2020年2月28日にアイロボットから発売された「ルンバ s9+」は、“完璧な清掃”を求めるユーザーの願いをかなえるため、同社が創業時から30年にわたって培ってきたロボット技術が惜しみなく注ぎ込まれた最新のロボット掃除機だ。本企画では、アイロボット創業から30年にわたるロボット開発の歩みや、「ルンバ」誕生から18年にわたる進化の歴史を振り返るとともに、その集大成として誕生した最新モデル「ルンバ s9+」の実力を徹底チェックしていく。

30年の歩みアイロボットは「人の役に立つ実用的なロボット」として「ルンバ」を開発

はるか遠い未来の話のように思えていた、「ロボットと人間が共存する世界」が今や現実のものになりつつあるが、ロボットを作る目的は今も昔もただひとつ、人間の暮らしをより便利に、より豊かにすることにある。たとえば、1990年にコリン・アングル氏が創業したロボットメーカー、アイロボットが掲げる「empower people to do more」というミッション。人々がより多くのことを行えるようにすることは、取りも直さず、人間の暮らしをより便利に、より豊かにすることにほかならないだろう。

ルンバ s9+

アイロボットの現CEO、コリン・アングル氏。同社は、1990年、アングル氏がマサチューセッツ工科大学の大学院生のときに創業した会社だ

そんなアイロボットは創業から30年にわたり、ギザの大ピラミッドの謎を解明したり、メキシコ湾の原油流出事故の海底調査を行ったり、さらには、世界各地の紛争地帯や被災地で多くの命を救ったりと、さまざまな分野で活躍するロボットを開発してきたが、同社の名を世界中に知らしめたのは何と言ってもロボット掃除機「ルンバ」ではないだろうか。「掃除をロボットにまかせる」というコンセプトのもと、初代「ルンバ」が発売されたのは2002年のこと。数十年後の未来にタイムスリップしたかのような新提案に、「本当に?」と疑いつつも、たまらなくワクワクしたのは筆者だけではなかったはずだ。

動画でチェック「ルンバ s9+」開発者からのメッセージ

人間にとってのよりよいパートナーとして、生活に役立つ実用的なロボットを作り続けているアイロボット。その集大成として誕生したのが、最新ロボット掃除機「ルンバ s9+」である

初号機のセンセーショナルなデビューから18年、代を重ねるごとに清掃力や使い勝手を進化させてきた「ルンバ」は、名実ともにロボット掃除機市場のトップランナーに、そして、アイロボットの“顔”になった。しかし、アイロボットが目指しているのは、単なる「掃除の自動化」ではなく、ロボットが作業を肩代わりすることで、人々の生活にゆとりを生み出し、それによって暮らしをもっと便利に、もっと豊かにすること。アイロボット30年の集大成として誕生した最新モデル「ルンバ s9+」は、その卓越した清掃力や使い勝手、購入後もソフトウェアアップデートによりさらに使いやすく進化する点など、“完璧な清掃”を求めるユーザーの願いをかなえてくれる、頼もしい製品に仕上がっている。

ルンバ s9+

“完璧な清掃”を求めるユーザーの願いをかなえるため、アイロボット30年のロボット技術を結集して生み出された「ルンバ s9+」。本機が実現した賢さや清掃力の進化を詳しくレビューしていこう

テクノロジーユーザーの願いをかなえるためにたどり着いた、
新しいデザインと画期的なテクノロジー

“集大成”の意気込みが感じられるポイントとして、まず着目したいのがボディ形状だ。「ルンバ」と言えば丸型をイメージする人が多いと思うが、「ルンバ s9+」のフォルムは前方がフラットで、後方が丸型。上から見ると、ちょうどアルファベットの「D」のようなボディ形状をしている。前方に、この「ウルトラエッジデザイン」を採用することで、部屋の隅、つまり壁が直角に交わる部分にもボディを近接させてゴミを取り除くことができるというわけだ。

