フルHD解像度に進化し、約5m先に120型相当の大画面が広がる いつでもどこでも楽しめる先進のパーソナルシアター体験 エプソン スマートグラス「MOVERIO BT-40」徹底レビュー!

直感的な操作性と高い携帯性を備えたデバイスとして、年々注目度が高まっているウェアラブル端末。なかでも、先進技術に関心の高いガジェット好きを中心に注目を集めているのが、メガネ型のヘッドセット「スマートグラス」だ。本企画では、そんなスマートグラスの最新モデルとして、2021年2月、エプソンから発表された「MOVERIO BT-40」の画質や、装着感、操作性などをチェック。約5m先に120型相当の大画面が広がる、先進のパーソナルシアター体験の魅力をお伝えしよう。

進化点進化を遂げたエプソンの
最新スマートグラス「MOVERIO BT-40」登場

テクノロジーの進歩は日進月歩。ノートパソコンからタブレット端末、スマートフォン、そして、直感的な操作性と高い携帯性を備えたウェアラブル端末が登場し、これにともない、これまでとはまったく異なる映像視聴スタイルが生まれている。そのひとつの例が、先進技術に関心の高いガジェット好きを中心に注目を集めている、メガネ型のヘッドセット「スマートグラス」だ。

2021年2月にエプソンから発表された「MOVERIO BT-40」は、そんなスマートグラスの進化をけん引する存在と言える。本機は、スマートフォンから、USB Type-Cケーブルを介して入力した映像を、ヘッドセット左右の有機ELパネルに映し出し、両眼のグラス中央にあるハーフミラーに投写させて視聴する仕組みだが、従来モデル「MOVERIO BT-30C」ではHD(1280×720)だった有機ELパネルの解像度が、より高精細なフルHD(1920×1080)に向上。約5m先に120型相当の仮想画面が映し出され、環境を選ばず、好きな場所で高精細かつ大画面の映像コンテンツを楽しめるようになった。さらに、従来モデルに比べてヘッドセットのフィット感が向上するなど、随所で進化を遂げている。

スマートグラス(MOVERIO)

2021年2月にエプソンから発表された最新のスマートグラス「MOVERIO BT-40」。従来モデル「MOVERIO BT-30C」ではHDだった有機ELパネルの解像度がフルHDになったほか、ヘッドセットのフィット感もよくなり、画質と使い勝手が向上している。なお、電源は接続したスマートフォンから供給される仕組みだ。ヘッドセットをサッと装着するだけで、いつでも大迫力のパーソナルシアター体験が味わえるのだ

スマートグラス(MOVERIO)

見え方には個人差があるものの、ヘッドセットをメガネのようにかけるだけで、理論上は約5m先に120型相当の画面が映し出されるのと同じ視聴体験ができる。なお、画面のコントラスト比は500,000:1となる

また、周囲の状況を把握しながら大画面映像を楽しめる、両眼シースルー式の採用も「MOVERIO BT-40」の大きな特徴のひとつ。たとえば映像コンテンツの視聴中、お菓子や飲み物などを手に取るためにいちいちヘッドセットを外す必要がない。この点は完全に視界を覆うヘッドマウント型ヘッドセットとの明確な違いだ。また、両眼で対象物と映像を同時に見られる「MOVERIO BT-40」は、片方のグラスにのみ映像が映る単眼透過式のスマートグラスと比較してもストレスが少なく、長時間使用しても疲れにくいという利点がある。

スマートグラス(MOVERIO)

メガネ越しの風景の上に映像が投写される両眼シースルー式の「MOVERIO BT-40」は、周りの状況を確認したり、飲食したりしながら映像を楽しめる。なお、「MOVERIO BT-40」では、左右のディスプレイに異なる映像を表示させるサイドバイサイド方式の3D映像を視聴することも可能だ。左右独立ディスプレイを採用しているため、画像が二重に見えるクロストークが起こることもなく、クリアな3D映像を視聴できる

