クルマの本質を徹底追求した スバル 新型「レガシィ アウトバック」が醸し出す“NEW LUXURY”という新しい価値
2021年10月、スバルの最上位クロスオーバーSUV「レガシィ アウトバック」のフルモデルチェンジが発表され、同年12月に発売された。最新モデルでは内外装のデザインや質感、走行性能、安全性能のすべてが一新され、見た目だけでなく、心も身体も満たされる、新しい豊かさを表現した“NEW LUXURY”と呼ぶにふさわしい1台に仕上がっている。本特集では、新型「レガシィ アウトバック」に用意された「Limited EX」と「X-BREAK EX」という2グレードの試乗車を使って、その魅力に迫ってみた。
INDEX
01デザインより上質に、よりアクティブに。
一新された内外装デザインをチェック
試乗車のスペックと価格
2グレードのエクステリアデザインの違い
先進的なデジタルコクピットシステム
ナッパレザー採用の本革シート
使いやすさに対するこだわりもハイレベル
昨今のSUVブーム到来以前から、ステーションワゴンとSUVの長所を融合させたスバルの最上位クロスオーバーSUVとして高い人気を誇ってきた「レガシィ アウトバック」がフルモデルチェンジ。最新モデルでは、パワートレインは共通だが、細部の意匠や走行モードなどが異なる「Limited EX」と「X-BREAK EX」という2つのグレードが用意されている。
試乗車「Limited EX」と「X-BREAK EX」の主なスペックと価格
Limited EX | X-BREAK EX | |
---|---|---|
全長×全幅×全高 | 4,870×1,875×1,675mm | 4,870×1,875×1,670mm |
エンジン | 1.8L DOHC 直噴ターボ “DIT” | |
駆動方式 | AWD(常時全輪駆動) | |
トランスミッション | リニアトロニック(マニュアルモード付) | |
最高出力[ネット] | 130kW(177PS)/5,200-5,600rpm | |
最大トルク[ネット] | 300N・m(30.6kgf・m)/1,600-3,600rpm | |
燃費 | JC08モード:15.8km/L WLTCモード:13.0km/L | |
メーカー希望小売価格(税込) | 4,290,000円 | 4,147,000円 |
まずは、2つのグレードに共通するエクステリアデザインから見ていこう。大型化されたヘキサゴングリルや、ボディの下周りを保護する樹脂製のクラッディングパネルなどから、クロスオーバーSUVらしさが随所に感じられるのだが、全体像は流麗で実に上品な雰囲気。シャープさを増したヘッドライトやフロントフォグランプは、ヘキサゴンモチーフのデザインを採用した、LED光源の丸形6連ランプとなり、上質感と精悍さを感じさせると同時に、機能性も向上させている。
フロントデザイン
リヤデザイン
2グレードのエクステリアデザインの違い
「Limited EX」と「X-BREAK EX」という2つのグレードは、一般的な上位/下位という関係ではなく、あくまでもキャラクターによって分けられている。「Limited EX」はメッキ加飾つきのフロントグリルや、切削光輝のアルミホイールなどが採用され、より洗練された印象。いっぽうの「X-BREAK EX」はブラック塗装のフロントグリルやリヤオーナメント、ダークメタリック塗装のアルミホイールなどによって、上質さにプラスしてアクティブ感が取り入れられている。どんなカーライフを送りたいのか、どんな用途で使用したいのか、それを想像しながら2つの個性を比べてみるのも楽しそうだ。
ヘキサゴングリルを中心に構成されるフロントマスクの造形は共通だが、「Limited EX」はメッキ加飾とシルバー塗装で優雅さを、「X-BREAK EX」はブラック塗装でアクティブさを強調している
エクステリアの印象を大きく変えるルーフレールにも違いがある。「Limited EX」はルーフレールに格納された可動式のクロスバーや、ルーフレールの前後端にロープやベルトなどを結べるロープホールを採用したシルバー塗装のクロスバービルトインタイプ、「X-BREAK EX」はより高い最大積載荷重を確保し、タフな使い方を可能にしたブラック塗装/エナジーグリーンのラダータイプを装備
タイヤサイズは225/60R18で共通だが、「Limited EX」のアルミホイールはダークメタリック塗装+切削光輝、「X-BREAK EX」はダークメタリック塗装で、明確なキャラクター分けがなされている
先進的なデジタルコクピットシステム
