容積約1Lの“超”コンパクト国産デスクトップPC NEC「LAVIE Direct DT Slim」徹底チェック
NEC「LAVIE Direct DT Slim」は、狭い場所にもスッキリと設置できる容積約1Lの“超”コンパクトなデスクトップPC。しかし、筐体がコンパクトだからといってあなどるなかれ。本機は、豊富な外部インターフェイスやパフォーマンスの高さを備えており、大型のデスクトップPCと同様に頼もしく使えるのだ。本記事では、そんな「LAVIE Direct DT Slim」の魅力を徹底チェックしていく。
ボディ狭い場所にもスッキリと設置できるコンパクトボディ
在宅ワークやオンライン学習など、“ニューノーマル(新常態)”と呼ばれるライフスタイルの定着とともに、パソコンの使われ方は変化しつつある。それにともない、パソコンの買い替えを検討している人も多いと思うが、自宅での使用を前提とするなら、デスクトップPCの導入を検討してはどうだろう。デスクトップPCなら、大画面ディスプレイと組み合わせることで快適な作業環境を構築できるし、同じ出費でノートPCよりも高性能なマシンが手に入ることが多い。生産性の点でもコスパの点でもデスクトップPCはすぐれているのだ。
ただ、デスクトップPCは設置スペースを取るのが弱点。“スリム”の名が付けられた幅の狭いスリムタワー型でも、本体のサイズは89(幅)×291(奥行)×340(高さ)mm(「LAVIE Direct DT 2018年秋冬モデル」の場合)ほどあるため、自宅のデスク上に置くのをためらう気持ちもよくわかる。そんな弱点を克服し、近年人気を集めているのが、手のひらサイズの“超”コンパクトデスクトップPCだ。なかでも、国内メーカーであるNECの「LAVIE Direct DT Slim」なら、5万円台※で買えるうえ、品質やサポートの点でも安心感が高いだろう。

2020年11月に発売されたNECの「LAVIE Direct DT Slim」。容積約1Lというコンパクトボディで設置場所を取らないのがメリット。そのうえ、デスクトップPCの魅力である、豊富な外部インターフェイスやすぐれたパフォーマンスも身に付けている
早速、「LAVIE Direct DT Slim」のボディを確認していこう。「ミストホワイト」を基調とした筐体のサイズは、179(幅)×182.9(奥行)×34.5(高さ)mm(横置き時)。容積にすると約1Lで、外付け光学ドライブと勘違いしてしまうほど、小さなサイズだ。液晶画面の下やちょっとした隙間にスッキリと収まり、狭いデスク上のスペースを効率的に使える。


一般的なスリムタワー型デスクトップPCの代表として「LAVIE Direct DT 2018年秋冬モデル」と筐体サイズを比較してみた。すると「LAVIE Direct DT Slim」のコンパクトさは一目瞭然。「LAVIE Direct DT Slim」の大きさ(容積)は、「LAVIE Direct DT 2018年秋冬モデル」の約1/9しかないのだ

キーボードからパソコンの電源をオンにできる機能が、設置の自由度をさらに高めてくれる。キーボードアイコンが描かれた本体背面のUSB3.0 Type-Aポートにキーボードを接続すれば、「ALT」キーと「P」キーの同時押しでパソコンの電源を投入できるようになる。必ずしも本体を手の届く範囲に設置する必要はないのだ
“超”コンパクトな筐体でありがながら、豊富な外部インターフェイスを搭載するのも魅力だ。USBポートはUSB Type-Cポートを含む計6基を装備。映像出力ポートとしてはHDMIポートとDisplayPortの2基を備えるので、マルチディスプレイ環境も構築できる。BTO(Build To Order)によるカスタマイズについては後ほど詳しく触れるが、映像出力ポートについてはVGA/DisplayPort/HDMIのいずれか1基をさらに追加可能。ニーズに応じて最大3画面の同時出力に対応させることもできるのだ。
処理性能6コア/12スレッドの高性能CPU「第10世代インテル Core i5-10500T プロセッサー」を搭載
「LAVIE Direct DT Slim」のコンパクトさを見て、少しパソコンに詳しい人は「ははん、これはCPUなどの中身はノートPCと変わらないはず。パフォーマンスはあまり期待できなさそうだ」と思ったに違いない。確かに、筐体をコンパクトにするため、処理性能を犠牲にしても発熱の少ないノートPC向けのCPUを採用するデスクトップPCはあるにはある。しかし、本機はれっきとしたTDP(熱設計電力)35WのデスクトップPC向けCPUを採用しており、そのコンパクトな筐体からは想像できないような、すぐれた処理性能を発揮してくれる。
ここでは、販売価格が5万円台(税込、2021年1月7日時点)とリーズナブルでありながら、マルチスレッド性能にすぐれた6コア/12スレッドのCPU「第10世代インテル Core i5-10500T プロセッサー」(2.30GHz-最大3.80GHz)に加え、8GBメモリーや約256GB SSDを搭載した価格.com限定モデル「NSLKB869DMLZ1W」を使って、処理性能をチェックしてみた。

