小型ボディにAndroidスマホ最高峰スペックを搭載
全部入りのハイエンドスマートフォン ASUS「ZenFone 8」徹底レビュー
ハイエンドスマートフォンの多くが大型化するなか、片手で楽々と操作できるコンパクトボディを実現したハイエンドスマートフォン「Zenfone 8」がASUSから発表された。本機は、手のひらに楽々と収まるコンパクトボディながら、現行のAndroidスマートフォンとしては最高峰の基本スペックを備えている高性能が魅力。そんな「Zenfone 8」を徹底レビューしてみた。
基本スペック小さくてもパワフルを実現。
Androidスマホ最高峰の
基本スペック
大画面を備える大型のスマートフォンが主流の今だが、今でも小型のスマートフォンは主要メーカーから発売されている。ただし、その多くは最上位となるフラッグシップモデルから性能や機能が削られたミドルハイクラス、もしくはそれ以下のクラスの製品だ。「コンパクト」と「最上級の処理性能」を同時に満たしたスマートフォンは市場にほとんどないと言えるだろう。
しかし、「Zenfone 8」は、そんな「小型スマートフォン=ミドルハイクラス以下」という常識を覆したモデルだ。実用的なサイズの5.9インチの有機ELディスプレイを備えつつも、手のひらに楽々と収まるコンパクトボディに、卓越したパフォーマンスを誇るクアルコムのSoC「Snapdragon 888 5G」を搭載。メモリーは8/16GB、ストレージは128/256GBと、たっぷりの容量が確保されている。
本機の基本スペックの高さを調査すべく、ベンチマークアプリ「Antutu Benchmark」で処理性能をテスト※したところ、総合スコアは801198を記録。CPUやGPUなどすべての項目で現在のスマートフォンにおけるトップクラスのスコアをたたき出しており、その性能は非常に高いと言える。
※ メモリー16GB/ストレージ256GBモデルの「高性能モード」で測定。
ここまで高い基本スペックを備えていれば、さまざまな作業が快適に行える。アプリの切り替えやカメラの起動、スクロール操作などでもたついたり、固まってしまうようなことは一切なく、どの動作もスムーズだ。ゲームについては、ライトな負荷のソーシャルゲームから、ヘビーな負荷がかかる3Dゲームまで快適に遊ぶことができた。サクサク動作するハイエンドスマートフォンを求めている人でも、この高い処理性能には満足できるはずだ。
また、搭載するバッテリー容量は4000mAhと、小型スマートフォンとしては大容量なのにも注目だ。1日中使ったとしても、酷使しない限り帰宅前に充電が切れてしまう心配は少ない。また、充電は「Quick Charge 4.0」に対応しており、30Wの急速充電が可能。約25分で60%の充電が行える。このほか、充電時間を制御してバッテリーの劣化を防ぐ「バッテリーケア」を使えば、バッテリーの寿命をより長くすることも可能だ。
通信面では高速な5Gが利用でき、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天が提供するSub6の各バンドに対応。さらに5G+5GのDSDVをサポートしているため、プライベートと仕事で2枚のSIMカードを使い分けたい人にも便利だ。最新のWi-Fi 6にも対応しており、通信機能についても高い水準にある。
デザイン&ディスプレイポケットにスッポリ収まる
コンパクトボディに
120Hz駆動の有機ELディスプレイ搭載
続いては、「Zenfone 8」のボディをチェックしよう。手のひらサイズという表現がピッタリのコンパクトボディながら、フロントカメラをパンチホール型にし、極細ベゼルを採用することで、十分に実用的なサイズの5.9インチ(2400×1080)の有機ELディスプレイを搭載。小さいボディながらも、前面ギリギリまで画面が広がるため、高い没入感を体験できるのがポイントだ。
ボディサイズは148(高さ)×68.5(幅)×8.9(厚さ)mmで、重量は169g。幅が7cmを切っているため、本体は手のひらにスッポリと収まるうえ、丸みを帯びた側面により、握り心地は良好だ。
片手での操作が楽々行え、ジーパンなど少しタイトなズボンのポケットに入れても違和感がない「Zenfone 8」だが、さらに画面上部の表示を下にズラせる「片手モード」を備えているので、手の小さな女性でも画面上部のメニュー操作などが片手で楽に行える。こういったモードは他社製スマートフォンでも見られるが、「Zenfone 8」は画面下部を下方向にスワイプするだけで切り替えられるので、必要なときに瞬時に「片手モード」を起動できるのが非常に便利だった。
なお、「Zenfone 8」のディスプレイは、応答速度1msで最大120Hzのリフレッシュレートに対応するため、動画などを滑らかに表示できる。HDR10+にも対応しているので、動画などもハイコントラストでクリアな映像が楽しめる。実際に映画を鑑賞してみたが、その美しい描写は満足感が高かった。また、スクロール操作時に画面のブレをほとんど感じないため、長時間操作していても目が疲れにくい。