映像視聴目の前に現れる高精細なフルHD解像度の大画面。
いつでもどこでも大迫力の映像体験が可能に

それでは、「MOVERIO BT-40」で映像を視聴してみよう。ヘッドセットを装着し、USB接続したスマートフォンで、「YouTube」や「Netflix」など、普段観ている動画配信サービスの映像コンテンツを再生する。その瞬間、目の前に、見た目で120型相当の大画面が現れた。これには思わず「おーすごいすごい!」と歓声をあげてしまった。迫力満点だ。

しかし、光学プロジェクターがそうであるように、いくら大画面でも解像度が不足していると、画質が粗く、映像への没入感が薄れてしまうものだが、「MOVERIO BT-40」が映し出すフルHD映像は、目から近い場所に映し出されることもあり、高精細で、映画の字幕なども読みやすい。コントラストも想像以上に高く、屋内であればクッキリ鮮明な映像を楽しむことができた。ただし、直射日光が当たる明るい場所で視聴すると少々見えづらさを感じたため、その場合は同梱されるマグネット式シェードを使用するといいだろう。

スマートグラス(MOVERIO)

メガネのようにヘッドセットをかけて映像コンテンツを再生した瞬間、ドーンと目の前に現れる120型相当の大画面。フルHD解像度のため、映像が鮮明で、映像のテロップも読みやすい。コントラストも申し分なかった。なお、発色の傾向はナチュラルで、風景映像なども違和感なく楽しめた

スマートグラス(MOVERIO)

画面サイズが大きければ大きいほど、画質に対する解像度の重要性は高まるが、HDからフルHDに解像度がアップした「MOVERIO BT-40」なら、細部まで緻密に描写された高精細な映像を楽しめる。また、コントラスト比は500,000:1と高く、色再現性にもすぐれているので、さまざまな環境光下で見やすい映像が投写されるのもうれしいポイント

スマートグラス(MOVERIO)

「MOVERIO BT-40」にはマグネット式シェードが同梱されるので、より映像に集中したい場合や直射日光が当たるような場所ではこれを使用しよう。本機が持つコントラスト性能を存分に味わえるようになる

そして何よりありがたいのは、座っても寝転がっても、画面が常に目の前にあることだ。ソファに腰を下ろし、コーヒーを飲みながら映画を観てもいいし、ゴロンと横になりながらスポーツやライブ映像を堪能してもいい。好きな場所、好きな姿勢で高精細な大画面映像を楽しめる感覚は、まさにパーソナルなシアター体験と言える。もちろん、両眼シースルー式のため、サイドテーブルに置いたコーヒーカップを手に取る際も、わざわざヘッドセットを外す必要はない。従来とはまったく異なる未体験の映像視聴スタイルの新鮮さ、映像の迫力と臨場感に感動を覚えた。

スマートグラス(MOVERIO)

リビングルームのソファに座り、約5m先に視線をやると、上記のようなイメージで120型相当の大画面が広がる。画面の小さいスマートフォンやタブレット端末とはもちろん、筆者が普段観ている40V型のテレビと比べても桁違いの迫力があり、映像への没入感も別次元。また、別の方向を向いても、視線を向けたその先に、常に大画面が表示されているのもスマートグラスならではの利点だ

スマートグラス(MOVERIO)

高解像度かつ高コントラストな映像を映し出せる「MOVERIO BT-40」は、個人の映像視聴だけでなく、映画館や劇場での多言語字幕表示や、ミュージアムや娯楽施設でのAR(拡張現実)を用いた特別展示など、さまざまな用途で活用可能だという

装着感&操作性ズレにくく、締め付けすぎない快適な装着感

続いて、ヘッドセットの使い勝手をチェックしていこう。ヘッドセットを装着した瞬間に感じたのは、締め付けが強すぎないこと。テンプル(つる)は従来モデルに比べて、より広い面で支える構造となっているため、ソフトな締め付けでもヘッドセットがズレにくく、下を向いてもズレ落ちるようなことはない。その装着感は快適のひと言で、長時間の使用でも疲れにくかった。また、ヒンジ(丁番)には板バネ式の構造を採用しているため、フィット感がよく、小顔でも安定して装着できるのがうれしい。なお、幅144mmまでのメガネなら、メガネの上から装着することも可能だ。

