前後・左右・車内の全方面を高画質に撮影 業界初、リアデュアルカメラ搭載の3カメラドライブレコーダー

ユピテル「marumie Y-3000」の魅力を徹底検証

2020年6月から道路交通法が一部改正され、悪質なあおり運転などに対する罰則が強化された。それにともない、危険運転を克明に記録できるドライブレコーダーへの注目がこれまで以上に高まっている。なかでも注目なのが、前方や後方の撮影に加えて、左右や車内も撮影できる業界初のリアデュアルカメラを採用した、ユピテルの最新ドライブレコーダー「marumie(マルミエ) Y-3000だ。2カメラタイプの一般的なドライブレコーダーではとらえきれない広範囲をカバーし、360°ドライブレコーダーよりもゆがみが少なく、高画質な映像を撮影できるというユピテルの“新提案”を、じっくりと検証していこう。

全方面3カメラ
リアデュアルカメラ&フロントカメラで全方面をカバー。
360°ドライブレコーダーとの画質の違いを比較

ユピテルの最新ドライブレコーダー「marumie(マルミエ) Y-3000」に対する第一印象は、「その手があったか」。本機の最大の特徴は、車両の前方や後方の撮影に加えて、左右や車内も撮影できる業界初のリアデュアルカメラを採用していることだ。リアユニットに、前方撮影用と後方撮影用の2つのカメラを搭載し、広角レンズを装備した前方撮影用カメラが、車内はもちろんサイドガラス越しに車外の状況まで記録してくれる。

フロントカメラ(レンズ側) フロントカメラ(レンズ側)
フロントカメラ(液晶画面側) フロントカメラ(液晶画面側)
リアデュアルカメラ(後方カメラ) リアデュアルカメラ(後方カメラ)
リアデュアルカメラ(左右・車内カメラ) リアデュアルカメラ(左右・車内カメラ)

業界初のリアデュアルカメラを採用した、ユピテルの最新3カメラドライブレコーダー「marumie Y-3000」。リアユニットに、前方撮影用と後方撮影用の2つのカメラを備え、広角レンズを採用した前方撮影用カメラが、車内のみならず、サイドガラス越しに車外の状況まで記録してくれる

視野角

フロントカメラが車両前方を、リアユニットの前方撮影用カメラが車内と左右を、そしてリアユニットの後方撮影用カメラが車両後方を撮影する。リアユニットに前方撮影用カメラを追加することによって、左右からの車両の幅寄せや接触、自転車のすり抜けなど、従来の前後2カメラドライブレコーダーではとらえられないエリアまで広範囲に撮影できるようになった

車両前方映像
車内と左右の映像
車両後方映像

ドライブレコーダーの現在の主流は、前方の状況に加えて後方の様子も撮影可能な「2カメラドライブレコーダー」だが、こちらは側方からの幅寄せや接触、車内の状況などをカバーできないという課題がある。それらを解決するために登場したのが、フロントカメラに全天球レンズを搭載することで、前方から車内まで全方向を撮影できる「360°ドライブレコーダー」だった。だが、超広角の全天球レンズは画角の上下左右がゆがんで見えにくかったり、前方や左右などの部分的な解像度が低く、車両のナンバーなどが判別しにくかったりといった問題点が少なからずあったのも事実だ。

こうした課題に対するユピテルの“解”が、リアデュアルカメラである。フロントユニットに前方撮影用、車内および左右撮影用のデュアルカメラを装備したモデルはこれまでもあったが、リアユニットに2つのカメラが搭載されるのは業界初となる。車両前方の映像を記録するフロントカメラに加えて、車内、左右、および車両後方の映像を記録するリアデュアルカメラを採用した「marumie Y-3000」なら、死角がほとんどなく、側方からの幅寄せや接触、追い越しや自転車のすり抜けなど、従来の前後2カメラドライブレコーダーではとらえられないエリアまでを広範囲に記録できるうえ、「360°ドライブレコーダー」と比べて画質のゆがみも抑えられるというわけだ。

marumie Y-3000
ユピテル「marumie Y-3000」 ユピテル「marumie Y-3000」
一般的な「360°ドライブレコーダー」
一般的な「360°ドライブレコーダー」

