「Snapdragon 8cx Gen2」搭載 最大21.1時間駆動で5Gにも対応!2in1モバイルノートPC「HP Elite Folio」の実力を徹底検証
テレワークを導入する企業や団体が増え、オフィスへ出勤する機会が減っている人も多いだろう。自宅やカフェ、コワーキングスペースなど仕事をする場所が多様化し、ミーティングもオンラインで行うのが日常になりつつある。そんなビジネスパーソンにとって欠かせないツールがモバイルノートPCだ。モバイルノートPCに求められる要素はいろいろあるが、バッテリーの残量を気にせず、1日中どこでもネットに接続して使えるのが理想ではないだろうか。今回紹介する日本HPの「HP Elite Folio」は、そんな理想を高い次元で実現した注目の2in1モバイルノートPCだ。その実力を価格.comが徹底検証する。
製品概要いつも持ち歩きたい人の仕事用PCにピッタリ!
最大21.1時間バッテリー駆動(JEITA2.0にて)の
2in1モバイルノートPC
テレワークの普及により、私たちの働き方が変わりつつある。オフィス以外の場所で働く機会が増え、取引先や社内メンバーとのコミュニケーションはオンラインで行うのが当たり前になった。そんな新しい働き方に適したPCとして開発されたのが、今回紹介する「HP Elite Folio」だ。ノートPCとしてもタブレット端末としても使える2in1モバイルノートPCで、最大21.1時間という驚異的なバッテリー駆動を実現したのが大きな特徴。また、5G通信にも対応した通信モジュールを搭載しており、別途モバイルルーターなどを持ち歩くことなく、外出先で高速なインターネットが利用できる。働く場所を選ばず、どこでもインターネットに接続できる、まさに新しい働き方にピッタリの2in1モバイルノートPCなのだ。
まずはその外観から見ていこう。「HP Elite Folio」は、ノートPCとしてもタブレット端末としても使える2in1モバイルノートPCだが、そのモード変更の機構が面白い。2in1モバイルノートPCでは、キーボード部が着脱可能な「デタッチャブルタイプ」か、360°回転するヒンジを利用してディスプレイ部をひっくり返す「コンバーチブルタイプ」のいずれかになるのが一般的だが、「HP Elite Folio」はそのどちらでもない。ディスプレイ部の背面に設けられたヒンジを使ってキーボードの上にディスプレイを乗せるような形で「ノートPCモード」から「タブレットモード」へと変形するのだ。この変形スタイルのいいところは、本体を持ち上げることなく、モードが切り替えられることにある。
下写真を見てもらったほうが早いが、ノートPCを閉じた状態から、接続部を中心にディスプレイ部を180°回転させて閉じると「タブレットモード」になる。キーボードとタッチパッドの間で止めた状態は、動画などが見やすい「メディアモード」だ。ディスプレイ部がマグネットで固定されるためグラつくようなことはない。各モード間の変形も非常にスムーズだ。
「HP Elite Folio」の3つのモード
「HP Elite Folio」は、「ノートPCモード」「メディアモード」「タブレットモード」の3つのモードで利用できる。動画視聴などに便利な「メディアモード」は一見不安定そうだが、マグネットでしっかり固定されるので、グラつくことはない
本体サイズは約298.6(幅)×229.6(奥行)×16.1(高さ)mm。重量は約1.33kgと楽々持ち運べる軽さとなっている。複雑な変形機構を備えているが、マグネシウムユニボディを採用することで堅ろう性も確保されている。また、天板と底面はやわらかく手になじむヴィーガンレザーで覆われており、PCというよりも高級なビジネス手帳のような雰囲気。なお、ヴィーガンレザーとは動物由来の素材を用いることなく、人工的に革の繊維構造を再現した新しい素材で、地球環境に配慮したものだ。
外側だけでなく、中身にも注目したい。「HP Elite Folio」は、CPUにインテルやAMDではなく、スマートフォンでおなじみのQualcomm®製プロセッサー「Snapdragon™ 8cx Gen2」を採用している。「Snapdragon™」シリーズは主にスマートフォンやタブレットに使われることの多い、ARMアーキテクチャーベースのCPUだ。もともとがモバイル機器向けに作られているため、PC用に設計されたCPUよりも省電力なのが特徴で、このメリットを生かしつつ、PC向けにパフォーマンスを高めたのが、この「Snapdragon™ 8cx Gen2」なのだ。
CPUに「Snapdragon™ 8cx Gen2」を採用することで、「HP Elite Folio」のバッテリー駆動時間は、カタログスペックで最大21.1時間という、モバイルノートPCとしてはトップクラスの長さを誇る。また、前述のように、今後エリアの拡大が期待される5G通信にも対応する(4G LTEでの通信も可能)通信モジュールを内蔵しているため、外出先でも高速なインターネットを利用することが可能。この最大21.1時間のバッテリー駆動と5G通信により、いつもPCを持ち歩いて仕事をしたいという人にとって、本機はかなり心強いモデルとなっているのだ。
処理性能Webブラウザーやオフィスソフトがサクサク動作!
