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テレビとネットの関係からみる消費者動向〜「アメトーーク!家電芸人」が市場に与えた影響とは!?〜

2009年11月5日

「家電芸人」がちょっとしたブーム。市場に及ぼした影響を価格.comのアクセスから検証。

今ちょっとしたブームとなっている「家電芸人(※注釈1)」。今週の価格.comレポートでは、先月放映されたばかりの「アメトーーク!秋のイケてる家電芸人 エガポイント還元SP」(2009年10月8日)が市場にどのような影響を及ぼしているのかを、価格.comへのアクセス状況から検証したい。

まず、10月8日の放映で紹介された、主な製品の一覧が図1だ。製品名は、テロップと音声に合わせて表記した。これらの製品について、価格.comの製品情報ページのアクセス数(ページビュー数)を見てみよう。

【図1アメトーーク!SP(10月8日)で紹介された製品の一覧】
【図1アメトーーク!SP(10月8日)で紹介された製品の一覧】

著しい影響が見られたヤマハ「YSP」とパナソニック「3つ星 ビストロ」

10月8日の放映で紹介された製品のうち、特に際立った影響が見られたのが、ヤマハのデジタル・サウンド・プロジェクター「YSP」シリーズと、パナソニックのオーブンレンジ「3つ星 ビストロ」シリーズだ。

まず、ヤマハ「YSP」シリーズの反響について検証してみよう。図2は価格.comホームシアター スピーカーカテゴリにおけるメーカー別のアクセス数の推移だ。ヤマハへのアクセスを見てみると、アメトーーク!SP放映週には通常を大きくしのぐアクセスがあったことが一目瞭然となっている。

【図2 ホームシアター スピーカーカテゴリのメーカー別PV数推移】
【図2 ホームシアター スピーカーカテゴリのメーカー別PV数推移】

これは、お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実が、ヤマハ「YSP」シリーズを約4分にわたって猛烈プッシュしていた影響であると推測される。お笑い芸人ならではのギャグも交えつつ、懸命に「YSP」シリーズへの愛を語る姿が印象的であった。
図2から「YSP」シリーズのアクセス数を抜き出してみると、なんと前日の10倍以上のアクセスを記録しており、実数値では約34,000PVの増加となった(図3)。
また、番組内で表示されたテロップは「YAMAHA YSPシリーズ」という表記で型番を含まなかったが、徳井氏が口頭で「4100という新製品が出る」と補足した影響からか、10月8日の「YSP」シリーズ全体のアクセスのうち「YSP-4100」(2009年11月 5日発売)へのアクセスが約19%を占める結果となった。
なお、2008年末にも同様の盛り上がりを見せているが(図2)、これは12月30日に放映された「歳末イケてる家電芸人 今一番売れてますスペシャル」で、徳井氏が“2008年家電大賞”として「YSP-1100」を紹介していた影響と推測される。

【図3 ヤマハ「YSP」シリーズPV数推移】
【図3 ヤマハ「YSP」シリーズPV数推移】

次に、パナソニックのオーブンレンジ「3つ星 ビストロ」の反響を検証してみよう(番組のテロップでは「パナソニック ビストロ」と表記)。まず、図4は価格.com電子レンジ・オーブンレンジカテゴリにおけるメーカー別のアクセス数の推移だ。こちらも「YSP」と同様に、アメトーーク!SP番組放映のタイミングで平均を大きく上回るアクセスを記録している。

【図4 電子レンジ・オーブンレンジカテゴリのメーカー別PV数推移】
【図4 電子レンジ・オーブンレンジカテゴリのメーカー別PV数推移】

図4から「3つ星 ビストロ」シリーズのアクセス数を抜き出してみると(図5)、番組が放送された10月8には、前日の約3.7倍のアクセス数を記録。実数値では約13,000PVが増加した。紹介内容は、収録スタジオにて「3つ星 ビストロ」を使い、きんぴらごぼうと鯖の塩焼きの調理を行い試食するというもの。合計約5分の時間を取っていた上に、出演者達がそろって「3つ星 ビストロ」による料理の出来ばえを大絶賛していたためか、反響も大きかったと推測できる。

