「デュラテクトDLC×デュラテクトピンク」のボディに金属塗装の文字板を採用!シチズン アテッサ アクトライン ブラックチタンTMシリーズ エレガンスを全身にまとう新・旗艦モデル
メタリックな文字板は、月面に広がる無機質な砂地を彷彿とさせ、そこに配されたすり鉢状の立体的なサブダイヤルは、まるでクレーターのよう。人によっては、ブラック×ピンクゴールドのカラーリングから、地平線のかなたで繊細な赤みをまとって浮かぶ、月の姿をイメージするかもしれない――。
2021年11月5日、グローバルに行動するビジネスマンに向けて展開する腕時計ブランド、シチズン「アテッサ」 から登場した「エコ・ドライブGPS衛星電波時計F950(CC4016-67E)」(以下、CC4016-67E)は、近年、活発化している宇宙への旅に賛辞を贈るリスペクトモデルだ。「アテッサ」の歴代フラッグシップモデルの中でもとりわけエレガントなたたずまいは、いたずらに主張し過ぎることなく、ただ夜半(よわ)の月のごとく慎ましやかに、品格とは何かを心得る者たちの手元を格上げする。ここでは、そんな本モデルの魅力をじっくりと解説する。
Index
Materia唯一無二の素材「ブラックチタン™」の恩恵
最初に、本モデルのシリーズ名「シチズン アテッサ アクトライン ブラックチタン™シリーズ」についておさらいしておこう。
まず「アテッサ」は、1987年発売の「アテッサ」を初号機とし、以後、ケースやバンドの素材としてチタニウムを前面に打ち出しつつ、そこにシチズン独自の先端技術を取り込んだビジネス向けコレクションとして展開されているブランド。なかでも、「ブラックチタン™シリーズ」は、シチズンの独自技術「デュラテクトDLC」のケースとバンドが採用されたハイエンドシリーズだ。
いっぽう、「アクトライン」は、端正な文字板デザインと、その外周に記された都市表記が特徴で、ケースシルエットのエッジが効いた仕上がりに“今”を感じさせるモデル群で構成されているライン。ここで紹介する「CC4016-67E」は、さらにクロノグラフ機能なども追加されていることから、「シチズン アテッサ アクトライン ブラックチタン™シリーズ」における新たなフラッグシップモデルと言えるだろう。
そんな本モデルには、「月」をイメージしたデザインが取り入れられているのだが、実はこれ、シチズンが技術支援を行なっている民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」から着想を得ている。2019年8月、シチズンは宇宙スタートアップ企業「ispace」と、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」についてコーポレートパートナー契約を締結。月探査ミッションで使用されるランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)の開発に、シチズン独自の素材「スーパーチタニウム™」を提供することを公表した。また、その最初の成果として2021年7月、ランダーのフライトモデルに採用され、その回転軸と連結部に「スーパーチタニウム™」が使われたことも発表している。

「HAKUTO-R」では、米「スペースX社」の2段式商業用打ち上げロケット「ファルコン9」を使用し、2022年(※1)に月面着陸、2023年(※1)には月面探査の実現を目指している。そして、その際に使用されるランダーのパーツ素材の一部に「スーパーチタニウム™」を取り入れることで、月面着陸の衝撃に耐え得る強度や柔軟性、軽さを得られることが期待されている
※1:2021年11月時点の想定
過去を振り返ってみると、シチズンは1970年、世界に先駆けてチタニウムをケース素材に採用した腕時計「エックスエイト コスモトロン・クロノメーター」を発表。以来、約半世紀にわたり、その精密加工や表面仕上げの技術に磨きをかけてきた、いわばチタニウム加工の先進的メーカーだ。そして、その技術力が腕時計のみにとどまらず、今や宇宙関連技術にも生かされるようになったのは大変興味深い。
そんな過程を経て生まれた「スーパーチタニウム™」が、「CC4016-67E」のケースやベゼル、バンドの素材として採用されているが、以下では「スーパーチタニウム™」と、それに関連する「デュラテクトDLC」について解説しよう。