スマートグラス(MOVERIO) スマートグラス(MOVERIO)

従来モデルに比べてフィット感が向上した「MOVERIO BT-40」。新たに板バネ構造のヒンジを採用したことで、小顔でも安定した装着感が得られるようになった

スマートグラス(MOVERIO) スマートグラス(MOVERIO)

重さは約95g(シェード、ケーブルなどを除く)と軽く、長時間装着していても疲れにくい。下を向きながら、寝ながらなど、さまざまな姿勢やシーンで映像を視聴してみたが、ヘッドセットの位置を直したり、不快感を覚えたりする場面は一度もなかった

映像出力対応のUSB Type-Cポートを搭載したスマートフォンを持っていない人のために専用コントローラー付属モデル「MOVERIO BT-40S」も用意

また、「MOVERIO」シリーズには、ここで紹介している「MOVERIO BT-40」のほか、Android OS搭載の専用コントローラーが付属したモデル「MOVERIO BT-40S」もラインアップ。専用コントローラーはタッチ操作対応の約3型IPS液晶ディスプレイを搭載しており、Androidスマートフォンと同様の操作感で使える。手持ちのスマートフォンが映像出力対応のUSB Type-Cポートを備えていない場合は、こちらを選ぶといいだろう。

なお、専用コントローラーは、3,400mAhと十分なバッテリー容量を搭載するうえ、ヘッドセット接続用とは別にUSB Type-Cポートを備えているため、コンセントやモバイルバッテリーに接続しながらでも利用できる。

スマートグラス(MOVERIO)

専用コントローラーはタッチ操作対応の約3型IPS液晶ディスプレイを搭載し、ネットワーク機能はWi-Fiに対応。OSにはAndroidを採用しているため、「Google Playストア」からアプリをダウンロードして、スマートフォン同様に動画配信サービスなどを利用できる。なお、本体ストレージ容量は64GBだ

スマートグラス(MOVERIO) スマートグラス(MOVERIO)
スマートグラス(MOVERIO) スマートグラス(MOVERIO)

液晶ディスプレイ下部にAndroid OSのホームボタン類を備える。また、出力0.5Wのスピーカーや3.5mmステレオミニ端子、マイク、約1,300万画素のカメラなども装備。さらに、最大2TBまでのmicro SDカードに対応したmicro SDメモリーカードスロットを備えるので、デジタルカメラなどで撮影した動画や写真などもヘッドセットで視聴できる。USB Type-Cポートは2基搭載しているため、コンセントやモバイルバッテリーに接続して電源を取りながらの使用も可能だ

スマートグラス(MOVERIO)

専用コントローラーのユーザーインターフェイスはAndroidスマートフォンとほぼ同じ。映像コンテンツの呼び出しや各種設定、「Google Play ストア」からのアプリのダウンロードなどを迷わず行える

スマートグラス(MOVERIO)

CPUにはQualcommの「Snapdragon XR1」を搭載し、メモリーは4GB。複数のアプリを立ち上げても動作がもたつくことはなく、操作レスポンスは終始キビキビとしていて快適だった。また、Bluetooth 5.0に準拠しているので、キーボードやイヤホン、スピーカーなどをワイヤレスで接続して使用することもできる

まとめガジェット好きならぜひ味わいたい、
先進のパーソナルシアター体験

「MOVERIO BT-40」を使っていると、タイムマシンに乗って、5年後、10年後の近未来にタイムスリップしたかのような感覚になる。メガネのようにヘッドセットをかけるだけで、約5m先に120型相当の仮想画面が広がり、環境を選ばず、好きな場所で大迫力の映像を楽しめるというのは、驚きと感動にあふれる体験だった。しかも、目の前に映し出されるフルHD映像は高精細で美しく、装着感や操作性、使い勝手についても死角は見当たらない。時代の1歩先を行く、臨場感あふれる映像体験を可能にした「MOVERIO BT-40」。その心躍るパーソナルシアター体験を、ぜひ多くの人に味わってもらいたい。