【図5 パナソニック「3つ星 ビストロ」シリーズPV数推移】
【図5 パナソニック「3つ星 ビストロ」シリーズPV数推移】

空気清浄機と炊飯器は、横並びの紹介で印象薄れる。いっぽう、「感謝状」効果でアクセス急上昇の「おどり炊き」

いっぽう、同番組内で紹介されたにもかかわらず、それほど著しい反響が見られなかった製品も存在した。
たとえば、番組中盤で紹介された「空気清浄機」を見てみよう。図6は価格.com空気清浄機カテゴリにおけるメーカー別のアクセス数の推移だ。いずれも、10月8日の放映で製品が紹介されたメーカーばかりだ。たしかに放映週にもアクセスは増加しているが、これは8月後半から始まった新型インフルエンザの流行による急激な上昇の延長線上にあり、前述の「YSP」や「3つ星 ビストロ」のように放映当日だけのトレンドというわけではない。若干は影響もあったのかもしれないが、大きなトレンドの中では、アメトーーク!SPの放映による反響というのは捕らえづらい。

【図6 空気清浄機カテゴリのメーカー別PV数推移】
【図6 空気清浄機カテゴリのメーカー別PV数推移】

ただ、製品単体レベルで見ると、アクセス数が急上昇するケースもある。図6では、2008年末からシャープのアクセス数が劇的に上昇している。これは前述の「歳末イケてる家電芸人 今一番売れてますスペシャル」で、家電芸人の一員である土田晃之が、シャープのプラズマクラスター空気清浄機「KC-W80」を紹介した影響だ。図6から「KC-W80」を抜き出してみると、放映日の12月30日に突然上昇しているのがわかる(図7)。昨年末のスペシャルではツッチーの“2008年家電大賞”として、「KC-W80」の型番がテロップ表示されており、空気清浄機としてはこの製品しか紹介されなかった。これに対して、10月8日の放映では、家電芸人個々が横並びで取り上げるうちの1つという扱いであり、埋没してしまった感が否めない。この取り上げ方の違いが、同じ商材でも大きな反響の違いに繋がっていると考えていいだろう。

【図7 空気清浄機「KC-W80」のPV数推移】
【図7 空気清浄機「KC-W80」のPV数推移】

「炊飯器」についても、上記の空気清浄機と同様の結果だ。こちらも、空気清浄機と同様に、家電芸人達が順番に各自のお勧め製品を紹介していくという横並びでの紹介形式を取っており、放映日やその翌日には、著しいアクセス増は見受けられなかった(図8)。

【図8 炊飯器カテゴリのメーカー別PV数推移】
【図8 炊飯器カテゴリのメーカー別PV数推移】

しかし、同じく図8では、放映から一週間以上が経過した10月19日に三洋電機のアクセス数が急激に上昇しているのがわかる。上述した「YSP」や「3つ星 ビストロ」と同様に、平均を大きく上回るような上昇の仕方だ。
これは、お笑い芸人・たむらけんじが、ラジオ番組で三洋電機「匠純銅 おどり炊き」を絶賛し、三洋電機から感謝状を授与されたという話題が、各種ニュースで取り上げられた影響だ。図8から「おどり炊き」シリーズを抜き出してみると(図9)、やはり10月19日にアクセス数が急激に上昇している。「アメトーーク!」でも同製品を紹介していたが、ライバル製品と横並びにしてしまったため、あまりインパクトがなく、「匠純銅 おどり炊き」だけにクローズアップした、たむらけんじのラジオ番組のほうが、結果的に大きな反響を呼んだという結果となった。

