没個性を吹っ飛ばせ ハードもソフトも妥協なしの怪物マシン ASUS 最新スマホ「ROG Phone 5」レビュー


ASUSが最新スマートフォン「ROG Phone 5」を2021年5月26日に発表した。同社のゲーミングブランドである「ROG」が製品名に入っている通り、モバイルゲーミング用途に特化したスマートフォンだ。しかし、Androidスマートフォン最高クラスとなるスペックや、超大容量バッテリー、唯一無二のボディデザインは、ゲーマーだけではなく、性能にこだわるユーザーのニーズにもピッタリなスマートフォンとなっている。本企画では、この「ROG Phone 5」を徹底レビューし、その魅力を解説する。

怪物スマホ

台数限定のレアモデル
デザインあなたは革新のストームホワイト?
孤高のファントムブラック?
昨今のスマートフォンは、多少の違いこそあれ、どれも似通ったデザインになりがちだ。しかし、「ROG Phone 5」は、本体背面が光るギミックなど、ゲーミングスマホと呼ぶにふさわしいボディデザインを備え、ゲーマーだけでなく、メカ好き、アニメ好き、SF好きといった人たちの心にも刺さる仕上げが施されている。特に、筆者はガンダム世代なので、「ROG Phone 5」のメカメカしいボディデザインに心が奪われてしまった。スマートフォンで個性を表現したい、ほかの人とは違うスマートフォンが欲しい、こういった人にはピッタリの製品と言える。
また、標準モデル「ROG Phone 5」に加えて、台数限定の「ROG Phone 5 Ultimate」もラインアップされているのだが、それぞれでボディデザインが異なるのも面白いポイントだろう。ここからは、2つのモデルの外観を見てみよう。
型破りのベーシックモデル
「ROG Phone 5」
標準モデルの「ROG Phone 5」には、「ファントムブラック」と「ストームホワイト」の2種類のボディカラーが用意されている。「ファントムブラック」は、光沢のある黒がスタイリッシュな高級感を演出しつつも、背面のロゴ周辺や電源ボタンに赤色がちょっとしたアクセントとして入れられており、ベーシックながらも遊び心にあふれるデザインだ。いっぽう、「ストームホワイト」は、透明感のある白をベースに青色がアクセントで使われており、さわやかながらも洗練されたデザインになっている。筆者には、よりガンダムっぽい「ストームホワイト」がドンピシャだった。
また、背面には「ROG」のロゴをドット状のLEDライトで表現する「Auraライト」が搭載されている。PCなどのゲーミングデバイスの場合、一部が光るというのは当たり前のようになっているが、スマートフォンでは非常に珍しいデザインだ。


「ストームホワイト」では、青の差し色が、「ファントムブラック」では赤の差し色がSIM カードスロットと電源ボタンにあしらわれている。単調になりがちなスマートフォンのボディデザインだが、「ROG Phone 5」は遊び心が満載で、持っているだけでテンションが上がる
唯一にして無二。頂点を極めた
「ROG Phone 5 Ultimate」
台数限定の「ROG Phone 5 Ultimate」のボディカラーは、「ストームホワイト」のみの1色展開。なんと言っても、背面にドットマトリクスのディスプレイ「ROG Vision」を搭載するのが大きな特徴だ。この「ROG Vision」は、ロゴやメッセージ、着信通知をモノクロアニメーションで表示でき、何を表示するかは自由にカスタマイズ可能。スマートフォンの背面で個性を表現できるというわけだ。なお、「ROG Phone 5 Ultimate」は発売日がまだ未定だが、今から待ち遠しい。