インテリアに目を向けると、中央に装備された「11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ」と、ステアリング奥、インパネ部の「12.3インチフル液晶メーター」が大きな存在感を放つ。「11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ」には大きな画面で地図表示が見やすいカーナビをはじめ、オーディオやエアコンなどの機能が集約されており、インパネ部の「12.3インチフル液晶メーター」では、一般的なスピードメーター/タコメーター表示や、「アイサイト」の作動状況表示に加え、カーナビの地図画面の全画面表示も可能。これまでアナログメーターのクルマに乗っていた人にとっては、なかなか衝撃的な未来体験が味わえるはずだ。
ナッパレザー採用の本革シート
新型「レガシィ アウトバック」に標準装備されるシートは、「Limited EX」がファブリックシート、「X-BREAK EX」が撥水ポリウレタンシートとなるが、「Limited EX」のみメーカーオプションでナッパレザーの本革シートが用意されている。ナッパレザーとは、なめし加工を施した、やわらかく耐久性にすぐれた皮革の最高級素材で、試乗車にはこちらが装備されていた。シートだけでなく、インパネやドアトリムなどにもナッパレザーがふんだんに使用されており、その雰囲気はまさに高級サルーン。実にリッチな気分に浸りながらのレビューとなった。
インテリアデザイン

「Limited EX」にメーカーオプションで用意されるナッパレザーの本革シート。写真の「タン(オレンジステッチ)」のほか、「ブラック(シルバーステッチ)」の2つのカラーから選択できる
ナッパレザー
撥水性ポリウレタン
後席居住性
使いやすさに対するこだわりもハイレベル
リヤシートは6:4の分割可倒式で、ラゲッジルームにはリヤシートを起こした状態でも561L※という広大なスペースが用意される。試しに、リヤシートを起こした状態で2人分のキャンプ道具を積み込んでみたが、余裕で収納できた。開口部も広いので、大きな荷物の積み下ろしもラクに行える。アウトドアでの使い勝手は上々だ
※容量はVDA法にて測定。荷室寸法はすべてスバル測定値です。
キーを持った状態で、バックドアのスバルロゴに肘など体の一部を近づけると、リヤゲートが自動でオープン。大きな荷物で両手がふさがっていたり、手が汚れていたりしても安心だ
02走行性能1.8L DOHC 直噴ターボ “DIT”搭載。
あらゆるシーンで味わえる上質な走り
扱いやすいボディサイズと高い静粛性
試乗インプレッション
路面状況に応じた走行を可能にする「X-MODE」
新型「レガシィ アウトバック」に関して、最も注目度が高い変更点のひとつがエンジンだろう。新たに搭載されたのは、スバルならではの水平対向レイアウトを踏襲した1.8L DOHC 直噴ターボ “DIT”。先代モデルの2.5L NA(自然吸気)エンジンに比べ、排気量は下げられたものの、最高出力は129kW(175PS)から130kW(177PS)へ、最大トルクは235N・m(24kgf・m)から300N・m(30.6kgf・m)へと向上しており、これまで以上に高効率でトルクフルかつスムーズな走りを実現している。
期待を胸にアクセルを踏み込むと、次の瞬間、頬がゆるむ。新型「レガシィ アウトバック」の最大トルク発生域は1,600-3,600rpmに設定されており、低回転域からその力強さが感じられるのだ。そのため、発進時からアクセルを踏む足先に十分なゆとりが感じられ、扱いやすい。所有するよろこびを満たす、悠々として上質な走行フィーリングは、スバルの最上位クロスオーバーSUVを名乗るにふさわしいと感じた。
エンジン
シンメトリカルAWD
扱いやすいボディサイズと高い静粛性
新型「レガシィ アウトバック」のボディサイズは下表の通りで、先代モデルに比べると、全長で50mm、全幅で35mm、全高で70mm(「X-BREAK EX」は10mm)大きくなっている。この数値を見て、「日本の道路では少し大きすぎるのでは?」と感じた人がいるかもしれないが、結論から言うと、その心配の必要はなさそうだ。最小回転半径は先代モデルと変わらず5.5m。そのうえ、適正なシートポジションに身体を収めると、車両の前方や側方の見晴らしがよく車幅感覚がつかみやすい。また、リヤウインドウ越しの後方も死角が少なく、駐車の際の後退時などでも不安を覚えることはほとんどなかった。
新型と先代のボディサイズ
グレード | 全長 | 全幅 | 全高 | |
