況の影響や、「初物には手を出さない」というような考えから、この時期のモデル刷新を避けたのかもしれないが、ユーザーからすれば、首を長くして待ったWindows 7モデルであるだけに、そのスタートとしてはいささか精彩を欠いた出だしという感じだ。
なお、注目度では2位にランキングしている東芝は、Windows 7搭載の新モデルではなく、ネットブックを含む旧モデルの人気によるもの。その他の国内メーカーは軒並み横ばい状態であるが、その中で精彩を放っているのが、AcerやASUS、Lenovoなどの中国・台湾系PCメーカーの存在である。こうしたメーカーの製品が、国内メーカーの製品とほぼ同じくらいのPVを稼いでいるというのは無視できない。ラインアップも、国内市場での展開力も、国内メーカーに比べればかなり小さな規模の台湾系PCメーカーがここまで善戦しているというのは、長く続くネットブックの人気もあるが、そのいっぽうで、元気のない国内メーカーの動きに助けられている面も大きいといえるだろう。
Windows 7のパッケージ販売は絶好調! 一部品切れが起こるほどの人気
Windows 7搭載パソコンのほうは、ほぼソニー一社が注目を集める形で始まったわけだが、パッケージ販売のほうは絶好調ともいえる状態で推移している。図4は、Windows 7のパッケージ全体のPV推移を示したものだが、発売日の10月22日には1日8万PV以上の高い値を記録した。その後徐々にPVは下がっていくが、これには若干の説明が必要だろう。
図5は、Windows 7のパッケージ製品の中で、売れ筋ランキング1位の「Windows 7 Home Premium アップグレード版ファミリーパック」を取り扱う店舗数の推移だが、10月21日を境にこの数が急激に少なくなってきている。これは、パッケージ製品が品切れした店舗が増えていることを意味しており、それに伴ってPVのほうも減少していることから、パッケージ製品の人気はさほど落ちていないと言うことができるだろう。
なお、図6は、同製品の最安価格推移だが、これを見る限り、パッケージ製品の価格も安定して推移しており、店舗数の減少(供給の減少)を受けて直近では若干の値上がりも見られる。こうした現象は、人気のある商材で、安値で販売している店舗で品切れを起こしたときなどに見られるものであり、ここからも、Windows 7のパッケージ販売がきわめて好調であることがわかる。
新モデル発表でアップル好調。Windows 7の影響も受けず。
いっぽう、Windows 7登場の影で、しっかりと新モデルを発表したのがアップルである。Windows 7発売の直前である10月21日に、iMacやMacBookなどの新モデルラインアップを発表。特に、10万円を切る98,800円という価格をつけて発売された「MacBook 2260/13.3」は、早くも多くのユーザーの注目を集めている。
図7は、同時期に発売されたWindows 7搭載の新モデルと、アップル「MacBook 2260/13.3」のPVを同じ土俵で比較したものだが(2009年10月22日〜25日のデータを集計)、これを見ると、人気のソニー「VAIO X」2モデルの下に付く形で「MacBook 2260/13.3」が3位にランクインしている。このことからもわかるように、Windows 7の影で発表された新MacBookは、しっかりと好調をキープしている。
【図7 Windows 7搭載ノートパソコン及びMacノート新製品のPVランキング】
なお、図8は、アップルの「Macノート」、「Macデスクトップ」の両カテゴリのアクセス推移を示したものだが、新製品発表のあった10月21日を境に、こちらも急激にPVが伸びている。Windows 7の発売は確かに大きなイベントだったが、そのライバルとなるはずのアップルは、その影響もさして受けずに人気を獲得し続けていることがわかる結果だ。
【図8 Macノート及びMacデスクトップのPVランキング】
総評:Windows 7発売でにわかに盛り上がるパソコン市場。ただし、脚光を浴びているのはソニーのみ
以上、見てきたように、Windows 7の発売がパソコン市場にとっては大きなインパクトを与えたことは間違いない。ただし、この夏冷え切ったパソコン市場の状況を考えると、この盛り上がりも決して楽観視できるようなものではない。また、Windows 7の発売に合わせて魅力的な新型パソコンを投入してきたのは、国内メーカーではほぼソニー一社という状況もあって、内容的にはソニー一社だけが大きく脚光を浴びる形になっている。
そのいっぽうで、Windows 7のパッケージ製品のほうは好調な売れ行きを示し、一部店舗では品切れも出ているほど。Windows Vistaの時代にパソコンを購入したユーザーにとって、ほぼそのままのスペックで使えるWindows 7は、これまでの不満を解消してくれる期待のOSとして人気を得たのかもしれないが、それがパソコンの販売に直接結びついているわけではなさそうだ。
しかしながら、海外メーカーや直販系PCの売れ行きも、Windows 7の発売を機に伸び始めており、今後年末にかけてこうした流れは持続するだろう。Windows 7の発売直後の印象としては、爆発的な人気というわけではないが、まずまず堅調な滑り出しといえるだろう。
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