「Snapdragon™ 8cx Gen2」の実力をチェック
続いて、「HP Elite Folio」のパフォーマンス面をチェックしていこう。やはり気になるのは、「Snapdragon™ 8cx Gen2」の処理性能だろう。バッテリー駆動時間がどれだけ長くても、処理性能が低ければパソコンとしては使い物にならないからだ。そこでここでは、ベンチマークプログラムなどを使って、「Snapdragon™ 8cx Gen2」の処理性能を検証していきたい。なお、今回テストに使用した「HP Elite Folio」の主なスペックは、CPUが「Snapdragon™ 8cx Gen2」(8コア、最大3.0GHz)、メモリーがLPDDR4X の16GB(8GB×2)、ストレージが512GBのSSD(NVMe接続)というハイスペックな仕様だ。
テストの前に、CPUとOSについて少しだけ補足しておきたい。ARMベースのCPUは、基本的にインテルやAMDが採用するx86と呼ばれるアーキテクチャーと互換性がない。そのため、「HP Elite Folio」はOSにARM版の「Windows 10」を搭載している。見た目や操作性は通常の「Windows 10」と変わらず、メールやWebブラウザーといった基本アプリも問題なく利用できるが、アプリの中には正常に動作しないものもあるので、その点には注意してほしい。こうした事情から、今回試したベンチマークプログラムの中にも一部対応していないテストがある。なお、仕事用のノートPCとして使うことを考えると、「Microsoft Office」が動作するかは気になるところだが、32ビット版の「Microsoft 365」(旧称:「Office 365」)が正常に動作することが確認されているので、仕事でOfficeソフトをよく使うという人も安心だ。
まず試したのは、PCの総合的な性能を測定する定番の総合ベンチマークプログラム「PCMark 10」(UL Benchmark)だ。ただ、基本となる「PCMark 10 benchmark」テストには動作しない項目があり、総合スコアを算出できなかった。そこで、「Microsoft 365」を利用する「PCMark 10 Applications benchmark」テストを試してみた。その結果は「5435」で、インテルの「第10世代Core i5」シリーズを搭載したノートPCに近いスコアだった。実際に32ビット版の「Microsoft 365」をインストールして、「Word」「Excel」「PowerPoint」を操作してみたが、どのアプリもスムーズに動作した。Officeソフトの利用において処理性能に不満を感じることはないだろう。
「PCMark 10」の「PCMark 10 Applications benchmark」テストのスコアは「5435」。インテルの「第10世代Core i5」シリーズを搭載したノートPCに近いスコアだ。「Microsoft 365」も32ビット版が動作するため、ビジネス用途であれば、一般的なノートPCと同様に利用できるだろう
続いて、動画再生能力もチェックしてみた。動画配信サイトの4K(3840×2160)ストリーミング動画再生はスムーズで、本体に保存した約400Mbpsの高ビットレート4K動画も問題なく再生できた。しかも、スピーカーには、北欧の高級オーディオブランド、Bang & Olfusen監修のスピーカーを搭載しており、モバイルノートPCとしては高品質な音で楽しめるのもうれしい。合計4つのスピーカーが搭載されており、「ノートPCモード」「タブレットモード」「メディアモード」のどのモードでも高音質が楽しめた。
