
「HP ProDesk 405 G8 SFF」レビュー
自宅で使用するパソコンには、ノートPCよりもデスクトップPCを選んだほうが処理性能や使い勝手において高い満足度が得られるケースが多いもの。懸念されるのは、設置スペースを確保できるかだが、最近では、デスクトップPCならではの高い処理性能や豊富な外部インターフェイスを備えつつ、コンパクトなボディを実現したモデルも多く登場している。本記事で取り上げる日本HPの「HP ProDesk 405 G8 SFF」も、そうしたモデルのひとつ。ここでは、「AMD Ryzen™ PRO 5000シリーズ」を搭載した価格.com限定モデルを使って、本機の実力をチェックしていく。
もくじ
ボディ充実の外部インターフェイスを備えた
省スペースな小型ボディ
パソコンと言えば、今やノートPCが主流だ。しかし、自宅で過ごす時間が増えたここ数年は、家の中で趣味や仕事をする機会も増加。ノートPCよりも大きなディスプレイが使え、高い処理性能を備えたデスクトップPCに注目する人が増えている。「とはいえ、自分のパソコンデスクの上にはあまり余裕がないし……」と購入に踏み切れないでいる人も少なくないだろう。そんな人は、省スペースに設置できる日本HPの小型デスクトップPC「HP ProDesk 405 G8 SFF」に注目してみてほしい。
横置き・縦置きに対応したコンパクトなボディ
まず注目したいのは、そのコンパクトなボディだ。本機は270(幅)×303(奥行)×95(高さ)mm(横置き時)の省スペースを実現しており、机周りに設置スペースを見つけやすい。付属のタワースタンドを使えば、横置きだけでなく、縦置きにすることも可能。机の上や足元などに自由なスタイルで設置できるのがうれしい。
デザインはいたってシンプルだが、正面に設けられたスリットが、一般的なデスクトップPCに比べてスタイリッシュな印象をもたらしてくれる。机の上に置いてみたが、主張しすぎないデザインのため、デスク上のファイルボックスなどと違和感なく調和してくれた。

後述するが、堅牢性にすぐれた本機はその上にディスプレイを載せることも可能。上に載せたのは23.8型フルHD(1920×1080)液晶ディスプレイ「HP P24v」(別売)だが、こうして見ると「HP ProDesk 405 G8 SFF」の小ささがよくわかる


「HP ProDesk 405 G8 SFF」は、A4ファイルボックスとほぼ同じ大きさ。デスクの上にスッキリと設置できた。足元の棚などにもスッポリ収まるので、工夫をすれば必ずしも机の上に置く必要はない
豊富な外部インターフェイスを利用可能
このように、省スペースに設置できる「HP ProDesk 405 G8 SFF」だが、本機は拡張性の面でも妥協が見られない。前面に4基、背面に5基と計9基のUSBポートを搭載しており、数多くの周辺機器を同時に接続できる使い勝手のよさはノートPCにはない利点だ。また、映像出力には、DisplayPortを2基、HDMI出力ポート(購入時にVGA、USB Type-Cも選択可能)を1基、標準装備。複数台の外部ディスプレイを接続してマルチディスプレイ環境を簡単に構築できる。


前面にはUSB 3.2 Gen1ポート×2、USB 3.2 Gen2ポート×2、SDメモリーカードスロット、マイク・ヘッドホンコンボジャックを、背面にはUSB 3.2 Gen1ポート×3、USB 2.0ポート×2、DisplayPort×2、HDMI出力ポート(購入時にVGA、USB Type-Cも選択可能)、オーディオ出力ポート、有線LANポートを備えている

最近はパソコンでの作業中に、スマートフォンなどのガジェットを充電したいというニーズが増えてきた。その点、USBポートを豊富に備えた「HP ProDesk 405 G8 SFF」なら、複数の周辺機器を接続しながら、スマートフォンなどの機器も充電できる