まずは「デュラテクト」。これは、加工が難しいうえに、やわらかくキズつきやすい金属であるチタニウムの耐傷性を高めるために開発された、シチズン独自の表面硬化処理だ。そもそも「デュラテクト」は、「素材をコーティングする技術」「素材自体の表面を硬くする技術」「その両方を複合的に施す技術」の3種類に大別できるのだが、「CC4016-67E」に採用されているのは、素材をコーティングする技術の一種「デュラテクトDLC」。「DLC」とは、「Diamond-Like Carbon(ダイヤモンドのようなカーボン)」の略で、これは主に、炭素と水素で構成される非晶質のカーボン硬質膜コーティングのことを指す。一般でも使用されている技術だが、シチズンは独自技術でこのコーティングの密着性を高め、はがれにくいものに改良。と同時に、硬さのみならず、あでやかさを帯びた美しさも実現している。
そんな「デュラテクトDLC」がチタニウムのケースやバンドに施されたモデルのコレクションが、この「CC4016-67E」を含む「ブラックチタン™シリーズ」というわけだ。
「デュラテクトDLC」では、一般的なDLC加工とは異なり、基材やDLC硬質膜にはもちろん、それらを密着させるための中間層にもメタルアレルゲン物質が用いられていない。そのため、耐メタルアレルギー性がきわめて高く、敏感肌でも安心して装着できる
次に、「スーパーチタニウム™」だが、これは簡単に言えば「デュラテクト」が施されたチタニウムのこと。これは、ステンレスの約2分の1という軽さや、高耐食性、耐金属アレルギー性といった利点のほか、ステンレスの5倍以上もの表面硬度があり、すりキズや小キズから腕時計を守ってくれる。
本モデルのケースやバンドなどに採用されている「ブラックチタン™」は、光の諧調や差し込む角度などによって、時に漆黒やグレーに、時に茶色を帯びた色合いにと表情を変化させる。また、ヘアライン仕上げを基調としながらも、ケースや各バンドコマに直線的な面取りを施し、その面を鏡面に仕上げることでより豊かな表情を与え、クラス感を高めている
前置きが長くなったが、要は、シチズン独自の素材「ブラックチタン™」が採用された「CC4016-67E」のケースやバンドは、すこぶる硬く、耐摩耗性と耐久性にすぐれ、コーティングの密着性が高いがゆえに剥離しにくく、サビにくいうえに肌にやさしいものに仕上がっているということ。また、見た目に重厚感がありながら、実は手に取れば驚くほどに軽く、しかも滑らかな手触りも大変心地よい。つまり、腕時計の外装としておよそ弱点のない理想の素材を、本モデルは身にまとっているのだ。
Technology「デュラテクトピンク」や「金属塗装」が魅せる、
高級感をまとったエレガントな表情
では、ここからは本モデル「CC4016-67E」ならではの特徴について触れていこう。ちなみに、基本的なデザインやサイズ、機能においてほぼ同スペックのモデルはすでに販売されている(たとえば、2020年10月に発売されたフルブラックタイプの「CC4014-62E」など)。したがってここでは、「CC4016-67E」において新しく採用された3つのポイントについて解説する。
第1のポイントは、ベゼルの縁取りに取り入れられた「デュラテクトピンク」。これは、貴金属のゴールドをイオンプレーティング技術でイオン化することで、ピンクゴールド色を実現し、そこにさらに鏡面処理を施すことで、品のよさを表現したもの。ゴールドは比較的やわらかい金属だが、「デュラテクト」の技術によって、ステンレスの約7.5倍もの硬度に高められている。
また、このベゼルの色に合わせて、時・分針やインデックス、サブダイヤルの金属リングにも同系色を採用。これらが、本モデルの基調色であるブラックとハイコントラストを成して時計全体のたたずまいを引き締め、かつそこに華やぎとエレガンスを添えている。なお、腕時計の世界ではこの数年、ピンクゴールドが人気だが、こうしたトレンドからも、本モデルの登場は注目すべきものだと言える。
第2のポイントは、月面の砂地をイメージして、金属塗装を施した文字板。金属塗装は、透明樹脂の基材に、微細な金属の粉体を混ぜ込んだ塗料を吹き付けることで、金属製文字板のような質感を実現したもので、国内のモデルでは初めて採用された技術だ。
「CC4016-67E」には、光を電気エネルギーに変えて時計を動かす、シチズン独自の技術「光発電エコ・ドライブ」が採用されており、そのソーラーセル(太陽電池)は文字板の背後に配されている。では、光をどこから取り込むのかと言えば、それは文字板から。これは「スタンダードソーラー」と呼ばれる方式だが、実はこれ以外に、文字板外周部にソーラーセルを設けた「リングソーラー」というシステムもある。しかし、受光面を広く取れることから、より効率よく発電するのは「スタンダードソーラー」なのだ。
「リングソーラー」なら金属製の文字板も使用可能だが、「CC4016-67E」のような「スタンダードソーラー」の場合、文字板は光が透過するものでなければならず、基材の樹脂には透明のものが採用される。シチズンは腕時計のデザインに合わせて、その基材にさまざまな彩色や装飾を施してきたが、透過性を犠牲にすることなく金属を塗装できたのは、実は今回が初めてだと言う。同社の開発技術者に「金属塗装」について聞いたところ、「光をしっかり透過させて『ソーラーセル』に蓄電させなくてはならないのですが、塗装時の金属粉体の量が少しでも多いと、GPS衛星電波の受信感度が阻害されてしまいます。この塩梅がとても難しく、こうした問題点をクリアしつつ、いかにデザインを際立たせるかがチャレンジのポイントでした」と振り返っている。