さらに、1msという高速な応答速度と240Hzという高速なタッチサンプリングレートにより、ソーシャルゲームから音ゲー、FPSまで幅広いゲームが快適に遊べる。加えて、ディスプレイ表面は、Corning社の「Gorilla Glass Victus」によって覆われており、衝撃や傷に強いのもポイントが高い。最近流行りの大型画面を持つハイエンドスマートフォンに比べると画面サイズこそやや小さめだが、それを補って余りあるほど高性能なディスプレイだ。
このほか、イヤホンジャックを搭載するのも見逃せない。多くのハイエンドスマートフォンがイヤホンジャックを廃止するなか、イヤホンジャックを搭載した「Zenfone 8」は貴重な存在と言えるだろう。高音質な有線のイヤホンやヘッドホン、ゲーミングヘッドセットを愛用している人にはうれしい仕様と言える。
また、内蔵スピーカーに関しても、「Zenfone 8」は本体の左右(横向き時)に合計2基のステレオスピーカーを搭載しており、迫力のステレオサウンドが楽しめる。試しにライブ映像を鑑賞してみたが、低音がパワフルでありながら、中・高音の解像度が高く、バランスが取れた音質だと感じた。ステレオサウンドによる包み込まれるような臨場感も素晴らしい。小型ボディでもここまでの高音質が実現できることには、素直に驚いてしまった。
基本機能&カメラシリーズ初の「おサイフケータイ」対応。
ダブルレンズカメラ搭載で
カメラ機能もハイパフォーマンス
基本スペックやカメラの性能、価格など、スマートフォンを選ぶ際の優先事項はユーザーによりさまざまだが、こと日本市場においてニーズが高いのが、「モバイルSuica」や「WAON」といった電子マネーを利用できる「おサイフケータイ」と、防水・防塵に対応しているかどうかだろう。
実は、「Zenfone 8」は、この「おサイフケータイ」と、IP65/IP68等級の防水・防塵仕様に「Zenfone」シリーズとして初めて対応した機種になる。これまでの「Zenfone」シリーズは、これらの日本国内向けの機能に非対応であることを製品力の高さでカバーしてきたが、「Zenfone 8」では、この点をついにクリアし、日本のユーザーにとっては、購入しやすくなった。これはうれしいニュースと言えるだろう。
最後は「Zenfone 8」のカメラ機能を紹介しよう。背面のメインカメラは、6400万画素の広角カメラと、1200万画素の超広角カメラで構成されたダブルレンズカメラ。フロントカメラは約1200万画素となっている。
メインで使用する広角カメラは、約6400万画素の高画素を生かし、トリミングにも耐えうるほどの高精細な写真が撮れる。被写体の細かなディテールまでしっかりととらえた鮮明な仕上がりだ。加えて、AIがシーンを認識して色味などを補正する「AIシーン検出」や「ポートレートモード」「夜景モード」など多彩な撮影モードを搭載しているので、いろんなシーンで写真を撮ってみたくなる。
いっぽうの超広角カメラは、広い画角を1枚に収められるカメラだ。こういったカメラで撮影を行うと、一般に写真の周囲が歪んでしまいやすいのだが、「Zenfone 8」の超広角カメラでは、この歪みをほとんど感じない写真が撮れる。広大な風景を撮影したり、グループ写真を撮るときなどに活用できるだろう。
まとめ処理速度とコンパクトさを両立させた貴重なスマホ
ここまで「Zenfone 8」のレビューを行ったが、やはり手のひらサイズのコンパクトボディは、操作性や携帯性の面では大型のスマートフォンを上回る魅力がある。それでいて、基本スペックやディスプレイの性能は、現行のAndroidスマートフォンの中で間違いなくトップクラスの内容だ。そのうえ、本体価格は79,800円(メモリー8GB/ストレージ128GB)からと、ハイエンドスマートフォンとしては比較的抑えられており、コストパフォーマンスも高い。コンパクトなスマートフォンが欲しいが、基本スペックや搭載機能にも妥協したくない、というユーザーに、ぜひチェックしていただきたい1台だ。
| ディスプレイ | 約5.9インチ 有機EL(2400×1080) |
|---|---|
| CPU | Snapdragon 888 5G |
| メモリー | 8/16GB |
| ストレージ | 128/256GB |
| SIMスロット | nanoSIM×2(5G+5G) |
| OS | Android 11 |
| メインカメラ | 6400万画素広角カメラ、約1200万画素超広角カメラ |
| フロントカメラ | 約1200万画素 |
| バッテリー | 4000mAh、Quick Charge 4.0/USB PD対応 |
| 生体認証 | 画面内指紋認証、顔認証 |
| 通信方式 |
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| Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax(2.4/ 5/6GHz)、Bluetooth 5.2 |
| 外部インターフェイス | USB Type-Cポート×2、イヤホンジャック |
| 本体サイズ | 約68.5(幅)×148(高さ)×8.9(奥行)mm |
| 重量 | 約169g |
