背面のねじを手回しして外すと本体内部へアクセス可能。パソコン内部に溜まったホコリの除去など、メンテナンスも行いやすい。メーカーサポートの対象外とはなるが、ストレージやメモリーを自身で増設したり交換したりするのも楽だ
デスクトップPCらしく、BTOによる細かなカスタマイズに対応
「HP ProDesk 405 G8 SFF」は、東京生産モデルなので注文時に幅広い選択肢からスペックを選択可能。CPUやメモリー、ストレージの選択はもちろん、グラフィックボードの追加も可能だ。また、安定性にすぐれた最新規格Wi-Fi 6に対応した無線LANを搭載できるのもうれしいポイント。趣味用や仕事用など、用途に合ったスペックで構成しよう。
OS | Windows 10 Pro 64ビット/ Windows 11 Home/ Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | AMD Ryzen™ 3 PRO 5350G/ AMD Ryzen™ 5 PRO 5650G/ AMD Ryzen™ 7 PRO 5750G |
メモリー | 4GB(4GB×1) DDR4-3200 DIMM/
8GB×1(8GB×1) DDR4-3200 DIMM/
16GB(8GB×2) DDR4-3200 DIMM/ 32GB(16GB×2) DDR4-3200 DIMM |
ストレージ | 500GB HDD(3.5インチ SATA3 7200rpm)/
1TB HDD(3.5インチ SATA3 7200rpm)/
2TB HDD(3.5インチ SATA3 7200rpm)/
256GB SSD(M.2 NVMe PCIe TLC)/
512GB SSD(M.2 NVMe PCIe TLC)/ 1TB SSD(M.2 NVMe PCIe TLC) |
追加ストレージ ※ストレージにSSDを選択した場合に追加可能 | 500GB HDD(3.5インチ SATA3 7200rpm)/
1TB HDD(3.5インチ SATA3 7200rpm)/ 2TB HDD(3.5インチ SATA3 7200rpm) |
光学ドライブ | なし/ DVDライター/ DVD-ROMドライブ |
カードスロット | なし/ SDメモリーカードスロット |
無線LAN | なし/ Wi-Fi 5/ Wi-Fi 6 |
映像出力 | 標準:Display Port×2 選択:なし/HDMI出力ポート/VGAポート/USB Type-Cポート |
グラフィックボード | なし/AMD Radeon™ R7 430 LP 2GB/AMD Radeon™ RX 550X LP 4GB |
オフィスソフト | なし/
Microsoft Office Personal 2019/
Microsoft Office Home and Business 2019/ Microsoft Office Professional 2019 |
パフォーマンス「AMD Ryzen™ PRO 5000シリーズ」による
頼もしい処理性能
続いては、「HP ProDesk 405 G8 SFF」の処理性能をチェックしていく。今回検証に使用したのは、「AMD Ryzen™ 5 PRO 5650G」(6コア/12スレッド、3.9GHz-最大4.4GHz)、8GBメモリー、256GB SSDを搭載した価格.com限定モデル(65,780円。税込。価格.com掲載価格。2022年1月20日時点)。ミドルクラスの仕様となるが、高性能GPU「Radeon™ Vega 11 Graphics」を内蔵した「AMD Ryzen™ 5 PRO 5650G」を搭載しているので、処理性能は必要十分以上と言えそうだ。
では早速、定番ベンチマークプログラムを用いて、そのパフォーマンスをチェックしていこう。※ 記事内のベンチマークテストはWindows 10版で計測しています。

まずはパソコンの総合的な処理性能を測るベンチマークプログラム「PCMark 10」。一般的なビジネス作業は言うに及ばず、負荷のかかるクリエイティブ作業もしっかりとこなせる総合スコア5497をマークした。実際、クリエイティブ系アプリを使用した際の性能を示す「Digital Content Creation」のサブスコアは5591と高水準だ

続いては、CPUの処理性能を測る「CINEBENCH R23」。ここでは、マルチコアが10016、シングルコアが1406を記録した。10016というマルチコアのスコアは、ハイスペックなゲーミングノートが採用する高性能CPUに匹敵するほど。さすがはデスクトップPC向けCPUである

さらに、ストレージのデータ転送速度を測る「CrystalDiskMark 8.0.4」も実行してみた。本機はNVMe接続の256GB SSDを搭載しているだけあって、シーケンシャルの読み込み速度は約1992MB/s、書き込み速度は約2301MB/sと高速。OSの起動も速いので、パソコンを使い始めるまでの待ち時間もほとんどなかった

最後に、グラフィック性能を確かめるべく、3Dゲームのベンチマークプログラム「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」も実行。グラフィック設定を最高品質、解像度を1920×1080に設定して実行したスコアは6743で、「快適」の評価だった。それほど負荷の高くない3Dゲームなら十分に遊べるグラフィック性能と言える
機能性清潔性に配慮された設計。
高度なセキュリティ機能も搭載
最後に、「HP ProDesk 405 G8 SFF」の使い勝手もチェックしておこう。昨今、手に触れるものをこまめに消毒する人が増えていると思うが、長時間手に触れるキーボードやマウスもなるべく清潔にしておきたいもの。しかし、パソコンの電源をオンにしたままクリーナーシートなどで汚れを拭き取ろうとすると、意図しない入力や操作が起こり、気になった時にこまめにケアするのは難しかった。
その点「HP ProDesk 405 G8 SFF」は、電源オンの状態でも誤動作することなく、キーボードやマウスを掃除できるアプリ「HP Easy Clean」を搭載。加えて、本体ケースには、クリーナーシートで約1,000回拭いても劣化しない表面加工が施されているという。キーボードやマウスから、本体までいつも清潔に保てるのがうれしい。