写真は、撮影ライトによる高い照度で、文字板の質感を際立たせて撮影したもの。極微の金属粉が強い光を受け、メタリックな輝きとなってその姿を現わしている。これが、太陽光で明るく照らされた月面の乾いた大地を彷彿とさせる
第3のポイントは、3時位置のモード表示、6時位置のデュアルタイム表示、9時位置の機能表示(「曜」「充電量」「サマータイム設定」)の各サブダイヤルが、すり鉢状に成型されており、それらの内側に傾斜した金属リングを設けたことで、月面のクレーターを彷彿とさせるデザインに仕上がっている点だ。しかもその金属リングは、ベゼルや時・分針、インデックスと同じピンクゴールド。ただし、この金属リングのみ、仕上げに鏡面ではなくツヤ消しを選んでいるのは、リング上に記された表示や目盛りの視認性を考慮してのことであろうが、奇しくもこれが、文字板に月のごときやわらかい輝きを添加する効果をもたらしている。
Function最上位ムーブメント「F950」が多様化したビジネススタイルに対応
以上が、「CC4016-67E」に導入された3つの新機軸ポイントなのだが、機能面についてもどう先進的なのか気になるところ。もっとも、本製品はかなりの多機能ぶりゆえに、ここでは主要機能に絞って紹介したい。
「CC4016-67E」が「光発電エコ・ドライブ」採用モデルであることは、先述したとおり。現在、光発電の腕時計は他社製品にも存在するが、その先駆けはシチズンが1976年に発売した、世界初のアナログ式光発電時計「クリストロンソーラーセル」だ。以来、「光発電エコ・ドライブ」の技術は飛躍的な発展を遂げ、室内のわずかな光も電気に変換し、余った電気は2次電池に蓄電。フル充電しておけば、暗所でも何と半年以上も駆動するまでに進化を遂げている。
この「光発電エコ・ドライブ」で蓄電されたパワーを使って「CC4016-67E」の各機能を動かすのは、「F950」のキャリバーが付されたムーブメント(モジュール)。これは、シチズンが創業100周年を迎えた2018年、「アテッサ」の「エコ・ドライブGPS衛星電波時計」に初導入された最上位ムーブメントだ。
「GPS衛星電波時計」とは、上空約2万kmの宇宙空間を周回するGPS衛星が発する、時刻と位置情報を乗せた電波を受信することにより、時刻とカレンダーを自動修正する時計を指す。そして、同分野においても先進的なメーカーであるシチズンは、ツインコイルモーターを搭載させた「F950」で、時刻合わせにおける時・分針の回転速度を、以前のキャリバー「F900」の約2倍に高速化させている。時刻情報のみの受信であれば、その所要時間は世界最速レベルの最短3秒(※2)というのだから驚異的だ。
また、「ダイレクトフライト」も「F950」を語るうえで重要な機能だ。これは、2009年に誕生したシチズン独自の技術で、都市を選択すると、その時刻と日付がクイックに表示されるデュアルタイム機能の名称。この機能には現在、3タイプが揃っており、そのうち「F950」には「ダブルダイレクトフライト」が採用されている。全世界をカバーする39のタイムゾーンに対応する「CC4016-67E」は、時・分・秒のセンター針と、6時位置にあるサブダイヤルの時・分針で、2都市の時刻を同時表示するのだが、それらの時刻表示を1ステップで入れ替えられる機能が「ダブルダイレクトフライト」だ。
※2:光発電GPS衛星電波時計として。2021年9月現在、シチズン時計調べ。2015年、シチズンは、光発電GPS衛星電波時計として世界で初めて、最短3秒の受信を実現しました
りゅうずを上下で挟む2つのボタンを同時に押すと確認音が鳴り、ホームタイムとローカルタイムが入れ替わる(この動画では、「東京」と「ホノルル」に設定)。モード針を除く各針と日付表示ディスクが滑るように動く様は、ダイナミックで実に痛快だ。なお、日・曜はホームタイムに設定した時刻に基づく表示となる
以上のことから、「F950」は多様な革新的機能を備えた高精度ムーブメントだということがわかったが、常にこの性能が十二分に発揮されるように搭載されている機能「パーフェックス」についても少し触れておこう。