「marumie Y-3000」と、一般的な360°ドライブレコーダーの2機種で同時に撮影してみたところ、「marumie Y-3000」のほうが車両左右の死角が明らかに少なく、側方の視認性に大きな差が見られた。これなら、万が一の側方からの幅寄せや接触なども、しっかりと記録できる。また、「marumie Y-3000」は画角の上下左右のゆがみが少ないため、車両ナンバーはもちろん周囲の状況なども把握しやすく、360°ドライブレコーダーのようにルームミラーによって視界が遮られないのもメリットのひとつだ

リアユニットに、前方撮影用と後方撮影用の2つのカメラを搭載する「marumie Y-3000」。この新提案だけでも大きなトピックと言えるが、前後のユニットに搭載された3つのカメラすべてがフルHD(1,920×1,080)の高い解像度を備えているのも、見逃せないポイントだ。実際に録画された映像を見てみると、その解像感の高さや映像の鮮明さは、一目瞭然。フロントカメラがとらえた前方の車両と、リアデュアルカメラがとらえた後方の車両、それぞれのナンバープレートがしっかりと確認できた。

ユピテル「marumie Y-3000」

3つのカメラすべてがフルHD解像度を備えており、前方車両、後方車両ともにナンバープレートも鮮明に記録できる

死角が少ないうえ、フルHDの高画質で撮影できる「marumie Y-3000」。後方から右車線に移動し、スピードを上げて自車を追い越していく車両の一連の動きも手に取るように確認できる

車両側方の自転車やバイクのすり抜けに、ヒヤリとした経験は誰しもあるだろう。万が一事故に遭遇した場合でも、鮮明な映像が記録できていれば、事故発生時の状況を正確に説明できるはずだ

加えてもうひとつ、リアデュアルカメラには大きなメリットがある。それは、車内を後方から撮影するために搭乗者の顔が映らず、プライバシーを保護できることだ。360°ドライブレコーダーなどでは、前方から常に搭乗者の顔が撮影されている。これに対して、圧迫感を覚える人は少なからずいるだろう。その点、「marumie Y-3000」は、車内というプライベート空間にカメラを向けながらも、後方から撮影するため搭乗者の顔は記録されない。車両周辺の状況を細部まで高画質で撮影できるだけでなく、搭乗者のプライバシーにも配慮されている「marumie Y-3000」なら、肩の力をスッと抜いて気持ちよくハンドルを握れるだろう。

ユピテル「marumie Y-3000」

リアユニットの前方撮影カメラは、後方から車内を撮影するため、搭乗者の顔が映らずプライバシーを保護できる。前方から車内を撮影する従来のドライブレコーダーに圧迫感を覚えていた人にとっても、後方から車内を撮影する「marumie Y-3000」は目から鱗の新提案というわけだ

高画質
3カメラともにSTARVIS 、HDRに対応。
夜間や明暗差の激しい場所での画質をチェック

続いて、「marumie Y-3000」の画質を詳しくチェックしていこう。3つのカメラすべてがフルHD解像度を備えていることは先述のとおりだが、リアデュアルカメラは前方撮影用、後方撮影用ともにスモークガラスの暗さを踏まえて映像感度がチューニングされており、リアスモークガラス越しでの後方車のナンバー識別はもちろん、サイドスモークガラス越しでの車両や人の動きなども明瞭に記録できる。実際、今回の検証ではリアとリアサイドがスモークガラス仕様の車両を使用したが、映像の「暗さ」を感じる場面はまったくなかった。映像の鮮明さは「安心感」の高さとほぼイコールであり、スモークガラス越しでも明るい映像を撮影できるのは本当にありがたい。

ユピテル「marumie Y-3000」 ユピテル「marumie Y-3000」

検証で使用したクルマのリアとリアサイドには、濃いスモークガラスが装着されていた。検証前は「映像が暗くなるのでは?」と少々不安を覚えたが、録画された映像を見てみると、スモークガラス越しとは思えないほど明るい映像が撮影されていた

また、3カメラともに超高感度なCMOSイメージセンサー「STARVIS(スタービス)」が搭載されているため、映像が不鮮明になりがちな夕方や夜の住宅街など、灯りの少ないシーンにおいても前後・左右いずれも鮮明に記録できる。さらに、暗い車内も明瞭に記録できるので、ドライバーが長時間クルマから離れる深夜の車上荒らし対策としても高い効果を発揮するだろう。これに加えて、3カメラともに輝度拡張技術「HDR(ハイダイナミックレンジ)」に対応。夜間やトンネル内などの暗所においても、しっかりとノイズの抑えられた映像が撮れるうえ、トンネルの出入り口など明暗差の激しい場所でも白飛びや黒つぶれの少ないキレイな映像で記録できる。