前述のとおり、バッテリー周りもかなり優秀だ。バッテリー駆動時間はカタログスペックで最大21.1時間と驚異的な長さを誇る。少し重い作業を想定して4K解像度、59.94fpsの動画をループ再生し続けたが、それでもバッテリー残量が100%から10%になるまで約9時間かかった。実際の利用シーンでは1日中持ち歩いて使えると言って過言ではないだろう。充電が速いのも魅力で、付属のACアダプターを使って充電したところ、約35分で10%から50%まで、約1時間で75%までバッテリーが充電できた。
このほか、スリープからの復帰が一瞬と、ストップウォッチでは計測できないほど速いのにも驚かされた。ディスプレイを閉じた状態から開くと、画面を見るころにはすでにサインイン画面が表示されている。「Windows Hello」の顔認証を設定しておけば、待ち時間はほぼゼロで使い始められるだろう。
使い勝手使いたい時にサッと使えるペンや、
スマホ連携に便利な独自機能を搭載
最後に「HP Elite Folio」の使い勝手を詳しく見ていこう。まず目を引くのがキーボード奥にあるペンの収納スペースだ。ペンはマグネットで固定され、逆さまにしても落ちることはない。ここに収納しておくことで充電される仕組みのため、いざペンを使いたい時に見つからない、電池切れで使えないといったトラブルを防げる。
また、ペンの収納スペースの右端にSIMカードスロットが搭載されている。押すとトレーが出てくるプッシュプル方式で、ピンなどの器具がなくてもSIMカードの出し入れが行えるのがありがたい。海外で旅行者用SIMカードを利用する時など、普段使っているSIMカードとさっと交換できて便利だ。
ペンは本体に収納すると、充電される。紛失のリスクが少ないうえ、ペンのバッテリーを気にすることなく活用できる非常に合理的な仕組みだ。ペンの収納スペースの右端に見えるSIMカードスロットは、ピンなどの器具なしで簡単に着脱できる
13.5型のディスプレイはマルチタッチ対応で、解像度は1920×1280。フルHD(1920×1080)より縦に200ドット広く、アスペクト比は3:2となっている。ブラウジングや文書作成、表計算ソフトの利用などでは画面が縦に広いほうが効率よく作業できるため、ビジネス用途に向いている。
外部インターフェイスは両側面にUSB Type-Cポートを1基ずつ、右側面にヘッドホン出力/マイク入力ポートを1基という、最近の薄型モバイルノートでは一般的な構成。ポートの数自体は少ないが、USB Type-Cは左右両方のポートが充電と映像出力に対応しているため機能面ではあまり不自由はないだろう。キーボードは、「Print Screen」機能が右[Shift]キーに割り当てられていることを除くとクセのない標準的な配列。一部のキーが小さくなっているものの、主要なキーのキーピッチは18.4mmと、十分なサイズ感だ。キータッチは少し硬めでタイプ感がしっかりとあるタイプ。総じてタイピングしやすいキーボードだと感じた。
外部インターフェイスにはUSB Type-Cポートを左右側面に1基ずつ、ヘッドホン出力/マイク入力ポートを右側面に1基備える。USB Type-Cポートは2基とも充電と映像出力に対応しているので、デスクのコンセントやディスプレイの配置を気にする必要がない
また、テレワークに必須のWebカメラは解像度が720pのため、クリアな映像でビデオ会議に参加できる。音に関しても、ノイズキャンセリング機能付きのデュアルマイクとBang & Olfusen監修のスピーカーにより、ヘッドセットなしでも快適にビデオ会議が行えるだろう。Webカメラには、IRカメラが搭載されており、「Windows Hello」による顔認証にも対応。手動でスライドさせるプライバシーシャッターを内蔵しており、使わない時は閉じておけばセキュリティ面でも安心だ。
WebカメラはIRカメラ付きで「Windows Hello」の顔認証に対応する。スリープからの復帰が速いことを生かすためにも、ぜひ活用したいところだ。プライバシーシャッター付きなので、不要な時は目隠ししておくこともできる