また、ゴミをかき出すブラシには、2本のゴム製ブラシでゴミを浮き上がらせる「ルンバ」独自の「デュアルアクションブラシ」を採用。ブラシ幅はボディに収まるギリギリの長さに設計されており、「ルンバ 900シリーズ」や「ルンバ e5」「ルンバ i7」と比べて約30%も広くなっている。これにより、1度の走行でより広範囲を掃除できるというわけだ。アイロボットによると、「ルンバ s9+」は「ルンバ史上最高」の清掃力を実現しているという。

なお、本体右前にはゴミをかき込む「コーナーブラシ」を装備しているが、よく見ると、ブラシの長さが従来よりも短いことがわかる。“角に強い”ボディを採用したことで、部屋の隅まできっちり掃除できるようになったため、「コーナーブラシ」も一から設計し直されているのだ。

ルンバ s9+

前方がフラットで、後方が丸型のボディ形状が印象的。ボディ中央に装備されたヘアライン仕上げのゴールドパーツの下にはダスト容器が収納されている。見るからに高級感が感じられ、「特別な1台」という雰囲気が漂う

ルンバ s9+

2本のゴム製ブラシでゴミを浮き上がらせてキャッチする「デュアルアクションブラシ」は、ボディ幅を目いっぱい使った長さに。1度の走行でより広範囲のゴミを取り除ける

ルンバ s9+ ルンバ s9+

前方がフラットな「ウルトラエッジデザイン」が採用され、部屋の隅に近接できるようになったため、「コーナーブラシ」も一から設計し直されている

このボディを最大限に生かす技術として、新たに採用されたのが「Perfect Edgeテクノロジー」である。これは、搭載するセンサーを用いて家具や部屋の環境を検知することで、壁際や狭いすき間などでのムダな動きを減らし、より効率的にゴミを取り除くというもの。たとえば袋小路に進入した場合には、奥まできっちり掃除した後、そのまま後方にバックして抜け出したり、円形の家具周りを掃除する場合には、曲線に沿ってなめらかに走行したりするという。

動画でチェック部屋の隅のゴミをきっちり除去

カラフルなビーズをゴミに見立て、部屋の隅を掃除してみることに。「ルンバ s9+」は、ゆっくりと隅に近づき、フラットなボディ前方を壁にピタリと近接させてから、その場で方向転換し壁際を進んでいく。正直、「多少は取りこぼすだろう」と予想していたが、このフォルムを生かしたムダのない動きにより、ビーズはひとつ残らず吸引されていた

動画でチェック袋小路ではバック走行

ソファとキャビネットのすき間に入り込んだ「ルンバ s9+」。掃除を終えると「ルンバ s9+」はスーッとバックし、涼しい顔で袋小路を抜け出していった

動画でチェック家具の曲線に沿ってなめらかに走行

円形の家具の周りを掃除する場合、ガツンと家具にぶつかっては方向転換、という動作を繰り返すのではなく、円形スツールの曲線に沿ってなめらかに走行していく。「ルンバ s9+」に搭載された「Perfect Edgeテクノロジー」が家具の形状を正確に検出できるからこその見事な動きだった

実際に「ルンバ s9+」を走らせて驚いたのが、清掃中の“むだのない優雅な動き”である。間取りが複雑な20畳のLDKを掃除させてみたのだが、フロアの中央ではひと筆書きの要領でムラなく効率的に走行し、壁際や家具周辺では、その形状に沿うようにして走行。入り組んだ間取りに立ち往生したり、同じ場所ばかり繰り返し掃除したり、といったムダがほとんどないのだ。20畳のLDKを掃除するのにかかった時間は34分で、隅々までムラなくキレイにしてくれた。

vSLAM® ナビゲーション
ルンバ s9+ ルンバ s9+

本体上部および底面に装備された多彩なセンサーを活用した、「ルンバ s9+」の頭脳ともいうべきナビゲーションテクノロジーには「vSLAM ナビゲーション」を搭載。毎秒230,400以上のデータポイントを取得し、家の中の環境を詳細にマッピングする。これにより、どこにいても現在位置を正しく認識して、すでに掃除した場所と、まだ掃除していない場所を把握しながら賢く効率的に清掃を行ってくれるのだ