---|---|---|---|---|
新型モデル | Limited EX | 4,870mm | 1,875 mm | 1,675 mm |
X-BREAK EX | 1,670 mm | |||
先代モデル | Limited | 4,820 mm | 1,840 mm | 1,605 mm |
X-BREAK | 1,660 mm |
さらに、細かな振動やロードノイズなどがしっかりと抑え込まれているのも好印象。これは、新たに採用された「フルインナーフレーム構造」によるところが大きく、高剛性と軽量化を実現することで、乗り心地と走りのクオリティ向上を両立させたという。車内は、同乗者との会話や音楽をストレスなく楽しめる空間となっており、より上質なドライブを可能にしてくれる。
試乗インプレッション
路面状況に応じた走行を可能にする「X-MODE」
X-MODE
オフロード
03安全性能「渋滞時ハンズオフアシスト」を実現する、
「アイサイトX」全車標準装備
「アイサイトX」インプレッション
“スバル史上最高峰”の安全性能
安全装備に関しての最大のトピックは、やはり高度運転支援システム「アイサイトX」の全車標準装備だろう。ステレオカメラがとらえた映像やGPS、準天頂衛星「みちびき」からの信号、車線単位の道路情報を持った3D高精度地図データを組み合わせ、自車位置を正確に把握するのが、このシステムの肝だ。そこにアクセル、ブレーキ、ステアリングなどの支援、制御を加えることで、運転支援機能は大きく拡張される。
渋滞時ハンズオフアシストや渋滞時発進アシスト、カーブ前速度制御、料金所前速度制御などを実走しながら試してみたが、各種制御のスムーズさは感動を覚えるレベル。特に渋滞時ハンズオフアシストや、カーブ前、料金所前での速度制御は、クルマが道路状況を見ながら柔軟に対応し、自律走行している感覚がある。もちろん、安全運転の中心はあくまでもドライバーだが、先進デバイスによって運転の疲労は間違いなく軽減されるはずだ。
ステレオカメラ
「アイサイトX」インプレッション
高速道路や自動車専用道路において、0km/h〜約120km/hでアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を自動でアシストする「アイサイトX」の「ツーリングアシスト」。違和感のない、自然かつ滑らかな制御が印象的だ
高速道路や自動車専用道路において、渋滞時(0km/h〜約50km/h)に一定の条件を満たすと、ステアリングから手を放すことも可能な「渋滞時ハンズオフアシスト」。停止状態からスイッチ操作をすることなく発進するので、渋滞の疲れやストレスを大幅に軽減できる
料金所前速度制御
“スバル史上最高峰”の安全性能
話題はハンズオフ機能に向かいがちだが、そのベースにある「アイサイト」自体の進化も忘れてはならない。新型「レガシィ アウトバック」に搭載された新世代「アイサイト」は、視野を大幅に広角化した新開発のステレオカメラなどによって、より緻密に交通環境を認識できるようになった。また、前後4つのレーダーによって360°センシングを実現し、より幅広いシーンでの衝突回避をサポートする。死角の低減や夜間視界の確保などを先進技術で実現する「アイサイトセイフティプラス」を含め、安全性能は“スバル史上最高峰”に達したと言えるだろう。
04まとめ「NEW LUXURY」なライフスタイルへと導く
“本物”の上質さ
新型「レガシィ アウトバック」のフルモデルチェンジが発表され、エンジンに1.8L DOHC 直噴ターボ “DIT”が搭載されると知った時、多くの人は、「スポーティーな方向に振るのか?」と思ったのではないだろうか。実は、筆者もそのひとりだったが、今回のレビューで走り始めてすぐに、この思い込みは誤りだったと気づかされた。NAエンジンからターボエンジンに変更されたことで低回転域、つまり日常的に使うレンジに寄せたトルク特性となり、より乗りやすく、扱いやすくなった印象を受けたからだ。また、メッキ加飾やクラッディングで個性を際立たせたエクステリアをはじめ、キャビンのゆとりや、細部にわたる精緻な作り込みで上質感を高めたインテリア、そして、「アイサイトX」に象徴される先進安全装備の充実。一般道でも、高速道路でも、そしてオフロードでも、乗り心地は悠々と大海原を行くクルーザーのようだった。新型「レガシィ アウトバック」は、小手先の華美ではなく、本当の上質さを自分らしく楽しむ、「NEW LUXURY」なライフスタイルへと導いてくれる極めて完成度の高いクロスオーバーSUVと言えるのではないだろうか。