CPU性能を測るベンチマークプログラム「CINEBENCH R20」では、シングルコアが393、マルチコアが2777という良好なスコアをマーク。特にマルチコアのスコアは、ノートPC向けではあるが、ひとつ格上のハイエンドCPU「第10世代インテル Core i7-10810U プロセッサー」を上回っている。高い処理性能を手ごろな価格で手に入れられるのはデスクトップPCならではの醍醐味だ

パソコンの総合的な性能を計測する「PCMark 10」のトータルスコアは、快適さの目安となる3000を大きく上回る4076。パソコンの基本性能を示す「Essentials」のスコアは8570、ビジネス系アプリ実行時の性能を示す「Productivity」テストのスコアは6585と、こちらも快適さの目安となる5000を大きく上回っているので、オフィスワークやオンライン学習程度で性能不足を感じる場面はほとんどないだろう

ストレージのデータ転送速度を計測する「CrystalDiskMark」では、シーケンシャルリード(Q8T1)が約3250MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)が約1680MB/sを記録。NVMe接続のSSDの中でも高速な部類に入る。アプリの起動はキビキビとしており、ファイルのコピーもサクサクと高速だ
カスタマイズ豊富なBTOメニューで、映像出力ポートや光学ドライブも追加可能
「LAVIE Direct DT Slim」は、デスクトップPCらしく、BTOによるカスタマイズメニューも豊富だ。メニューの詳細は下表を参照してほしいが、特徴的なのはストレージだろう。コンパクトな筐体であっても、高速なSSDと大容量のHDDを組み合わせたデュアルストレージ構成(約256GB SSD+約1TB HDDのみ)を選択できるほか、デスクトップPCとしては珍しく、HDD選択時にHDDのキャッシュとして動作することでデータ転送速度を高速化する「インテル Optane メモリー」を選択することも可能。高速性と大容量のバランスを細かくカスタマイズできるのだ。
また、先に触れたが、3基目の映像出力ポート(VGA/DisplayPort/HDMI)を増設したり、ワイヤレス通信のWi-FiとBluetoothを追加したりなど、用途に合わせて柔軟なカスタマイズが行える。
CPU | ・インテル Celeron G5905T プロセッサー(3.30GHz) ・第10世代インテル Core i3-10100T プロセッサー(3.00GHz-最大3.80GHz) ・第10世代インテル Core i5-10500T プロセッサー(2.30GHz-最大3.80GHz) ・第10世代インテル Core i7-10700T プロセッサー(2.00GHz-最大4.50GHz) |
|
---|---|---|
OS | ・Windows 10 Home 64ビット ・Windows 10 Pro 64ビット |
|
メモリー | ・4GB(4GB×1) ・8GB(8GB×1) ・16GB(8GB×2、デュアルチャネル対応) |
|
ストレージ※1 | HDD | ・なし ・約500GB HDD ・約1TB HDD |
SSD/Optane メモリー | ・なし ・約16GB インテル Optane メモリー(HDD選択時のみ) ・約256GB SSD ・約512GB SSD |
|
光学ドライブ | ・なし ・DVDスーパーマルチドライブ |
|
ワイヤレス通信 | ・なし ・Wi-Fi 5(IEEE802.11ac/a/b/g/n)、Bluetooth 5.0 |
|
外部インターフェイスの追加 | ・なし ・シリアルポート |
|
映像出力ポートの追加※2 | ・なし ・VGA(ミニD-sub15ピン) ・DisplayPort ・HDMIポート |
|
ディスプレイ | ・なし ・23.8型フルHD(1920×1080)液晶×1台 ・23.8型フルHD(1920×1080)液晶×2台 |
|
オフィスアプリ | ・なし ・Microsoft Office Personal 2019 ・Microsoft Office Home & Business 2019 |
※1 HDDとSSDの同時選択は、約1TB HDDと約256GB SSDの組み合わせのみ
※2 1基のみ追加可能