腕時計は、磁気を帯びると内部の金属部品が磁化し、クオーツではモーターが不具合を起こして時間の進みなどに不調をきたす。また、ぶつけたり落としたりして腕時計に強い衝撃を与えると、針ズレを起こすこともある。こうした誤作動を解消すべく、シチズンが開発したのが「パーフェックス」だ。まず、磁気に対しては、スマートフォンやPCに腕時計を5cmまで近づけても、ほとんどの場合、性能をキープできる耐磁水準が実現されているうえ、GPS衛星電波を受信しながら磁気を防御するという、相反する2つの機能を高次元で両立させている。いっぽう、衝撃については、外部からの衝撃を検知し、ICによっていったん運針をロックしたのちに再び針を動かして針位置を補正する。しかも、これらに要する時間は、わずか約1000分の1秒というのだから驚きだ。
「CC4016-67E」には、上記の機能のほかにも、1/20秒クロノグラフ、パーペチュアルカレンダー、サマータイム機能、アラーム、充電量表示機能、10気圧防水など、多彩な機能が備わっている。デザインにおいて宇宙の旅をリスペクトする「CC4016-67E」だが、実のところ、この腕時計そのものが、機能という名の銀河で構成された“宇宙”なのかもしれない。
Stylingスタイリストから学ぶオン/オフコーディネートのポイント
「アテッサ」は、ビジネスシーンに対応するモデルで構成されているが、それは「CC4016-67E」も例外ではない。いっぽうで、本モデルはクロノグラフデザインのスポーティーな「アクトライン」のモデルでもあるので、休日のカジュアルな着こなしにも違和感なくマッチする。コーディネートにおけるこの高い汎用性もまた、本モデルの大きな魅力だ。
そこでここでは、メンズファッション誌を中心に活躍するスタイリスト、佐々木誠さんに、オンとオフそれぞれのコーディネート例を提案していただくとともに、「CC4016-67E」にふさわしい着こなしのコツを教えていただいた。

スタイリスト 佐々木誠さん東京生まれ。スタイリスト歴は10年目に突入。さまざまなメンズファッション誌やファッションブランドのカタログ、ネット動画などで活躍する。アパレルや靴、革製品のほか、アウトドアや雑貨・インテリア、食品など、幅広い分野でスタイリングを手がける。商品知識も豊富な、今、最も“旬”なスタイリストのひとり
「オンのコーディネートと同様、こちらも茶系を主体にまとめてみました。ただ、カジュアルシーンなので軽快さが欲しくて、ベージュのスイングトップを選択。引き締めに黒のタートルネックを合わせました。スイングトップに選んだゴルフ用のショート丈ブルゾンは、今シーズンのトレンドです。これにニットを組み合わせることで、スポーティーで品のいい、大人カジュアルができ上がりました」(佐々木さん)
スポーティーでラギッドながら、ピンクゴールドカラーが控えめで上品な差し色になる「CC4016-67E」。この腕時計にふさわしいコーディネートとは、どのようなものなのか?
「ビジネスであれ、カジュアルであれ、腕時計を浮き立たせるのではなく、スタイルになじませて大人っぽくまとめるのが望ましいと思います。たとえば、『ブラックチタン™』が見せる黒や茶色、あるいはベゼルの縁取りなどに施されたピンクゴールドといった色をスタイルに取り入れることで、腕時計がいたずらに目立つことを防ぐことができますよ」(佐々木さん)
Summary美しい姿はいつまでも飽きさせず
使うほどに愛着を深めていく
スポーティーでありながらもエレガント、無骨だが繊細、華やいでいながらもシック、重厚に見えるが実は軽量……と、「CC4016-67E」は対極であるはずのエッセンスを絶妙なバランスをもって兼ね備える、実に個性的な腕時計だ。それゆえに、さまざまなシーンで違和感なく使用できるのがうれしい。
また、機能やデザイン、素材、仕上げにおいてのウンチクも満載で、「語れる」腕時計としても申し分がない。しかも、「ダブルダイレクトフライト」を作動させた時の針の動作が実に爽快で、目に心地よく、何度もプッシュボタンを押してみたくなる。「この時計、こうすると、ほら、こんな風に針が動くんですよ」と披露すれば、コミュニケーションのツールとしても活躍するはずだ。
観賞用としても十分に魅力的で、その美しいたたずまいは飽きさせず、親しむほどに愛着を覚えるほど。また、月がモチーフとあって、時にはこの腕時計を愛でつつ、悠久にして広大無辺なる宇宙へと思いを馳せてみるのも、本モデルならではの楽しみ方と言えるだろう。












「『CC4016-67E』の場合、『ブラックチタン™』がピンクゴールドに引っ張られているからか、黒がちょっと茶色を帯びたように見えたので、ダークブラウンのスーツを選んでみました。茶系のスーツがちょうど流行っていますから、トレンドを押さえる意味もあります。また、腕時計のクラス感に合わせて、シャツは上品なクレリックをセレクト。腕時計とスーツのダークブラウンと、このシャツのグレーを拾って、黒とシルバーのラインが入った茶系のネクタイで、「トーン・オン・トーン」にまとめ、Vゾーンを引き締めてみました」(佐々木さん)