Imprint® スマートマッピング
ルンバ s9+

フロア全体の形状に加えて各清掃エリアの位置関係まで識別できる「Imprintスマートマッピング」と呼ばれるナビゲーションシステムを備えているため、それぞれの家の環境に合わせて最も効率的な清掃パターンで清掃を行うことが可能。マッピングした間取りは毎回リセットされるのではなく、本体に記憶され、次回の掃除に活用される

動画でチェック高度なナビゲーション・テクノロジー実現した「ルンバ s9+」の効率的な清掃パターン

フロア全体の形状や家具の配置を認識したうえで、「どこからどのように掃除するのが最も効率的か」を考えながら掃除する「ルンバ s9+」。その証拠に、「ルンバ s9+」の清掃パターンにはむだがほとんどなく、スピーディーかつていねいに掃除を進めていく。フローリングやカーペットの上、家具のすき間、家具の脚周り、壁際など、あらゆる場所できっちりゴミを取り除く、優雅さすら感じる圧巻の仕事ぶりだ

ルンバ s9+

ラグや敷居などの段差ならヒョイと乗り越えてくれる。なお、本体前面には、衝撃を吸収する「ソフトタッチバンパー」を装備。大切な家具をキズつけずに済むありがたい設計だ

Imprint® リンク
ルンバ s9+

「ルンバ s9+」は、「ルンバ」が掃除を終えると、アイロボットの床拭きロボット「ブラーバ」が自動的に拭き掃除を始める「Imprint リンク」にも対応している。アイロボットは、家中のデバイスが協調して動作することで、人が望む状態にしてくれるスマートホームの実現を目指しているが、この「Imprint リンク」は、その第1歩と言えるのではないだろうか

スマートさスマホから操作できゴミの回収も不要な、進化した掃除方法も魅力

「ルンバ s9+」本体のスタートボタンを押して清掃を開始する、というスタイルも決して悪くはないが、「ルンバ s9+」はスマートフォンアプリ「iRobot HOMEアプリ」を使った操作が可能なので、掃除をさせるためにわざわざソファから腰を上げる必要はない。掃除の開始や中断だけでなく、スケジュール機能を設定したり、掃除する個所を部屋単位で指定したり、掃除してほしくないエリアを細かく指定したり、さらには、吸引力の強さを変更したりといったことも、手元のスマートフォンから簡単に行える。人が行う掃除の方法も、とてもスマートになったのだ。

なお、「ルンバ s9+」本体に搭載されたシステムソフトウェアがアプリを介してアップデートされるのは先述の通り。ユーザーにとってより使いやすくなるよう、「ルンバ s9+」は購入後も進化し続けてくれる。どこまで賢く、使いやすくなるのか、そして、次はどんな驚きをもたらしてくれるのか。今後のソフトウェアアップデートにも大いに期待したい。

ルンバ s9+ ルンバ s9+

「iRobot HOMEアプリ」を使えば、外出先からでも清掃を開始できるほか、清掃する曜日・時間のスケジュール設定もできる

動画でチェック「掃除してほしい場所」を指定
 

「ルンバ s9+」が作成した間取りは「iRobot HOMEアプリ」上で確認できる。各部屋やエリアを境界線で区切り、「リビングルーム」「ダイニング」「廊下」「キッチン」といった具合にラベリングして部屋の構成を学習させることもできるため、これとスケジュール機能を組み合わせれば、特定の日時に特定の部屋・エリアだけを掃除させることも可能となる

動画でチェック「掃除してほしくない場所」を指定
 

小さな子どもがいる家庭や、ペットを飼っている家庭では、「ルンバ」に掃除してほしくない場所もあるだろう。そこで活用したいのが、進入禁止エリア指定。子どものおもちゃがあるエリアなど都度、細かく設定できるのが便利だ