このほか、仕事に便利なアプリとして、スマートフォン内の写真やファイルを「HP Elite Folio」に転送できる連携アプリ「HP Quick Drop」を搭載。仕事で利用する資料や画像をスマートフォンで撮影して、「HP Elite Folio」へワイヤレスで素早く転送できる便利アプリだ。QRコードを使ってスマートフォンと簡単にペアリングできるのもポイントだ。
コロナ禍でPCを清潔に保ちたいと考えている人も多いはず。その点、「HP Elite Folio」は、エタノールを含む家庭用クリーナーシートで拭いても耐えられる表面加工が施されている。また、PCを清掃する時にいちいち電源を切らずに行える「HP Easy Clean」を搭載。同機能を使えば、清掃中にキーボードやディスプレイを触っても、誤入力されなくなるので、思い立った時にすぐに本体を清掃することができる。
まとめ長時間駆動と5G通信対応で
新しい働き方をしっかりサポート
以上、「HP Elite Folio」を詳しくチェックしてきたが、本機はかなり実用的な2in1モバイルノートPCだと感じた。1日中持ち歩いても余裕のバッテリー駆動はもちろん、スリープからの復帰が非常に速く、スマートフォンやタブレット端末に近い感覚で使える。OSが「ARM版Windows 10」であることには注意してほしいが、OfficeソフトやWebブラウザーベースの作業が中心であれば、特に問題なく使えるだろう。「Snapdragon™ 8cx Gen2」の性能を気にする人も多いと思うが、思った以上に高性能で動作も軽快だった。
また、5G通信に関しては対応エリアがどんどん拡大しており、数年使うことを考えれば、5G通信に対応しているのは心強い。もちろん、4G LTEでも通信ができるので、5Gエリア外でも安心して使える。このほか、モード変更の機構やペンの収納スペースなど、細かい使い勝手の面もよく考えられていると感じた。さまざまな場所でテレワークをしている人や、日常的に持ち運ぶノートPCを探している人は、「HP Elite Folio」をぜひチェックしてもらいたい。

2in1モバイルノートPC
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スペック
モデル | Snapdragon 8cx Gen2/8GBメモリ/256GB SSD/Windows 10 Pro/5G搭載モデル SIMフリー | Snapdragon 8cx Gen2/16GBメモリ/512GB SSD/Windows 10 Pro/5G搭載モデル SIMフリー 今回の検証モデル |
---|---|---|
OS | ARM版Windows 10 Pro 64ビット | |
CPU | Qualcomm® Snapdragon™ 8cx Gen2 (8コア、最大3.0GHz) | |
グラフィック | CPU内蔵 | |
メモリー | オンボード 8GB×1(LPDDR4X) | オンボード 16GB(8GB×2、LPDDR4X) |
ストレージ | 256GB SSD(NVMe接続) | 512GB SSD(NVMe接続) |
光学ドライブ | なし | |
ディスプレイ | 13.5型、解像度1920×1280(アスペクト比3:2) | |
無線通信 | Wi-Fi 6対応(IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.0 | |
WWAN | Qualcomm® Snapdragon™ X55 5G(5G & 4G LTE対応) | |
外部インターフェイス | 右側面:USB Type-Cポート×1(5Gbps、充電、映像出力対応)、ヘッドセット端子 左側面:USB Type-Cポート×1(5Gbps、充電、映像出力対応) | |
バッテリー駆動時間 | 最大約21.1時間(JEITA2.0) | |
本体サイズ | 298.6(幅)×229.6(奥行)×16.1(高さ)mm | |
重量 | 約1.33kg |