ディスプレイが自由に選べることもデスクトップPCの利点のひとつだが、ディスプレイを持っていない人はBTOメニューで同時購入するのも手だ。用意されているは、23.8型フルHD液晶ディスプレイ「F24W1A」で、ボディカラーを本体と同系色で統一できるのがうれしい。スイーベルやチルト、高さ調節に加え、画面を90°回転させて縦長にできるピボットにも対応しており、使い勝手にすぐれている
「LAVIE Direct DT Slim」を購入するうえでは、NEC製であることも大きな決め手になるだろう。本機は、徹底した品質管理が行われているNECパーソナルコンピュータの米沢事業場で組み立てられているので安心感が高いうえ、サポート対応も日本国内で行われる。また、メーカー保証には、最大5年間の「メーカー保証サービスパック」や、落下や水こぼしなどの不注意による破損にも対応した「あんしん保証サービスパック」などを用意。こうした保証と組み合わせることで、長く安心して使えるのだ。
まとめデスクトップPCのよさがギュッと凝縮された“超”コンパクトモデル
大画面ディスプレイと組み合わせることで、効率のよい作業環境を作れるデスクトップPC。このことをよくわかっていても、設置スペースの問題で導入をためらってきた人は少なくないだろう。その点、本記事で紹介した「LAVIE Direct DT Slim」は、容積約1Lと“超”コンパクトなうえ、縦置き/横置きに対応。さらに、キーボードから本体の電源をオンすることもできるので、設置の自由度はさらに高まる。
しかも、本機はれっきとしたデスクトップPCとして、豊富な外部インターフェイスを備え、処理性能にもすぐれている。そのうえ、BTOによって柔軟なカスタマイズにも対応しているのだ。小さな筐体でもデスクトップPC本来の魅力が失われていないのは、長年パソコンを作り続けてきたNECだからこそなせるわざだろう。なお、本記事でパフォーマンスを検証した、「第10世代インテル Core i5-10500Tプロセッサー」搭載の価格.com限定モデル「NSLKB869DMLZ1W」の価格は5万円台(税込、2021年1月7日時点)。コストパフォーマンスの高さにおいても見逃せないレベルにあることを付記しておきたい。


CPU | 第10世代インテル Core i5-10500T プロセッサー(2.30GHz-最大3.80GHz) |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64ビット |
チップセット | インテル H470 チップセット |
グラフィック | インテル UHD グラフィックス 630 |
メモリー | 8GB(8GB×1)、空きスロット×1 |
ストレージ | 約256GB SSD(NVMe接続) |
光学ドライブ | なし |
ワイヤレス通信 | なし |
オフィスアプリ | なし |
外部インターフェイス | 前面:USB3.0 Type-Cポート×1、USB3.1 Type-Aポート×1、マイク入力/ヘッドホン出力ポート×1 背面:USB3.0 Type-Aポート×3、USB3.1 Type-Aポート×1、DisplayPort×1、HDMI出力ポート×1、ギガビットLANポート×1 |
本体サイズ | 179(幅)×182.9(奥行)×34.5(高さ)mm(横置き時) |
重量 | 約1.28kg(縦置きスタンド含まず) |