【図9 三洋電機「おどり炊き」シリーズPV数推移】
【図9 三洋電機「おどり炊き」シリーズPV数推移】

デジタルカメラもアクセスへの影響小。飽和状態で新鮮味に欠けたのが原因か

図10は番組後半で紹介された、デジタルカメラ/デジタル一眼レフカメラのアクセス推移だ。紹介されたのは、「時間をさかのぼって撮影できる」という触れ込みのカシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」、パナソニックの動画が取れるデジタル一眼レフ「LUMIX DMC-GH1」、プロジェクター機能を搭載したニコン「COOLPIX S1000pj」、その場でプリントが出来るタカラトミー「xiao TIP-521」の4製品。これらの製品についても、空気清浄機や炊飯器と同様に各メーカーの製品を横並びに紹介したのだが、各製品2〜3分程度の実写デモを行うなど、時間としてはかなり多くが割かれていた。そのため、製品単独で見るとどれも放映前日から倍以上となるアクセスを集めたが、「YSP」や「3つ星 ビストロ」のようにメーカー単位で見ても一目瞭然というほどの盛り上がりは見られなかった。

【図10 アメトーーク!SP(10月8日)で紹介されたデジタルカメラのPV数推移】
【図10 アメトーーク!SP(10月8日)で紹介されたデジタルカメラのPV数推移】

デジタルカメラ製品が、多くの時間を割いて紹介されたにもかかわらず、それほど大きな反響につながっていない理由のひとつとしては、デジタルカメラというもの自体がユーザーにとってすでに目を引くほど新しい要素を備えた製品ではないことが挙げられる。「YSP」について言えば、ホームシアターの普及率はまだまだ低く、「3つ星 ビストロ」について言えば、一般家庭に普及しているモデルよりも、かなり高スペックなオーブンレンジとなっている。これに対して10月8日の放映で紹介されたデジタルカメラは、番組内でも「デジタルカメラは個性の時代」と紹介したとおり、基本性能は従来どおりでプラスアルファのお楽しみ機能がある、といった内容だった。2009年4月に発表された内閣府の消費動向調査によれば、デジタルカメラの世帯普及率はもうすぐ70%に届くという。このように、すでに視聴者の大半がデジタルカメラを所有している状況では、プラスアルファ機能だけでは、それほど消費者の関心を強く引かなかったと思われる。

総論:製品の取り上げ方と情報の新鮮さによって、消費者の反響が変化

以上、「アメトーーク! 秋のイケてる家電芸人 エガポイント還元SP」の放映が、価格.comのアクセス数にどのように影響したのかを見てきたが、これをまとめると、以下の2点が現象として現れていると言えそうだ
@ 単独で取り上げれば反響がある製品でも、複数のライバル製品と横並びの紹介にすると、あまり大きなインパクトが得られない。
A デジタルカメラのプラスアルファ機能など、視聴者にとってそれほど目新しい情報でないものについては、多くの時間を割いても、さほど反響が得られない。
「アメトーーク!」は、非常に影響力の強いテレビ番組であるが、紹介の仕方や、商品力の強さによって、それが消費者の購入意欲を刺激するかどうかに大きく差が出てくることがわかる。今回のレポートはあくまで価格.comのアクセス数から見た考察であるが、テレビ番組が与える、消費者への購買喚起力を読みとくひとつのきっかけとなるだろう。

(※注釈1)
「家電芸人」とは、家電に詳しいお笑い芸人たちが、自分のお気に入りの商品を紹介するというテレビ朝日のトークバラエティ番組「アメトーーク!」内の企画から生まれた言葉。2008年6月に放映された第1回が、アメトーーク!歴代最高視聴率(当時)を記録して以来の人気企画となっており、これまで数回のスペシャル版が放映されている。また、番組の人気のみならず、品川祐、徳井義実、土田晃之、関根勤、劇団ひとり、細川茂樹といった家電芸人達のプレゼンテーションの上手さもあって、番組にて紹介された製品は次々にヒットしている様子。

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