白いボディに直線があしらわれたデザインと、モノクロ表示の「ROG Vision」がかっこいい「ROG Phone 5 Ultimate」。SIMカードスロットやカメラ下部の青い差し色がさわやかな印象だ
なお、「ROG Phone 5」「ROG Phone 5 Ultimate」2モデルともに、USB Type-Cポートが本体左側面と底面の2か所に搭載されている。充電しながらゲームを遊ぶ際、縦向きでも横向きでも、ケーブルが操作のじゃまにならないよう配慮がなされているというわけだ。
また、両モデルともイヤホンジャックを搭載しているのも見逃せないポイントだ。ワイヤレスイヤホンが主流になりつつあり、ハイエンドスマートフォンの多くがイヤホンジャックを廃止しているが、有線イヤホンを愛用している人も多いはず。もちろん、ゲーマーなら、サウンドの遅延も気になるだろう。そういった人にとって、このイヤホンジャックは非常に魅力的だ。しかも、4基のハイエンドD/Aコンバータ「ES9280AC Pro」で出力されるのも特徴だ。ハイエンドDACは、非搭載のイヤホンジャックと比べ音質が格段にアップする。音質にこだわるユーザーもきっと満足できるだろう。

怪物スマホ

台数限定のレアモデル
スペック&機能ハードもソフトも妥協
なしの怪物マシン
標準モデル「ROG Phone 5」と台数限定の「ROG Phone 5 Ultimate」の主要スペックでは、SoCは「Snapdragon 888 5G」で共通だが、メモリーとストレージ容量が異なる。詳細は以下の通りだ。
モデル別メモリー&ストレージ容量
ROG Phone 5:12GB/256GB、16GB/256GB
ROG Phone 5 Ultimate:18GB/512GB
ハイエンドスマホ向けの最新CPU「Snapdragon 888 5G」の性能は、現状のAndroidスマートフォンの中では最高峰に位置づけられる。それに加え、標準モデルで最もハイスペックなメモリー16GB/ストレージ256GBという構成は、ほかのスマートフォンの追随を許さない。また、「ROG Phone 5 Ultimate」が搭載する18GBという大容量メモリーは、スマートフォンでは世界初※とのことだ。 ※2021年4月現在 ASUS調べ
レビューで試した「ROG Phone 5」の16GB/256GBモデルと「ROG Phone 5 Ultimate」の処理性能を、ベンチマークアプリ「Antutu Benchmark」で計測してみたところ、「ROG Phone 5」は817946という非常に高いスコアを記録。これなら、重たい動作をサクサク処理する必要がある3Dゲームでも楽々こなせるだろう。そして、「ROG Phone 5 Ultimate」にいたっては、830947という、さらに高いスコアをたたき出した。さまざまなスマートフォンをレビューしてきたが、ここまで高いスコアは見たことがないレベルだ。
実際に、バトルロイヤルゲーム「PUBG MOBILE」を本機でプレイしてみたが、画質、フレームレートを高く設定しても、実にヌルヌルと動作した。こういったPvP形式のゲームでは、フレームレートが勝利に直結するため、最高設定で遊べるのは「ありがたい」のひと言につきる。
また、「ROG Phone 5」は基本スペックだけでなく、その他のハードウェアに関しても最高水準のものが採用されている。約6.78インチのAMOLED(2448×1080)ディスプレイは、鮮やかな映像表現を可能にするHDR10+に対応するうえに、リフレッシュレートは最高144Hz駆動、タッチサンプリングレートは24.3ms、応答速度は1msと、表示・反応とも非常に高速。先ほどの「PUBG MOBILE」のような描画性能が求められるゲームから、タッチ操作を高速で行う音ゲーまで幅広いゲームをカバー。タッチ操作が速すぎて反応しなかったなど、ハードウェアが要因のミスは極力起こらないようになっている。

バトルロイヤルゲーム「PUBG MOBILE」のグラフィック設定のクオリティを「HDR+」に、フレーム設定を「極限」にしてプレイしてみたが、動作はヌルサクだった (C)2021 KRAFTON, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.
もちろん、もう少しライトなゲームを遊ぶ際でも「ROG Phone 5」は、その性能を発揮してくれる。たとえば、今話題の「ウマ娘 プリティーダービー」は、6.78インチという大画面かつ鮮やかな発色のAMOLEDディスプレイにより、迫力満点のレースを楽しめ、お気に入りのウマ娘もかわいさアップ。ノッチがないためディスプレイ全体を表示領域として利用できるのも見やすくてポイントが高い。また、基本スペックが非常に高いため、ゲームを遊んでいるときにアプリが落ちてしまう、なんてこともない。ソーシャルゲームでも、基本スペックの高いスマートフォンで遊ぶに超したことはないのだ。
「ROG Phone 5」は、ハードとソフトの両方がゲームプレイに最適化されているが、実は純粋なハイエンドスマートフォンとしても非常に完成度が高い。すぐれた基本スペックは、アプリの動作からマルチタスクまで楽々こなせるし、ハイスペックなディスプレイは動画鑑賞時にもその真価を発揮する。