車両前方映像
車内と左右の映像
車両後方映像

夜間走行時に威力を発揮するのが、超高感度の「STARVIS」。比較的明るい繁華街はもちろん、灯りの少ない深夜の住宅街でも明るい映像で撮影できるうえ、ノイズによる映像のザラツキもまったく気にならなかった

車両前方映像
車内と左右の映像
車両後方映像

トンネル走行時の映像を見てみると、HDRの効果がよくわかる。トンネルの入り口、および出口付近では薄暗いトンネル内と明るい屋外が同時に映し出されるが、こうした明暗差の激しいシーンでは、トンネル内が黒くつぶれたり、トンネル外の空が白く飛んだりしがちだ。しかし、録画された映像はダイナミックレンジを拡張する「HDR」の効果により、トンネル内と外の空、双方の階調が保たれており、周囲の状況をしっかりと確認できる

ボディ
コンパクトな本体で視界良好。
SDメモリーカードのフォーマット不要で使い勝手も◎

撮影範囲も画質も、ほぼ“死角なし”の「marumie Y-3000」だが、ボディ設計や使い勝手にもこだわっている。フロントカメラ、リアデュアルカメラはともにドライバーの視界を遮りにくいコンパクトな設計となっているほか、前方から車内や側方をとらえる「360°ドライブレコーダー」とは異なり、ルームミラーと干渉しないため、フロントカメラの設置の自由度も高い。

また、同社製オプションの電圧監視機能付電源ユニット「OP-VMU01」か、マルチバッテリー「OP-MB4000」を用意すれば、当て逃げや車上荒らし対策となる「駐車監視機能」が利用でき、エンジンオフから最大約8時間、駐車中も録画を続けられる。3カメラによる強固な「駐車監視機能」によって、大切な愛車を守れるのは実に心強い。

さらに、SDメモリーカードの定期的なフォーマットが不要な独自のファイルシステムが採用されているほか、後方からのあおり運転を自動で検知、映像を記録する「後方異常接近 記録・警告機能」や、「前方車発進警告」「車線逸脱警告」などをディスプレイ表示とアラート音で知らせ、事故を未然に防ぐ「安全運転サポート機能」なども搭載されている。撮影範囲や画質だけでなく、あの手この手で、“安心・安全”なドライブをサポートしてくれるのだ。

ユピテル「marumie Y-3000」 ユピテル「marumie Y-3000」

フロントカメラ、リアデュアルカメラはいずれもコンパクト設計。視界を遮りにくいので、運転の集中が削がれるような心配は少ないだろう

駐車記録映像

オプション機能として、一般的な2カメラモデルでは撮影できない車両側方の当て逃げやドアパンチ、車上荒らしなども記録できる「駐車記録機能」を搭載。エンジンを切った後も、別売オプションの電圧監視機能付電源ユニット「OP-VMU01」や、同じく別売オプションのマルチバッテリー「OP-MB4000」から電源が供給されることによって、録画を続けることができる。車両のバッテリーから電源を取らないため、ドライブレコーダーによるクルマのバッテリー上がりの心配もいらない

駐車記録映像

密を避けられるレジャーとして流行しているキャンプだが、そこで問題となっているのが積み荷の窃盗だ。しかし、「marumie Y-3000」ではハッチバックを開けるとリアユニットの前方撮影用カメラが真下を向くため、ラゲッジルームの状況をしっかりと記録することができる

microSDメモリーカード

microSDメモリーカードは、最大128GBに対応。1080PのフルHD画質なら約352分、画質より記録時間を優先する設定なら、最長で約512分の録画が可能となっている。なお、「marumie Y-3000」には32GBのmicroSDメモリーカードが付属する

まとめ
理にかなったドラレコの“最適解”

リアユニットに、前方・左右撮影用と後方撮影用の2つのカメラを搭載するというアイデアは、斬新な発想でありながら、確かに理にかなっていると感じた。一般的な2カメラドライブレコーダーが苦手とする、側方からの幅寄せや接触などもしっかりと記録できるし、360°ドライブレコーダーよりも高画質でゆがみの少ない映像を撮影できる。さらに、後方から車内を撮影するため、搭乗者のプライバシーも保護できるなど、「marumie Y-3000」のレビューを進めれば進めるほどに、リアデュアルカメラが「合理的」な結論に思えてならないのだ。「marumie Y-3000」は、これからのドライブレコーダーにおける“最適解”を示してくれる1台と言えるだろう。