動画でチェック吸引力の強さを変更
 

吸引力も弱/中/強の3段階で変更できる。清掃音が気になるときは「弱」に、汚れがひどいときはゴミを強力に吸引する「強」に設定するなど、さまざまな場面で活用できそうだ

操作方法がスマートなら、ゴミ捨てのスタイルもスマートな「ルンバs9+」。一般的なロボット掃除機の場合、何回か清掃してダスト容器がいっぱいになったら、ユーザー自身がゴミ捨てをしなければならないが、「ルンバs9+」はゴミ捨ての頻度が劇的に少なくて済む。理由は明快、ダスト容器約30杯分のゴミを収容できる紙パック式のゴミ回収機能を備えた充電ステーション、「クリーンベース(自動ゴミ収集機)」を採用しているからだ。掃除を終え、「ルンバs9+」が「クリーンベース」に戻ると自動でダスト容器内のゴミを吸引し、紙パックに収容していくというのが基本的な仕組み。掃除するたびにダスト容器に溜まったゴミの量を確認したり、ひんぱんにゴミを捨てたりするストレスから解放されるのは画期的だ。

ルンバ s9+

掃除を終えた「ルンバs9+」が「クリーンベース」に戻ってくると、「クリーンベース」が自動でゴミを吸引し、内部にセットした紙パックへと収容する。紙パックの容量はダスト容器約30杯分。ゴミ捨ての頻度が激減するのは間違いないだろう

動画でチェックゴミ回収工程

疑似ゴミとして床にまいたビーズを「ルンバs9+」が吸引し、「クリーンベース」に帰還。まもなくダスト容器内のゴミの回収が始まり、約10秒間、ゴミを吸い上げる吸引音が続いた。回収が終了したところで、「クリーンベース」最上部のフタを開けて紙パックを取り出し、中身を確認してみると、先ほど「ルンバs9+」が吸い取ったビーズがしっかり収容されていた

ルンバ s9+

「ルンバs9+」本体上部からダスト容器を取り出し、ゴミを捨てることもできる。実際に試してみたが、その手軽さもさることながら、本体上部のフタを開閉するときの「音」に感心してしまった。ガチャガチャとチープな音を立てることはなく、コトッというやわらかな音ともにフタが開き、閉じるのだ。さすがはアイロボット30年の集大成、作り込みへのこだわりは細部にまで及ぶ

まとめ30年にわたり培ってきたロボット技術が生んだ“掃除の進化”を実感

仕事から帰宅すると、自動的に明かりがつき、心地よい音楽が流れる。部屋が汚れたらロボット掃除機が掃除を行い、お腹が空いたらロボット調理機が食事を用意してくれる。まるで、未来の世界を描いた映画の1シーンのようだが、アイロボットはそんなスマートホームの実現を本気で目指しているという。

その世界の一端を垣間見ることができるのが、今回注目した最新ロボット掃除機「ルンバ s9+」だ。本機には、“完璧な清掃”を求めるユーザーの願いをかなえるため、アイロボットが創業時から30年にわたって培ってきたロボット技術が惜しみなく注ぎ込まれており、「vSLAM ナビゲーション」や「Imprintスマートマッピング」といったテクノロジーをはじめ、新採用のボディ形状や「Perfect Edgeテクノロジー」によるすぐれた清掃力、「iRobot HOMEアプリ」や「クリーンベース(自動ゴミ収集機)」によるスマートさなど、アイロボットのロボット開発にかける熱い想いや、ロボット技術が生んだ“掃除の進化”が随所に感じられるモデルに仕上がっていた。さらに、購入後もソフトウェアがアップデートされ、ユーザーにとって、より使いやすくなるように進化し続けてくれるのもポイントだ。

「ロボットが作業を肩代わりすることで、人々の生活にゆとりを生み出し、それによって暮らしをもっと便利に、もっと豊かにすること」に対して挑戦を続けるアイロボットの思いを感じつつ、まずは「ルンバ s9+」の“完璧な清掃”を味わってみてはいかがだろうか。