「ROG Phone 5」で映画を鑑賞。HDR10+対応のAMOLEDディスプレイはスマートフォンとしては非常に大きな約6.78インチで、迫力ある映像が楽しめる。スマートフォンで動画をよく見るユーザーもきっと満足するだろう
また、12×16mmの大型スピーカーを、横位置にしたときの本体左右に搭載しており、パワフルかつ、包み込むようなサウンドを実現しているのも特徴のひとつ。低音の迫力がスマートフォンの中ではズバ抜けており、かつ、中高音の伸びもしっかりと感じられる。ゲームだけでなく、映画や音楽などもBluetoothスピーカーなしで楽しめるのだ。さらに、前述したイヤホンジャックも「ROG Phone 5」のサウンド性能を後押しするうえに、イコライザーがプリインストールされているので、自分好みのサウンドにカスタマイズできるのもうれしい。
高い性能を備えていても、それを1日使い倒すには、十分な容量を備えるバッテリーが必要だ。その点についても「ROG Phone 5」は3000mAhのバッテリーを2基搭載しており、容量は合計6000mAhとたっぷり。これなら朝から晩まで、ゲームに動画、アプリなどを使い倒しても十分持つだろう。

ヘビーユーザーでも安心の6000mAhという大容量バッテリーを搭載。バッテリー残量がゼロになっても18分で60%、52分で満充電が可能な高速充電にも対応する(「HyperChargeアダプター」利用時)
また、スマートフォンでよく利用するカメラ機能に関しても「ROG Phone 5」は隙がない。背面にあるメインカメラは、6400万画素の標準カメラと1300万画素の超広角カメラ、そしてマクロカメラというトリプルカメラ構成。フロントカメラは2400万画素、動画も最大8K/30fpsでの撮影が可能と、ハイエンドスマートフォンのカメラとして申し分ない高スペックだ。

怪物スマホ

台数限定のレアモデル
ゲーミングより快適なゲーム環境を実現する
多彩なツールと
アクセサリー
「ROG Phone 5」が、最高のゲーミングスマホと言われる理由は、ボディデザインやスペックだけはなく、ゲームプレイをサポートするさまざまな機能やアクセサリーが充実していることにもある。
別売りの外付けクーラー「AeroActive Cooler 5」(「ROG Phone 5 Ultimate」には付属)は、装着することでCPUの温度を最大10℃、本体表面の温度を最大15℃冷却することが可能だ。すぐれた排熱設計の本体に「AeroActive Cooler 5」が加われば、ゲームプレイ中の熱暴走への対策はバッチリだろう。さらに、横向きで持った際に中指が当たる部分に物理ボタンが搭載されている。
また、FPSやTPS、音ゲーといったジャンルのゲームをプレイする人に重宝しそうなのが、ゲーム操作のショートカットを本体側面に割り当てられる「AirTrigger 5」だ。本体を横向きに持つ際に、ちょうど両手の人さし指が当たる本体左上と右上のセンサー部分に、ゲームで使うボタンを割り当てられる。さらには、横方向や縦方向へのスライドやスワイプにも対応する。
さらに、「AirTrigger 5」の新機能として「モーションコントロール」が追加されたのもポイントだ。本体を左右に動かす、前後左右に傾けるといった動作に、それぞれボタン操作を割り当てられる。なお、上位モデルの「ROG Phone 5 Ultimate」は、本体を横向きに持った際に中指が当たる背面下部の左右センサー部にもボタンを割り当てられる特別仕様になっている。
このほか、「ROG Phone 5」には、快適なゲームプレイをサポートする「Xモード」と「Armoury Crate」というツールがプリインストールされているのも注目すべき点。「Xモード」は、メモリーを解放してゲームに割り当てられるなど、ゲーム向けに最適化するモードだ。なお、本機では、新たに電力消費を極力抑える「超耐久性」というモードが加わった。