「HP Easy Clean」をオンにすると、パソコンへの入力が2分間無効に。その間は力を入れてキーボードやマウスを拭いても誤動作を起こさない。本体を掃除する際も、塗装の劣化を気にせずに済むのがうれしい


付属のキーボードは、キートップの中央がやや凹んだシリンドリカル形状。指先にしっかりとフィットするため、長時間の文書作成を行っても疲れを感じにくいうえ、タイピング音も静かだった。また、マウスは手になじみやすい形状で、クリック音も静か。付属品でありながら十分なクオリティだ
スマートフォンとのファイル連携もスムーズ
ソフトウェア面では、スマートフォンとのファイル連携をスムーズに行える独自アプリ「HP QuickDrop」が便利だ。このアプリは、パソコンのディスプレイ上に表示されるQRコードを、スマートフォンのカメラで読み取ってペアリングすることで、写真や動画などのファイルをパソコンとスマートフォン間で簡単にやり取りできるようにするもの。クラウドストレージにファイルを保存したり、USBケーブルで接続したりする手間がなく、楽にファイルをやり取りできた。スマートフォンで撮影した写真をパソコンの大きな画面で確認したい時や、パソコンで作成した資料をスマートフォンで持ち出したい時などに重宝するはずだ。
企業レベルの堅固な守りを実現するセキュリティツール
在宅勤務が一般的になりつつある今、業務上、重要な情報を自宅のパソコンで扱うケースもあるだろう。となると気になるのがセキュリティだが、本機には、企業向けの高度なセキュリティツールが搭載されており、安心感が高い。
そのセキュリティツールが「HP Wolf Pro Security For Business」だ。これは複数の機能で構成された統合セキュリティツールで、OSよりも下のレベルにあるBIOSから、Webサイトを閲覧する際に使うブラウザーに至るまで、さまざまなレベルでパソコンを保護してくれるのだ。
まとめデスクトップPCならではの高性能がうれしい。
自宅にピッタリの省スペースモデル
以上、「HP ProDesk 405 G8 SFF」をチェックしてきたが、コンパクトにまとめられたボディは、デスクトップPCでありながらも場所を取ることがほとんどないうえ、高い処理性能や豊富な外部インターフェイスといったデスクトップPCならではのメリットが受けられるのが大きな魅力だ。
なかでも今回検証に使用したモデルは、AMDのデスクトップ向けCPU「AMD Ryzen™ 5 PRO 5650G」を搭載しており、ハイスペックなゲーミングノートPCが採用する高性能CPUに匹敵するレベルにあった。そのうえ、高負荷な作業を行っても静かに動作し、快適性も高い。本機の価格を考えれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるだろう。
また、清潔性が気になる昨今、ひんぱんに触れるキーボードやマウスの消毒や掃除が行いやすいのもポイントが高かった。このほか、スマートフォンとのファイル連携を簡単にしてくれる「HP QuickDrop」や、企業レベルの高度なセキュリティシステム「HP Wolf Pro Security For Business」のプリインストールもほかにはない魅力だろう。
「自宅で快適に使えるデスクトップPCが欲しい」と思っている人に、本機は有力な選択肢となるはずだ。
価格.com限定モデルのラインアップ
AMD Ryzen™ 3搭載機
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AMD Ryzen™ 5搭載機レビュー機
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AMD Ryzen™ 5搭載 モニターセット機 ![]() |
AMD Ryzen™ 7搭載機
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OS | Windows 11 Home | |||
CPU | AMD Ryzen™ 3 5350G デスクトップ・プロセッサー + PRO テクノロジー![]() |
AMD Ryzen™ 5 5650G デスクトップ・プロセッサー + PRO テクノロジー![]() |
AMD Ryzen™ 7 5750G デスクトップ・プロセッサー + PRO テクノロジー![]() |
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グラフィック | AMD Radeon™ Graphics | |||
メモリー | 4GB | 8GB | 16GB | |
ストレージ | 256GB SSD | 256GB SSD | 256GB SSD+1TB HDD | |
光学ドライブ | DVDライター | |||
無線通信 | なし | |||
外部インターフェイス | (前面)USB 3.2 Gen1ポート×2、USB 3.2 Gen2ポート×2、SDメモリーカードスロット、 マイク・ヘッドホン コンボジャック (背面)USB 3.2 Gen1ポート×3、 USB 2.0ポート×2、DisplayPort×2、HDMI出力ポート、 オーディオ出力ポート、有線LANポート |
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サイズ | 270(幅)×303(奥行)×95(高さ)mm ※横置き時 | |||
重量 | 約3.9kg ※タワースタンド含まず |