ゲーム向けに最適化する「Xモード」(左)(上)。日常の操作を最適化する「ダイナミック」や電力を節約する「超耐久性」※、柔軟なパフォーマンスを発揮する「アドバンスド」などのモードが用意されている。それぞれのモードは個別に効果のレベルを調節することも可能だ ※日本発売モデルのOSでは、「超耐久性」が「超省電力」に変更されています。
「Armoury Crate」は、ゲームの設定を個別に管理するツール。特定のゲームをプレイする際に、タッチ感度やディスプレイのリフレッシュレートなどを個別に設定することが可能だ。設定項目は多岐にわたるため、複数のゲームを遊ぶ場合に便利だ。
最後に「ROG Phone 5」専用のアクセサリー「ROG Kunai 3 Gamepad」を紹介しよう。これは、家庭用ゲーム機のコントローラーの操作感を実現する「ROG Phone 5」のゲームパッドだ。専用のバンパーを端末に装着し、本体の両側に「ROG Kunai 3 Gamepad」をセットすれば携帯ゲーム機さながらの操作が行える。また、単体の無線ゲームパッドとしても利用可能だ。

怪物スマホ

台数限定のレアモデル
まとめスマホを楽しむすべての人に捧げる
究極のモンスターマシン
「ROG Phone 5」は、ほかのスマートフォンとは一線を画すオリジナリティあふれるボディデザイン、日常使いから動画鑑賞、ゲームまでをカバーする圧倒的なスペック、映像美と高音質なサウンドを両立させたAV機能、1日どころか2日でも使い倒せる超大容量バッテリー、そしてゲームをサポートする数々のツールなど、語り尽くせないほどの魅力を備える。
ゲーミングに特化しているため、ゲーマーにとっては欲しい機能が詰まった夢の端末であるいっぽうで、ゲーム以外の一般的な用途でも使いやすい。約6.78インチ AMOLEDディスプレイ、そしてサウンド性能は、YouTubeやNetflixなどで動画や映画を鑑賞するユーザー、そしてソーシャルゲームを遊ぶライトなゲーマーにも極上のエンタメ体験をもたらしてくれるだろう。加えて、ハードとソフトの両方で実現された高いスペックは、常に最先端を求め、最高の処理性能を堪能したいヘビーユーザーも満足できるスマートフォンだ。
また、オリジナリティーあふれるボディデザインは、他人とは違うスマートフォンを持ちたいという要望も満たしてくれる。スマートフォンで個性を表現するなら、「ROG Phone 5」は唯一無二の選択肢になるはずだ。


- ディスプレイ
- 約6.78インチ AMOLED(2448×1080)
- CPU
- Snapdragon 888 5G
- メモリー
- ROG Phone 5: 12GB/16GB
ROG Phone 5 Ultimate: 18GB - ストレージ
- ROG Phone 5: 256GB
ROG Phone 5 Ultimate: 512GB - SIMスロット
- nanoSIM×2(5G+5G)
- OS
- Android 11(ROG UI)
- メインカメラ
- 6400画素標準カメラ(SONY IMX686イメージセンサー)、
約1300万画素超広角カメラ、500万画素マクロカメラ - インカメラ
- 約2400万画素
- バッテリー
- 6000mAh(3000mAh×2)(急速充電65W対応)
- 生体認証
- 画面内指紋認証、顔認証
- 通信方式
- 5G NR:n2/n5/n7/n12/n20/n25/n38/n40/n66/n71/n77/78/n79
FDD LTE: B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B13/B17/B18/B19/B20/B25/B26/B28/B29/
B30/B32/B66/B71
TDD LTE:B34/B38/B39/B40/B41/B42/B48
WCDMA:B1/B2/B3/B4/B5/B6/B8/B19
GSM:850/900/1800/1900MHz
キャリアアグリゲーション対応 - Wi-Fi
- IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax(2.4/ 5/6GHz)、Bluetooth 5.2
- 外部インターフェイス
- USB Type-Cポート×2、イヤホンジャック
- 本体サイズ
- 約77(幅)×173(高さ)×9.9(奥行)mm
- 重量
- 約239g